http://www.asyura2.com/18/hasan127/msg/863.html
Tweet |
民泊の業者が次々と撤退を決める、実に興味深い「裏事情」 もしかして、わざと厳しくしてる?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56730
2018.07.27 長谷川 幸洋 ジャーナリスト 現代ビジネス
高すぎる「書類」のハードル
連日、大変な猛暑である。にもかかわらず、夏休みに入って、街には家族連れや外国人観光客の姿が目立つ。観光推進の柱の1つとして、6月15日に住宅宿泊事業法、いわゆる「民泊新法」が施行された。だが、現場では混乱が続いている。
政府の規制改革推進会議は混乱を受けて6月26日、関係省庁と業者を招いてヒアリングを実施した。それで分かったのは、新法にもかかわらず、手続きが煩雑で、事業の拡大どころか撤退する既存の民泊ホスト(空き家・部屋の提供者)が相次いでいる現状である(議事録は、http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20180626/gijiroku0626.pdf)。
まず、民泊ホストのグループをまとめている団体「Japan Hosts Community(以下JHC)」の声を紹介しよう。代表の日下太介氏は「ゲスト客に地元の名店を紹介して商店街に喜ばれていた夫妻」や「脱サラでフルタイムの民泊ホストになった青年」など、いくつかの撤退例を紹介した。
理由は、役所に提出する書類の多さ、時間がかかる手続き、それに届け出自体を受理しない自治体があることなどだ。
東京都世田谷区の例を挙げると、住民票の抄本から始まって、計18もの書類を用意する必要がある。特に入手が難しい書類として、マンション管理組合の民泊許可、不在民泊の場合は業者との管理受託契約書類、マンションでもホテル並みの消防施設を証する書類、安全を証明する建築士の書面の4つを挙げた。
このうち、業者管理受託契約は6月15日以前は業者自体が少なくて、入手しようがなかった事情もある。
規制改革推進会議は関係省庁に「届け出手続きはオンラインで完結するように」要望していた。ところが、JHCがホストたちにアンケート調査すると、ネットだけで完結した例は1つもない。
保健所に4回、消防署に2回、区役所に1回、法務局に1回などと自ら出向かなければならず、立ち入り検査をした後でないと書類自体を受け付けなかった新宿区のような例もあるという。
民泊仲介大手、Airbnbの山本美香氏は、6月15日時点で3728件の届け出があったのに対して、受理されたのは2210件にとどまっている、と指摘した。数字は観光庁も確認した。本来ならば、行政手続法上、形式要件が満たされ、書類が提出された時点で届け出が終わるはずなのだ。
そのうえで、分譲マンションだと住民の一部に反対意見があると実質的に禁止扱いになってしまう例や、消防法の規制が厳しく、1室の民泊活用でも建物全体に消防設備を設けなければならないケースがあり、設備投資負担の大きさを問題点として指摘した。
勝手に厳しくしているのか、それとも…
マンションで民泊を検討する場合は、どうしたらいいのか。
世田谷区は「管理組合に住宅宿泊事業を禁止する意思がないことを証する書類」の提出を求めている。平たく言えば「このマンションで民泊はダメ、と決めてはいません」という書類である。
「ダメとは決めていない」のを、どうやって証明するのだろうか。私(規制改革推進会議委員)が質問すると、先の日下氏は「管理組合で証明をもらう」と答えた。だが、組合で決めていない話は組合理事長でも勝手に返事できないだろう。すると「おっしゃる通り、だから入手が困難なのです」と認めた。
この点を観光庁に確認すると、担当課長は最初「禁止する意思がないことを証明、宣誓していただければ、いいです」と答えた。そうだとすると、管理組合は「禁止する意思がない」こと自体を決定しなければならない。「将来にわたって決めないことを決める」という話であり、ハードルが相当高い。まず無理ではないか。
実は、観光庁などは規則の運用を定めたガイドラインを作っている。17ページには、次のように書かれている(http://www.mlit.go.jp/common/001215784.pdf)。
「管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証する書類」とは、届出者が管理組合に事前に住宅宿泊事業の実施を報告し、届出時点で住宅宿泊事業を禁止する方針が総会や理事会で決議されていない旨を確認した誓約書(様式C)、又は本法成立以降の総会及び理事会の議事録その他の管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証明する書類をいう。 |
ここで、重要なのは「届出時点で」という部分である。つまり、民泊事業を役所に届け出た時点で「禁止が決議されていないことを確認できれば、オーケー」なのだ。べつに「将来もずっとダメとは言わない」ことを確認してもらう必要はない。
この点を問いただすと、担当課長は「その時点で禁止の方針がないというだけで、これを宣誓していただければいい。つまり、将来にわたって禁止しないよということを決めていただいていなくても、そこは受け付ける」と認めた。
世田谷区の例に戻ると、実際の運用で「届け出時点で」という前提がなく「将来にわたって禁止する意思がないことを証する書類」の提出を求めているのだとすれば、国が定めたガイドラインよりはるかに厳しい「上乗せ規制」になる。
さらに「管理規約に特段の定めがない場合は原則オーケーなのか」と質問すると、観光庁の回答は「管理人さんのところに行って、そういう規約がないというのを署名していただいて証する書類、宣誓書類のようなものを出していただければ、大丈夫」とのことだった。それなら、ハードルはずっと低くなるかもしれない。
役所の仕事では、こういうケースがままある。国はそれほど厳しく定めていないのに、自治体が運用で勝手に厳しくしてしまうのだ。これではガイドラインの趣旨をなさない。国はあらためて運用の実態を調べて、制度の趣旨を徹底してもらいたい。
自治体が確信的に上乗せ規制をしているなら、それは自治体側の問題になる。ぜひ柔軟な姿勢で臨んでいただきたい。
オンライン化と簡素化を進めるべし
それから、消防法の問題である。
民泊事業は消防法上、一戸建ての場合、宿泊室の床面積合計が50平方メートル以下の場合は一般住宅、それを超える場合は宿泊施設の扱いになって、自動火災報知設備や誘導灯、消化器などの設置が求められている。マンションでも基本的に同様だ。
先の山本氏は「消防法では、住宅扱いにならない方たちがたくさんいる。場合によっては、ビル全体に対応が求められることもある。そうすると、数百万の投資になる」と訴えた。推進会議の大田弘子議長も「50平方メートル以上はホテル並みで大変、厳しいのではないか」と指摘した。
これに対して、消防庁の担当者は「50平方メートルは宿泊の部屋。部屋全体の中の一部の寝泊まりする場所だけの面積が50平方メートルなので、一般住宅の場合は、相当大きくならないと、50平方メートルにはいかないと思う」と答えた。
さらに「外国人は日本のコンロとかストーブなどは、あまり使ったことがない方も多いかと思います。そしてまた面積が大きくなると、避難経路もはっきりしにくくなる」とも付け加えた。ただ、こちらも自治体によっては、実際の運用で厳しくなってはいないか。
こうした議論を受けて、規制改革推進会議は7月24日、オンラインでの届け出実現と手続きの明確化、簡素化を求めて意見書を出した(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/opinion2/300724honkaigi.pdf)。「民泊を予約して来日してみたら、キャンセルされていて泊まるところがなくなった」といったトラブルも報じられている。
観光推進と民泊拡大という制度の本旨に沿って、関係省庁に早急な対応を望みたい。
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民127掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民127掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。