円も選好されているつまり今は、円安ではなくドル高 一応、市場ではマイルドなリスクオフと言っているが 金利要因、成長要因などから、クライマックスが近づいているという意見も多い 投資家は円やスイス・フラン選好−貿易摩擦激化の中で安全通貨を信頼 Anooja Debnath 2018年7月18日 13:40 JST • 投資家は対ドルで円とフランのコール選好−G10通貨で2通貨のみ • ある程度の警戒を織り込みつつあるようだ−ランペルティン氏 Investors Show Faith in Haven Currencies as Trade Tensions Mount(抜粋) https://jp.reuters.com/opinion コラム:新興国の次は米国経済か、異変伝える炭鉱のカナリア=唐鎌大輔氏 4:59PM JST コラム:世界経済、1年半以内に減速の可能性強まる 11:51am JST
コラム:貿易戦争収束後のドル円急上昇シナリオ=鈴木健吾氏 2018年 07月 17日 パウエル議長が語った「当面」、利上げは自動操縦ではないとのサイン Craig Torres 2018年7月18日 12:09 JST • 金利の漸進的な引き上げを「当面」継続する方針を議会証言で表明 • 利回り曲線の平たん化、中立金利にどの程度近いかのヒントにも コラム2018年7月18日 / 11:54 / 5時間前更新 コラム:世界経済、1年半以内に減速の可能性強まる John Kemp 2 分で読む
[ロンドン 17日 ロイター] - 世界経済は来年末までに大幅な減速を経験し、石油価格の上昇圧力が緩和されることになりそうだ。国際通貨基金(IMF)が示した最新の世界経済見通しは、2018年と19年の世界の成長率見通しをともに3.9%とし、17年の3.7%からわずかながら加速すると見込んでいる。 一見すると良好な数字だが、見通しには下振れリスク要因も数多く盛り込まれている。貿易摩擦の激化、金利上昇、政治的な不透明感、金融市場の慢心などだ。 IMF見通しは「先進国では全般に力強い成長が保たれているが、ユーロ圏諸国、日本、英国など多くの国々では減速している」と指摘。米国でさえ今後数年間に景気減速が見込まれるとしている。 <米国> 米国はしっかりとした成長が続いているものの、成長が最終段階に入ったことを示す明確な兆しも見える。 全米経済研究所(NBER)の景気循環判定委員会によると、景気拡大は9年を超えた。記録上、過去2番目の長さであり、2019年7月になっても拡大が続いていれば1990年代を抜いて過去最長となる。 失業率は過去50年間の最低水準に近く、鉱工業生産は過去20年間の最高に近い水準で伸びている。 米供給管理協会(ISM)の指数は、製造業が過去70年間で最も幅広く拡大している様子を示している。ミシガン大の消費者信頼感指数も数十年ぶりの高さに近い。 しかし消費者物価の伸び率は2012年初め以来の水準に上昇し、時間給の伸び率を上回っている。 米国債利回りは逆イールド化(短期金利が長期金利を上回ること)しそうだ。これは過去にしばしば景気減速の前兆となってきた。 これらすべての指標は、景気循環上の強い癖を示している。景気拡大が急速にピークに近付いている時の動きになっているのだ。 <石油市場> 世界経済の余剰生産能力は急速に消滅しつつあり、その最たるものが石油市場だ。 消費の強い伸びと、ベネズエラ、リビア他の混乱による供給減で石油の余剰生産能力は数十年ぶりの低水準に下がっている。11月からは対イラン制裁によってさらに供給余力が減り、1973─74年、79─80年のオイルショック時並みになるかもしれない。 原油価格は過去1年間で75%超上昇した。 <景気後退の可能性は> 過去の例を見ると、景気拡大の最終段階には石油価格が急上昇し、続く景気縮小期に反落している例が多い。 経済成長が石油の消費および価格を押し上げる主因となる一方、石油価格の上昇が成長を抑える働きをする。 現在は石油の生産余力が尽きつつあり、コモディティと金利が上昇しているため、1年半以内に世界経済が減速する可能性が徐々に高まっているようだ。 ただ、来る景気減速が2008─09年の世界金融危機に続く景気後退ほど厳しくなるとは限らない。実際のところ、たぶんならないだろう。 それ以前の何回かの景気減速と同じく、次回の減速も経済活動が収縮するというより、成長が「一服」する程度になるかもしれない。 しかも、世界全体で景気が減速するとは限らない。1997─98年のアジア通貨危機時のように、景気減速が一部地域に限定された例もある。 しかし世界経済と石油市場は持続不可能な軌道をたどっている模様で、これが解消される唯一の道は向こう1年半以内の景気減速だろう。 外為フォーラムコラム2018年7月18日 / 11:44 / 18分前更新 コラム:貿易戦争で世界経済「縮小スパイラル」は起こるか=河野龍太郎氏 河野龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長 6 分で読む
[東京 18日] - 貿易戦争がエスカレートしている。7月6日の中国の報復関税に対し、トランプ米政権はさらなる報復措置として、10%追加関税の対象となる6031品目、2000億ドル(約22.6兆円)相当の中国製品リストを7月10日に公表した。9月にも発動するというが、もし実際に発動されれば、中国も再び報復措置に出る可能性が高い。 問題は、無謀な通商政策をトランプ大統領がいつまで続けるかである。米国では、政治的分断が深刻化し、無党派層も相当に増えているため、保護貿易が米国経済に悪影響をもたらすとしても、一部の有権者から強い支持が得られる政策を続ければ、選挙には勝てるという読みがトランプ大統領にはあるのだろう。 貿易戦争は11月の中間選挙までという楽観論も根強いが、トランプ大統領の政治的目標が2020年の大統領選挙における再選だとすれば、簡単に終結は訪れない。 また、米国の通商政策には、貿易赤字の削減というトランプ大統領の目標だけでなく、国家資本主義体制を採る中国の技術覇権、経済覇権への安全保障上の対抗という目標も含まれている。このため、仮にトランプ大統領が自由貿易の重要性に目覚め、貿易戦争を終結させても、中国が製造業振興政策「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」の旗を降ろさない限り、「中国封じ込め論」を背景とする対中制裁措置は長引く可能性がある。 一方で、グローバリゼーションをてこに拡大を続けてきた中国は極力、通商摩擦を回避したいものの、豊かになった国民の間でナショナリズムの著しい台頭があり、米国への経済的譲歩は、仮に習近平国家主席にその意思があっても、選択は容易ではない。それゆえ、米中貿易摩擦は簡単には解決されないと考えるのが妥当だろう。 では、このまま貿易戦争が継続すれば、最悪の場合、世界経済はどれほどのダメージを被るのか。貿易収縮が世界経済のスパイラル的な収縮を引き起こすのだろうか。その結果、大恐慌は再来するのか。これが今回のテーマである。 <保護貿易が大恐慌を招いたわけではない> 先に結論を言っておくと、大恐慌に匹敵するようなワーストケース(最悪の事態)の可能性は小さいが、不況といったバッドケース(悪い事態)は十分に起こり得る。 貿易戦争が経済収縮のスパイラルをもたらすという懸念があるとすれば、それは1930年代の世界大恐慌からの類推だろう。1929年に米国で大恐慌が始まるが、翌年のスムート・ホーリー法の成立をきっかけに、各国が報復関税を行い、輸出が困難となって、総需要が抑制され、所得悪化でさらなる輸入減がもたらされた。 そうなると貿易相手国で再び輸出が抑制され、次の連鎖が始まり、輸出減と総需要低迷のスパイラルが引き起こされる。こうした説明は部分的には正しいのだが、貿易戦争が世界的な経済収縮のスパイラルをもたらし、世界恐慌につながったと言うと、それは相当に誇張がある。 確かに、当時のデータを見ると、国内総生産(GDP)の落ち込みより速いペースで輸出入が悪化しており、気の早い人は、輸出入の悪化がGDPの落ち込みをもたらしたと判断したくなるだろう。チャールズ・キンドルバーガー教授の「大不況下の世界 1929―1939」に掲載された螺旋(らせん)状に落ち込む世界貿易の姿を見ると、皆、世界恐慌の原因を保護貿易に求めたくなる。 ただ、一般に輸入の所得弾力性は1を超えており、GDPが1%落ち込めば、輸入はそれ以上のペースで落ち込む。念のために因果関係を確認しておくと、「GDPの低迷」が「輸入の減少」につながるのであり、1930年代はGDPが大きく落ち込んだから、輸入も大きく落ち込んだ。 当時、GDPが大きく落ち込んだ最大の要因は、金融危機や銀行危機が訪れ、投資や消費が抑制されたことである。全米に広がった銀行危機による流動性の収縮で、内需の収縮が続き、それゆえ、輸入も大きく落ち込んだ(欧州にも銀行危機が飛び火した)。経済破壊をもたらした銀行危機への反省から生まれたのが預金保険制度のシステムである。 確かに高関税による輸出の低迷も総需要低迷の要因にはなったが、主因は国内の要因であって、貿易戦争によって大恐慌が起こったわけではない、というのが通説である。銀行危機の当然の帰結として、貿易金融が崩壊したことも、輸入の落ち込みにつながった。 今後、貿易戦争がエスカレートする過程では、1930年代のような世界恐慌を招くという言説が飛び交う可能性もあるが(メディアにはすでにそうした記載も見られる)、そもそも保護貿易が世界大恐慌を招いたわけではない。世界大恐慌に匹敵するようなワーストケースは避けられる。 <米中貿易戦争は不可避だった可能性> しかし、今回の貿易戦争が今後の景気拡大の障害にならないのかと言えば、十分障害になり得る。と言うのも、すでに世界経済の拡大は10年目を迎え、成熟局面にあるからだ。 経済が比較的好調な米国の金利上昇に対し、新興国からの資金流出が観測されるなど、貿易戦争が始まる前から、負の影響が観測され始めていた。クレジットスプレッドの拡大は米国内にも波及しつつある。 さらに緩和的な金融環境が長引いたため、米国には金融不均衡が蓄積されている可能性もある。そこに今回の貿易戦争が加わったのだから、世界経済が想定していたより早く不況に陥る可能性は高まっていると考えられる。 これまでの世界貿易ルールが突然にして変わり、不確実性が相当に高まっていることを各国企業の経営者が認識すれば、設備投資が強く抑制され、各国の成長が低下すると同時に、輸入減を通じ、負の貿易乗数も働く。その場合、資本財の生産を得意とする日本やドイツに少なからぬ影響が及ぶ恐れがある。 また、1990年代以前と異なり、保護貿易のコストは明らかに増している。情報通信革命が始まる1990年代以前は、サプライチェーンは一国でほぼ完結していた。しかし、今では、国境を越えた生産工程間分業が可能となり、オフショアリングの進展で、高度なグローバル・サプライチェーンが張り巡らされている。高関税を課すと、自国の消費者が割高な商品の購入でダメージを受けるだけでなく、さまざまな経路を通じて、自国企業にも大きな損失が及ぶ。 ニュー・ケインジアン型のモデルでは、輸入品に高関税を課しても、国内価格は粘着的で大きくは上がらず、一方、国内で代替生産が進むから、短期的には米国経済への影響はプラスとなり得る、といった試算が示される。しかし、グローバル・バリューチェーンやグローバル・サプライチェーンの進展を考慮すれば、米国ですら、短期的にもプラスとはならない可能性がある。 米国の株価が底堅いのは、ニュー・ケインジアン型のモデル結果を重視する人が多いのかもしれない。それにもかかわらず、トランプ大統領は、よくも貿易戦争を各国に仕掛けたものだと考える人が少なくないだろう。いや、そう考えるのは、われわれが経済人であって、経済的な合理性ばかりを追求しているからかもしれない。 米ハーバード大学のダニ・ロドリック教授が提起したように、民主主義を犠牲にするのか、国家主権を捨て去るのか、グローバリゼーションに制約を加えるのか、深刻な「トリレンマ(三律背反)」に現代民主主義国家は直面しており、先進国では政治的に3つ目が選択され始めたということなのだろう。 一方、新興国は、豊かになるにはグローバリゼーションを甘受する必要があり、かつその荒波を乗り切るには、リベラルな民主主義を多少犠牲にするしかないと考え、権威主義的な民主体制を選択する国が増えているのだろうか。さすがに国家主権を捨て去る国は見当たらない。 厄介なのは、米国の選択と中国の選択の組み合わせが、国際政治をさらに複雑にしていることである。トランプ大統領の登場がなくても、米中の貿易戦争は不可避だったのかもしれない。 <金融緩和が通貨戦争につながる恐れ> さて、今のところ金融市場では、貿易戦争の激化にもかかわらず、弱気相場入りは回避されている。大恐慌のような経済収縮が起きないことが正しく織り込まれているのなら、それは妥当とも言える。 今回、大恐慌のようなワーストケースが訪れる可能性は小さい。少なくとも世界大恐慌の原因は銀行危機にあり、保護貿易が主因ではなかった。 とはいえ、今回の貿易戦争がきっかけで、景気後退という悪い事態が訪れる可能性は決して低いとは言えない。先進各国はすでに完全雇用にあり、経済は伸び切っている。さらに、前述した通り、緩和的な金融環境が長引いた結果、米国では金融不均衡が蓄積されている可能性もあり、その調整も加わる。ソフトパッチ(一時的な景気減速)といったマイルドな調整では済まないはずである。 2大経済大国が関税引き上げの報復合戦を繰り広げているにもかかわらず、いまだに株価が比較的底堅いのは、あまりに不確実性が大きく、リスクを適切に織り込むことが難しいからかもしれない。米中が簡単には後戻りできないことが確認されるまで、金融市場では悪い事態は回避できるという楽観が続くのだろうか。 あるいは、今後、世界経済に貿易戦争の悪影響が現れても、各国でマクロ安定化政策が機動的に発動され、悪影響が相殺されると市場参加者は期待しているのだろうか。現代中央銀行の金融政策に対するそうした期待は、決して誤りとは言えない。現代民主主義国家において、中央銀行はマクロショックを可能な限りスムージングするため、是非はともあれ、政策の限界を常に試す傾向にある。 ただ、懸念されるのは、各国で再び金融緩和という事態になれば、2015年や2016年初に見られたように、再び通貨切り下げ合戦の様相を強めることである。自然利子率の低迷が続く中、名目金利も相当に低く、金融政策の有効性は著しく低下しているが、確実な金融政策のチャンネルは自国通貨の減価である。しかし、それはグローバルではゼロサムである。このため、金融緩和自体が、通貨戦争を想起させ、国際金融市場の混乱を引き起こすリスクがある。 前述した通り、新興国からの資本流出による混乱の兆候も見られ、ワーストケースが避けられるといっても、バッドケースが避けられるわけではない。やはり事態をあまり楽観視しない方が良いと思われる。 河野龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長(写真は筆者提供) *河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。 *本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
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