#日銀の金融緩和政策に対する評価は、立場により、様々さらに拡大すべしというもの、微調整すべしというもの、緩和を止めるべきというものなど 幅広いが 政府がほぼ無策である現状では、 金融機関の収益を配慮しながら、微調整されていくことになるのだろう 外為フォーラムコラム2018年7月13日 / 11:54 / 22分前更新 コラム:日銀の思考停止招く「低インフレ構造論」の危うさ=嶋津洋樹氏 6 分で読む 嶋津洋樹 MCP チーフストラテジスト [東京 13日] - 日銀が「量的・質的金融緩和」を導入した2013年4月以降の消費者物価指数(CPI)を振り返ると、同年6月に前年比でプラスへ転換し、翌2014年3月に消費増税の影響を除いたベースで1.7%まで加速したものの、その後鈍化。特に2014年後半は、消費増税に絡む駆け込みの反動に原油価格の大幅な下落も重なり、12月には0.3%まで急低下した。 ただし、こうした急速な鈍化は米国の個人消費支出(PCE)価格指数やユーロ圏の統合ベース消費者物価指数(HICP)も同様で、日本特有というわけではない。とりわけ2015年は、日本のCPIが米国のPCE価格指数やユーロ圏のHICPを上回ることもあった。 しかし、2016年になると状況は一変。米国のPCE価格指数やユーロ圏のHICPは原油価格の底入れ、反発と軌を一にして回復したのに対し、日本のCPIだけが大きく出遅れる格好となった。 黒田東彦日銀総裁は前回6月の金融政策決定会合後の記者会見で、物価が上がりにくい理由を問われ、労働市場のスラック(需給の緩み)、グローバリゼーション、技術革新の3点を含めて回答。併せて、ネット通販の影響でモノやサービスの価格が上がりにくくなっている「アマゾン効果」などにも触れたが、そうした要因は日本に限ったことではない上、2016年以降のCPIの米国やユーロ圏との乖離を説明することはできないだろう。 各種報道によると、日銀はこうした国内物価の上がりにくさの謎を次回の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」の中で分析するという。 ロイターは3日、「日銀は7月末の金融政策決定会合で議論する新たな展望レポートで、コアCPI(生鮮食品を除く総合指数)の見通しについて、足元の弱さや構造要因による下押し圧力を踏まえ、18、19年度の下方修正を検討する方向だ」と報じた。このことを踏まえると、日銀は日本の物価の上がりにくさについて、特別な構造要因があると考えている可能性が高い。 もっとも、物価が上がりにくいのは本当に構造問題が要因なのだろうか。もちろん、黒田総裁が6月決定会合後の会見で指摘したように、「1998年から2013年まで15年続いたデフレ、低成長というものが、一種のデフレマインドとして企業や家計に残っている」ことは否定できない。ただし、それは過去の誤った金融政策に起因する問題で、構造問題とは異なるだろう。 過去の経験を引き合いに日本にとって2%の物価は高過ぎるという議論は、そもそもその過去の経験となる物価が日銀の金融政策によって決まっているという事実を無視している。つまり、長期的には金融政策が物価を左右するという基本的な考えに従えば、日銀が物価の上がりにくい理由として最初に疑うべきは、決して構造要因ではなく、緩和が十分かどうかということになる。 そして、筆者は2018年1―3月期の実質国内総生産(GDP)成長率が9四半期ぶりのマイナスとなったこと、日銀短観で最も注目度の高い大企業・製造業の業況判断DI(「良い」−「悪い」)が直近の6月調査で5年半ぶりに2四半期連続で悪化したことなどを受けて、物価が上がりにくい主な原因は緩和不足との疑いを強めている。 <説得力を欠く日銀の説明> まず、実質GDP成長率がマイナスとなったにもかかわらず、需給ギャップが改善しているという日銀の説明は無理がある。 もちろん、日銀が公表する需給ギャップは、生産要素といわれる労働(就業者数)と資本(資本ストック)が、その稼働率である「1人当たり総労働時間数」と「設備稼働率」のトレンド(潜在成長率)からどの程度乖離しているかを求めるため、実質GDP成長率のマイナスがそのまま需給ギャップの悪化につながらないという理屈は理解できる。 しかし、2018年1―3月期の需給ギャップ改善の要因を見ると、日銀の説明をうのみにすることはできない。というのも、需給ギャップの改善は、資本投入量のギャップが0.91%ポイントと前期の1.31%ポイントからプラス幅を縮小させる中で、労働投入量のギャップが0.80%ポイントと前期の0.27%ポイントから大幅にプラス幅を拡大したことに支えられているからだ。そして、労働投入量のギャップ改善は、景気に連動する「1人当たりの総労働時間」ではなく、景気に遅行する「就業者数」の大幅な増加が要因である。 労働投入量のギャップのプラス幅が1983年1―3月期の統計開始以来で最高を記録したことも不安材料だ。そうした高水準のプラス幅が持続するとは期待しにくい。そもそも需給ギャップについては、日銀自身が「相当の幅を持って判断する必要がある」と繰り返し述べている通り、内閣府や国際通貨基金(IMF)などの推計値や、他の経済指標なども参考にしながら、判断する必要があるだろう。 例えば、日銀短観で「国内での製商品・サービス需給判断」と「海外での製商品需給判断」のDI(「需要超過」−「供給超過」)」を企業の規模別に比べると、大企業では海外が2017年12月調査でプラス3となって以降、頭打ちとなり、国内がそれに続いている。しかし、中堅企業では直近でも海外が改善し続ける中で、国内は横ばいにとどまり、中小企業に至っては、海外が横ばいとなる中で、国内が悪化した。つまり、需給が緩和しているのは海外ではなく、国内の可能性が高い。 こうした国内景気の変調は、足元の景気変動の大きさやテンポ(量感)を測定することを目的に作成された景気動向指数CI一致指数の前月差でも確認できる。 特に「足元の基調の変化をつかみやすい3カ月後方移動平均」は今年1月以降、3月までマイナス。4月はプラス0.83ポイントと大幅に盛り返したが、5月はプラス0.10ポイントへ鈍化した。「足下の基調の変化が定着しつつあることを確認する7カ月後方移動平均」は4月にプラス0.19ポイントと3月のマイナス0.16ポイントから持ち直したものの、5月は再びマイナス0.03ポイントとマイナス圏に沈んでいる。 実質GDP成長率の前期比マイナス、業況判断DIの2四半期連続の悪化や、「国内での製商品・サービス判断需給」と「海外での製商品需給判断」との動きの違い、景気動向指数CI一致指数の足取りの重さを踏まえると、国内景気は回復が一服し、それに伴って需給ギャップの改善も途切れてしまった可能性が高い。 5月11日付の筆者コラム「黒田日銀に『白』化の懸念、オセロの行き着く先」で述べた通り、日銀はすでに期待に働き掛けるという経路を実質的に封鎖。今回、需給ギャップの改善に伴う経路も怪しくなったとすれば、「2%の『物価安定の目標』に向けたモメンタムは維持されている」という評価に説得力はない。 <構造論が言い訳につながる恐れ> 緩和が不足している可能性は、日銀が当初の「量的・質的金融緩和」から「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を経て、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」へ移行した過程からも浮かび上がる。 というのも、黒田総裁は長短金利操作導入を決めた2016年9月決定会合後の会見でマイナス金利がイールドカーブを全体として非常に下げたことを評価した上で、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和によって、一方で経済に引き続き刺激効果を与えるような実質金利の低下を確保しつつ、他方でイールドカーブが過度にフラット化したり、マインド面の影響が出る可能性を排除するために、適切なイールドカーブの確保を図る」と説明しているからだ。 分かりやすく言えば、マイナス金利の効果が予想以上に大きく、副作用の懸念もあったため、効果を弱めた長短金利操作に移行したということである。重要なのは3つの金融政策について、マイナス金利が名目金利を引き下げるという点で最も優れていたものの、予想物価上昇率の引き上げや副作用も含めた緩和効果の総量という点での比較は困難ということだろう。日銀は「量的・質的金融緩和」までの緩和効果を実質イールドカーブと均衡イールドカーブを用いて示す一方、それ以降(マイナス金利および長短金利操作導入後)については公開していない。 「均衡イールドカーブの概念と計測」という日銀のワーキングペーパーを見る限り、イールドカーブを用いて緩和効果を算出するには多くの前提条件が必要である。日銀としては、数値を公開することによって、そうした前提条件などが置き去りにされ、数値のみが独り歩きすることで、かえってマーケットとのコミュニケーションが難しくなるリスクを懸念しているのだろう。それは、日銀が展望レポートから物価目標の達成時期を削除した際の理屈と同じである。 しかし、日銀が実質イールドカーブと均衡イールドカーブをどれぐらいと推計しているかを共有せずに、現行の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の効果を議論することには無理があるだろう。上述した通り、少なくとも経済指標は緩和効果が十分ではなく、「2%の『物価安定の目標』に向けたモメンタム」が維持されていない可能性を示している。 構造問題は一般的に、解決が困難で時間がかかる。そのため、ともすると「仕方がない」という結論を導くために使われることも多い。構造的に物価が上がりにくいという分析が、無理に物価目標を達成しなくても良いという日銀の言い分につながらないか、筆者は懸念している。 嶋津洋樹 MCP チーフストラテジスト(写真は筆者提供) *嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントなどを経て2016年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネジャーとしての経験を活かし、経済、金融市場、政治の分析に携わる。共著に「アベノミクスは進化する」(中央経済社) *本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。
「財政ファイナンス」が民主主義を破壊する 未来の納税者への「代表なき課税」は許されるのか 2018.7.13(金) 池田 信夫 日銀の「禁じ手」はいつまで続くのか? 7月10日、政府は2019年度予算の概算要求基準を閣議了解した。来年(2019年)10月に予定されている消費税率の10%への引き上げによる景気後退を防ぐという理由で特別枠を拡大し、概算要求の上限を撤廃したため、概算要求の合計は100兆円を突破する見通しだ。
安倍政権がこういうバラマキ財政を続けられる原因は、日銀が国債を買い取る「財政ファイナンス」を続けていることだ。これは中央銀行がお札を印刷して財政赤字を埋めることで、従来はタブーとされていたが、日銀の黒田総裁はそのタブーを破った。 財政に「フリーランチ」はあるのか もちろん日銀は、公式には「財政ファイナンスをしている」とは認めていない。日銀が(金利のついた)国債を買い取って(無利子の)日銀券に変えることは法的には可能だが、それによって無限の財政赤字が可能になるからだ。 政府は通貨を発行できるので、原理的にはいくらでも借金を増やすことができる。だが日銀が「財政ファイナンスをやっている」と認めると、国債が暴落して金利が上がり、それをまかなうために通貨供給が無限に増えてハイパーインフレが起こる――というのが従来の通念だった。 したがって財政ファイナンスは「禁じ手」とされていたのだが、今の日本では金利上昇もインフレも起こらない。結果的には、日銀が国債の45%以上を保有する先進国に類をみない状況になったが、黒田総裁は後に引けない。インフレ目標2%が達成できないからだ。 これについて若田部副総裁は「財政ファイナンスには問題ない」という持論の持主だ。彼は著書『ネオアベノミクスの論点』で、「デフレからの脱却には、財政ファイナンス的な政策がじつはもっとも効果的なのです」(p.96)と書いた。 2015年2月5日の朝日新聞のインタビューでも、若田部氏は「政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる」ので日銀が国債を買うことには問題がない――という。それは経済学の「フリーランチはない」という鉄則に反するのだが、正しいのだろうか。 日銀に独立性は必要か 結論からいうと、それは会計的には正しい。日銀は政府機関だから、政府と日銀の統合政府のバランスシートで考えれば、日銀が国債を買うのは子会社が親会社の社債を買うようなもので、連結の債務は増えないから、政府と日銀の債務を区別する理由はない。 だから「日銀が国債をすべて買い切って無利子の永久国債にすれば財政再建は完了する」というのが若田部氏などのリフレ派の主張だが、それなら日銀が国債を買う必要もない。親会社が子会社を合併すれば、財政再建は完了する。 具体的には財政法や日銀法を改正して財務省が日銀を合併して「財務省日銀局」にし、政府債務はすべて日銀局が引き受ければいい。100兆円の予算に対して税収が50兆円しかなかったら、差額の50兆円を「日銀券」でファイナンスすればいいのだ。 これは今の日銀がやっていることと実質的には同じだ。日銀券には金利がつかないが、今のゼロ金利の状態では国債と日銀券は同じだ。 問題はゼロ金利でなくなったときだ。たとえば長期金利が1%になったときは、価格の下がるリスクのある日銀券を受け取らないという人が出てくるだろう。日銀券に金利を付けることは禁じられているが、それは法律を改正して「金利付き日銀券」を発行すればよい。 そういう法改正ができれば、税金も必要なくなるだろう。政府が必要な資金はすべて日銀券を発行してファイナンスすれば、「無税国家」ができる。これもリフレ派が主張していたが、現実には存在しない。 それは金利付き日銀券とは、国債に他ならないからだ。逆にいうと金利のない日銀券も、インフレになったら価値が下がるリスクがある。つまりすべての政府債務にはリスクがあるので、国債と日銀券を区別することは理論的には意味がない。 したがって「日銀の独立性」にも意味がない。これはかつてケインズ的な財政政策でインフレが起こったとき、それを中央銀行が利上げで防ごうとするのに対して政治家が抵抗したことから必要とされたものだ。しかしこういうタイプのインフレは1990年代以降、起こらなくなり、むしろデフレが問題になり始めた。 財政が民主国家の危機を生む 安倍首相はそういう理論を知っているわけではないが、財政ファイナンスで国債発行の限界を踏み超えた。それは今までの常識では金利上昇とインフレで財政破綻を招くはずだが、今のところ金利は下がり、物価も上がらない。 それはなぜかという問題について経済学者の意見は一致していないが、最大の要因はグローバル化だろう。冷戦の終了後、旧社会主義国や新興国が世界市場に参入し、製造業では先進国よりはるかに低い賃金で生産できるようになった。 その影響で工業製品の価格が下がり続けている。労働生産性の高い製造業が海外に移転して、国内には労働集約的なサービス業が残るので、雇用は改善するが賃金は上がらない。新興国の過剰な資金で、世界の金利も低下している。 このような長期的なグローバル化の効果は、金融政策では是正できない。2000年代には日銀もゼロ金利や量的緩和でデフレに対応しようとしたが、できなかった。黒田総裁はそれを「私がインフレ期待を生み出せばできる」と考えたのだが、できなかった。安倍首相は、これを見て「財政を拡大しても大丈夫だ」と考えたのかもしれない。 グローバル化が元に戻ることはありえないので、このまま日本の製造業がゆるやかに衰退すると、財政破綻も起こらないかもしれないが、確実に起こるのは将来世代の巨額の負担増である。社会保障会計の「隠れ借金」は1000兆円を超え、消費税率は最終的には30%を超えるだろう。 この問題を解決する(おそらく唯一の)方法は、インフレで政府の実質債務を減らすインフレ税である。たとえば国債価格が半分に下がると、政府債務は半減する。金融資産の価値は半分になるが、将来世代の債務も大きく軽減される。 言い換えると、ゆるやかなインフレか急速なインフレかしか選択はない。どっちが望ましいかは有権者が決めることだが、今の日本ではゆるやかな衰退しか選択できない。将来世代の負担を先食いする財政ファイナンスは民主主義への信頼をなくし、社会に深刻な対立を生み出すおそれがある。
ビジネス2018年7月13日 / 16:59 / 17分前更新 日銀、20年度物価見通し下方修正の必要性も議論へ=関係筋 2 分で読む
[東京 13日 ロイター] - 日銀は30、31日の金融政策決定会合に向けて、鈍い物価上昇の要因分析を進めている。その中で新たに示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、見通し期間の最終年度である2020年度物価見通しも、下方修正の必要性について議論される可能性が高まっている。複数の関係筋が明らかにした。 足元の消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)は、4、5月に前年比0.7%上昇までプラス幅が縮小するなど日銀の想定を下回って推移している。人手不足を中心とした日本経済の需給の引き締まりにもかかわらず、物価がなかなか上がらない要因について、日銀は集中的に分析を進めており、7月展望リポートで結果を明らかにする方向だ。 これまでの展望リポートでも、物価上昇の力が鈍い背景について、1)長く続いたデフレ経済の影響で、企業や家計のデフレマインドが根強く残っている、2)企業が省力化投資や過剰サービスの見直しなど生産性の向上によって、賃金コストの上昇を吸収している──などを挙げている。 こうした点に加え、日銀はインターネットを介した通信販売の拡大のほか、女性や高齢者を中心とした労働参加率の高まりなども、物価を抑制している要因として意識している。 一方、日銀内には足元の物価低迷は、年前半の円高・株安など一時的な要因が影響している可能性があるとの指摘もある。 ただ、時間の経過とともに低減するとみていたデフレマインドや生産性向上によるコスト吸収など物価押し上げを抑制する効果が、想定以上に長く存在し、企業の賃金・価格設定行動に大きな変化がみられていないとの見方も出ている。 このため、実際の物価動向の影響を受けやすく、物価2%の実現に不可欠なインフレ期待の高まりも、後ずれが避けられない情勢との見方が多くなってきた。 4月の展望リポートでは、コアCPI見通しについて18年度を前年比1.3%上昇(政策委員の大勢見通しの中央値)、19、20年度ともに同1.8%上昇(同)としたが、18、19年度は引き下げざるを得ないとの声が多い。 一方、20年度をめぐっては、19年度の見通し引き下げの影響を受け、小幅引き下げと、見通しを維持する声が混在しているようだ。 見通し期間の最終年度となる20年度の物価見通しを引き下げた場合、物価2%目標の実現に懐疑的な見方が金融・資本市場でさらに広がる可能性がある。それでも、景気拡大が続く中で、日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差である需給ギャップの改善を柱とした物価上昇の「モメンタム」(勢い)は維持されており、20年度の見通しを小幅引き下げても物価が2%に向かっていく姿は描けるとの見方が日銀内では多いもよう。 4月の展望リポートでは、それまで明記し続けてきた物価2%目標の達成時期を削除しており、物価見通しの下方修正によって達成期限にこだわらない日銀の姿勢が、より鮮明になる。 一方、さらなる金融緩和の長期化が意識され、金融機関収益や市場機能への影響など副作用に対する懸念が、市場で一段と強まる可能性もある。 伊藤純夫 梅川崇 編集:田巻一彦
トップニュース2018年7月13日 / 17:29 / 15分前更新 地銀の4分の1超、金利50BP上昇でコア業純上回る含み損=金融庁 1 分で読む
[東京 13日 ロイター] - 金融庁は13日、地方銀行の有価証券運用に関するモニタリングについて中間とりまとめを発表した。円金利・外貨金利が2018年3月末から50ベーシスポイント(bp)上昇すると、地銀の4分の1超で18年3月期のコア業務純益を上回る含み損が発生するとの試算を盛り込んだほか、調査した31行中23行でリスクテークや含み損の処理に問題があった。 金融庁は2016事務年度(16年7月―17年6月)以降、有価証券運用でのリスクテークが経営体力などとの対比で高い地方銀行31行を対象に立ち入り検査を含むモニタリングを実施してきた。 その結果、31行中23行が経営体力やリスクコントロール能力比でのリスクテークや含み損処理で課題があった。含み損処理に課題のあった23行中8行は、目先の収益確保のため有価証券含み損の処理を先送りしていたという。 また、地銀の円金利リスク量について、自己資本対比で主要行等の3倍近い状況が継続しているとした。 金融庁は、地銀の有価証券運用について引き続きモニタリングし、問題のある銀行には有価証券運用に過度に依存しないビジネスモデルの構築などを求めていく方針。 和田崇彦
|