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働き方改革しても生産性が上がらない企業に共通する特徴
https://diamond.jp/articles/-/174388
2018.7.10 山口 博:モチベーションファクター株式会社代表取締役 ダイヤモンド・オンライン
働き方改革関連法案が成立し、2019年4月から順次適用される。コンサルタントとして企業を支援していると、働き方改革を率先して推進している企業から決まって依頼や相談を受ける内容がある。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
企業からの相談は
2点に集約される
テレワークでヤル気が増す人もいれば、逆に意欲が減退してしまう人もいる。一律で仕組みを入れて全員に従わせるようなやり方では、生産性向上は望めない
成立した働き方改革関連法案の内容は多岐にわたるが、私は、次の2点に着目している。コンサルタントならびにトレーナーとして企業を支援している中で、働き方改革を率先して推進している企業から依頼や相談を受ける内容も、この2点に関するものが圧倒的に多いからだ。
1、過長労働の抑制
・残業時間を年720時間、月100時間未満に規制、罰則規定の新設
・一定日数の有給休暇取得の義務化
2、働き方の多様化
・裁量労働の適用範囲拡大
・年収1075万円以上の特定の専門職を残業規制から除外する高度プロフェッショナル制度の導入
1点目の過長労働の抑制の問題は、労働時間管理や休暇取得を奨励する半面、従来よりも短時間の労働時間で、より高い業績を上げるために、どのように生産性を向上させていったらよいかという相談がほとんどだ。
これについては、管理職向けには(1)会議時間の短縮、(2)会議における合意度の向上、(3)面談におけるメンバーの意欲の向上――の順でニーズが高い。リーダー層向けには、(1)マルチタスクのスケジューリング、(2)アクションプランの実行確度の向上、(3)自分の意欲を高める要素を業務内容に盛り込むことによるストレス解消――の順に実施依頼が多い。いずれも各2時間でかなりの程度のスキルを修得できる。その日から実践の場面で活用していただき、成果を実感してもらっている。
2点目の働き方の多様化に関しては、これまでも裁量労働やテレワークを実施してきたが、社員の意欲を高め、業績を上げることに役立っているという実感が持てないという悩みが、ほとんどのケースで見られる。
これまで実施してきた内容を聞くと、裁量労働の管理、テレワークの管理にとどまっているケースが実に多い。組織が大きくなればなるほど、管理は必要なのだが、管理をしているだけでは社員の意欲は高まらないし、業績が上がらないのは当たり前のことだ。裁量労働も、テレワークも、労働時間や労働環境など、働き方の枠組みをどうするかという問題なので、それだけで社員の意欲を高めることにはならないのだ。この点を少し具体的に見てみよう。
裁量労働とテレワークに見る
これだけの個人差
人にはそれぞれ、意欲が高まりやすい要素がある。私はこれを「モチベーションファクター」と名付け、6つに分類した。
チャレンジすることを好み、達成感を味わうことで意欲が高まる人を目標達成型のモチベーションファクターの人と呼ぶ。一方、公私のバランスを考えながら取り組む人は公私調和型だ。任されて仕事をするとがぜん意欲が高まる人は自律裁量型、周囲と協力しながら取り組むとやる気が高まる人は他者協調型だ。
どのモチベーションファクターが良い悪いということはない。例えば、業績を上げるために、さまざまなチャレンジにより業績達成しようとする人、バランスを取りながら業績を上げる人、任されることで独自の手法を発揮し業績を上げる人、周囲と協力しながら業績を上げる人など、人それぞれが意欲的に取り組むことができる要素が違っているということなのだ。
このモチベーションファクターは、本人の意欲を高めることに密接に関係しているので、これを意識したコミュニケーションを取ったり、本人のモチベーションファクターに沿った仕事をしてもらうことは、意欲を大いに高めることにつながり、ひいては業績にも大きく影響をする。
例えば、6つのモチベーションファクターの中で正反対と言える「公私調和」タイプと「目標達成」タイプを例にとって見てみよう。
下の図のように、時間労働制(残業手当の支給対象の人)、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制、事業所外労働制、そして、高度プロフェッショナル制度を比較してみると、目標達成のモチベーションファクターが最も増大するのは「高プロ」、次に「事業所外労働」だと考えられる。一方、公私調和のモチベーションファクターは、「時間労働」で最も高まるだろう。
次に「自律裁量」のモチベーションファクターと、「他者協調」のモチベーションファクターの人をモデルに、働く場所について考察してみよう。オフィスの固定席、デスクのフリーアドレス、スポットのテレワーク、随時のテレワーク、常時のテレワークと言えるいわゆる在宅勤務で見てみると、自律裁量のモチベーションファクターは在宅勤務で最も高まるだろう。逆に、他者協調のモチベーションファクターは、オフィスの固定席での業務で最も高まると考えられる。
一律の働き方改革の押し付けが
生産性を逆に下げる理由
単純化したモデルだが、目標達成型の人は高度プロフェッショナル制度や事業所外労働になじみやすい一方、公私調和型の人は時間労働になじみやすいし、自律裁量型の人は在宅勤務に、他者協調の人は固定席に合いやすいと言える。どの働き方が良い悪いではなく、働く人の性質によって、向き不向きがあるのだ。
当たり前だが、社員一人ひとりには個性がある。にもかかわらず、職種や給与水準という外形的な基準を一斉に変更しようとしたり、会社の運用上の都合で、裁量労働やテレワークを一方的に推進して働き方の多様化を実現しようとするだけでは、それに向いている社員はハッピーになる一方、不向きな社員のストレスは増大してしまう。結果、生産性が高まらないという本末転倒な事態に陥ってしまうのだ。
働き方改革だけではない。実は、通常のさまざまな業務においてパフォーマンスが上がるかどうかは、その業務を果たしやすいモチベーションファクターと、自身のモチベーションファクターの一致度が高いかどうかにかかっている。逆に一致度が低いとパフォーマンスは低下し、ストレスを感じやすくなるのだ。
モチベーションファクターを見極めるスキルを身に付けることは難しいことではない。初めて演習に参加したビジネスパーソンの6割程度が、2時間の演習を行った後に相手のモチベーションファクターを見極めることができるようになっている。働き方改革によって働き方が多様になるのは良いことだ。ただし、単に多様になるだけでは意味がなく、その多様なメニューの中から、自分のモチベーションファクターに合うものを選び取ったり、部下のモチベーションファクターを正しく見抜いて導くことこそが、働き方改革の成否を分けるカギなのだ。
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