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年金、平均受給額14万円台…老後破綻回避策は25〜50歳から始めるべき
http://biz-journal.jp/2018/06/post_23824.html
2018.06.26 文=井戸美枝/ファイナンシャルプランナー Business Journal
ここ数年、退職後のお金に関する相談が増えています。
日本は、世界でもトップクラスの長寿国になりました。厚生労働省の「2016年簡易生命表」によると、女性の4人に1人が95歳まで、男性の4人に1人が90歳まで生存するとのこと。寿命はまだ伸びる余地があるといわれています。メディアなどで語られているように、まさに「人生100年」時代が訪れようとしているのかもしれません。
これまでは、おおむね「人生80年」でした。60歳で退職し、その後は再雇用で働き、65歳からは年金や退職金で生活をする。今もこうした人生設計が、ひとつのロールモデルとなっています。
仮に65歳で退職して100歳まで生きるとすると、35年にわたって年金や退職金、貯金で生活していくことになります。長いですね。お金に困らず、生活していくことはできるのか。不安になるのも無理はありません。
■4つのステージに分けると…?
当たり前ですが、人それぞれ事情は異なります。各々が将来のことを予想しながら、少しずつ準備していくしかありません。ここでは、ひとつの考え方として、人生100年をざっくりと4つのステージに分けてみましょう。
0歳から24歳ごろまでは「育ちの期間」。学校などで、さまざまなことを学びます。働きはじめの数年間も、勉強になることが多いのではないでしょうか。自分が得意なことを見つけることができれば、ラッキーですね。
25歳から49歳ごろまでは「人生フル回転の期間」。仕事で賃金を得ている人が多く、家庭を持つ人、子どもを育てる人もいることでしょう。住宅を買う人もいるかもしれません。さまざまなイベントがあります。独身のときや、結婚して子どもが生まれる前は、お金を貯めやすい時期です。将来の自分にお金を渡すつもりで、財形貯蓄や自動積立などを使って、貯金しておきましょう。
この頃から、無理のない範囲で資産運用しておくと、のちのち大きな金額になります。仮に毎月3万円ずつ積み立てて、年間の平均利回りが5%で運用できた場合、30年後には約2500万円になります。内訳は、積み立てたお金が1080万円で、運用益が約1400万円です(複利で計算して、税金は考慮していません)。運用益が元本を超えていますね。運用益を元本に加える「再投資型」の運用は、期間が長いほど大きな効果を生みます。時間のある若い人ほど、有利なのですね。資産運用は、つみたてNISAやiDeCoなど、税制優遇されている制度から始めましょう。
少し話が逸れますが、住宅をローンで買う際は、借りすぎに注意が必要です。遅くとも、60歳頃までには完済できる物件にしましょう。特に共働きの世帯は、世帯全体で見ると収入が多く、借り入れられる金額が大きくなります。高額な物件を買ってしまうと、もし収入が下がることがあれば、ローンを払いきれないかもしれません。子どもがいる人は、教育費がかかることも忘れずに。
■後半は?
50歳から74歳ごろまでは「老後資金の貯め期間」。それぞれ事情は異なりますが、子どもが独立したり、住宅ローンを払い終える頃でしょうか。
50代からは、自分の退職後のことを具体的に考え始めましょう。自分にはどの程度の生活費が必要か、貯金はいくらできそうか、年金はいくら受け取れるか、など。将来受け取れる年金額は、「ねんきん定期便」などで確認できます。現状、65歳を目処に退職することが多いですが、この先、75歳程度まで働く人が増えるのでは、と考えられます。
75歳以降は「自由な期間」。75歳からは、年金や貯金を使いながら過ごす期間になるでしょう。もちろん、働ける人や働きたい人は、大いに働きましょう。年金以外の収入源があれば、家計は安定します。退職したあとも、収入が支出を上回る状態がベストです。ちなみに、2016年度の会社員だった人の年金受給額の平均は、月額14万7927円でした。会社員と専業主婦の世帯では、2人合わせて月額約22万円。いかがでしょうか。賃貸に住んでいる人は、年金だけでは足りないかもしれませんね。
■働く期間は伸びる
すでに皆さんはお気づきだと思いますが、人生100年とするならば、その対策として1番有効なのは「寿命が延びた分、長く働く」ことです。
国も、高齢者に働いてほしい、そして税金や保険料を納めてほしい、と考えています。先日、与党内で「高齢者」の定義や、名称の見直しが提言されていました。現在は65歳以上の人を高齢者と定義していますが、70歳、75歳と引き上げられるかもしれませんね。最終的に、日本に「高齢者」はいなくなるかもしれません。冗談はともかく、高齢者が働きやすい、働くと有利になるような制度がつくられることは間違いないでしょう。
とはいっても、「そもそも高齢者に仕事はあるのか」という問題があります。人によっては、ないかもしれませんし、そもそも健康でないと働けません。そこで、今から運用で資産を増やしたり、年金を増やしたり、いくつかの対策をとっておくと安心です。当連載では、そうした対策をご紹介していきます。
(文=井戸美枝/ファイナンシャルプランナー)
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