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イタリアとスペインの政治リスクが後退、リスク回避の巻き戻しに --- 久保田 博幸
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180606-00010008-agora-bus_all
アゴラ 6/6(水) 16:50配信
五つ星運動公式Facebookより:アゴラ編集部
イタリアのマッタレッラ大統領は31日に大学教授のジュセッペ・コンテ氏を次期首相に任命した。同氏が提出した閣僚人事を大統領が承認。コンテ氏を次期首相に推薦していたポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」と極右「同盟」による連立政権が近く正式に発足する(日経新聞)。
イタリアの五つ星運動は政権樹立の争点となっていた経済相の人選でも妥協点を探り、ユーロ懐疑派のサボナ氏擁立を断念する構えを示し、あらためて新政権樹立を模索する動きを示した。五つ星運動と同盟は連立政権樹立で合意し、経済相のポストに経済学教授のジョバンニ・トリア氏を起用することで、ジュセッペ・コンテ氏が首相に再指名され、サボーナ氏は欧州担当相に就く見込みとされている。
これを受けて約3か月にわたるイタリアでの政治空白が解消されることになる。市場ではリスク要因としていた総選挙の可能性も後退した。連立政権はひとまずユーロ離脱に向けた動きを封印するとみられるが、財政拡大への懸念は残る。現実的な政策を取ることができるのかという不安はあるが、いったんイタリアの政局への懸念は後退した。
そして1日にスペインの下院、国民党のラホイ政権に対する内閣不信任案の採決があり、賛成多数で可決された。最大野党の中道左派・社会労働党のサンチェス書記長が首相に就き、7年ぶりの政権交代となった。
イタリアの新政権同様にスペインの新政権も積極財政で反緊縮とされ、サンチェス書記長が政治的に親EUの姿勢を取ると見られているものの、イタリア同様に財政面を巡ってEUと対立する懸念はある。また、選挙で選ばれた政権ではないため、いずれ総選挙が実施されるであろうとみられる。
新興中道右派「シウダダノス(市民党)」も早期選挙の実施を訴えている。これはシウダダノスがカタルーニャ自治州の独立に強硬反対することで支持が急増したためであり、ほかの政党にとっては総選挙では議席数を減らす懸念もあるため、あまり積極的ではないとされる。このため、総選挙には時間を置く可能性もあり、ひとまずスペインでもリスクは回避されたとみられる。
4日のイタリアの国債利回りは2.50%に低下した。5月29日にイタリアの10年債利回りは3.13%まで急上昇しており、ひとまずイタリア国債の利回り上昇にはブレーキが掛かった。
今後のイタリアやスペインを巡るリスクの有無は、それぞれの新政権の動向に掛かってくる。EU内のリスクとしての火種は残る格好だが、その火種が再び炎上するのか、それとも火種を抱えながらも、リスクが顕在化させないような行動を取るのか。これは今後の金融政策にも影響を与えかねないECBとしても注意が怠れない。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年6月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちら(http://bullbear.exblog.jp/)をご覧ください。
久保田 博幸
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