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世界一を誇る日本の「自販機」が海外進出で失敗する理由
http://diamond.jp/articles/-/169397
2018.5.9 岡田光雄:清談社 ダイヤモンド・オンライン
外国人が日本に来て感動するものの一つが自動販売機。設置台数や技術の先進性は、世界でもトップクラスだ。しかし、海外に目を転じると、日本ほど自販機は普及していない現実もある。日本自動販売システム機械工業会の恒川元三氏に詳しく聞いた。(清談社 岡田光雄)
名実共に日本は
世界一の「自販機大国」
“ワオ、日本の自販機はなんてアメージングなんだ”
“私の住んでいる国には駅や商業施設にしか置いていないわ”
“まったく、機械のくせに俺の国の店員よりいい接客をしやがる”
海外の反応サイトでは、しばしばこういった意見を目にするが、確かに日本ほど自販機が進化している国は他にはない。
世界でもトップクラスの進化を遂げている日本の自動販売機。しかし、海外進出は思いのほか苦戦しているという
現在は事前に商品をアプリで購入しておいて、受け取りだけを実機で行うこともできる機種や、方言や外国語で話す機種も登場するなど、まさに世界トップクラスの進化を遂げている。
日本自動販売システム機械工業会の統計では、2016年末の飲料自動販売機の普及台数は、247万4600台。報道によれば、年間の飲料の売上額は、2兆298億円にも上る。
一方、海外での普及台数は、アメリカ296万2000台、欧州300万台、中国20万台、東南アジア・オセアニア12万台。単純な設置台数で言えばアメリカや欧州全体には及ばないが、人口比でみれば日本は世界一の“自販機大国”だ。
日本で自販機が広く普及した理由はいくつかある。最初のきっかけは1964年、東京オリンピックの頃に当時の国鉄が券売機を導入し、100円硬貨が大量に流通したこと。その後、74年頃から日本特有の「ホット&コールド機」が普及し、これが消費者にウケた。
日本は治安が良く、自販機を設置しても強奪や破壊されるリスクが少なかったことも普及を後押しした。店舗よりも自販機で売った方が利益率も良く、飲料メーカーは自社製品だけを陳列でき、市場調査もできるなど、販売側のメリットも大きい。
しかし、恒川氏によれば、日本の自販機市場はすでに飽和状態にあるという。
「今や日本の屋内外の至る所に設置されており、自販機製造・飲料メーカーもこれ以上の伸びしろが望めない状況といえます。それに加えて、自動販売機をオペレート(設置・管理・メンテナンスなど)できる人手が不足しており、いずれにせよ台数を増やそうにも難しい状況です。そこで各メーカーは、海外に販路を求めるようになったのです」
ダイドードリンコは
ロシア事業などで減損計上
2013年、飲料メーカーのダイドードリンコはロシアに進出。現地法人「ダイドードリンコ ロシア」を設立し、現在までに500台以上を設置している。しかし今年3月、同社が発表した連結決算(18年1月期)では、純利益は25億円と前期比23%も減少。ロシアなど海外飲料事業が振るわず、計約4億3000万円の減損損失を計上した。
ダイドードリンコがロシアで思うような数字を残せなかった理由の一つとして、“極寒の地”ということが関係している。日本のように自販機を路上に設置する訳にはいかないので、屋内設置がメインになるが、それだけだと多くの収益は見込めない。それに、ロシアでは年中ドリンクを温めなければならず、それだけ電気代など維持費もかかってしまうのだ。
同様に、アメリカへの進出も難しいといわれている。
その理由もまたロシアと同じように屋内設置がメインということもあるが、アメリカの場合は別な事情もあるようだ。
「世界一の先進国であるアメリカも、こと治安という面では、日本ほど安全とは言えません。地域によっては、自販機の中の商品や金銭を持っていかれてしまう危険性もあります。自販機は見方を変えれば“金庫”と同じですからね」
さらに言及すると、アメリカにおける自販機は、実用性や利便性よりも、コカ・コーラやペプシなどの広告塔としての役割が強い。そのため、同国の自販機には最低限の品数しか取りそろえていない。日本の自販機では30種類もの飲料を販売していることもあるが、アメリカでは5〜6種類しかないというケースもざらにあるのだ。
治安の観点から展開が難しいのはヨーロッパも同じだが、それに加えて景観維持という問題もある。
「ヨーロッパは、歴史的建造物が多く、景観を壊すような自販機の設置をなかなか認めません。もちろん日本にも景観条例はあり、各メーカーはその地域の景趣に溶け込むかたちで自販機を模様替えするなど対策を講じていますが、ヨーロッパは日本以上に厳しい。また、景観を損なう空き缶のポイ捨て問題にもシビアです」
世界一を誇る日本の自販機も、欧米では苦境にあえいでいるのだ。
海外進出の一筋の光明…
電子決済が進む中国に期待
海外での展開が伸び悩む中、一筋の光明があるとすれば中国だという。
中国にはすでに自販機製造メーカーの富士電機やサンデンホールディングスが進出しているが、欧米諸国と同様に中国でも思うようには普及してこなかった現実もある。その理由の一つとしては、中国の安価な人件費が関係していたという。
「日本では考えられないかもしれませんが、かつての中国は、自販機を設置するよりも、24時間人が手売りしていた方が、利益率が良かったんです。しかし、ここ近年は、中国人の人件費も上がってきたので、ようやく機械に置き換えるビジネスが浸透してきました」
人件費の上昇以外に中国では、スマホなどを使った暗号通貨や電子マネーでの決済が主流になりつつあることも、追い風になっているという。
「中国では、現金での取引が敬遠されてきた側面もあります。というのも、偽札が多く、これが日本の飲料メーカー参入の障壁になっていたのです。しかし、電子決済化が進んでいけば、こういったリスクも減り、今後は日本の自販機が普及しやすい土壌ができていくのではないでしょうか」
また、中国の飲料業界は、無数の地元企業が乱立している状況で、ビジネスとして入り込む隙が多分にある。中国に設置されている自販機では釣り銭が出てこないなどのトラブルが日常茶飯事で、日本のメーカーの優位性を生かせる可能性も大きいという。
2020年の東京オリンピックは、日本の自販機技術の高さをアピールする絶好の機会。今後も中国をはじめ海外でニーズが高まることを期待したい。
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