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スウェーデンの会社に退職金も手当も存在しない理由
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180429-00020805-forbes-bus_all
Forbes JAPAN 4/29(日) 12:00配信
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スウェーデンの企業で転勤は存在するのか。もちろんある。ただし、会社側からの一方的な命令を、渋々承諾するということはありえない。仮に転勤の打診を断ったところで、出世に響いたり、社内での立場が悪くなったりということもない。
少なくともスウェーデンでは、自分が住む場所として選んだ土地で仕事を見つけるのが、一般的である。また、専業主婦が2%しか存在しないこの国では、当然のことながら、配偶者やパートナーも同じ土地で仕事をしているケースがほとんどである。
つまり、転勤を受け入れさせるには、まずは本人がすんなりとそれを納得すること、かつ配偶者やパートナーも承諾しない限り、成立することはない。また、子供がいれば、その学校のことも考慮しなければならない。
とにかく、スウェーデンでは、仕事よりもプライベートが優先順位では上位に位置するのである。日本でよく聞く「マイホームを建てたのに転勤」というケースは、こちらでは裁判沙汰となるか、それより以前に従業員は辞めていく。
スマホ1台で転職活動
では、会社側が、国内外問わず支社や関連会社で人材が必要となった場合はどうするのか? たいていの場合は社内外で人材を募集することになる。実際に私が勤める会社でも頻繁に、社内外でそういう公募がされている。近年は、どこの会社も自社のホームページはもちろんのこと、リンクトイン(LinkedIn)に募集内容を詳細に掲載する時代になってきた。
日本とは異なり、スウェーデンをはじめとした欧州では終身雇用や年功序列は一般的でなく、人材の流動性は高い。むしろ出世をしたいのであれば、社内で順番待ちをするのではなく、積極的に会社を変えていくという文化がある。
筆者自身も、リンクトインユーザーであり、プロフィールは公開してあるので、キャリアにマッチする求人が毎日大量にアップデートされてくる。気になる求人情報を目にしたら、採用担当=将来の上司へ直接電話やメールで連絡できる。ほとんどの場合、採用担当が決定権を持っているため、人事を介すことなく話もかなり早い。また、ヘッドハンターからの連絡も頻繁にあり、メッセージやメールは月に数回は届く。
ということで、スウェーデンでは、スマホ1台と親指のみで、転職活動並びに「転勤」活動も可能なのである。
会社ではなく行政から手当が出る
スウェーデンにおいて人材の流動性が高い理由は、大きく分けてふたつある。ひとつは、退職金制度が存在しないこと。もうひとつは、中途採用であっても出世競争の最後尾に並ぶ必要がないことだ。
--{日本とは「会社と個人」の距離感が異なる}--
長時間労働で有名な日本ではあるが、スウェーデン人は日本の退職金制度についてはほとんど知らない。定年時に数千万円もの退職金がもらえたり、転職を繰り返すと一般的には退職金が目減りしたりすることを、彼らに伝えると目を丸くする。
何年も先の退職金の額や出世競争について心配する必要のないスウェーデン人は、転職を考える際にも、純粋に自分のキャリアやどこに住みたいかを考えることができる。筆者は、31歳の時に新卒で入社し10年弱勤めたホンダを辞めるとき、30年以上先の退職金のことが頭をかすめ、転職を躊躇する理由のひとつとなった。
退職金だけでなく、各種手当も会社から支給されることはない。扶養手当や家族手当、通勤手当や住宅手当などは一切存在しない。同じ職務をこなすのに、妻子持ちでマイホームが遠い社員のほうが毎月の給与が多くなるということは、スウェーデンでは受け入れられない。
そのかわりに行政から手当が出る。子供手当もあるし、通勤に関しては一定の条件を満たせば確定申告時に税金の控除申請ができる。
前述の通り、どこに住もうがどんな家族構成であろうが、そのことで社員の間で給与として差が出ないような社会の仕組みとなっている。
社会と会社と個人の距離感が異なる
日本では一般的な交通費や社宅、退職金などは、「終身雇用・年功序列」を担保にして得られる巨額な手当だとも言える。実は、日本では知らず知らずのうちに個人である従業員と会社との間で「ギブ・アンド・テイク」が成立しているのだ。
スウェーデンでは、こうした手当に相当するものは会社が支払うのではなく、社会が補っている。それゆえに税率も高いのだと、筆者は納得している。会社と個人の間に必要以上な従属関係を発生させないよう、社会が補完していく仕組みとなっている。
このように、社会と会社と個人の距離感が、日本とスウェーデンとでは大きく異なる。「スウェーデンでは退職金もないし通勤手当すらない」と表層的に捉えるのではなく、この社会風土が担保する人材流動性=職業選択の自由について焦点を当て、定年後までの生活を視野に入れた社会基盤の見直しが日本には必要だと筆者は考える。
日本国憲法第22条に職業選択の自由が謳われているが、本当にこの憲法の精神は生かされているのだろうか。マイホームを購入した直後に渋々転勤を受け入れた友人や知人を何人も見てきた筆者はこれに関しては大いに疑問を感じている。日本では、社会が担うべき役割を、企業や会社に丸投げし過ぎているのかもしれない。
吉澤 智哉
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