★阿修羅♪ > 経世済民126 > 808.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
アメリカが経済面では日本を「同盟国」とは見ていない現実を直視せよ そこから、どう生き残るかを探るべき(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/18/hasan126/msg/808.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 4 月 24 日 13:34:06: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


アメリカが経済面では日本を「同盟国」とは見ていない現実を直視せよ そこから、どう生き残るかを探るべき
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55395
2018.04.24 町田 徹 経済ジャーナリスト 現代ビジネス

先週の火曜、水曜の両日に開催された安倍首相とトランプ大統領の日米首脳会談で、米国が仕掛ける貿易戦争においては、安全保障と違い、アメリカは日本を同盟国とはみていないということがはっきりした。

折しも米中貿易戦争が激化して世界中が巻き込まれかねないリスクが高まる中で、日本はどう生き残りを図るべきだろうか?


日米間の溝は隠しようがない

親密さを演出するための3度目のゴルフを交えた会談を終えて、安倍、トランプ両首脳が臨んだ記者会見で、はからずも、両国の間に経済・通商問題で深刻なミゾが生じていることが浮き彫りになった。

先月、米国が「安全保障上の懸念がある」として通商拡大法第232条を適用、鉄鋼やアルミに輸入制限を発動して高い輸入関税を科したのを憂慮して、日本が「同盟国である」ことを理由に日本製品の適用除外を求めたにもかかわらず、アメリカが一蹴したからだ。

しかも、安倍首相が米国のTPP(環太平洋経済連携協定)への復帰が「日米両国にとって最善と考えている」と述べると、トランプ大統領が間髪を入れず「私は2国間協議が良い」と異を唱える場面もあった。

今秋に控える米連邦議会の中間選挙に向けて共和党の支持基盤を固めたい、そのために一昨年の大統領選時のような「アメリカ・ファースト」路線に回帰せざるを得ないトランプ大統領の立場は明らかで、通商・貿易問題に横たわる日米間のミゾの深さは、もはや覆い隠しようのないものなっている。



客観的に見て、今回の日米首脳会談は、朝鮮半島の非核化と拉致被害者の帰国問題で日米の強固な協調路線を確認するという成果をあげた。しかし、貿易・通商問題は対立ばかりが目立つ結果となった、安全保障と違い、経済外交はまったくの失敗と言わざるを得ないだろう。

折しも、世界では、日本時間の先月23日未明、アメリカが知的財産権の侵害を理由に、中国に対して通商法301条を適用、1300品目、金額にして600億ドル分に25%の高関税をかける措置を決めたことが引き金になって、米中が報復合戦に発展。

中国が豚肉などを対象に総額で同程度の規模の関税を上乗せする対抗措置をとったのに対し、アメリカが再びその2倍の金額を対象にした報復を発表、中国も再度応じると宣言し、両国は貿易戦争の深みにはまり込みつつある。

「世界大戦」に発展しかねない

憂慮すべきは、貿易戦争が武力戦争へと発展した第二次世界大戦の反省から、自由貿易体制を守る目的で創設されたWTO(世界貿易機関)の存在とルールを、トランプ大統領が真っ向から否定し、一方的な制裁の連発を正当化していることだ。

そもそも、1980年代にアメリカが連発した通商法301条などの一方的な措置は、WTO違反である。というのは、WTOの紛争処理手続きを経なければ、対抗措置を取ってはならないことになっているからだ。トランプ政権は戦後世界各国がこれまで積み上げてきた努力や成果を破壊しようとしていると言わざるを得ない。

日本経済に勢いがあった時代に、米国が通商法301条を盾に制裁をちらつかせたことは何度かあった。しかし、中国のようにアメリカの一方的な措置を不満として対抗措置に打って出る国が現れたのは、今回が初めてだ。

米中間の貿易戦争が長引き、両国経済が疲弊すれば、その影響を受けて、日本からの両国への輸出が減る事態は避けられない。

さらに気掛かりなのは、両国から閉め出されたモノが世界中に溢れ出せば、巻き込まれたEUやロシア、日本などが相次いで緊急輸入制限に乗り出し、貿易の「世界大戦」に発展しかねない。

1929年の大恐慌後、悪名高き米国のスマート・ホーリー関税法制定を機に保護主義が世界に蔓延、経済摩擦が軍事的衝突に発展したのが第二次世界大戦だ。事態は酷似し始めており、もはや放置できないところに来ている。

ピント外れの要求

その意味では、今回の日米首脳会談で、アメリカが中国への通商法301条の適用に先立ち、通商拡大法232条を適用し、安全保障を理由に外国産の鉄鋼やアルミニウムに幅広く高関税をかけたことに対し、「同盟国である」からと適用除外を求めた日本の経済外交はピント外れだった。

というのは、トランプ政権が、EU、カナダ、メキシコ、韓国、オーストラリアなどの同盟国や、米国と関係の深いアルゼンチン、ブラジルを通商拡大法第232条の適用対象から除外したことの意味を取り違えたとしか言いようがないからだ。

米国がこれらの国々を適用除外にしたのは、同盟国だとか関係が親密だといったことが理由ではない。そうではなくて、これらの国々との間には2国間の自由貿易協定があって、個別に米国の貿易赤字を減らすよう交渉できるか、もしくは、そもそも米国が貿易黒字かなのである。

例えば、カナダとメキシコは米国と北米自由貿易協定(NAFTA)を結んでおり、現在、その見直し交渉が進められている。また、EUは米国と米EU自由貿易協定の締結交渉の最中だ。韓国も米韓FTA協定の見直し交渉に応じたし、オーストラリアとの間には長い歴史を持つ米豪自由貿易協定が存在するのだ。また、アルゼンチンとブラジルは、米国が黒字を稼ぎ出している貿易相手国である。

一方、日本はトランプ大統領が離脱を決定したTPPの米国抜き発足を主導してきたほか、同政権が求める日米自由貿易協定の交渉開始を逃げ続けてきた経緯がある。これでは、「日本は米国の同盟国だ」という理由で、通商拡大法232条の適用を免除してほしいと求める日本の要求は、早急な貿易赤字減らし策か、そのための交渉の場の設置を勝ち取りたいトランプ政権からすれば、ピント外れであり、到底受け入れられないものだった。

日本政府に世界的な視野があれば、通商拡大法232条の適用除外を求めることの無意味さもわかったはずである。なぜなら、仮に日本製品が適用除外となったとしても、米国から締め出された他国の製品が世界の市場に溢れ出して国際的な価格下落を招き、日本製品が打撃を受ける可能性が高いからである。

窮余の策として、安倍政権は、茂木経済財政・再生担当大臣とUSTR(通商代表部)のライトハイザー代表をヘッドとする、新たな通商協議の設置を提案して賛同を得たものの、今後の協議の難航は必至である。むしろ、協議の場の設置こそが、藪蛇になりかねない情勢となっている。

この措置は、今回の首脳会議で決定的な対立を避けるための時間稼ぎ策に過ぎないからだ。

トランプ政権は「アメリカ・ファースト」を掲げて、FTAの締結と貿易赤字の削減という、日本とはベクトルの方向が違う要求を突き付けている。

2国間協定の交渉が避けられなくなれば、米国を満足させるために、自由貿易とは相容れない方策、例えば政府主導の米国製品の緊急輸入や輸出の自主規制といった管理貿易的な方策しか選択肢がない事態に陥るだろう。

中国をどう「活用」するか

では、日本はいったい、どういう交渉戦略を採るべきなのか。

参考になるのは、適用除外が確実視されていたEUが言明し、中国やロシアが踏み切るとしている国際ルールに則った手段、つまりWTO提訴である。そもそも、米国による一方的な日本製の鉄鋼、アルミニウムに対する関税引き上げ措置は、WTOルール違反とみられており、専門家の間でも、提訴すれば日本が勝てるとの見方が多い。

すでに中国が通商法301条の対抗策として実施したように、米国が鉄鋼等の関税引き上げを撤回しなければ、日本はWTOルール上の正当な対応として、他の品目について対抗措置を講じることもできる。

対米国では、「同盟国だ」という的外れの理由を盾に取ったお願いよりも、こうした国際ルールに則った対応策で堂々と渡り合う必要がある。米国が明確に安全保障とは別の問題だという姿勢を取っている以上、それ以外の戦略はない。

そして、もう一つ、大きなポイントになりそうなのが、中国対策だ。

少し前ならば考えられないことが、中国は、トランプ政権の保護主義政策の標的にされたことに対抗、国際的な孤立を避けるため、従来の保護主義的スタンスをかなぐり捨てて、自由貿易を推進すると主張。国際標準と相容れなかった自らの通商慣行を積極的に見直す姿勢をみせている。

そうした姿勢が鮮明になったのは、先週月曜日(4月16日)に都内で開かれた、実に8年ぶりという「日中ハイレベル経済対話」である。早期開催に拘ったのは中国側で、わずか3週間という短い準備期間で開催に漕ぎ着けたという。

協議は緒に付いたばかりだが、両国が「貿易戦争は国際経済への悪影響が大きく回避への協力が必要だ」「自由貿易体制、多角的貿易主義が重要だ」といった認識を共有し、滞りがちだった日中韓3ヵ国の自由貿易協定(FTA)と東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉加速を申し合わせることができたのは大きな前進だ。



もちろん、具体論はまだ伴っておらず、厳格に保護すべき知的財産権の分野では「努力している」、早急に削減すべき鉄鋼の過剰生産能力の問題は「進めている」、外国企業への様々な差別待遇も「環境整備に取り組んでいる」といった回答しか引き出せず、いつまでに、どう改善するという確約は得られなかったという。

それでも、中国は、日本にとって今や最大の貿易相手国だ。しかも、世界第2の経済大国である。日本の中国との関係改善は、トランプ政権にプレッシャーをかける効果があるはずである。

国際ルールを無視するトランプ政権に対して、国際ルールに則って自省を促すだけでなく、貿易戦争問題に伴う中国の姿勢転換を見逃さず、中国を国際的な自由貿易体制の一員に取り込んでいく努力は、日本が困難な時代を生き抜くために欠かせないのではないだろうか。


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2018年4月24日 19:40:34 : 5Lu4L8ZTlE : YfL@HBDw4eU[6]
アメリカの本音は政治面でも日本を仲間と思ってはいない。

2. 2018年4月25日 17:01:40 : FYv369TSRU : QnzxUAAntQQ[231]
同盟に 驕る時代は 遠い過去

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民126掲示板 次へ  前へ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民126掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民126掲示板  
次へ