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TDLも京都も「鬼混み」でもう限界!日本の混雑を解消する切り札とは
http://diamond.jp/articles/-/167047
2018.4.13 鈴木貴博:百年コンサルティング代表 ダイヤモンド・オンライン
新宿、原宿にTDL、USJ、そして京都の嵐山……。訪日観光客の急増もあり、もはや日本はどこへ行っても「鬼混み」状態だ(写真はイメージです)
最近、街に人が多くないか?
外国人殺到で「鬼混み」の日本
以前、原宿と渋谷の中間あたりの明治通り沿いに事務所を構えていたことがあって、取引先が渋谷のマークシティにあった。普通に歩けば10分の距離だが、いつも30分以上前に事務所を出るようにしていた。そうしないと渋谷の混雑で、取引先に時間通りに辿りつけないからだ。
今の職場は北新宿にあるが、大久保通りを新大久保方面に抜けて東新宿に行くまでが大変だ。途中に話題の新大久保のコリアンタウンがあるので、その雑踏で身動きがとれなくなるのだ。新大久保駅から山手線に乗るのも一苦労で、改札が1つしかないうえに、その入り口で待ち合わせをする人が大量に立ちはだかっているので、駅前に着いてからホームに上がるわずかな距離を通過するのにも、電車を1本逃してしまうくらいの時間がかかる。
「何だか最近、街に人が多くないか?」と思うことが多くなった。桜の開花シーズンにタクシーで千鳥ヶ淵の大混雑の真横を通ったときには、心からそう思った。最近の混雑の重要なファクターが訪日観光客である。渋谷の雑踏なら昔からあった出来事なのだが、そこに年間2800万人の訪日観光客が加わることで、それまで機能してきたインフラが限界を超えてしまう。
TDL(東京ディズニーランド)やUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)のような人気テーマパークでも、混雑の緩和策は限界を迎えているようだ。夢の国を標榜してきたテーマパークも、あまりに混雑すると入場者が夢から覚めて、現実にうんざりしてしまうのは無理もない。混雑による顧客満足度の低下が、運営者の悩みの種になり始めている。
訪日観光客が大量に訪れる京都もインフラの限界を超えている。象徴的なのは京都の嵐山だ。渡月橋を渡ろうとすると、狭い歩道にこちらから行く人、向こうから来る人、そして橋の中央で写真を撮る人が入り乱れるので、わずかな距離なのにまったく動くことができない。嵯峨野の竹林の風景を写真に撮りたいと思う人が世界中から大量に来るため、竹林の細道が原宿の竹下通りのように混雑している。
さて、行動経済学的な視点から考えると、このような混雑の緩和方法には4つの方式があるようだ。とは言っても、どこかの偉いセンセイがそう言っているのではなく、「私が観察したところでは」というただし書き付きだが――。
その4つとはアメリカ方式、フランス方式、シンガポール方式、そして中国方式だ。それぞれ説明してみよう。
行列を我慢させるのが米国式?
国によって違う混雑への対応策
アメリカでは運営側は基本的に混雑を歓迎したい。「混雑イコール金」なのだ。そこで金を極力逃さないために発達したのが、長い行列を顧客が我慢できるような仕組みの設計能力である。
テーマパークの例で言えば、わずか十数分で終わるアトラクションに乗るためにゲストが2時間の行列に耐えてくれるために何が必要なのかを、徹底的に考える。たとえば行列に並び始めてやや疲れが出てきたころに、行列の脇に突然マジシャンが登場して手品を始めてくれたりする。
ようやく行列の先頭らしきところに辿りついて建物のゲートの中に入れたと思ったら、実はそこではまだ行列は半分しか終わっていない。これも予め設計されたことなのだ。屋外の行列の先には屋内の行列がある。ところが屋内の部屋に入って様々な設置物を見たり、液晶パネルの画面を見ながら説明を受けたりしていると、行列に並んでいるにもかかわらず、もうアトラクションが始まっているかのように錯覚できるのだ。
こうした屋内の部屋を最低でも3部屋くらい通すことで、ゲストはずっと行列に並ばされていることに気づかない。これがアメリカ方式である。
アメリカ人ほど混雑から金を絞り出す必要がないのが、フランス人だ。ルーブル美術館、凱旋門、エッフェル塔、ベルサイユ宮殿など、歴史があって経済学的には減価償却も済んでいるアトラクションが大量に存在する国なので、フランスでは場内の混雑を減らして適量のゲストだけを相手にしたいという観点から、混雑緩和方法を設計する。
その基本思想は、並ばせてうんざりさせることにある。エッフェル塔でもベルサイユ宮殿でもゲストはまずチケットを購入する列に並ばされる。数十分かけてようやくチケットを購入できたゲストは、今度は入場するための列に1時間並ばされるのだ。
こうして混雑にうんざりする外国人は、徐々にパリやパリ近郊のあまり混雑していない場所を目指すようになる。パリにはいくらでも歴史ある名所が存在するから、有名な名所を不便にしておけば、パリの隅々に観光客が分散して、混雑を自動的に緩和してくれるようになるのだ。
ただし、京都やTDL、USJなどではフランス方式を採用しても逆効果だろう。なにしろ混雑は今現在でも大変だが、これから先はさらに悪化することがわかっている。日本は2800万人の訪日客を、2020年の東京オリンピックまでに4000万人まで増やす計画があるからだ。
混雑の原因である人の数がそもそも多すぎる国では、違うタイプの対策が行われる。シンガポール方式では、極端にコストを上げることで混雑を緩和させる。たとえば市の中心部に車を乗り入れる場合、ナンバープレートが奇数か偶数かで入れる日を決める。それで混雑は半分に減らせる。
しかし、そうすると車を2台買う人が出てくるので、次に車1台の保有コストを上げる。シンガポールでは車を1台買うのに巨額の税金が上乗せされ、1000万円くらいかかるのだが、それにはこうした目的があるからだ。
シンガポール方式にはTDLやUSJも学ぼうとしているようで、毎年のようにパスポートの価格を値上げしている。しかし、それでもまだ混雑に悩んでいるところを見ると、まだ値上げ幅が足りないのだろう。たとえば奇数日を今の価格にし、偶数日のパスポートはひとり2万円に設定すれば、1日おきに「混雑しないで楽しめる日」ができる。そんなアコギなことをするかどうかは別にして、それをやって成功しているのがシンガポール方式だ。
最後に中国方式だが、これは政府が何もしない代わりに民間は何でもやっていいという方法だ。何しろ国民の人数が多すぎる。国が計画してもうまくいくわけがない。春節の帰郷列車の混雑など、人間の許容範囲を超えている。
そんななか、誰も何もしなければ市民の不満は高まるが、そこに目をつけてお金を稼ごうと「混雑が嫌いな層に向けたベターサービス」が登場することで不満は解消される。そうしたものが様々な階層レベル・価格レベルで登場する。だから自分の許容度に一番合ったサービスを選択することで、社会はそれなりに我慢することができる。
日本の混雑を解消するのは
たぶん容易なことではない
日本の抱える混雑問題を考えると、この4方式にはどれも微妙に当てはまらない点こそが問題なのだろう。理想論としては、訪日観光客にだけシンガポール方式を導入して嵐山に向かう列車やバスをすべて片道料金2000円にしてしまう、TDLを入場料1万5000円にする代わりに東京ドームシティは入場料無料で楽しむことができる、といった対応策が想定できるが、それが現実の日本で通用するとは思えない。
そんなことから私は、新大久保駅は近くても極力使わないようにしている。昔あれほどよく行ったTDLも、もう10年以上出かけていない。つまり「混雑には近寄らない」ということが、日本人にとって一番採用しやすい対策なのかもしれない。
(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
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