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【トヨタ自動車】2.4兆円史上最高益も評価は「バツ」、米中の巨大市場に潜むリスク
http://diamond.jp/articles/-/165654
2018.4.6 週刊ダイヤモンド編集部
今期2兆4000億円の史上最高益をたたき出す見通しのトヨタ自動車。だが豊田章男社長が言う「海図なき戦い」は始まったばかりであり、トヨタが乗り越えるべき課題は山積する。(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)
「通期の評価はまだバツだ」。今年2月に開かれたトヨタ自動車の2017年度第3四半期決算説明会。最高財務責任者(CFO)の小林耕士副社長は決算の評価を問われ、ためらいなくそう断じた。
トヨタはこの説明会で、通期の連結営業利益の見通しを2兆2000億円に上方修正する決算を発表した。当期純利益は2兆4000億円に達し、15年度(2兆3126億円)以来2年ぶりの最高益をたたき出す見通しだ(図(1))。
それにもかかわらず、小林副社長が“マル”を出さない理由は、米国の法人税減税と円安という一過性の追い風を受けた故の好業績だからだ。
実際、連結営業利益の増減要因は、為替などの影響を除けば550億円のマイナスとなる見通し。「為替やスワップに左右されない収益構造の会社をつくる」(小林副社長)観点からすれば及第点に達しない、というわけだ。
収益力強化の鍵を握るのが、トヨタの“お家芸”といえる原価改善努力といえよう。
これまで例年、3000億〜4000億円規模で製造原価を低減し、営業利益の押し上げ要因としてきた。だが、今期は原材料費の高騰などもあったため、原価低減は1400億円にとどまる見通しだ(図(2))。
トヨタは15年以降、新たな設計開発手法「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を採用し、部品の共通化によるコスト削減や商品力の向上を進め、この手法で新型の「プリウス」や「カムリ」を開発した。
ただしこれらの販売台数の伸びに勢いは見られないのが現状だ。東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「車体やエンジンなどの一新により積み上がった先行投資の回収プロセスが見えてこない。為替に左右される体質は当面変わらない」と指摘する。
自動運転技術や電動化など先端分野への研究開発投資が積み増す中、さらなる原価改善努力を怠ればトヨタといえども安泰ではいられない。
1月に着任したばかりの小林副社長は「会議は即断即決で資料は一切なしにした。多少の混乱を承知でスピードを速めている。これが定着すれば本当の体質改善ができる」と語る。
EV開発へ総力戦
中国で問われるトヨタの本気度
販売面では、変化する二大市場への対応が欠かせない。
17年4〜12月期は、北米の営業利益が1681億円と、前年同期から6割近く落ち込んだ(図(3))。主力の中小型車がガソリン安で伸び悩み、値引き販売を補填する販売奨励金や生産台数の減少が響いたためだ。既存車種のモデルチェンジにより、新車販売台数の維持を目指すが、4〜12月の9カ月間の営業利益率は2.1%まで低下している。
これまで稼ぎ頭だった北米市場の復調が見込めない以上、代わって主戦場となるのが世界最大市場の中国だ。
日本勢は昨年、日産自動車連合とホンダが2桁成長の販売実績を記録。それに対しトヨタは6.3%増にとどまり、勢いに劣る(図(4))。18年の新車販売計画は140万台に上積みし、巻き返しを図る構えだ。
成長著しい中国で今後、いや応なしに対応を迫られるのが、電動車両の投入だ。19年以降、中国で年3万台以上の車を販売するメーカーに、新エネルギー車(NEV)の対象である電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の一定比率以上の生産・販売が義務付けられる。
達成できない場合は、NEVを多く販売した他社から「クレジット」を購入しなければならない。こうした中国政府の政策誘導によりEVの需要は今後急拡大し、25年に500万台に達するとの予想もある。
トヨタにとって痛手だったのは、得意のハイブリッド車(HV)がNEVの対象から外れたことだ。当初はEVへの出遅れ感が否めなかったが、中国政府がNEV規制の具体的な内容を公表した昨年9月以降、トヨタも具体的な対応策を打ち始めている。
マツダやデンソーとEVの基幹技術の共同開発を行う新会社を設立し、EVの基幹部品である電池についてはパナソニックとの提携により、車載用角型電池事業の協業を検討し始めた。
昨年末には、30年にグローバル販売台数における電動車を550万台以上、EVとFCVで100万台以上を目指す目標を公表。中国市場へは20年にトヨタ独自の量産EVを投入する計画だ。
これまでEVに消極的だったトヨタも、この半年間は陣営の総力を挙げてEVの開発体制を築き上げた。だが電池コストの問題もあり、「利益にどう影響するかは不透明」(小林副社長)なのが現状だ。それでもトヨタは「海図なき戦い」に踏み出さねばならない。その本気度が問われている。
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