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トランプの仕掛けた対中貿易戦争、日本にとっては「漁夫の利」か
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/post-9898.php
2018年4月6日(金)17時16分 ロイター
4月4日、トランプ米大統領が打ち出した中国への通商制裁措置は、同じく同氏が貿易面の行動を強く批判するメキシコや日本の製品が米国市場でシェアを拡大する道を開く可能性がある。写真は中国の上海洋山深水港で2016年9月撮影(2018年 ロイター/Aly Song)
トランプ米大統領が打ち出した中国への通商制裁措置は、同じく同氏が貿易面の行動を強く批判するメキシコや日本の製品が米国市場でシェアを拡大する道を開く可能性がある。
米通商代表部(USTR)が3日公表した約1300種類の中国製品に対する追加関税品目案によると、これらの品目に25%の関税が実際に課せられた場合、価格競争で有利となって代わりに市場に出回るとみられる製品を供給しているのが、メキシコやタイ、日本などだ。
例えばメキシコは既にフラットテレビの対米輸出額がおよそ60億ドルと中国の2倍に上り、タイの対米ハードディスクドライブ輸出額も35億ドルで中国の4倍前後に達する。
また日本、マレーシア、ベトナムは米プリンター部品市場で中国のライバルとなっている。
米国の輸入が中国製品からこれらの国の製品に一朝一夕に切り替わることはない。米政府がリストアップした追加関税品目は今後撤回されてもおかしくない。もしも一部のアナリストが推察するように、トランプ氏の狙いが幅広い通商問題に関して中国の交渉の場に引き出して決着をつける狙いがあるというならばだ。
USTRは追加関税品目リストを作成する際、意図的に別の国から手に入れられる製品を対象にした。それによって中国の輸出に及ぼす打撃を最大化しつつ、米国民が被る痛みをできるだけ和らげようとしている。USTRのある当局者はロイターに「品目リストは、候補製品の中から消費者への悪影響が最も小さいものが選び抜かれて構成されている」と説明した。
元USTR副代表のロバート・ホリーマン氏は品目リストについて、どこの国からかにかかわらず米国向けの輸入を完全に抑え込むのではなく「ある面では時間をかけてサプライチェーンが切り替わるのを容認する意図を持っていると思う」と話す。
ホリーマン氏は、追加関税の行使が農業や航空宇宙といった米国の重要産業にリスクをもたらすものの、トランプ政権は慎重に影響を分析し、米国の消費者が受ける直接的なダメージを最小化しようとしているとの見方を示した。
米国の通関統計によると、追加関税品目案にはテレビなどかなり一般的な製品も含まれているとはいえ、米国市場において中国勢の浸透度が低い製品を集めた印象だ。ただ調査会社パンジバは、米国の輸入量の40%超を中国製品が占めるサーモスタットのような品目があると指摘した。
さらにこうした追加関税は実際に中国企業にコスト負担を強いるかもしれないが、だからといって米企業に生産の大半が移る公算は乏しい。逆に米企業としては、中国製品の代わりを見つけられるとしても、より高い輸入代金の支払いを迫られるし、中国の報復措置の対象となる産業は苦境に立つだろう。
ホリーマン氏は、追加関税が対中貿易赤字構造を変えるための長期的戦略として実施されるとしても、中国の報復が多くの米輸出企業に被害を与える以上、問題の多い政策だとみている。
(Howard Schneider記者)
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