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50代の採用は、企業が気づいていない「ブルーオーシャン」だ
http://diamond.jp/articles/-/165411
2018.4.5 小笠浩史 ダイヤモンド・オンライン
写真はイメージです
転職は求職者と求人企業の思惑が一致して、初めて成り立つ。前回、59歳で経理財務部長として転職を果たした村上祐一氏の例を紹介したが、50代の人材を採用した企業側、マーベラスの意図は何だったのか。今回は、50代を採用する企業側について見てみたい。(リクルートキャリアエージェント事業本部 ハイキャリア・グローバルコンサルティング 小笠浩史)
■50代人材を採用する企業とは?
中堅・中小企業の管理職層の採用意欲は高まっている。そうした企業が経験豊富な管理職経験者を採用したいという意欲は以前からあったが、最近はさらにその傾向が強まっている。
景気拡大を追い風に事業拡大を意図して、海外事業や新しい事業領域への進出、新技術や新商品の研究開発、事業の再編や業務プロセスの再構築を考える企業が、その分野で豊富な経験を持つ人材を求めているのだ。
しかし、そういった人材を採用することは難易度が高いうえに、採用してもすぐ辞めてしまうというケースが少なくないのも実態だ。
50代の人材を採用したマーベラスは、優秀な人材を採用し、その人材を活躍させることができたのか。
マーベラスは、オンラインゲームアプリからゲームセンターなどのゲーム機、音楽映像事業までを幅広く扱う総合エンターテイメント企業。現在600名ほどの社員が在籍するが、複数の企業が合併して現在の事業規模に成長した。だが一方で、急成長によりさまざまな課題が生じていたという。
同社の管理統括本部人事部長は「財務経理も課題の1つでした。業務フローの改善やメンバーのレベルアップを支える仕組みを構築できる人材を求めた結果が、村上の入社です」と話す。
実務を理解し、業務体制が構築できる。リーダーシップをもって業務を推進・遂行できるスキルと経験を有する財務経理のプロ、というハードルの高い採用だったが、これに当てはまる人材を採用できた。その要因は「“ブルーオーシャン”の発見」だったという。
「求めていた人材像は『大手企業に在籍する40代の部長職』ということになるでしょう。でも、その人材を今の売り手市場で採用するのは至難の技です。そこで、年齢はさておき、経験とスキルにフォーカスして人材を探しました」
実は同社では過去にも2人、60歳前後の人材を採用している。
「2人ともすごい実力を発揮して活躍しています。だから、村上が年齢を理由に書類選考が通りにくかったと聞いて驚きました。そこで『これはうちにとってのブルーオーシャンだ』ということに気づいたのです」
村上氏の職務経歴書を見たときは「こういう人が転職市場にいるのかと驚き、ぜひ会いたいと思った」。心配だったのは、書類に書かれた前職での年収が高かったことぐらいだったという。
面接では、選考対象として接するというより、会社側の課題を包み隠さず列挙し、村上氏の経験・スキルとマッチングするかどうかを探った。
「入ってから『こんなはずじゃなかった』ということにならないよう、前職とは違う部分をわかってもらうことを強く意識していました」
自社の現状を微細に伝えたうえで、会長と直接話す機会も設け、相互理解に努めた。年収に関しても、マーベラスとして提示できる金額を示したという。
人事部長は、採用活動をこう振り返る。
「年齢は関係なく、いい人はいいし、逆もしかり、です。以前採用した64歳の監査室長はあらゆる面で実務能力が高く、仕事が緻密で本当に助かっています。本当に見るべきは経験とスキル、仕事に向き合う姿勢で、年齢にこだわりはありませんでした」
10年、20年先を見越して長期的に活躍できる人材を求め、結果として30代や40代を採用する企業は多い。また、柔軟性やスピード感が求められる事業環境においては、若さが優位になると考える向きもあるだろう。ところが、同社人事部長はこの考えを真っ向から否定する。
「10年、20年スパンで会社のことを考えない人を10年雇っても意味はないですよね。それならば、村上のように『自分は即戦力だが、20年いられるわけではない。だから、いる間に絶対に後継者を育てなければならない』と、明確に部下を育てる意識を持って入社してくれる人のほうがずっといいです」
こうして同社は「事業拡大局面における組織マネジメントの確立」という経験を持つ村上氏を獲得できた。
■課題解決できる人材かを見極める
まず企業がやるべきことは、経営課題を明確にして、求める人材に何をしてほしいか言語化し、その課題を解決に導ける人物かどうかを、対話やケース面接等によって見極めることだ。
経営陣が求めるのは経営課題を解決する経験とスキルだが、人事部門では「例えば40代の組織長の直下に50代の専門スタッフが入るとやりにくいのではないか」などと危惧することがある。こうして組織構成を重視するあまり、転職市場にいない人材層や自社の採用条件を超えた人材を採用ターゲットにしてしまうと、よい人に巡り会えるチャンスを逃すことにもなる。このような失敗を未然に防ぐためにも、年齢や現職での年収など“外見”だけに左右されない“人物とスキル採用”が、結果として良い採用ができているように見受けられる。
柔軟さやスピード感など、本来は個人の能力やパーソナリティに拠ることを、年齢によるものだという既成概念で一律に判断してしまう失敗例も多い。
また、転職歴などのスペックに頼らずに、いかに経営課題にマッチする人材を発掘し見極めるか。それこそ、人事部の腕の見せ所になりそうだ。
筆者が企業に提案するのは、書類選考以上に面接での判断を重視し、とにかく一度会ってみること。そして、課題解決型の面接だ。
仮に、求職者の経歴が立派で現在の年収が高額でも、これまでの経験を生かしての活躍する機会を提供することができれば、条件は折り合える可能性がある。お互いが何を望んでいるのか、という“真のニーズ”は、実際に会ってみなければわからない。
そして、面接では、一方的に志望動機を聞くのではなく、自社の現状と目指している(ありたい)姿、それに対しての課題をきちんと提示し、それに対してどんな課題解決が可能か、プレゼンテーションしてもらうのが有効だ。
こうした課題・現状・ゴールのすり合わせは、入社後の定着・活躍の土台にもなる。
ただ、入社前に求職者の経験やスキルを見極めるだけでは、入社後の活躍にはつながらない。入社後にも、ミッションに見合った権限と定期的な上司や経営陣からのフォローを提供する必要がある。
■入社後は裁量や権限をしっかり与える
残念ながら、短期間で退職に至ってしまうケースも少なくない。トップから直接、特命ミッションを与えられて入社したのに、入社後は孤立無援で、適切なポジションや権限が与えられなかった。それが原因で、短期間で結果を出すことができず、企業側が「期待はずれ」という評価を下してしまうような例だ。
もちろん大企業の管理職や経営経験者を事業責任者として採用し、大きな成果を得た会社もある。
大手電機メーカーから食品メーカーに転職した50代の方の例では、職務経歴に関心を持った会長が最初に面接。求めていた「海外での事業拡大」の経験者だったことに加え、異分野にも対応しうる柔軟性と謙虚さ、フットワークの軽さといった人柄が評価されて採用に至った。トップが経営課題に照らして採用を決め、後から人事部が待遇などの条件面のすり合わせを行なったことが採用のポイントになった。
この人材の場合、直属の上司は会長であり、事業の進捗報告や相談は直接会長へ行なっていた。転職直後に海外の子会社へ赴き、現場の現状と課題を洗い出し、レポートすることを求められた際は、翌日には海外に飛んで期待に応え、信頼を得たという。
本人の資質と会長の後ろ盾があり、さらに事業を進められるポジションが活躍を後押しした。その後、海外子会社事業は好転し、会社としても採用活動が成果を上げる結果となった。
急成長している中堅・中小企業にとって、定年退職や早期退職を迎える大企業の役職経験者が持つ経験やスキル、ノウハウの価値は大きい。自社の事業課題に適した採用ターゲットの設定、適切な選考プロセスの設計と、入社後のフォローを遂行できる会社が、中高年の転職市場からその価値を吸い上げる勝者になるのだろう。
筆者:小笠浩史(リクルートキャリア エージェント事業本部 ハイキャリア・グローバルコンサルティング コンサルタント)
2009年にリクルートエージェント(現リクルートキャリア)に新卒で入社。関西及び九州にて人材紹介や求人広告などを通じた中途採用コンサルティングに従事。スタートアップのベンチャーから中堅、老舗、業界最大手企業まで幅広い企業の採用を支援。現在は主に関西や地方優良企業を中心に高年収層、プロフェッショナルエンジニア、経営幹部求人に特化して法人と個人両面で採用コンサルティング、転職支援を行なっている。
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