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年金支給ミス問題で新たなリスク 機構職員の雇い止めで情報流出も
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180402-00000063-sasahi-soci
AERA dot. 4/3(火) 7:00配信 AERA 2018年4月9日号
これまでははがき1枚(右・両面コピー)だった扶養親族等申告書が、今年は四つ折りのA2用紙の説明書と二つ折りのA3用紙の記入書に(撮影/写真部・片山菜緒子)
情報流出も高リスク 日本年金機構による年金支給ミス問題は、外部委託の問題にとどまらない。 個人情報に対する姿勢は、機構内の職員人事にも表れていた。
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年金に所得税がかかる人が控除を受けるのに必要な扶養親族等申告書の内容が大幅に変更され、未提出や記入ミスが続出。約130万人に年金(2月支給分)が過少支給された。年金受給者で構成する全日本年金者組合の増子啓三さんはこう話す。
「毎年送られていた往復はがき1枚から、分厚い封書に変わり、別のものと認識した人も多かった。申告書も記入事項が多く、説明書はあるが高齢者が一人で記入するには難しく、マイナンバーを記入することに抵抗感を持つ人も多かった」
問題発覚により、日本年金機構が所得控除のデータ入力を委託した情報処理会社SAY企画(東京都豊島区)の入力ミスで、約7万人の2月支給額が間違っていたことも明らかに。同社が契約に反して中国の業者に再委託したことも問題になっている。
「消えた年金記録問題」などでずさんな管理体制が批判され、2010年に社会保険庁から生まれ変わった日本年金機構。業務運営の柱としたのが外部委託の推進だった。各種届出・申請書などの処理業務や相談事業など6項目を外部委託している。
外部委託と言えば聞こえはいいが、官公庁の外部委託業務の受注経験があるデータ入力会社の幹部はこう話す。
「本業とは関係のない会社や、何でもいいから仕事が欲しい会社が安い値段で入札してくる。仮に安い値段で落札しても品質を担保できないから、そもそもうちは入札には参加していない」
データ入力業務を中国に再委託することは珍しい話ではない。別のデータ入力会社の幹部は、
「コストが半分以下に抑えられます。中国は圧倒的に多いですが、数字だけの入力業務などもあり、ブラジルやインドに業務委託する企業もあります」
SAY企画は問題となったデータ入力業務を1億8200万円で落札している。予定価格は2億4200万円だった。日本年金機構の水島藤一郎理事長はSAY企画に委託した理由を「最も低い入札業者であった」(3月20日の会見)と説明。結果として情報管理は「安かろう悪かろう」(先出のデータ入力会社幹部)になっている。
内部にも問題はある。日本年金機構の職員はこう話す。
「社会保険庁時代は正規職員が6割でしたが、年金機構ではそれが逆転し、6割が有期雇用の非正規職員です。非正規職員は1年契約を4回更新し、5年で雇い止めになる。仕事で触れている個人情報は正規も非正規も違いはなく、雇い止めによる情報流出のリスクもある」
「機構の業務は個人情報の塊」(水島理事長)だ。日本年金機構法には「役職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする」(第25条)とあり、「退職時にも秘密厳守のサインをもらう」(日本年金機構広報部)とするが、
「例えば滞納者に督促状を出すような部署では、著名人や老舗の人気料理店が実は滞納しているなど、人に話したくなるような情報にも触れる。非正規職員は昇給も退職手当もなく、給料は最低賃金程度。それも5年で放り出され、職場への不満が思わぬ形で出る可能性もある」(前出の職員)
13年の労働契約法の改正で、この4月から有期労働契約が5年を超えれば、無期契約に転換できるルールが適用されている。しかし、日本年金機構では3月末に雇用契約期間が5年に達した非正規職員が1356人いるが、無期転換になったのは235人に過ぎない。
加藤勝信厚生労働相は参院予算委員会で、外部委託のあり方などについて、こう述べた。
「外部の専門家も入った調査組織を立ち上げ、徹底的に見直しをしていく」(3月26日)
信頼回復のためには、外部だけではなく、内部体制の見直しも必要だ。(編集部・澤田晃宏)
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