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【かぼちゃの馬車事件】スルガ銀行、融資申込者に高利ローン契約を条件として要求か
http://biz-journal.jp/2018/03/post_22698.html
2018.03.20 文=編集部 Business Journal
スルガ銀行(「wikipedia」より)
「かぼちゃの馬車」セミナーを開催していたスルガ銀行横浜支店は、何度も表彰されてきた。「頭金なしで投資でき、30年間家賃収入を保証」をセールストークに使い会社員らを勧誘し、スルガ銀行から1億円単位の融資を引き出してオーナーへと“変身”させてきた。
オーナーはシェアハウスの物件購入資金を融資するスルガ銀行の行員から、高利のフリーローンの契約を同時に求められていたという。実質的にフリーローンの契約が融資の条件となっていたことになる。多くの事例では、高利のフリーローンで借りた金を、超低利のスルガ銀行の定期預金や積立預金に預けさせられていた。この振り替えも「半ば強制だった」という複数のオーナーの証言もある。このスルガ銀行の手法は、いわば銀行の“常道”だが、胸を張って堂々と行う銀行業務からはほど遠い。金融庁は厳格にチェックすべきだろう。
物件融資の契約をする直前に突然、フリーローンの申し込みを迫られ、「借りてもらわないと(融資契約が)前に進まない」と言われたオーナーもいる。高利のフリーローンで借りた金を低金利の定期預金にすれば、オーナーは損する。その分、スルガ銀行が利ザヤを稼ぐことになる。“濡れ手で粟”の仕組みだ。
スルガ銀行は、かぼちゃの馬車のオーナーに融資したのと同じように、投資用不動産の購入資金を用立てる個人向けローンに傾斜し、地銀屈指の収益を確保してきたことが、今回の“事件”の背景にある。個人向けローンの融資先は7割が首都圏で、かぼちゃの馬車関連融資も首都圏が主だ。
かぼちゃの馬車が暴走する以前には、スルガ銀行は2018年3月期にコア業務純益を650億円計上するとしてきた。規模では地銀の20位以下だが、収益力ではトップクラス。地銀の雄といわれる横浜銀行を追いかけるほどの“高収益バンク”なのだ。だが、このコア業務純益の確保はおぼつかない。
■スルガ銀行の融資実態は
会員制情報誌「選択」(選択出版/3月号)は、『地方金融の研究』との記事でスルガ銀行を取り上げた。「訳あり融資で荒稼ぎの『高利貸し』」との副題をつけた2ページにわたる記事は、「地銀の皮を着た『高利貸し』。金融界からそんな皮肉が聞こえてくる」で締めくくられている。
「融資審査は適正に行っており、これまでのところ行員が不正に関わった形跡はない」というのがスルガ銀行の公式の見解だ。
しかし、融資を受ける際に提出する銀行の通帳や証券会社の株式資産リストの数字が、“水増し”されていた疑惑が浮上している。数百万円しか預金がないのに、ゼロがひとつ加えられていたといったケースが次々と明らかになっている。地銀の関係者からは、「こんな単純な手口にスルガ銀行の行員は騙されたのか。スルガ銀行のバンカーの目は節穴か」(有力地銀の頭取)といった冷ややかな声が挙がる。
スルガ銀行は、朝日新聞の取材に「個別事案の回答は差し控える。金融庁には適宜情報提供をしている」と回答した。スルガ銀行は2月22日、「報道等を受け、実態把握のための調査を開始した」としているが、横浜支店ぐるみの荒稼ぎと見られても仕方がないような実態に、本当に気付いていなかったのだろうか。
高利のフリーローンを繰り上げ返済しようとしたオーナーが、受け取りを渋られたケースもある。ここまでくると完全にルール違反だ。スルガ銀行は他行がやらない、「先にリスクを取って貸し出す」という独自のビジネスモデルで高い収益を保ってきたが、実態はリスクを取っていないのではないか。借り手(かぼちゃの馬車のオーナー)にリスクを押し付け、高い収益を上げていたということになりはしないか。
自己資金や給料などの提出書類を偽造までして、フルローンやオーバーローンの融資を受けていた会社員などが多くいるようだ。一説には、推定1000人にも上るともいわれている。
「(かぼちゃの馬車を運営している)スマートデイズに1棟貸しをしているオーナーのなかには、本当の稼働状況などをきちんと説明を受けていない人もいるようだ」(関係者)
サブリース契約を解約すると入居者が1人もいなくなるといったケースは、他社の「1棟借り上げ」でも起こっている。とはいえ、かぼちゃの馬車は、もっと深刻だ。稼働率ゼロになり、毎月の返済だけが続く。それでも、スルガ銀行横浜支店は融資した責任は無視し続けるのだろうか。
融資の実態調査が終わるまで返済は猶予されることになったようだが、未来永劫にわたって返済不要になるわけではない。
(文=編集部)
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