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2020年後に大不況が来る可能性が高まっている 「借金減らして、現金増やせ!」
https://manetatsu.com/2018/03/119451/
2018/03/06 荻原 博子 マネーの達人
黒田日銀総裁の再任が決まったことで、デフレがまだまだ続きそうな状況になってきました。
今回の黒田総裁再任については、2年前の1月に発刊した「10年後破綻する人、幸福な人」(新潮新書)で、
「自民党総裁の任期は2期6年だが、安倍首相はこの上限を伸ばして3期総裁をやるだろう。ただ、デフレはずっと脱却できないから、そうなれば黒田総裁も任期を伸ばして続投することになるだろう」 |
と書きましたが、予想どうりの展開になりました。
オリンピック後、大不況の可能性が高まっている
困るのは、そうなるとデフレ脱却がますます困難になり、大不況が来る可能性が高まること。
オリンピックという巨大公共事業の終わりと、安倍首相、黒田総裁のダブル退任が重なると、成長戦略がない日本経済は、崖から転がり落ちるように一気に悪化することが予測されます。
この予想は当たって欲しくないですが、可能性は濃厚になってきました。
黒田総裁が続けてきた金融緩和政策の副作用
実際に、黒田総裁が続けてきた金融緩和政策には、すでに大きな副作用が出ています。
特に、2年前に行ったマイナス金利政策は銀行の業績を悪化させ、3メガバンクにりそな、三井住友トラストを加えた5大銀行グループの昨年9月の中間決算は、業務純益ではすべてのグループがマイナスとなり、前年同期比でなんと3割減でした。
安倍政権下で、企業の内部留保は100兆円も増えて400兆円を超え(2016年度末)、企業はもう銀行からお金を借りる必要がなくなっています。
個人も給料が上がらないので、住宅ローンなどの新規借り入れが増えない。
それどころか、超低金利の中で高い金利のローンを低い金利に借り換えるので、銀行の利ざやは激減しています。
どんなに日銀が国債を買い上げた代金として現金を銀行に流しても、運用先がないので、そのお金は日銀の当座預金に預けられてしまう。
そこで、「これ以上日銀の当座預金にお金を預けたら、預かったお金の金利はマイナス0.1%にする」というマイナス金利政策を始めたのが2年前。
お金を預けると利息を取られるのですから、さすがにこれ以上預ける銀行はないだろうと思いきや、なんと今年3月1日現在の日銀の当座預金残高を見ると、2年前よりも100兆円も預け入れが増えているではありませんか。
銀行は、お金が運用できないので、損を覚悟で当座預金にお金を預けざるをえないところまで追い詰められているということです。
日銀は、「敗退」を「転戦」と言いくるめて突き進む。
銀行協会の統計では、都市銀行はマイナス金利導入以降、貸出金がほぼ対前年比でマイナスとなっています。
相続税アップなどで追い風を受けて堅調だった信託銀行も、半年前から急激に業績が下がっています。
つまり、今まで銀行の根幹だった「お金を貸して、そこから利益を得る」というビジネスモデルが、完全に壊れてしまったということです。
結果、儲け口を失った銀行は構造不況業種となり、これからリストラの嵐が吹き荒れます。
予定では、みずほ1万9,000人、三菱UFJは9,500人、三井住友は4,000人をリストラします。
ただ、それで業績が上向くかといえば、話は逆で、ますます泥沼に入っていきそうです。
出口が見えないまま金融緩和が続く
黒田総裁は、出口が見えないままに金融緩和を続けるつもりで、負けるとわかっていても進むしかなかった太平洋戦争の時の日本軍のように、「敗退」を「転戦」と言いくるめて今の政策を続けていくでしょう。
日銀は、日本国債の4割を買い、日経225の4分の1の企業の筆頭株主になっています。
その日銀が、マーケットから撤退するといううわさがながれただけで大混乱になる可能性があります。
日銀も、撤退できない泥沼に追い込まれているということです。
「借金減らして、現金増やす!」
では、デフレが続き、その先に不況が待ち受けているとしたら、私たちはこれからどんな準備をしておくべきでしょうか。
何度も書いてきたことではありますが、いま銀行が生き残る道は2つ。
銀行が生き残る道 (1)
1つは、カードローンのような利益率の高い個人融資の強化すること。
銀行が生き残る道 (2)
もう1つは、皆さんの預貯金を投資に振り向けて、ノーリスクで儲かる手数料商売を強化すること。
ですから、「投資をしましょう」の大攻勢は、ますます強まるでしょう。
けれど、株価も乱高下し、先々の状況も見えない中では、安易な投資には走らないほうがいいでしょう。
今、家計がやっておかなくてはいけないことは、「借金減らして、現金増やす!」デフレは、まだまだ続きます。
そして、デフレの中の大鉄則は、借金を減らして身軽になり、現金を増やして強固な基盤を作ること。
実は、バブル崩壊から20年以上、これを徹底してきたのが日本の企業です。
できれば投資商品ではなく、なるべく現金でしっかり貯金する
不良債権の処理をして身軽になり、内部留保という貯金を山ほど持つことで、日本の企業の財務体質は飛躍的に改善しました。
いっぽう家計は、バブル崩壊後の景気浮揚のための国策である住宅ローン控除拡大や住宅金融公庫の大盤振る舞いで、多くの人が家を買い、負債を追っています。
また、給料があがらないのに社会保険料や税金、教育費の値上げなどで現金を減らしています。
だとしたら、まずはローンを、繰上げ返済などで少しでも軽くし、できれば投資商品ではなくなるべく現金でしっかり貯金していきましょう。
備えあれば、憂いなし。まだ間に合いますから、しっかり家計の立て直しを今から考えておきましょう。(執筆者:荻原 博子)
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