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ZOZOとアマゾンは「日本の古いアパレル」をこうやって駆逐する AIで変わる衣服の世界
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54538
2018.02.21 加谷 珪一 現代ビジネス
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが、採寸用ボディースーツ 「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を活用した服の定期配送サービスに乗り出した。採寸スーツを使って自身のサイズを計測すれば、自分に似合う洋服が定期的に送られてくる。
一連の取り組みはユニクロを攻略するためのものといわれているが、もっと大きなポテンシャルを秘めている。それはショップ系ブランドの衰退と月額固定料金化へのシフト、そしてアパレル産業のテクノロジー化である。
アパレルの常識がひっくり返る
スタートトゥデイは2月15日、服の定期配送サービスである「おまかせ定期便」をスタートした。すでに配布を始めている採寸スーツ(予約が殺到したことから、遅延が発生している)を用いて体のサイズを自動的に計測。
予算や好みの柄といった追加情報を入力すると、自分に合った洋服が定期的に送られてくる(採寸スーツがなくてもサイズを入力すればサービスを利用できる)。利用者は気に入った商品だけを購入することができ、不要なものは返送すればよい。
同社はほぼ同じタイミングで、独自ブランド商品の販売も開始している。
「おまかせ定期便」は発表直後から話題に 写真はプレスリリースより
「ZOZOTOWN」はこれまでECサイトとしてビジネスを展開しており、各メーカーの服をWebサイトで販売するのが主な業務だった。あくまでECサイトの運営企業なので、メーカー各社とは直接の競合にはなっていなかった。
今回、同社が独自ブランド商品の販売を開始したことで、一部のメーカーとは直接的に競合することになるが、ZOZOがターゲットにしているのは言うまでもなくユニクロである。独自ブランドの第一段として販売を開始したのは、Tシャツとデニムというベーシック系の定番商品であり、ユニクロのラインナップと完全にぶつかる。
業界では、ZOZOがいよいよユニクロに勝負を挑んできたと受け止められているが、今回のZOZOによる一連の取り組みには、もっと大きなポテンシャルがあると筆者は考えている。それはショップを基盤とした従来型ブランドの衰退とアパレル産業のテクノロジー化である。
これまでアパレル業界では、店舗を押さえることが勝利の方程式であった。著名デザイナーが手がけるデザイナーズ・ブランドは別として、ユニクロのような企業は、店舗を基盤にブランドを展開し、そこで自社商品を販売していくというのが定番であった。
店舗(ショップ)において自社商品以外も扱うかどうかで、いわゆるセレクト・ショップとは区別されるが、いずれにしても店舗網を使った販売力が利益の源泉となっている。
これはオンワードに代表される伝統的なアパレルメーカーにとっても同じことである。ユニクロのような店舗展開は行っていないものの、こうした従来型メーカーは百貨店の売り場をしっかりと押さえている。
ファッション雑誌などでCMを展開して告知活動を行い、店舗を使って商品を売ることを基本にしているという点では、ユニクロと何ら変わりはない。
アパレル業界が店舗を基盤にしていた最大の理由は、服のサイズ合わせである。他の商品とは異なり、服は実際に着てみないとサイズが合うのか分からない。いくらネット通販が発達しても、店舗を軽視できなかったことには、こうした背景がある。
ここがイノベーション
ZOZOスーツはこうした問題をテクノロジーで解決しようとしている。今回、配布を開始した採寸スーツは伸縮性のあるデザインとなっており、各部分の生地の伸び具合をセンサーが検出することで、約1万5000カ所のサイズを瞬時に計測できる。
採寸データはスマホのアプリを経由してZOZOのクラウドに送られ、ZOZO側はそのデータを使ってサイズに合った洋服を提供する。
このデータがあれば、基本的にサイズの合わない洋服を買うことがなくなるので、利用者は服のサイズで悩む必要がなくなる。一方、ZOZO側にとっては返品リスクが減るとともに、顧客の囲い込みにもつながってくる。
だが、このスーツがもたらす最大のインパクトは、店舗に行かなくても自分に合った洋服を購入できるという部分だろう。
ZOZOSUITはアパレル業界に変革をもたらすか 写真はプレスリリースより
アパレル業界にとって店舗というのは、もっとも重要なビジネス基盤だったが、それはサイズを合わせなければ服を買えないという物理的な制約条件がベースになっていた。こうした制約条件が消えてしまうと、場合によっては店舗がただのお荷物にしかならない可能性も出てくる。
ここで「服にはお店で選ぶ楽しみもある」といった嗜好品的な要素は持ち出さない方がよい。確かにモード系の服であればそうかもしれないが、ZOZOが提供する商品はあくまでベーシック系である。この分野は業界におけるボリュームゾーンであり、購入者の大半は必要に迫られて服を買う人たちだ。
この話はクルマの自動運転システムと同じ文脈で考えればよい。数年前、自動運転システムが現実的な視野に入り始めた時、クルマには運転する楽しみがあるので自動運転車は普及しないという意見が散見された。だが「運転する楽しみ」という価値観は、自身で運転しなければクルマを動かせないという物理的制約条件がベースになっている。
こうした制約条件があったからこそ、これを楽しみに変えるといった発想が出てきたのであって、その逆ではない。クルマを運転する必要がなくなった時、こうした嗜好品的な要素がどれだけ残るのかは微妙なところだ。ほとんどの利用者にとって、クルマは自動で動いてくれた方があり難いだろう。
同じ考え方を採寸スーツに当てはめた場合、一部の商品を除き、わざわざショップに行きたいという人は減ってしまう可能性が高い。
ここにも人工知能が
採寸スーツが普及してサイズの問題が解決されても、服のネット販売には最後の障壁が残されている。それは「似合う」「似合わない」という問題である。
今回、ZOZOがスタートした定期購入サービスでは、同社と契約したコーディネーターが洋服のチョイスを行う。同社では新しいサービスに対応するため、多数の在宅コーディネーターを募集している。
せっかくの新しい取り組みに水を差すようで申し訳ないが、近い将来、こうしたコーディネーターの多くは不要となるだろう。なぜなら、似合う、似合わないという感性に関わる部分にもテクノロジーが入り込んでくるからだ。
すでに米アマゾンはAI化の取り組みを始めており、「プライム・ワードローブ」という新サービスを開始している。プライム・ワードローブは、購入前の服を自宅で試着できるというもので、今回のZOZOと基本的な仕組みは同じである。
だがプライム・ワードローブのサービスはそれだけにとどまらない。同社は同じタイミングで、会話型AIスピーカーである「エコー」の機能拡張版「エコールック」を発売しており、これがサービスのカギを握っている。
アマゾンが発表した「echo look」Photo by GettyImages
エコールックは、従来型のエコーに加え、全身写真を撮影する新しい機能を搭載したものである。カメラやフラッシュが内蔵されており「写真を撮って」と話しかけると、全身写真を自動で撮影してくれる。服装に関するアドバイス機能もあり、2種類の写真をアップするとAIが色やデザインを解析し、どちらの洋服が似合うのか助言してくれる。
感性が支配すると思われていた分野においても、AIを活用することでかなりの部分まで数値化、類型化が可能となっている。こうしたインフラが整えば、店舗に行って試着する必然性はさらに低下するだろう。
ZOZOが目指す完璧なエコシステム
当然のことだがZOZOも同じ事を考えている。同社は独自ブランド商品の発売と同時に、スタートトゥデイ研究所を発足させた。
同研究所の詳細は明らかにされていないが、ECサイトから得た膨大なビックデータと、ZOZOスーツから得られる計測データを活用し、ファッションを数値化していく方針だという。アマゾンと同様、AIを使ったアドバイス機能をZOZOのサービスに加えてくるのはほぼ間違いない。
もしZOZOがこうしたインフラを完備することになれば、アパレル業界の雰囲気は一変するだろう。
ショップという概念が衰退する可能性があり、店舗網に支えられていた従来の勝ち組企業が一気に競争力を失うというシナリオが現実味を帯びてくる(GAPの不振はもしかしたらその兆候かもしれない)。しかも、影響はこれだけにとどまらない。
ZOZOが開始した定額購入サービスは、新品の服に限定されるものではない。古着であっても同じモデルが導入可能であり、これが実現した場合、ひとつのECサイトの中で「新品」「返却された新古品」、そして「中古品」が循環する、完璧なエコシステムが完成する。
つまりZOZOの取り組みは、メルカリの一人勝ちとなっているフリマのビジネス領域までも浸食する可能性が見えてくるのだ。ZOZOがそこまで狙っているのだとすると、将来のポンシャルは計り知れない。
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