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徒労に終わる春闘の3%賃上げ
新聞によると2千17度の実質賃金は0、2%下がったということだ。
この2、3年の間の阿部政権の企業に対する賃上げ要請や、2千16年、2千17年の最低賃金の連続引き上げなどが、なんら効果をもたらさなかったことが明かになったのだ。
実質賃金が低下したというのは、賃金自体は上がったが、それ以上に消費者物価が上がったということを普通意味している。
また、名目GDPの成長率が低下していることからも所得が伸びていないことが分かる。
単純に考えると、政府の賃上げ要請によるコストプッシュが、消費者物価をコストプッシュしたということになる。それが名目GDPを下げた要因でもある。
デフレを脱却するためのディマンドプルによる物価の上昇がほとんど行われていないのだ。
(消費の増加により引っ張られる価格の上昇が見られない。)
消費が循環的に増加する自律的な市場経済に至っていないことがわかる。
企業は賃上げによるコスト増に対して価格に転嫁したが、消費が思うほど伸びず、価格を吸収できない結果になってしまった。
一番の理由は、恐らく、所得の伸びに対して、社会保険料、消費税、所得税、住民税などが掛り過るため、消費に回る分がほとんど無かったのであろう。そのため消費が伸び悩んだのである。
結局、賃上げが最終的に消費者の負担増になってしまった。
前から述べているように、デフレ循環が存在する、デフレ市場の特徴は、自分たちが製造した生産量を全部消費できないところにある。
そのため常に不良在庫が残るので、縮小生産に陥るのである。
デフレ下の実体市場では、どこかがシステムとは関係なく突出すると、それ以外のどこかが、減少し帳尻を合わせることになる。
生産量を無理やり引き上げれば、低価格競争が激しくなって、付加価値が下がる。あるいは消費が足りなくなったり、人手が不足する。所得を上げれば、製造コストが上がり、価格の上昇が、消費減となって現われ、全体の販売量が落ちる。
市場の自然な要請ではない政府の無理やりの賃金アップの要請による賃上げは、どこかで調整されることになる。恐らく付加価値の減少という形で、名目GDPの成長率が下がることになる。
これがデフレ市場の特質である。
今、多くの評論家や、専門家が、あるいはメディヤが、春闘での賃上げがデフレからの脱却の正念場だと期待させている。政府は、3%以上の賃上げを企業に要請している。労働組み合いも頑張っている。
しかしデフレ下の無理やりの賃上げは、コストアップを招き、結局消費者の負担増となって、付加価値が減少する。そのためデフレからの脱出になんら効果はない。
これがある程度実現されてもデフレからの脱却はなくほぼ無駄になることが、実質賃金の低下で分かるのである。
不況が続く今年の年末には、多くの評論家が、賃上げの範囲が少なかったからだとか、アップが足りなっかったからだなどとうそぶくだろうが、もともと理論的におかしいのだ。
そもそもアベノミクスは、デフレ促進策であり、より多くの借金をもたらし破綻により早く近づけるものである事は、これまで再三述べてきた。
実体市場に資金を注入する事なく、生産量の増大を図ることは、付加価値を減じるものである。
企業への賃上げ要請も、それによる従業員の増加を意味し、生産量の増大を図っているのと同じ政策なのだ。
消費の増大がなければ、賃上げは単なるコストプッシュの価格上昇となり、結局全体の付加価値が下がり名目GDPの成長率は減少する。
デフレからの脱却は、消費の増大が先行してなされ、それに応じた生産増、所得増が必要である。現在のような生産増が先行するような政策ではデフレからの脱却はない。
政府の要請による3%の賃上げは、市場のシステムから自然と欲するものではない。それ故、よりGDPが減少して終わるであろう。
一言主
http:// blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
参照のこと。
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