http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/642.html
Tweet |
中国で「禁断」の日本産りんごが出回っている不思議
輸入規制に手強いライバル、日本産食品に吹く厳しい逆風
2018.12.11(火) 姫田 小夏
中国産りんごの実力が高まってきた(写真はイメージ)
(姫田 小夏:ジャーナリスト)
上海の富裕層向けの青果売り場に「日本産のりんご」が登場したのは、2004年のことだった。一時は1個300元(約4200円)という超高級りんごが登場し、消費者の度肝を抜いた。
財務省統計によれば2003年産の日本産りんごの対中輸出量は11トンだった。その後、日本産りんごの対中輸出は7年で405トン(2010年産)まで拡大する。
だが2011年、日本産りんごを大きな災難が襲う。福島第一原子力発電所事故による放射能汚染が中国で問題視され、日本産食品の販売に制限がかかったのだ。
中国政府は当初、12都県(福島、群馬、茨城、宮城、新潟、長野、埼玉、山形、山梨、千葉、栃木各県と東京都)からの食品・農産物の輸入にストップをかけた。それ以外の道府県については、「放射能物質検査証明書と産地証明書の貼付があれば、日本からの輸出は可能」とした。だが、「野菜・果物・乳・茶とそれら加工品については、日中間で『検査項目』についての合意ができていないため、2011年以降、中国に輸出できない状態が続いている」(農林水産省)。
今も売られている青森県産りんご
だが、不思議なことに、日本産りんごの対中輸出はゼロにはなっていない。財務省貿易統計によれば、2012年は100トン、2013年は280トン、2014年は672トン、2015年に至っては1622トンと輸出量は伸びている(下のグラフ)。
国産りんごの中国(青)と台湾(橙)への輸出量の推移
(財務省貿易統計の数字をもとに筆者作成)
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/6/5/-/img_659cc7b69b7693ba921de85b87424a8b52511.jpg
青森県りんご輸出協会は、日本産りんごの対中輸出が続いてきたことの理由を、「民間の事業者が各県の検査機関を使って検査をし、その結果を添付して輸出をしていたためだろう」と説明する。だが、中国は国の検査証明を要求しているはずである。「中国がなぜ(国の検査証明がない)りんごを入れているのか、その理由はよく分かりません」とのことだ。
今年(2018年)11月、上海の主要な百貨店の地下食品売り場では青森県産りんごの「とき」が売られていた。2018年1〜8月は、日本から中国に50トンが輸出されている。ルール上は輸出できないはずだが、「実際は日本産りんごが出回っている」という不思議な状況が生まれている。
対中輸出禁止なのに流通する日本産の農産物
りんごのみならず他の日本産の野菜や果物も、中国は公式にはシャットアウトしている。
しかし、上海で食品販売を手掛ける事業者によれば、「上海の青果物の卸売市場では、徳島県産のさつまいも(6本入り50元)や、岡山県産の種なしブドウ(一房500元)、静岡県産のトマト(13個入り450元)などが化粧箱に入って売られている」という。こうした日本産の農産物はネットでも販売されている。
大阪中央市場に当たってみると、ある関係者が、「中国のバイヤーが買い付けに来ているという話を聞いたことがある」と教えてくれた。仮にバイヤーがこれを船積みしたところで、中国ではこれを通関させないはずである。しかし、上海ではなぜか日本産の農産物が流通しているのだ。
一体なぜこういう事態が起きているのか。日本貿易振興機構(JETRO)によれば、「(中国の)税関によっては許可するケースがあるのかもしれない」という。だが、2017年夏以降、中国側の規制はさらに厳しくなった。それにもかかわらず、なお流通する日本産の農産物があるというのは不可解である。
もしかしたら中国産の農産物を日本風にパッケージして売っている可能性も考えられる。あるいは、香港から中国への転送も行われているかもしれない。いったん香港に輸出したりんごを“中国の担ぎ屋”などが大陸に運び出している可能性があるということだ。
日本の農産物に吹く3つの逆風
日本産りんごは、中国市場で流通しているとはいえ、厳しい逆風にさらされていることは確かだ。ここでは中国市場の3つの逆風を挙げよう。
第1に、言うまでもなく、現在も続いている日本産食品の輸入規制である。
10月の日中首脳会談の場で、安倍首相は農産物の輸入規制の解除を求めた。これが奏功してか、11月末には新潟県の米が対中輸出できるようになった。だが、日本産食品の対中輸出のハードルは相変わらず高い。上海で食品を扱う事業者の中には、「日本からの食品の輸入は本当に大変だ。通関を過ぎたときには消費期限が残り少なくなっていることのほうが多い」と、日本産の輸入に消極的な姿勢を見せるところもある。
先に挙げたグラフで明らかなように、中国に輸出されるりんごのボリュームは台湾向けよりもはるかに小さい。原発事故以前のデータを比較しても、巨大市場であるはずの中国には“微々たる量”のりんごしか輸出されていない。
第2に、日本産食品に対する「風評被害」がいまだ存在することだ。
11月に訪れた上海で、筆者は中国人の友人から次のようなことを耳打ちされた。「最近、福島第一原発事故の汚染を理由に、アメリカや欧州諸国が日本産食品の輸入を一切禁止するようになったというニュースがあった。日本人のあなたは知らないの? 日本政府は汚染の事実を隠しているんじゃない?」。だが、調べてみたところ、アメリカが日本産食品の輸入をすべて禁止した事実はない。
この手のデマは、中国のネットやアプリを介してしょっちゅう飛び交っている。何も知らない一般市民であれば、こうしたフェイクニュースを容易に鵜呑みにしてしまうだろう。
第3に、中国産の農産物が力をつけてきたことである。
百貨店の食品売り場によく買い物に行くという上海在住の女性はこう語る。「りんごや梨などの果物は、中国でも日本の技術を使って栽培されています。中国産でも十分においしいし、手ごろな値段で手に入ります」。
かつて上海のデパ地下の高級果物売り場には日本産りんごが並べられていたが、最近筆者が訪れた際は、日本産りんごに取って代わるようにコルラ産やアクス産のりんごが多数並べられていた。
コルラ、アクスは、いずれも新疆ウイグル自治区の市である。日射量の高い新疆では、糖度の高い果物がたくさん収穫できるが、沿海部の消費地に出荷するにはあまりに距離が遠すぎるため、近年までは売り先の確保が難しかった。だが、新疆産のりんごが距離を克服し、しかもブランド化された高級りんごとして百貨店に並べられるようになった。これは、ある意味快挙だといえる。
今も続く輸入規制、日中間の事務レベルでの調整、飛び交うデマ、中国産農産物の台頭――日本産りんごの対中輸出が始まって15年余り、日本の「攻めの農業」に立ちはだかる中国の壁はあまりにも高い。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54883
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素50掲示板 次へ 前へ
- 「ふくしまを食べよう」LINE無料マンガ配信 鹿沼名産「板荷茶」 今季限りの可能性 福島県産品の宣伝力競う眞鍋かをり審査 うまき 2018/12/11 07:14:48
(1)
- (全県)環境放射能の調査結果(原子力規制委発表) 12/10 17:30 放射線量、放射性物質に関する情報 ・空間放 うまき 2018/12/11 07:15:54
(0)
- (全県)環境放射能の調査結果(原子力規制委発表) 12/10 17:30 放射線量、放射性物質に関する情報 ・空間放 うまき 2018/12/11 07:15:54
(0)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素50掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。