http://www.asyura2.com/18/genpatu50/msg/418.html
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(上図は[1]より引用)
世界にある高自然放射線地域では、年間20mSvを越える被ばくをしているのに
健康被害は報告されていないから心配しなくてよいと政府や原子力ムラは主張しているが、
本当だろうか。
よく例に取り上げられるインド・ケララ州の例を取って検証しよう。
この地域にはモナザイトが豊富にあり、モナザイト中の酸化トリウム(トリウム232)と
トリウム系列の壊変核種から放出されるアルファ、ベータ、ガンマ線により線量が高い[2]。
モナザイトに含まれるトリウムは、日本国内では原子炉等規制法により厳しく規制されている。
取扱いガイドラインもある[3]。
日本では2000年にモナザイトを大量に保管している団体が問題になったことを覚えている人も
いるだろう[4]。
モナザイトは決して安全な鉱石ではないのである。
この地域の住民の健康調査をしても、他の線量が高くない地域とくらべ異常が認められないと
言われている。
しかしこの調査を行なっているのは、インドのバーバ原子力センターやWHOなど原子力を
推進する団体であり、中立性に欠く。
実は、この地域ではダウン症などの先天性異常が多く見られるという報告がいくつもある[5][6][7]。
インドの医療水準は日本ほどは高くなく、経済的理由で病院に通えない人も多数いるだろう。
安易な調査で他地域と差異はないと断定すべきではない。
内部被ばくを考える上で、体内に取り込まれる核種が非常に大切である。
トリウム232(半減期140.5億年)は崩壊して、ラジウム228、トリウム228、鉛212などに壊変し、
最後には鉛208になる[8]。
このトリウム系列では、われわれが問題にしているヨウ素131、セシウム134/137、
ストロンチウム90は全く生成されない。
核種により沈着する部位もその影響も異なるのだから、これでは比較にならない。
純度も考えなければならない。
天然モナザイトに含まれる放射性物質よりも、ウラン鉱石を精錬・濃縮して製造した核燃料が
核分裂して生じた放射性物質のほうがはるかに純度が高く危険であることは明らかである。
これは自然界に豊富に存在する放射性のカリウム40が、生体に大きな影響を
与えないことからもわかる。
トリウムで思い出すのがX線造影剤のトロトラストである[9][10]。
これは二酸化トリウムを主成分とするコロイド溶液で、1930-40年代に使われた。
ところが血管に注入されたトロトラストは排泄されず肝臓、脾臓、骨髄などに沈着し、
何と30年以上も経ってから肝がんなどを引き起こすことがわかり、使用されなくなった。
つまり、何十年も調査を続けなければ、モナザイトの害はわからないかも知れないのだ。
ケララ州住民にそんな長期的な追跡調査をしているとはとても思えない。
1980年代に三菱化成が出資するマレーシア・ブキメラのエイジアン・アース社が
モナザイトからレアアースを抽出する工程でトリウム232などの放射性物質が発生、
周辺住民に白血病やがんなど深刻な健康被害が出た[11]。
この事件からもわかるように、モナザイトが安全とはとても思えない。
以上の検討だけでも、インド・ケララ州と福島原発事故の汚染地域は
簡単に比較できないことがわかるだろう。
ケララ州の住民は毎年20mSvの放射線を浴びても健康被害はないから日本でも大丈夫
とはまちがっても言えないのである。
原子力ムラはひんぱんに高自然放射線地域を例に挙げるが、このような安全デマには
惑わされないよう十分気をつけていただきたい。
(関連情報)
[1] 「放射線のホント」 (復興庁)
http://www.fukko-pr.reconstruction.go.jp/2017/senryaku/pdf/0313houshasen_no_honto.pdf
[2] 「インドの高自然放射線地域における住民の健康調査 (09-02-07-02)」 (ATOMICA 1998/5)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-02-07-02
[3] 自然起源放射性物質に関係する法律 (放射線医学総合研究所)
http://www.nirs.qst.go.jp/db/anzendb/NORMDB/1_houritu.php
[4] TOPIC No.3-18 放射能鉱石モナザイト
http://www2.cc22.ne.jp/hiro_ko/3-18monazaito.html
[5] 世界のヒバクシャ 8.「放射能海岸」の悲劇 (中国新聞・ヒロシマ平和メディアセンター 2013/2/20)
http://www.hiroshimapeacemedia.jp/?exposure=20130220103812231_ja
[6] 「インドのケララ州は安全です、おい、いいかげんうそつきはやめよ。」
(原発はいますぐ廃止せよ 2011/12/19)
http://pfx225.blog46.fc2.com/blog-entry-643.html
[7] 「元WHOフェルネックス医学博士に聞く内部被曝の真実 by 竹野内真理」
(阿修羅・mainau 2013/7/30)
http://www.asyura2.com/13/genpatu32/msg/686.html
[8] トリウム-232(232Th) 原子力資料情報室
http://www.cnic.jp/knowledge/2604
[9] 「トロトラスト」 (ATOMICA)
http://www.rist.or.jp/atomica/dic/dic_detail.php?Dic_Key=1410
[10] 「トロトラストによる放射線の晩発障害 (09-03-01-11)」 (ATOMICA)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-03-01-11
[11] マレーシアのレアアース抽出工場〜ブキメラ放射能汚染
「私たちは、涙がかれる程たくさん泣きました」 (ブログ「風の谷」 2013/12/5)
http://blog.goo.ne.jp/flyhigh_2012/e/b819c2b8f0ed795d72c48ed5c0ecb6a0
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