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小泉純一郎元総理の講演会が8月25日(金)に佐賀市でおこなわれましたので、
その時の模様をお知らせします。
小泉元総理「3・11」後、初の佐賀県入り 原発問題を大いに語る
2018年8月25日、佐賀県保険医協会主催による小泉純一郎元総理講演会が
「原発ゼロ・自然エネルギーの推進を」と題して開催されました。
メイン会場は満席となる900名を超え、入りきれなった方は別室にてモニターでの講演に
聞き入りました。
以下、発言要旨(速記録より要約)
「総理在任中は原発必要だと言っていたのに、辞めたらなぜ反対なんだ。
無責任じゃないか」といわれてきた。
あのぶれない小泉が「なぜだ〜何でぶれたんだ〜」と(笑)。
理由は2つある。
その当時(私が総理時代)、経済産業省を中心に推進し、原発は30%程度の電力を供給していた。
日本の原発はスリーマイルやチェルノブイリの事故を教訓に、
安全対策第一でやっているので大丈夫であるという話を信じ推進してきた。
ところが7年前、東北大震災で状況がガラっとかわった。当時は民主党政権、
最悪の状況はどうなるのか、福島の原発は3基がメルトダウンをおこしてしまった。
4基目がメルトダウン起こした場合(4号機の使用済み燃料プールで燃料溶融
が起こった場合)の最悪の状況を想定せねばならなかった。
幸いにも4基目はメルトダウンはおこさなかったが、もし4基目がメルトダウンしたとなれば、
半径250キロ圏内の住民すべてが避難しなければならない。
東京も含まれ、約五〇〇〇万人の避難、1億1千万人の国民のうちの5000万人、
どこへ避難する。
これを契機に自分なりに勉強し始めた。あのフクシマ原発事故前から学者の中でも
原発は安全ではない、日本では原発をやってはいけないという学者の本もあった。
日本の原発は「トイレなきマンション」。ウランを燃やして電気を供給するが、
核の廃棄物は危険極まりなく、そのうえ捨て場所もない。
現在、世界にはたった1ヶ所しか最終処分場(建設中)は存在しない。
世界で唯一の最終処分場をもつフィンランドの現地を視察した際、
受け入れられる容量はたったの原発2基分しかなかった。
日本は福島の原発事故前は54基も原発が存在し、最終処分場さえないのに、
無謀にも100基にしようという計画があった。
確かに私が総理のときは原発を推進してきただけに、「無責任じゃないか」といわれて
本当に申し訳ない気持ちがある。
『過ちを改むるに憚ること勿れ』ということわざがある(拍手)。
昔の人はいいこと言ったものだ。私はあやまちを反省しつつ、転換し、
原発をゼロにしていく考えとなった(拍手)。
先日、黒川清先生(元日本学術会議会長)に会った。
あのフクシマ事故は「地震が原因なのか津波が原因なのか」と聞いた。
黒川先生は「確かにそれは1つの要因だけれども、人災だ」といわれた。
「なぜ人災なのか」尋ねた。
あの福島原発が完成する前から安全対策が不十分ではないのかという議論があった。
ところが当の東電は安全対策は十分といっていて対策を取ろうとしなかった。
その時点でもっと安全対策をしていれば、あのメルトダウン、
放射能の拡散も防げたのではないのか。
東電は安全第一ではなく経営第一主義、黒川先生はそう言っておられた。
崩れ去った経産省の三大大義名分
2011年3月11日のメルトダウンの根本的な原因は原発を監督・監視する
経産省側と規制される側である電力会社の立場が逆転してしまったことにある。
規制する側の経産省の幹部たちは原発会社の虜になったとまでいわれていた。
今だにこの体質は変わってない。大変理解に苦しむ。(中略)
つい最近だが、経産省は2030年のエネルギー計画で基幹電源として20〜22%は
原発電源で確保するといっている。
この7年間、1日たりとも停電すらなかったことが原発に頼らずやれることを証明しているではないか。
今年の3月時点で(再生可能エネルギーが)15%以上占めるまでにあがってきた。
太陽光だけでも原発10基分のエネルギーを生み出している(驚きの声)。
経産省の三大大義名分としてきたのが、@絶対安全、Aコストが安価、BCO2を出さないクリーン、
これが全部ウソであると証明された。
テレビ局から出演の依頼が来て、出演した際に、「(全部ウソであるということを)
ここだけは絶対カットするな」と強調した。
インタビュアーからは「わかりました」といってはいたものの、見事にカットされていた(笑)。
これはインタビュアーはカットするつもりはなかったようだが、番組で電力会社の
(原発推進)コマーシャルやっているためボツとなった(笑)。
そして、もんじゅ、「夢の原子炉」。名前がいい。核の廃棄物をこのもんじゅで
再処理するとまた原料となるので「夢の原子炉」と言われた。
85年着工、10年後の95年に完成(同年ナトリウム漏えい事故)、
10年経っても修理できない、20年経ってもできない、夢の原子炉ではない、
あれは「幻の原子炉」になった。
これまで投入された金額は1兆1千億円。これは全部国民の税金。
維持管理費だけでも1日あたり5500万円かかっている。
これも国民の税金。原発ほどカネがかかるものはない。(中略)
もう原発は必要ないし、その時代ではない。自然エネルギーの時代であり、
野党はこの点で結集している。
与党も首相自身が示せばそうなるのだが、安倍さんはそれをやろうとはしない。
本人にいくら言ってもわかろうとしない、不思議だ(笑)。
よく本人には話はしているのだけど(笑)。
こんな当たり前なものをなんで政治家はわからないのだろうか。
やっぱり引退するとダメなのか(笑)。
時代は脱原発、自然再エネへ
今年は維新一五〇年。日清・日露戦争、第一次世界大戦と戦争につぐ戦争の繰り返す中で、
戦勝により日本はおごりがでていた。
しかし、猪瀬直樹氏の「昭和16年夏の敗戦」によると、太平洋戦争開戦前、
日本政府の有力者で構成されるシンクタンク(総力戦研究所)がすでにその報告書において、
アメリカとの国力の差は歴然でしかも負けるという結論に達していたにもかかわらず、
当時の近衛内閣は机上の空論として片付け、戦争への突入に閣議決定を下した経過がある。
そして敗戦。
危険を回避してこなかったという歴史的反省の上にたって戦後は出発することとなった。
戦後は高度経済成長期、石炭から石油へのエネルギー政策の転換、70年代には
オイルショックが油代の高騰をまねき、すべての物価があがった。
そして石油にたよるエネルギーからの脱却を試みることとなり、そのため原発に
エネルギー政策を見出そうとした。
今はその原発からの脱却にある段階、原発をゼロに段階的にしていく、
自然エネルギーへ転換するチャンスである。
私、小泉もみなさんとともに脱原発に精進していく覚悟である。ご清聴に感謝します。
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