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イスラエルのF-35がイラン領空を侵犯したとクウェート紙が伝えたが、ロシア国防省は全面否定
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201803290000/
2018.03.30 櫻井ジャーナル
イスラエルのF-35戦闘機2機がシリアとイラクの領空を侵犯した後、イランの領空へ入ったとクウェートのアル・ジャリダ紙は伝えている。高空からの偵察飛行で、シリアに配備されているロシアの防空レーダーは探知できなかったともいう。
しかし、この報道をロシア国防省は全面的に否定した。ロシア側によると、どのような航空機でも高空を飛行すれば容易に探知され、ミサイルで撃墜することも難しくないとしている。シリア領空へ侵入したイスラエルのF-35がシリアの防空ミサイルでダメージを受けた疑いがあることは本ブログでも伝えたことだ。
3月に入り、アメリカとイスラエルは合同軍事演習を始めた。イランからのミサイル攻撃を想定しての演習だとされているが、イラン攻撃の準備だと考えるべきだろう。ネオコンのポール・ウォルフォウィッツは国防次官だった1991年にイラク、シリア、イランを殲滅すると口にしていた。この話は2007年にウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官が語っている。(3月、10月)
ネオコンは1980年代からイラク、シリア、イランを殲滅するべきだと主張、まずイラクのサダム・フセイン体制を倒すべきだとしていたが、この当時はイラクをペルシャ湾岸の産油国を守る防波堤と位置づけていたジョージ・H・W・ブッシュ副大統領(当時)らと対立、スキャンダルが発覚する一因になった。
2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてからホワイトハウスの主導権をネオコンが握り、統合参謀本部内の反対を押し切って2003年3月にイラクを先制攻撃した。
9月11日の攻撃から10日ほど後、クラークはペンタゴンで統合参謀本部の知り合いからイラクを攻撃すると聞かされる。その数週間後、クラークが国防長官のオフィスで見せられた攻撃予定国のリストにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランが載っていたという。
2007年3月5日付けのニューヨーカー誌に掲載されたシーモア・ハーシュの記事によると、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアがシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を始めている。
この工作を作成するにあたって中心的な役割を果たしたのはリチャード・チェイニー副大統領(当時。以下同じ)、ネオコンのエリオット・エイブラムズ国家安全保障問題担当次席補佐官、ザルメイ・ハリルザド、そしてサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン国家安全保障問題担当顧問(元アメリカ駐在大使、後に総合情報庁長官)だという。
そして2011年2月にリビアで、3月にはシリアでアル・カイダ系武装集団による侵略戦争が始まる。その武装集団を雇い、武器/兵器を提供、軍事訓練を行ったのがアメリカ、イスラエル、サウジラビアの三国同盟を中心とする勢力。その勢力にはサイクス-ピコ協定コンビのフランスとイギリス、オスマン帝国の復活を夢見るトルコ、天然ガスのパイプライン建設を拒否されたカタールも含まれた。
現在、この構図は崩れ、アル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)は事実上、壊滅している。それに変わる手先としてアメリカはクルドを使おうとしたが、思惑通りには進んでいない。
そこでイスラエルやサウジアラビアはアメリカを使ってシリアやイランを破壊しようとしているが、3月1日にロシアのウラジミル・プーチン大統領は自国やロシアの友好国が国の存続を揺るがすような攻撃を受けたならロシア軍は反撃すると宣言、シリアやイランへアメリカ軍が直接軍事侵攻することは難しい情勢だ。
アル・ジャリダ紙の話は、シリアやイランを攻めても簡単に片がつくというという宣伝にも思える。アメリカ軍の上層部にもイスラエルのためにアメリカの将兵は命をかけるべきだと考えている人もいるらしいが、実行することは難しいだろう。
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