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米国がシリアで新たな戦争を目論む中、MANPADSでロシア軍機が撃墜された(前半)
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2018.02.06 櫻井ジャーナル
シリア北西部のイドリブで2月3日にロシア軍機Su-25がMANPADS(携帯型防空システム)で撃墜され、脱出したパイロットは地上での戦闘を経て死亡した。攻撃に関わったと見られるジャブハト・アル・シャム(ジャブハト・アル・ヌスラ)の戦闘員約30名はロシア軍が巡航ミサイルで殲滅している。
アル・シャムやアル・ヌスラというタグが付けられた武装集団はアル・カイダ系。つまり、サウジアラビアが雇い、CIAが訓練、イスラエルが協力してきた傭兵が源流で、2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)が作成した報告書によると、反シリア政府軍の戦闘員はサラフィ主義者(ワッハーブ派)やムスリム同胞団が中心で、その実態はイラクで活動していたAQIと同じ。バラク・オバマ大統領が主張していた「穏健派」は存在していなかった。
DIAの報告書はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配国が作られる可能性があるとも警告しているが、これはダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)という形で現実になった。このダーイッシュも源流はアル・シャム、アル・ヌスラ、AQIと同じだ。
アル・シャムがMANPADSをどこから入手したか調べるためにシリアの特殊部隊がイドリブで活動中だというが、少なからぬ人はアメリカを頭に浮かべたはずだ。それを感じたのか、アメリカ軍はMANPADSの供給を否定している。
アメリカはシリア北部、トルコとの国境近くに3万人規模のシリア国境軍を編成するとしているが、その主体はSDF(シリア民主軍)/YPG(クルド人民防衛隊)。イスラエルでは、アメリカがこの勢力にMANPADSを提供していると伝えられている。
2011年にシリアへの侵略が始まった当時、その背後にはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟を中心に、イギリス、フランス、トルコ、カタールなどが参加していた。侵略に使われた傭兵は三国同盟系、トルコ系、カタール系などに分かれていたようだが、当初は連携していた。
ところが、2015年9月30日にロシア軍がシリア政府の要請で軍事介入して戦況が政府軍優位になると侵略勢力の結束が弱まり、トルコやカタールは離反した。その結果、傭兵集団も内部対立が生じる。イドリブの主要武装勢力はトルコ系とアメリカ系で、今回の撃墜にトルコ系は関与していないと見られている。(つづく)
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