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米国を後ろ盾とするクルド系武装集団が米国を後ろ盾とするダーイッシュからラッカを奪還した
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201710180000/
2017.10.18 櫻井ジャーナル
アメリカを後ろ盾とするクルド系のSDFがラッカ北部の都市を完全に制圧したと発表、日本のマスコミはその話を垂れ流している。相変わらずの「大本営発表方式」である。ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)は2013年3月にラッカを制圧、翌年1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言してラッカを「首都」に定めた。モスルを制圧し、トヨタ製の真新しい小型トラックのハイラックスを連ねた「パレード」を行ったのはその年の6月だ。
しつこく指摘するが、このパレードを含め、ダーイッシュの行動をアメリカの軍や情報機関はスパイ衛星、偵察機、通信傍受、人から情報を把握していたはずである。それにもかかわらず攻撃せずに静観していた。
アメリカ政府はそうした動きを静観していただけでなく、ダーイッシュ的な武装集団の支配地域が作られるという警告は2012年8月の段階でDIA(国防情報局)から提出されている。当然、その情報をバラク・オバマ大統領も知っていたはずだ。そのときにDIA局長だったマイケル・フリン中将は2014年8月、ダーイッシュが売り出された直後に解任された。
こうした傭兵を使った侵略作戦を推進するため、2015年2月17日には戦争に消極的だったチャック・ヘイゲル国防長官が解任され、同年9月25日にはサラフィ主義者を中心とする武装勢力を危険視していたマーティン・デンプシー統合参謀本部議長が退任している。戦争体制が整備されたわけだが、その直後にロシア軍が介入してネオコンの計画は躓いている。
アメリカ、イスラエル、サウジアラビアを中心とする勢力のシリア侵略、バシャール・アル・アサド政権排除、傀儡体制の樹立というプランは風前の灯火である。本ブログでは何度も書いてきたように、最大の原因は2015年9月30日に始まったロシア軍の空爆だ。
ロシア軍はシリア政府の要請で軍事介入、アメリカ主導軍とは違い、本当にサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を主力とする戦闘集団、つまりアル・カイダ系武装グループやダーイッシュを攻撃して戦況を一変させてしまった。ジョン・ケリー前国務長官の言葉を借りると、方程式を変えてしまった。
サラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団を使ったシリア侵略に失敗したアメリカは、こうした勢力を自分たちが倒したかのような宣伝を展開している。第2次世界大戦でドイツ軍と戦い、勝ったのは米英だというおとぎ話を広めたのと同じ手口だ。
本ブログでは何度も書いてきたが、現在、シリアではデリゾールから東南へ延びる油田地帯の争奪戦になっている。アメリカを後ろ盾とするダーイッシュはアメリカを後ろ盾とするSDFの進軍に協力、石油関連施設への立ち入りを許しているが、シリア政府軍も迫っている。その油田地帯の戦いに参加するため、ラッカから戦闘員が移動していると見られている。
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