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https://jp.sputniknews.com/opinion/201708063964173/
広島原爆の日:原爆を落とした国の「核の傘」で守ってもらう日本の姿勢を悲しむ被爆者
© REUTERS/ Kyodo
オピニオン
2017年08月06日 10:38
徳山 あすか
世界には約1万5千発以上の核兵器があると言われている。原爆の日には毎年、核兵器廃絶への願いが叫ばれる。先月、国連で採択された核兵器禁止条約は、核のない世界に向けた第一歩ではあるが、その道のりは険しい。
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北朝鮮問題を協議した7月5日の日米防衛相電話会談で、マティス米国防長官は「核の傘」による抑止力の提供を約束し、米国の最大限の能力を使って日本を守ると伝えた。その2日後の7日、122か国の賛成で国連において核兵器禁止条約が採択されたが、日本は「署名することはない」と明言した。日本はその理由を、核保有国の協力がなくては核兵器のない世界は実現できないから、だとしている。やはり交渉に参加しなかった核保有国の米英仏3か国は共同声明を発表し、「国際的な安全保障環境の現実を無視している」として、核兵器禁止条約を批判した。
国連軍縮会議の元事務局長で、2011年まで国連事務次長も務めたロシアの外交官、セルゲイ・オルジョニキーゼ氏は「未来のない思いつきだ。客観的抑止力を保証する核兵器のメカニズムを一晩で壊そうという考えは、ユートピア的なものだ。そもそも核大国の参加なしに、核分野で何らかの決定を下そうとするのはナンセンスである。露米など5か国が所有する核兵器は核拡散防止条約によって『正当なもの』とされているのに、あらゆる核兵器が違法とみなされることは受け入れられない」との見解を示している。
昨年5月、オバマ米大統領(当時)は現職の米国大統領として初めて広島を訪問した。オバマ氏は2009年4月、名高い「プラハ演説」において「アメリカが核兵器のない平和で安全な世界を追求する」と約束したが、大統領退任までにその理想が叶うことはなかった。
© AFP 2017/ Raymond Roig
最後に核兵器を使用した国がどこであるか米国は知っているのか
オバマ氏と面会した、広島県原爆被害者団体協議会の坪井直(つぼい・すなお)理事長は「オバマ氏訪問後の一年間で、核兵器廃絶・戦争のない世界に近づいたと思うか、それとも心配事が増えたか?」との問いに対し、「私は心配が増えている。トランプさんの言動、イスラム国の動き…、世界が乱れているのを嘆くばかりだ。核兵器禁止条約の動きは始まりの始まり。皆で話し合おうという雰囲気ができた点は評価できるが、賛成国の間にも様々な思惑がある。とは言え、今が人類を救うかどうかの瀬戸際。核兵器への向き合い、平和ということについて、皆が考えるべきだ」と答えた。
日本の被爆者は、命がけで核廃絶を訴えている。14歳のとき広島で被爆した山本定男さんは「核兵器を世界中からなくしていくことが非常に大切だ。世界の核大国である米国もロシアも、米国の核の傘の下にある日本も、核兵器禁止条約に参加していない。私たち被爆者にとってこれは本当に悲しい。核保有国は率先して核兵器をなくしていこうと声を上げてほしい」と話す。また、11歳で広島で被爆した山田玲子さんのように、核兵器の恐ろしさを伝えて核のない世界を実現するため、思い出したくないほど辛い体験を、あえて話して聞かせる語り部もいる。
広島では2日、核兵器に頼らない安全保障体制の構築について議論する平和シンポジウムが行なわれた。核保有国を会合に引き込む構想などが話し合われ、北朝鮮の行動に対し核抑止力が必要であるという考えは「現実を単純化したもので、乱暴だ」といった意見が出された。
タグ 広島, 歴史, 日本
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