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ASEANが東方志向するにつれ、ついてくるISIS
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2017年7月24日 マスコミに載らない海外記事
Tony Cartalucci
New Eastern Outlook
2017年7月17日
アメリカの権益が脅かされると、邪魔になっている連中を脅かして、ISISが偶然出現する。地政学的強要のこの益々見え透いたパターンの背後に何があるのだろう?
南フィリピンにおける、政府軍と、いわゆる“「イスラム国」”(ISIS)とつながる過激派との間の戦争が長引く中、テロリスト集団が、そもそもそこで作り出されたシリアとイラクから遥か遠くの場所でも、アメリカがl利用しているという恐れが高まっている。アメリカ国境外で、アメリカ権益に反対したり、妨害したりする国々は、今や武力による強要のこの隠微な手法の標的になりかねない。
アメリカ合州国は、かつては地域内で最も親密な同盟国々だった東南アジア中の国々や政治体制との関係が次第に悪化しつつある。これには、人口約7000万人の国で、2014年、アメリカが支援していた傀儡政権を無血軍事クーデターで打倒した国、タイも含まれる。
以来、バンコクは、北京やモスクワや、ワシントンによる独占的な地政学的、経済的、軍事的影響力の代替をタイに提供できる事実上、他のすべての国民国家に接近し、ワシントンの影響力から、更に決定的に遠ざかりつつある。
タイの軍事機器の大半が、何十年間もアメリカ製ハードウエアで構成されていたが、今やロシア、中国、ヨーロッパや、自国産の兵器体系の組み合わせに置き換えられつつある。そうしたものには、中国の主力戦車、ロシアのヘリコプター、スゥエーデンの戦闘機、自国企業が開発した装甲兵員輸送車やロケット弾発射装置がある。
最近、タイは、中国と、タイ王国初の近代的潜水艦購入の大規模武器取り引き契約を調印した。総計三隻の潜水艦を購入し、地域におけるタイ海軍の能力を強化し、より具体的には、タイと中国の海軍が技術的、戦略的協力で、より密接になる。
タイに、フィリピン、マレーシア、インドネシアなどの国々が続いており、ミャンマーやベトナムさえある程度までそうだ。
タイや他の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国が東に向けて移行しつつある中、ワシントンが設立し、支援し、命令する非政府組織(NGO)や野党を装うアメリカが資金提供するフロント組織を使って、アメリカは、これらの国々への圧力を予想通りに強化している。
与党が、既に長年支援してきたアメリカ傀儡政権であるミャンマーのような国では、政府が北京側により過ぎたとワシントンが感じると、人権侵害問題を利用して圧力をかける。
こうした強要の手法が益々効果を失う中、アメリカは、より直接的な強要手段であるテロも利用している。
アメリカとつながる東南アジアのテロ
2015年、テロで指名手配されている中国国民が、そこで必ずや隣国シリア政府を打倒するアメリカが支援する取り組みに加わるはずのトルコに行くを認めるようにというアメリカの要求に屈するのを、タイが拒否すると、テロリストが、バンコク中心部で爆弾を爆発させ、20人を殺害し、更に多くの人々を負傷させた。欧米の専門家たちでさえ、容疑者たちは、非対称戦争の手段として、NATOが作り出し、アメリカ合州国自身によって、何十年も育てられてきたトルコの灰色狼戦線メンバーの可能性が高いと結論した。
また、ASEAN中で、いわゆる “「イスラム国」” ISISの存在感が増大している。
インドネシアは、東へ向かう移行を続ける中、ISISとされるテロリストに標的にされた。2016年のジャカルタでの攻撃が起きたのは、インドネシアが、更なる国鉄路線建設で、中国企業に有利な決定をした後のことだ。
最近、マレーシア治安部隊が、タイ-マレーシア国境の両側で活動しているISISテロ細胞とされるものを破壊した。
マラウィ市のフィリピン国軍 (出典: New Eastern Outlook)
フィリピンでは、ISISの暴力は、単なるテロ攻撃を超え、フィリピン南部の都市マラウィの運命を巡る長引く戦争として立ち現れた。
アメリカやヨーロッパのマスコミは、アジアにおけるISISの存在の拡大をあからさまに認めながら、この拡張の説明の仕方が筋の通らないことを完全に指摘し損ねている。
ISISは国家が支援するテロだが、支援国は一体どこか?
欧米の言説によれば、イラン、ロシアが支援するシリアとイラクの政府軍で構成される連合軍と、レバノンを本拠とする部隊、ヒズボラによる補強部隊に対し、シリアとイラクで、ISISは、不思議なことに、戦闘能力を維持できている。ISISは不思議にも、その闘争を世界的に展開し - 攻撃を世界中で実行し、益々有力になりつつある過激派細胞を東南アジア中で構築することができている。
欧米の言説によれば 、ISISは人質の身の代金、闇市場の石油、大変な速さで縮みつつあるシリアとイラク内の領土へのわずかな“課税”収入から得る資金でこれを行っている。
ところが現実には、持続的で、大規模な複数の国家による支援なしには、ISISは存在しえなかったはずだ。どの国がISISを支援しているのかに答えるには、アメリカ合州国自身の諜報機関報告書を読みさえすればよい。
アメリカの国防情報局 (DIA)が、2012年の報告書で、アメリカが率いる枢軸によって、当時“サラフィー主義者”(イスラム)“侯国” (国)と呼ばれたものを樹立する進行中の計画を明らかにしていた。
DIAの流出した2012年報告書(.pdf)に、こう書いてある(強調は筆者):
もし状況が展開すれば、東シリア(ハサカとデリゾール)に、宣言した、あるいは宣言しないサラフィー主義侯国を樹立する可能性があり、そして、これは、シーア派(イラクとイラン)拡張の戦略的最深部とみなされているシリア政権を孤立させるため、反政府派を支援している諸国がまさに望んでいることだ。
一体どういう“支援勢力”がその創生を支援していたのかを明らかにすべく、DIA報告はこう説明している(強調は筆者)。
欧米、湾岸諸国とトルコは反政府派を支持している。一方ロシア、中国とイランは政権を支持している。
大統領候補で、元アメリカ国務長官ヒラリー・クリントンの漏洩した電子メールも、アメリカの幹部政治指導者連中がサウジアラビアやカタールを含むアメリカの最も親密な中東の同盟諸国を、ISISへの国家支援のかどで責任転嫁していることを暴露している。
ウィキリークスが公表した電子メールにはこうある。
…[ISIS]や地域の他の過激なスンナ派集団に対して秘密の財政的支援や、後方支援を行っているカタールやサウジアラビア政府に圧力をかけるため、わが国の外交や、より伝統的な諜報資産を活用する必要がある。
もしISISが、シリア政府に、強要、あるいは打倒さえすべく、ロシア、イランや、地域の同盟諸国に対し、代理戦争をしかけるため、アメリカと同盟諸国により、代理として利用されているのであれば、地域の国々が次第にワシントンから離れつつある中、東南アジアにISISが突然出現したのは単なる“偶然”ではないという方が理にかなっている。
アメリカのアジア“基軸”が、つまずきや、撤退としてさえ展開しているがゆえに、ISISが東南アジアに出現しているのだ。アジアに対する優勢という大胆な宣言にもかかわらず、アメリカは益々、北京のみならず、アジア太平洋中で、アジア太平洋に実際に存在している国々に有利になるよう、力のバランスを変えようとしている多くの国々との激しい争いをしつつあるのだ。
衰退するアメリカの影響力が、アメリカによる破壊を増大させている
中東において、アメリカの影響力が衰退しつつあることが、ワシントンが、自分が影響力を及ぼして、搾取することができない国々を、不安定化し、分裂させ、破壊する地域での企みを引き起こしているのと同様に、似たような作戦が、アジア太平洋で進行中なのだ。アメリカの干渉は、朝鮮半島から南シナ海、東南アジア中、更には、アフガニスタンの山々や中国国境西端さえ超えて広がっている。アメリカが、お互いを戦わせようとしている国々の間、あるいは、国内での土着の政治組織と、ワシントン自身のために、ワシントンによって支援されている政治組織との間で危機が迫っているにせよ、徐々に展開しているにせよ、共通項は紛争だ。
ワシントンによる地政学的強要や急場しのぎの手段としてのテロ利用を理解し、暴露することが、この忌まわしい手段を、ワシントンのあの手この手の地政学的策略から取り除くための第一歩だ。ISISや、それとつながるテロ組織がテロを実行する度に、ワシントンと、地域におけるその非生産的な役割が一層実証されるにすぎず、アジア太平洋からのアメリカ撤退を一層早く確実なものにするだけのことだ。
ワシントンに残されたものと言えば、国家主権を尊重する公平な条件で、アジア諸国とのつながりを再建するという絶好の機会が素早く閉じつつあることと、アメリカ国境の外のあらゆる場所で“アメリカの優位”という概念を、終わらせることしかない。
Tony Cartalucciは、バンコクに本拠を置く地政学専門家、著者で、これはオンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2017/07/17/as-asean-shifts-east-isis-follows/
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