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2014年から露国へ接近する動きを見せていたイラクが戦車を米国製のM1A1から露国製のT90へ
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201707210000/
2017.07.21 13:24:45 櫻井ジャーナル
イラクがロシアから73両のT 90戦車を購入すると伝えられている。アメリカ製のM1A1 エイブラムズ戦車がダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)との戦闘で保有していた140両のうち28両が対戦車ミサイルで破壊され、その脆弱性が問題になったようだ。
2003年3月にアメリカ主導軍がイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を倒して以来、イラクはアメリカの強い支配下にある。2009年2月、大統領に就任して間もないバラク・オバマは翌年の8月までにイラクにおける軍事作戦を終え、5万名までの部隊をイラクの治安部隊を「訓練」するため残すだけにすると宣言した。それに対し、イラクの首相だったヌーリ・アル・マリキは訓練のためのアメリカ軍も不要だとしていた。
調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年3月5日付けのニューヨーカー誌に書いた記事によると、その段階でジョージ・W・ブッシュ大統領はイスラエルやサウジアラビアと手を組んでシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作を始めると決断している。
その記事に登場するジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院のディーンで外交問題評議会の終身メンバーでもあるバリ・ナスルはサウジアラビアが「ムスリム同胞団やサラフ主義者と深い関係がある」と指摘したうえで、「サウジは最悪のイスラム過激派を動員することができるが、箱を開けて彼らを外へ出したなら、2度と戻すことはできない」と警告している。
この工作が戦闘という形で明確になったのは2011年春。リビアとシリアで戦闘が始まり、リビアのムアンマル・アル・カダフィ政権は倒された。アメリカ/NATOとアル・カイダ系武装集団のLIFGが連携しての攻撃だったが、それにはイギリス、フランス、サウジアラビア、カタールなども参加している。カダフィが惨殺された直後、ベンガジの裁判所にはアル・カイダの旗が掲げられ、その映像がYouTubeにアップロードされ、イギリスのデイリー・メイル紙も伝えていた。
リビアでの任務を終えたアル・カイダ系武装集団の戦闘員は武器/兵器と共にシリアへ運ばれるが、その工作を実行したのはCIAとアメリカの国務省。その際に化学兵器も運ばれている。この当時のCIA長官はデイビッド・ペトレイアス、国務長官はヒラリー・クリントンだ。
ペトレイアスは中央軍司令官、ISAF司令官兼アフガニスタン駐留アメリカ軍司令官、そしてCIA長官に就任した軍人でリチャード・チェイニー元副大統領やヒラリー・クリントンに近い。戦闘員と武器の輸送はこの人脈が実行したとも言える。
こうした輸送が進められていた2012年8月、アメリカ軍の情報機関DIAはシリア情勢に関する報告書を作成、反シリア政府軍の主力がサラフィ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI(DIAによると、アル・ヌスラとはAQIがシリアで使っていた名称)で、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。シリアで政府軍と戦っている集団に事実上、穏健派はいないということだ。
この報告書が作成された翌月、ベンガジのアメリカ領事館が襲撃されてクリストファー・スティーブンス大使も殺されている。ハーシュによると、襲撃の前日、スティーブンスは武器輸送の責任者だったCIAの人間と会談、襲撃の当日には武器を輸送する海運会社の人間と会っていた。
これと並行して西側の有力メディアはリビアのようなNATOの直接的な軍事介入を正当化するための偽情報を流すが、その嘘は発覚、13年には化学兵器を政府軍が使ったする話も伝えるが、これも嘘だということが明らかにされた。(この内容は本ブログで繰り返し書いてきたので、今回は割愛する。)
そして2014年3月、イラクの首相だったヌーリ・アル・マリキはアメリカの同盟国であるサウジアラビアやカタールがイラクの反政府勢力へ資金を提供していると批判、ロシアへ接近する姿勢を見せる。
4月に行われた議会選挙ではマリキが党首を務める法治国家連合が第1党になり、本来なら彼が首相を続けるのだが、指名されない。アメリカ政府が介入したと見られている。首相に選ばれたのはハイデル・アル・アバディだった。
その年の1月にファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルを制圧している。その際にトヨタ製の真新しい小型トラック「ハイラックス」を連ねてパレード、その様子は撮影され、世界に配信された。ダーイッシュの登場だ。
その写真を見て少なからぬ人が疑問を持っただろう。アメリカ軍はスパイ衛星、偵察機、通信傍受、人からの情報などでダーイッシュの動きを把握していたはずで、ダーイッシュのパレードは絶好の攻撃目標。
8月にダーイッシュは拘束していたジェームズ・フォーリーの首を切り落としたと宣伝、映像が公開される。ところが、その映像では首の前で6回ほどナイフが動いているものの、実際に切っていないうえ、血が噴き出していない。つまり、少なくともカメラの前で彼は殺されていない可能性が高い。
この行為がひとつの切っ掛けになり、アメリカ軍を中心とする連合軍は2014年9月にシリアで攻撃を始めるが、その時に現地で取材していたCNNのアーワ・デイモンは翌日朝の放送で、ダーイッシュの戦闘員は空爆の前に極秘情報を入手、攻撃の15から20日前に戦闘員は避難して住民の中に紛れ込んでいたと伝えている。その後、ダーイッシュは支配地を拡大していく。
ところが、2015年9月30日にロシア軍がシリア政府の要請で空爆を始めると戦況は一変してダーイッシュは劣勢になる。ロシアの戦闘能力と反ダーイッシュの意思を見たアバディはイラクもロシアに空爆を頼もうとした。そうした動きを見たアメリカ政府は10月20日にジョセフ・ダンフォード米統合参謀本部議長をイラクへ送り込み、ロシアへ支援要請をするなと恫喝したようだ。
しかし、イラクはロシア、シリア、イランとの関係を断ったわけでなく、今回のT 90戦車購入につながった。シリア侵略に参加した国のうち、トルコやカタールは離脱、トルコ政府はロシアに対し、シリア北部に展開しているアメリカ軍が拠点にしている10基地の位置をロシアへ知らせたとも言われている。
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