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「米朝開戦」そのとき日本で起きること【インサイドレポート】 ゴキゲンな安倍総理vs戸惑う外務省
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51590
2017.05.01 週刊現代 :現代ビジネス
ついに始まった、金正恩とトランプの直接対決。本気と脅し、真実とフェイクが錯綜する中で、日本の政府中枢では一向に具体策が決まらない。うかうかしていると、取り返しのつかないことになる。
安倍総理はゴキゲン
「北朝鮮情勢が緊迫してきてから、安倍さんはすっかり元気になって、『ツキがまわってきた』と側近たちに話しています。『安保法制も、集団的自衛権も、やっておいてよかっただろ。シナリオ通りだよ』とも」(官邸スタッフ)
世界はいま、固唾をのんで極東を見守っている。
一糸乱れぬ兵士たちの行進、大量のミサイル、列をなして進む戦車……金正恩・朝鮮労働党委員長が、満足げな笑みを浮かべて見下ろす一大軍事パレード。中には、これまで確認されていなかった、トレーラーに載った巨大な大陸間弾道ミサイル(ICBM)とおぼしき兵器も見えた。
しかし、安倍総理はゴキゲンだ。
「なんといっても、内閣支持率が急回復しています。森友学園のスキャンダルで下がり始めたときはどうなるかと思いましたが、やっぱり『外患』の効果はすごい。『神風』ならぬ『北風』がまた吹いた、と官邸ではもっぱら言われています」(前出・官邸スタッフ)
2月中旬、3月上旬と、北朝鮮は弾道ミサイルの発射を繰り返してきた。前者は稲田朋美防衛相がしどろもどろな答弁をして国会で野党の集中砲火を浴び、後者は森友スキャンダルと「昭恵夫人問題」に火がつき始めた頃である。
そして、共謀罪法案の審議で国会が紛糾している今回――安倍総理は今まさに、山積みのはずの難題をすべて「北風」で吹き飛ばす、千載一遇のチャンスを手にしたのだ。
ある総理側近も言う。
「つくづく運の強い人ですよ、安倍総理は。
(4月)18日の昼、ペンス米副大統領と安倍総理が会食しました。その直後、安倍総理、麻生副総理、ペンス氏の3人が『立ち話』した際に、ペンス氏はこう伝えたそうです。
『空母カール・ビンソンを朝鮮半島近海に向かわせると発表したが、現段階でまだ、インドネシア付近にいる。北朝鮮だけでなく、中国を牽制するためだ。もちろん、北に不穏な動きがあれば、すぐさま朝鮮半島に向かう』
つまり、世界中を震撼させた『カール・ビンソン、北朝鮮へ』の報道は陽動作戦だったということ。この情報を得ていたから、その夜も総理は余裕で会食に出かけ、近年珍しいほど真っ赤になるまで飲んで帰ったのです」
安倍総理は、ペンス副大統領との面会の後、官邸と外務省のトップメンバーを集めて指示を出し始めた。
かねて厚い信頼をおく谷内正太郎・国家安全保障局長のほか、杉山晋輔外務事務次官、秋葉剛男外務審議官、森健良外務省北米局長らである。
中でも秋葉氏は、安倍総理がいま最も信頼する外務官僚で、次期次官就任が確実視されている。現時点でも「外務省は事実上の秋葉体制」と言われているほどだ。
在韓邦人を保護せよ
「4月の最終週に、カール・ビンソンが日本近海にやってくる可能性が高い。北朝鮮有事があることを前提にして、準備を進めてくれ」
安倍総理の頬は紅潮し、その口調は、これまでにない緊張を感じさせるものだった、と居合わせた外務省関係者は言う。
「安倍・ペンス会談は2時間近くの長時間に及びましたが、その詳しい中身は総理秘書官にさえ伝わっておらず、極秘です。
ただ、まず総理は腹心の一人で、対北朝鮮政策の現場指揮を事実上担っている谷内局長に、在韓邦人の保護スキーム作成と、それに伴う韓国側との協議を始めるよう指示しました。
有事の時には、朝鮮半島から難民が殺到する可能性も高いですから、国交省は山口県や福岡県にその場合のシミュレーションを復習させています。この両県では、すでに難民対応マニュアルが秘密裏に作られているんです。
官邸は4月25日の朝鮮人民軍創建記念日、いわゆる『建軍節』を最大のヤマ場と見ている。トランプ政権はそれまで中国に猶予を与えて、北朝鮮への石油輸出を止めるといった形で、中国から圧力をかけさせるつもりだと睨んでいるのです」
なかなか空母が姿を現さないことから、トランプ政権の「本気度」を疑う声も出ている。しかし、緊急時の情報はすべて「ブラフ(脅し)」の可能性を疑う必要がある。何の前触れもなく、米軍が平壌を叩くというシナリオも皆無ではない。
また、ここまで大っぴらに軍事的圧力をかけている以上、トランプ政権は手ぶらで帰るわけにもいかない。元米国防次官補で、ハーバード大学教授のジョセフ・ナイ氏はこう指摘する。
「ティラーソン国務長官をはじめ、トランプ政権の幹部は『オバマ政権がとっていた、戦略的忍耐≠フ作戦は失敗だった』と口を揃えています。金正恩の『良心』に期待して、北朝鮮が自分から核兵器開発を断念するだろう、という甘い考え方は捨てたということです。
トランプ大統領は、大統領選の最中もずっと『アメリカを再び強くする』と言い続けていました。
ここで行動を起こさないと、世界に『トランプのアメリカこそ、世界一パワフルで偉大な国だ』と知らしめることはできない。『なんだ、トランプも結局オバマと同じか』と言われることだけは、避けたいのです」
これまでもトランプ大統領は、就任前の世評に反して「言ったことはやる」、有言実行を貫いている。まして「北朝鮮を潰した大統領」として歴史に名を刻めるのなら、攻撃を躊躇わないだろう。
安倍の異様なテンション
もし「米朝開戦」となった場合、安倍総理はどう出るか――。
驚くべきことに官邸では、総理が政治家人生のライフワークと位置付けている、「拉致問題」を利用するプランが検討されているという。自民党議員が言う。
「アメリカが平壌を直接叩くという事態になれば、戦闘には参加できなくても、『拉致被害者保護』の名目で自衛隊を派遣できる。総理にとっては、『拉致被害者を取り戻す!』と堂々と言えるうえに、集団的自衛権発動・自衛隊派遣の実績を作れる絶好のチャンスです。
ここで本当に被害者を保護できれば、それこそ支持率は急上昇でしょう。'02年の小泉(純一郎元総理)電撃訪朝のときのように、一気に20%アップも夢じゃない」
このプランを裏付けるように、稲田朋美防衛相は18日の衆議院安全保障委員会で、有事の際に拉致被害者の救出を行うかどうかと聞かれて、こう答弁資料を読み上げた。
「先般の平和安全法制の整備により、新たに自衛隊による在外邦人等の救出や、警護などの保護措置が実施できるようになったことは、一歩前進だと思います」
北朝鮮崩壊の時が刻一刻と近づく中、航空自衛隊基地に降り立つ拉致被害者たち。日本の地を数十年ぶりに踏む彼らに、笑顔で歩み寄り、握手を求める――安倍総理の脳裏には、こんな自分の姿が浮かんでいるかもしれない。
この「悲願」を現実にしてこそ、総理も野党や世論の批判を押し切って安保法制を通した甲斐があるというものだ。
一方で、北朝鮮問題に関する実務を担う外務省では、テンションが上がる一方の安倍官邸とは対照的に、戸惑いが広がっているという。外務省キャリアがこう漏らす。
「安倍総理からの評価が高い秋葉(外務審議官)さんにとっては、北朝鮮有事も出世のチャンスかもしれませんが、現場はいい迷惑ですよ。具体的な判断は全部官邸とNSCがやって、われわれは下請け同然ですから。
総理の言う『有事を前提に』という点には異論はありません。ただ、官邸のプランの実現可能性については、なかなか厳しい。まず、在韓邦人を助けるためとはいえ、自衛隊の航空機がすんなり朝鮮半島に入れるとは思えません。
向こうの国民には、日本の軍隊に強い抵抗がありますから。結局は港まで自力で来てもらって、船でピストン輸送する程度の対応しかできないでしょう。海上で北のゲリラ的な攻撃を受ける事態にでもなれば、救出活動は完全に麻痺してしまいます」
在韓邦人の数は約6万人。現時点で、帰国などの指示を出している企業はほとんどなく、避難訓練も行われていない。「ぶっつけ本番」で乗り切るしかないのだ。
本誌の取材に、ある北朝鮮高官はこう答える。
「(米軍の攻撃を受けた場合は)朝鮮人民軍が『ソウル火の海作戦』を敢行する。すなわち、ソウルに向けてミサイルを2発ブチ込む。それで南の傀儡(韓国)はパニックに陥り、わが国に手出しができなくなるだろう」
北朝鮮が「人質」にとっているのはソウル市民だけでなく、日本の米軍基地、そして日本国民も同様だ。
一説には、北朝鮮は国土全域に、防衛拠点を網の目のごとく張り巡らせているという。米軍が手こずり、戦いが泥沼化すれば、日本も大きな被害を免れない。
北の工作員が日本上陸
「最大の問題は難民対策です。ボートピープルのような形で北朝鮮の人々が日本沿岸に流れ着いたら、すべてを捉えるのは困難。まして、その中に特殊部隊員や工作員が紛れていても、食い止める具体策はありません。
こういう時は情報収集に徹するしかないのですが、トランプ政権と金正恩体制、どちらも動きがさっぱり読めない。
官邸も外務省も『いつXデーが来るのか』『その時、何が起きるのか』については本当に『何とも言えない』というのが実状です」(前出・外務省キャリア)
日本海側の人気が少ない海岸へ武装した偽装難民が上陸し、そのまま街に紛れ込めば、追う術はない。彼らが人口密集地帯まで辿り着いたときには、もはや手遅れ――一般国民の犠牲者が数百人単位で出ることも覚悟しなければならない。
拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司氏も警鐘を鳴らす。
「米軍はトマホークミサイル、地中貫通爆弾などを総動員し、できる限り短期決戦で終わらせようとするでしょう。しかし、限定的な空爆で片が付かない場合は、日本に対しても北の特殊部隊や弾道ミサイルによる反撃があることは確実です。
日本はこれらに対して何の対策もできていませんし、有事の混乱の中、本土防衛まで米軍に頼るわけにはいきません。率直に言って、悲観的にならざるを得ません」
かつて日本軍の真珠湾奇襲攻撃の際、ホノルル市民の多くは「訓練だろう」と言って信じようとしなかった。たとえ何の変哲もない穏やかな日であろうと、「その瞬間」は前触れもなくやって来るかもしれない。
にもかかわらず今、安倍官邸は「支持率アップ」ばかりに気を取られ、一方の外務省はお手上げ状態。われわれ国民に出来るのはもはや、覚悟を決めることだけだ。
「週刊現代」2017年5月6日・13日合併号より
「米朝開戦」そのとき日本で起きること【インサイドレポート】 ゴキゲンな安倍総理vs戸惑う外務省
― もぎ子 (@black_dub4u) 2017年4月30日
北朝鮮情勢が緊迫してから、安倍はすっかり元気になり『ツキがまわってきた』と側近たちに話てます。『安保法制も、集団的自衛権もやって良か… https://t.co/g5mamAo7Tl
「米朝開戦」そのとき日本で起きることhttps://t.co/8fgU9eemVl
― 遠藤 翠 (@shakazen2011) 2017年5月1日
★山口さんちの再分裂もこの線上にあるよね。ただね、どうにも捻れてる。「満州国」の真の目的とは?…なんて事も今に繋がる。日本の統治は隠された系譜の暗闘が垣間見える?!。フロー図にしても分からないw。
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