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2017年4月12日 ロイター
南シナ海の戦略水域、中国は「アメとムチ」で勢力増大
4月10日、南シナ海のスカボロー礁付近の水域に、いかりを下ろした漁船が何マイルにもわたって列をなしている。背後には、中国海警局の小艦隊がにらみをきかせ、アジアで最も激しい領有権争いが起きているこの海域での中国の勢威を誇示している。写真は同礁で5日、中国国旗を掲げた漁船と中国の沿岸警備艇(2017年 ロイター/Erik De Castro)
[スカボロー礁(南シナ海) 10日 ロイター] - 濃紺の深海と淡青の浅瀬が接する南シナ海のスカボロー礁(中国名:黄岩島)付近の水域に、いかりを下ろした漁船が何マイルにもわたって列をなしている。
背後には、中国海警局の小艦隊がにらみをきかせ、アジアで最も激しい領有権争いが起きているこの海域での中国の勢威を誇示している。
国際司法の場で、中国がこの環礁を実効支配していることが違法と裁定されてから9ヵ月が経過したが、同国は今もこの豊かな漁場における主権を主張し、船団を増強している。
南シナ海の大半において主権を有するという中国の主張を無効とした常設仲裁裁判所の裁定の受け入れを、中国政府は拒否している。
ただし、中国船舶のあいだにフィリピン籍の船舶も点在していることから、この裁定をある程度遵守しているようにも見える。フィリピンのドゥテルテ大統領が、数十億ドル規模の融資や、投資、貿易交渉を中国と進めていることもプラスに働いている可能性がある。
写真はフィリピンの漁船ボートの横を通過する中国の沿岸警備艇。同礁で5日撮影(2017年 ロイター/Erik De Castro)
中国は10月、フィリピン船舶に対する排除行動を中止し、フィリピンから200キロ離れた海面に露出した岩礁の周縁部における漁船の操業を認めている。制限をさらに緩和しようとする動きも見られる。
ロイターの記者は先週、スカボロー礁に足を踏み入れた。外国メディアがこの地を訪れるのは、中国が実効支配を開始した2012年以降初めてのことだ。多数の小型漁船が日夜、この岩礁に出入りし、豊かな水産資源を獲得している様子をロイターの記者は目撃した。
潜水マスクを着け、銛を手にしたビンセント・パラワンさんは、岩礁内の水域で立ち泳ぎしながら、「中に入れてもらえるようになってありがたい。これで家族を養える」と語った。
「中国人にここにいて欲しいとは思わない。何しろ彼らは数が多いから、私たちの漁業に影響が出る。しかし共存しようという気持ちはある。追い出されるのは嫌だ。少なくとも今は、魚を捕ることができる」
サンゴ礁からなるこの環礁は、南シナ海における勢力争いの象徴的な存在であり、戦略上の「火薬庫」となっている。中国とフィリピンの他、台湾とベトナムもスカボロー礁に対する主権を主張している。
譲歩する姿勢を見せているとはいえ、この水域での中国のプレゼンスは増大している。海警局の艦艇と漁船で構成される船団の規模は、昨年末の衛星画像によって確認された数からさらに拡大している。
こうした動きにフィリピン政府は懸念を募らせている。フィリピンの排他的経済水域内にあるスプラトリー(南沙)諸島に人工島を築き、要塞化した中国が、スカボロー礁においても同じような野心を持っているのではないかと疑念を抱いているのだ。
平和的共存
スカボロー礁は水面にようやく頂点を出している岩からなる、1辺46キロの三角状の環礁で、フィリピン・中国両国の船舶は、そこから100メートルも離れていない場所に並んで投錨しており、両者のあいだには平和的な共存が見られる。
麦わら帽子をかぶった中国人が漁船のあいだを行き交い、フィリピン人と身振り手振りを交わしつつ、煙草や酒と魚を交換している。
小型漁船はブーンとエンジン音を響かせ、サンゴ礁が作る天然の消波堤を抜け、環礁内の水域を出入りする。何世紀も前から漁師たちに豊富な漁獲と嵐からの避難所を提供してきた場所である。
老朽化した手狭な漁船に乗ったフィリピン人漁師たちは、数のうえでは約10倍と優位にある、増強された中国船団との競争に不満を漏らす。
「以前は数日間、漁を行っていたが、今は数週間だ。少なくとも、ある程度は魚を獲れる」と語るのは、20年にわたり漁業を営んでいる漁船の船長ラミル・ロザルさん。
「中国人はもっとたくさん獲っている。フィリピン漁船は彼らと魚を分け合わなければならない。だが、彼らが特に迷惑ということはない。親切な人たちもいる」
オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所が、すべての国に開かれた伝統的な漁場だと判断したスカボロー礁付近の水域だが、ここでは中国海警局の艦艇数隻が自国ルールを強制している。同裁判所は、環礁の領有権については判断を下していない。
フィリピンのマナロ外相は、フィリピン漁船にとってのアクセスが改善されたことは「もちろん常設仲裁裁判所の裁定に沿ったもの」だと話している。
厳重な監視体制
ロイターが漁師たちに取材したところ、中国海警局の艦艇は、大型漁船が環礁内に入ることは禁じているものの、2人乗りの小型漁船であれば環礁内で自由に漁ができるという。
「中国漁船にもフィリピン漁船にも同じルールが適用されている」とロザル船長は言う。
見慣れぬ船舶がこの水域に近づくと、監視のため強力なエンジンを備えたボートが大型の艦艇から発進することがある。
昨年のフィリピン政府からの発表によれば、海警局の艦艇のうち3隻は水の底の土砂を取り去る能力を有する艦種だったという。そのうち1隻は環礁内に常駐していたが、その行動内容は明らかではない。
ロイター取材陣が中国漁船に横付けしてみると、海警局が中国の漁師たちと連携していることが分かった。
漁船員の1人は急いで携帯無線を手に取り、記者たちの写真を撮影した。まもなく海警局の艦艇が針路を変え、こちらに向かって急速に接近してきたが、短時間追尾しただけで引き返していった。
写真はフィリピンの漁師。同礁で6日撮影(2017年 ロイター/Erik De Castro)
ロイターは中国外務省にスカボロー礁に関する質問を送ったが、ただちに回答は得られなかった。同省の最近のコメントは曖昧で、スカボロー礁の状況に変化がないことを述べているだけだ。
フィリピンの漁師たちは、ベトナム漁船もスカボロー礁で漁を行っており、それはベトナム政府が中国政府による新たな措置を試している兆候だと語った。
とはいえ、ロイター取材陣はベトナム漁船を1隻も目撃しなかった。またベトナムの2つの漁業団体は、自国漁船がスカボロー礁に向かったことを把握していないと述べた。ベトナム政府からの回答は得られなかった。
スカボロー礁をめぐる状況は改善されているとはいえ、緊張は残っている。
先月、中国がスカボロー礁に環境測定所を建設することを計画しているとの報道があり、フィリピン側を驚かせた。ドゥテルテ大統領は、中国の行動を止めることはできないが、「両国の友好を尊重するならば」建設はないと確信していると述べた。
そして、ドゥテルテ大統領はつい先週、南シナ海でフィリピンが占有する9つの環礁・島嶼(とうしょ)上の施設の更新を命じて、中国、ベトナム両国を警戒させている。
今のところ、フィリピン漁船は中国との緊張緩和を最大限に利用しており、環礁に数ヵ月も留まっている者さえいる。
日に焼けた肌に傷みの目立つ作業着をまとった男たちは、過積載状態の漁船の舷側を慌ただしく行き交いながら、魚を入れたカゴを、フィリピンに帰港する船へと積み替えている。
37歳のレナート・エタック船長は、ひっきりなしに煙草を吸いながら、魚の重量を測り、各々の納品分について詳細に記録している。エタック船長によれば、漁獲高は減少傾向にあるとはいえ、スカボロー礁での操業はフィリピン人漁師にとって「お祭り」だという。
エタック船長は、中国海警局についても肯定的に見ている。
「もし彼らがここにいなければ、スカボロー礁は皆に解放される。違法操業の漁船も含めてだ」と彼は言う。「彼らがここにいることが、ある意味、抑止力になっている」
(Martin Petty 翻訳:エァクレーレン)
http://diamond.jp/articles/-/124177
米国のシリア攻撃、一番得をするのは中国だ 韓国と米国に共通する「衆愚政治」の危険 韓国大統領「文」でも「安」でも危機的状
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017年4月12日 本川 裕 :統計データ分析家
「日本人は世界一自然環境を重視」世界価値観調査を読み解く
日本人が最も重視している
価値観は自然環境の価値
国際共同意識調査の代表格である「世界価値観調査」では、日常生活を導く10個の基本価値を体系づけたシュワルツ(Schwartz)の価値理論にそって、それぞれの“価値”について、回答者がどれだけ“大切”にしているかという設問を設けている。
それぞれの価値を大切にしていると回答した人の比率を10個の価値についての回答結果の平均で除して、それぞれの価値の相対的重視度を計算した。図1には、日本人の回答の結果を掲げている。
これで見ると、日本人は、「自然環境」の価値を項目平均の1.71倍と最も重視している点が目立っている。2番目、3番目は、それぞれ、「安全」の価値、「創造性」の価値を重視している。最も重視していないのは、「裕福さ」の価値であり項目平均の0.23に過ぎない。
◆図1 日本人はどんな価値を重要視しているか
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この自然環境の価値の相対的重視度を対象国60ヵ国について計算して、ランキングすると図2の通りとなる。日本は、1.46で2位だったオランダを大きく上回る世界一の高さである。
自然環境の価値に対しては多くの国で1.00以上となっており、比較的重視されている価値といえる(世界全体では、「安全」「社会貢献」に次ぐ3番目である)。その中で、自然環境の価値の重視度が低い国としては、アフリカやイスラム圏の国が目立っている。
◆図2 自然環境をどれだけ重視しているかの世界ランキング(60カ国中)
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日本は「共存すべき」が
96.1%で世界トップ
世界価値観調査では、以前、「自然は支配すべきものか、共存すべきものか」という形で各国の自然観を尋ねた設問を設けていた。この設問の結果から、日本人の自然観がどのような特徴を持っているかをさらに調べてみよう。
図3を見ると、日本人の回答は「人間にとって自然は調和し、共存すべきものである」が96.1%と圧倒的である点が目立っている。同比率は、米国が84.6%、中国が56.2%と低くなり、サウジアラビアに至っては35.0%と、むしろ「人間にとって自然は支配すべきものである」という回答の57.0%を大きく下回っている。
◆図3 自然は支配すべきものか、共存すべきものか
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◆表1 自然は支配すべきものか、共存すべきものか(世界57カ国、1995〜2003年)
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表1は、この設問に対する世界57ヵ国の回答結果(「共存すべきもの」の回答割合)を大陸別に整理したもの。日本は、アジアのみならず、世界的に見ても最も「共存すべきもの」の回答割合が高い点が目立っている。
自然観については、西洋は「自然の支配」、東洋は「自然との共存」が特徴であるという見方があるが、回答結果を見る限り少なくとも現在の欧米とアジアとの間ででそうした対立は認められず、欧米もアジアもそれぞれ国ごとにばらつきが大きくなっている。
むしろ、経済発展の進んだ先進国では、自然観に関して「共存」志向が強く、発展途上国では「支配」志向が強いという一般傾向が認められる。高い経済成長の下では、橋梁、堤防など社会資本整備も大きく進展し、「自然の支配」志向も高まる傾向があるといえる。
その中で、米国が先進国である割には、「共存」志向が弱い点が気になる。
さらに、「支配」志向の強い国は、アフリカやイスラム圏に多く、また、ヨーロッパ・中央アジアや東アジア・太平洋の中では、ロシアをはじめとする旧ソ連圏諸国や中国、ベトナムといった社会主義国、旧社会主義国での特徴である点も目立っている。
日本人も以前は自然改造を
志向していた時代があった
これまで見てきたように、日本人の自然観は世界の中でも自然保護の価値観が最も強く、また自然との共存を最も重視しているという特徴がある。しかし、これは以前から変らない日本人の特徴なのであろうか。この点を探るため、日本人の意識の長期データの得られる統計数理研究所の国民性調査における自然観に関する設問の結果を見てみよう(図4参照)。
◆図4 日本人の自然観の長期推移
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この設問は、人間が幸福になるためには「自然に従わなければならない」か、「自然を利用しなければならない」か、「自然を征服してゆかなければならない」か、という3つの選択肢で自然に対する見方をきいている。上の「自然を支配すべき」はここでの「自然を征服」にほぼ該当しているといえよう。
今では非常に少ない「自然を征服」への回答は、以前から少なかったわけではないことが分かる。
「自然を征服」は戦後すぐには2割強とそう多くはなかったが、高度成長期には増大し、34%にまで達した。ところが、1973年には、2割以下へと急落したのが目立っている。その後も「自然を征服」の割合は低落し続けた。
1968〜73年の大変化は、公害問題が1970年前後にマスコミでも連日大きく取り上げられ、70年11月には公害国会が開かれるなど爆発的な社会問題となったためである。1971年の環境庁(現環境省)発足の影響、1971〜72年に新潟水俣病、四日市公害、富山県イタイイタイ病、熊本水俣病といういわゆる四大公害裁判の判決が続いた影響もある。自然を征服しようというのは人間のおごりではないかという考え方が、急速に広がったことがうかがえる。
一方、「自然に従う」は、特定の企業が引き起こす「公害問題」を契機に増加したが、その後も大気汚染や水質悪化といった国民の生活が引き起こす「環境問題」へ、そして人間の消費拡大がグローバルな温暖化につながるという「地球環境問題」へと、自然との関わりについての課題が深化・拡大するに伴って増加してきた。今や国民意識に染みつくまでに至っているエコ志向も、こうした長期傾向を背景としていることはいうまでもない。
人類は自然や環境を
大切にするようになるだろうか
「自然を支配」あるいは「自然を征服」するという自然観は、おそらくユダヤ教からキリスト教、イスラム教へと引き継がれた一神教の成立と普及とともに、中東から世界に広がったと思われる。全能の唯一神だからこそ自然を造り、改造することが出来るのであり、人間はこの神の手助けを得られると思うから、自然を支配するという考えを抱くことが可能となったのであろう。
さらに、全能の神が歴史という概念に置き換えられ、「自然に従属していた段階から、技術進歩により自然を征服するに至るのが歴史的な人間の使命」というような考え方として、同種の自然観が社会主義思想の中で生き延びてきたと思われる。旧ソ連圏諸国や中国、ベトナムにおいて「自然を支配」の考え方が強いのは、こうした事情によるものといえよう。
一時期は、日本も一神教にルーツをおく欧米思想の影響で、自然を征服できると考えた時期があった。だが、公害問題や環境問題の深刻化、また温暖化による地球環境問題に直面したことによって、経済発展の中で同じように環境問題が深刻化した欧米先進国と同様に、自然との共存志向へと大きくギアチェンジして来た。
しかし、自然との共存志向が世界一のレベルにまで達しているからには、それなりの日本固有の事情があると考えなければならない。
日本は島国なので大陸からの影響は逐次的であり、世界的な宗教思想による精神面の根本改造を経験していない。そのため、先進国としてはまれな例として、もともとの土俗的な自然信仰が途絶えることなく受け継がれて来ている。花見や俳句の季語などに代表される情緒面での自然交流の長い経験を有してもいる。こうしたことから、高度成長期の「自然の征服」による弊害からの反動で、世界一の「自然との共存」志向にまで至ることになったのであろう。
深刻極まりない原発事故が起こったにもかかわらず、世界一の「自然との共存」志向のわが国で、「自然の征服」型の代表ともいえる原子力発電方式を継続するのは、いかにも無理があるような気がする。
また、どの国も地球的な環境問題から逃れることはできないことから、資源・エネルギーの消費大国である米国と中国の動向に、わが国としても無関心ではいられない。国際的な取り組みに対しては、各国の国民意識のあり方による影響が大きいことはいうまでもない。このため、先進国としては不思議と「自然との共存」志向の低い米国や社会主義の影響もあって、基本的に「自然との共存」志向の低い中国の国民の自然観が、どのように推移していくかに目が離せない。今後、公表される世界価値観調査などの国際意識調査の最新の結果が注目されるのである。
(統計データ分析家 本川 裕)
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