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日本の刑事司法が真っ暗闇という知られざる真実−(植草一秀氏)
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15th Dec 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
「本日、最高裁判所より上告棄却の通知が届きました。
高裁での証拠も無い中での有罪判決が、
事実に基づき必ず覆されると信じてきましたが、悔しい限りです。
冤罪が罷り通る世の中であることを、身をもって知ることとなりました。
前 美濃加茂市長 藤井浩人」
これは前美濃加茂市長の藤井浩人氏によるツイートである。
主任弁護人の郷原信郎弁護士はブログ記事
【藤井浩人美濃加茂市長 冤罪】
日本の刑事司法は‟真っ暗闇”だった!
https://goo.gl/SDqPaB
に郷原氏による新著
『青年市長は“司法の闇”と闘った 美濃加茂市長事件における驚愕の展開』
https://goo.gl/4tB7EH
に記した次の言葉を掲載している。
「万が一、上告が棄却されて有罪が確定したとしても、
藤井市長の「潔白」という真実は、それによって否定されるものではない。
その場合、私は、「冤罪」を広く世の中に訴え、司法の場でも、
再審で有罪判決を覆すことに全力を挙げていくであろう。」
その上でこう記している。
「青年市長は、警察・検察、そして、控訴審裁判所という「司法の闇」と
闘い続けてきた。
その先にある、最高裁を頂点とする日本の刑事司法自体が、
実は「真っ暗闇」だということが、今回の上告棄却決定で明らかになったのである。」
日本の警察・検察・裁判所は腐敗し切っている。
この現実を、私たちは正確に理解しておかなければならない。
警察・検察・裁判所が健全に機能しているのなら、その行動、判断を信頼できる。
しかし、警察・検察・裁判所が腐敗し切っているなら、
その行動、判断を信頼することができないのである。
一般的に人々は、裁判所による最終的な判断を
「絶対的なもの」として信用、信頼してしまっている。
この裁判所判断を基準に自己の判断を形成してしまう。
しかし、裁判所判断は歪んでいることが少なくないのである。
日本の裁判所は「法と正義の番人」ではなく、政治権力=行政権力の番人なのである。
警察・検察は無論のこと、「法や正義の番人」でなく、
「政治権力=行政権力の番人」あるいは「番犬」である。
悪徳政治の番犬として、正義の人間に襲い掛かり、
噛み殺すことさえ躊躇しない存在だ。
この現実を正しく理解して、警察・検察・裁判所の行動と判断を、
冷ややかに見つめることが必要である。
できれば、民衆による「影の裁判所」を創設して、
権力の僕である公的な裁判所の判断とは別に、
「法と正義の番人」としての正当な判断を示す場を設置するべきである。
日本相撲協会の横綱日馬富士による貴ノ岩に対する暴行傷害事件を
重要視しなければならないのは、
この事案も、日本の腐敗した警察・検察・裁判所と、
これと結託するマスメディアの腐敗を示す典型的な事案であるからだ。
事件の本質は、日馬富士による暴行、傷害事件である。
日馬富士は極めて重い金属製の凶器を用いて
一方的に貴ノ岩の頭部を繰り返し殴打した。
貴ノ岩は10針も縫う重傷を負った。
警察が適正に行動していたなら、
殺人未遂容疑で日馬富士は逮捕されていたはずである。
ところが、メディアが当初から「逮捕」ではなく「書類送検」の情報を流布し続けた。
相撲協会が貴ノ岩からの聴取を行うことにこだわり続けているのは、
貴ノ岩の厳罰処分要請を撤回させるためであると見られる。
これを取り付けたうえで検察が処分保留を決定することが目論まれている。
メディアは検察による処分保留判断が妥当との専門家意見だけを紹介する。
当然のことながら大半の法曹は、検察による公判請求が妥当であると判断している。
一連の事案で、被害者である貴ノ岩に責任があるとする論がまき散らされ、
また、問題処理を相撲協会ではなく、
警察・検察に委ねることを貫いてきた貴乃花親方を攻撃する論がまき散らされてきた。
警察・検察・裁判所と結託する悪徳メディアの罪状も重い。
貴ノ岩は明瞭な刑事事件被害者であり、
現役横綱による暴行傷害事件の被害者である貴ノ岩の番付を
負傷が完治するまで維持するのは常識以前のことである。
「公傷制度が廃止されたから貴ノ岩の番付が下がる」
などの主張は噴飯ものである。
伊藤詩織さんに対する準強姦容疑で逮捕状が発付された山口敬之氏に対する
逮捕を警視庁刑事部長だった中村格氏が中止させた。
日本の警察・検察権力の最大の問題は、
不当に巨大な裁量権が付与されていることである。
その裁量権とは、
犯罪が歴然と存在するのに、その犯罪を適正に立件せずに揉み消す裁量権
と
犯罪がまったく存在しないのに、密室で犯罪をねつ造し、
無実の人間を犯罪者に仕立てあげる裁量権
のことだ。
日馬富士による貴ノ岩に対する暴行傷害、殺人未遂事件について、
ものごとを正確に見つめる人々からは、適正な論評も提示されている。
北口雅章法律事務所 弁護士のブログ
https://www.kitaguchilaw.jp/blog/?p=1136
には、
「週刊誌で読み解く,横綱日馬富士・暴行事件の深層(真相?)」
に始まる日馬富士暴行傷害事件に関する論考記事が数多く掲載されている。
このブログで筆者は、
「様々な情報・憶測等が飛び交うなか,日馬富士・極悪非道説から,
貴乃花・謀略説,あるいは貴乃花・「勇み足」説など,いろいろ意見はあろうが,
「弁護士として」「適正な捜査」を監視すべき立場から,
以下では,
この事件において,注目・着眼すべき諸点について考えるところを述べておきたい。
(私自身としては,本ブログを担当捜査官・主任検事,及び鳥取地検の
次席検事・検事正に読んでもらいたい,と思っている。)」
と記述している。
法律専門家の立場から問題を掘り下げたもので、熟読に値するものであると考える。
また、ダイヤモンドオンラインには、
モチベーションファクター株式会社代表取締役山口博氏による
『日馬富士事件で露呈した相撲協会の「最悪マネジメント」』
http://diamond.jp/articles/-/152597
と題する論考が掲載されている。
山口氏は、相撲協会の中間報告の内容が
「「貴ノ岩の態度が悪かったので、指導するつもりで日馬富士が暴行した」
「貴ノ岩がすぐに謝っていれば、こうはならなかった」という意味の、
まるで被害者に非があるかのような内容だ」
と指摘し、
「片方からしか聴取ができていない以上、
「得られている情報は限定的であり、現時点で判断不能。
警察の捜査結果の発表を待って、双方の聴取結果を踏まえて
協会としての見解を述べたい」という意味のこと以外、何を言えよう。」
「マネジメントする側の日本相撲協会が加害者・被害者双方を公正に取り扱わず、
加害者側に加担したと思われる発言をすること自体が、
人事の観点から大問題なのだ。」
と指摘する。さらに、
「日本相撲協会・八角理事長の記者会見によれば、
理事会で「理事はじめメンバー全員が協力して日馬富士暴行問題の解決にあたる。
これに違反するものは懲戒処分の対象になる」という決議をして確認したという。
これではまるで、協会の聴取に応じない貴ノ岩と、
所属する部屋の貴乃花親方に対する牽制ではないか。
処分をちらつかせて協力させようとしているように受け取られても抗弁できず、
公益通報者保護法に抵触しかねない発言だ。」
と記述する。
適正な見解を示す識者は存在するのである。
また、筑波大学教授の原田隆之氏は、『現代ビジネス』サイトに、
「貴乃花と日馬富士、被害者が悪者になる「バカげた事件」の不快さ
横綱に媚びる道徳なんていらない!」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53691?page=2
と題する論考を掲載している。
原田氏も山口氏同様に、相撲協会の中間報告のあきれるばかりの歪みを批判する。
「輪をかけて酷かったのが、日本相撲協会の危機管理員会なるものが出した
「中間発表」である」
「危機管理員会なるものが、中立的な立場ではなく、
明らかに「加害者寄り」であることがはっきりとわかる。
そもそも、被害者の貴ノ岩から事情を聞くことができていないのに、
加害者側からの一方的な言い分だけを聞いて、
「中間発表」を出したところにも、その性格が如実に現れている。
貴乃花親方が貴ノ岩の聴取を拒否しているから、
貴ノ岩の事情聴取ができなかったということは事実であっても、
肝心の被害者から事情を聞けていないのであれば、
この時点でこれを出すことは拙速である。
そして、その内容自体についても、
論評をするのも嫌になるほどのあまりの酷さである。
まるで、日馬富士が主人公の安っぽいメロドラマである。」
問題を適正に洞察する人々の論評はおおむね一致している。
原田氏はメディアの報道の歪みをも指摘する。
「マスコミ報道も、貴乃花親方の「頑固さ」ばかりをクローズアップしているが、
この風景もなんとも異様である。
貴乃花親方は、被害者側であって、被害者を守る立場である。
彼は、繰り返し「この一件は、もはや関取同士の内輪もめという範疇を
超えているから、警察に届けを出し、その捜査を優先する」と
主張しているだけなのに、そのどこがおかしいのだろうか。
それに、これまで述べてきたように、明らかに「加害者寄り」の相撲協会を信用して
事情聴取に応じろと言われて、「はいそうですか」と言えるはずがない。
理事会では、冬巡業から巡業部長である貴乃花親方を外すことが決定されたという。
これは、親方への「処分」ではないことが強調されていたが、
寄ってたかっていじめをしているように見えてしまう。」
これが適正な見解であると言える。
事案は、現役横綱による一方的な暴行傷害事件、
より正確に言えば「殺人未遂事件」であって、
本来は、警察が迅速に行動して、逮捕、勾留、起訴に至る事案である。
ところが、日本相撲協会を取り巻く巨大な利権が背景にあり、
検察当局が犯罪として立件しない方策を探っているように見える。
被害者サイドが厳罰処分を求めている以上、
犯罪を揉み消すことが困難であるため、
相撲協会は何としても貴乃花親方の聴取を実現し、
相撲協会内での決着を図ろうとしていると見られる。
相撲協会内で決着がつけば、
検察は処分保留などの犯罪揉み消しを断行できるという計算なのだろう。
日本の警察、検察は、近畿財務局の国有財産不正廉売疑惑事案についても、
積極的な捜査姿勢を示さない。
加計学園による獣医学部建設費用の水増し請求疑惑についても、
何らの捜査も行われていない。
伊藤詩織さんに対する山口敬之氏による準強姦容疑での逮捕状が
揉み消された事案についても、十分な説明はなされず、
検察審査会での審査内容も明らかにされていない。
その一方で、森友学園に対する国有財産の不正廉売の実態を公表してきた
籠池泰典氏夫妻に対しては、補助金適正化法に基づき対応するべきところを
刑法の詐欺罪を適用して立件し、逮捕と不当な長期勾留を続けている。
要するに、この国の刑事司法は
「真っ暗闇」
なのである。
無実潔白なのに犯罪者に仕立て上げられる者が生み出される。
他方で、
重大犯罪の犯人であるのに、無罪放免にされる。
こうした惨状に対応するひとつの道は、
警察、検察、裁判所の行動と判断に信用と信頼を置かないことである。
警察、検察、裁判所の行動と判断を、
冷やかに見つめること。
その冷静さ、客観性を、日本の主権者国民は保持しなければならない。
最後に、本稿タイトルは
「日本の刑事司法が真っ暗闇という知られつつある真実」
が、より正確であるかも知れない。
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