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重大事故でも“飛行自粛要請”のア然…「日米蜜月」の真相
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/219615
2017年12月15日 日刊ゲンダイ 文字起こし
「当然」が「異例」に(右は、沖縄県議の立ち入り調査)/(C)共同通信社
全メディアが「異例」と報じた。米軍普天間飛行場所属の大型輸送ヘリの窓が飛行場近くの小学校の校庭に落下した事故を受け、沖縄県警は14日、普天間飛行場内に立ち入り、事故機の状況を調べた。
落下した窓は金属製の外枠があり、90センチ四方で重さ7・7キロ。運動場の中央には落下物の痕跡が残り、周辺には割れた透明板が散らばっていた。落下の衝撃の大きさが伝わってくるが、驚くことに落下地点は当時運動場にいた約60人の児童から約10メートルしか離れていなかった。あやうく多数の児童の命が犠牲になるところだったのだ。
落下事故が起きた13日は普天間所属のオスプレイが名護市沿岸に墜落してから1年に当たる。今月7日にも米軍ヘリの部品と同一の物体が保育園の屋根に落下したばかり。今回の事故を起こしたCH53は今年1月と2月に着陸装置が故障し、6月に久米島空港に緊急着陸。10月には高江ヘリパッド近くの牧草地に不時着し炎上した。04年に沖縄国際大に墜落したのも、同系統機である。
ポンコツヘリの相次ぐ事故に対し県警の基地への立ち入り調査は「当然」のはずなのに、「異例」となってしまうのは、日米地位協定という不公平な障害が日米間に横たわっているためだ。
地位協定によって在日米軍基地の管理権は米国側に委ねられており、米軍の了解なしには、日本の捜査権は及ばない。米軍は地位協定に基づく航空特例法によって、日本の航空法の適用除外という「特権」も与えられている。そればかりか、1953年に合意した「密約」によって、日本の警察は基地の外であっても米軍の財産について、捜索、差し押さえ、検証を行う権利すら認められていないのだ。
敗戦後70年以上たってもなお、事実上、日本は米軍に対して治外法権下にあり、「当然」のことが「異例」となってしまうのである。
■蜜月を自慢するなら平等な関係を目指せ
重大な事故が相次いでいるのに、日本政府は米軍に国内法を適用できない。とうてい主権国家とはいえない現状を直ちに是正すべきなのに、安倍政権は弱腰だ。菅官房長官は「(事故は)あってはならない」と発言したが、政権としては事故を起こした同型機の「飛行停止」ではなく、あくまで「飛行自粛」を求めただけだ。
大体、安倍首相は常日頃からトランプ米大統領との「蜜月」関係を自慢してきたのではなかったのか。トランプ来日時の共同会見で安倍は「半世紀を超える日米同盟の歴史において、首脳同士がここまで濃密に、そして深い絆で結ばれた1年はなかった」とまで言い切った。
それだけ安倍がトランプと親密だったら、ポンコツヘリの飛行停止を断固要求し、地位協定の見直しを持ちかけたらどうなのか。聖学院大教授の石川裕一郎氏(憲法・フランス法)が言う。
「米軍が何をしでかしても“お手上げ”状態という不平等な現状は、世界でも異例中の異例です。米国と同盟関係にあるドイツやイタリアは自主性が認められており、自国の安全が脅かされれば、米軍にノーを主張できるようになっています。日本もそのような平等な関係を目指すべきで、本来なら米軍の事故が頻発する今こそ交渉のチャンスです。いつも安倍首相は『国民の生命と財産を守る』と豪語しているのですから、その言葉を守って地位協定の見直しに向けた行動を示すのがスジです」
普段は「ドナルド」「シンゾー」と呼び合う関係などとヌカしながら、いざ米軍が沖縄県民を殺しかねない事故を起こしても、「遺憾の意」しか表明できないとは……。「蜜月」という名の日米主従関係に縛られたポチ政権の正体見たりだ。
沖縄だけの問題じゃない(C)共同通信社
国民の命より米国歓待が大事な非道政権 |
フザけたことに自民党内では、改めて普天間の危険性が浮き彫りとなったとして、今回の落下事故を政治利用する動きが活発化している。
萩生田光一幹事長代行は13日、菅官房長官との面会後、「事故は言語道断で絶対に許されない」と語ったうえで、「だからこそ、早く移設をしなければいけないという問題もある」と、今回の事故を辺野古移設計画に結びつけた。
前防衛副大臣の若宮健嗣・党国防部会長も、自身のツイッターに〈普天間基地の一日も早い移転を実現しなければなりません〉と書き込むなど、「辺野古移設を急げ」の大合唱。あたかも移設反対派の阻止行動が事故を招いたようなムードづくりに躍起なのだ。
「米軍基地がある限り事故は起きるわけで、移設反対の動きとは無関係です。自民党は普天間の危険性を問題視するならば、党を挙げて安倍政権に対し米軍に再発防止策を講じさせるように求め、それに応じるまで普天間閉鎖を訴えるべきです。それが『国民の生命と財産を守る』を標榜する政権与党の責務のはず。常に米軍の顔色をうかがうだけで、普天間の危険性を放置し、子供たちの命を重大な危険にさらしておきながら、言うに事欠いて辺野古移設を急げと主張するなんて、まったくもって論外です」(石川裕一郎氏=前出)
今回の落下事故を足がかりに、自民党が「早期移設」の世論形成に血道を上げているのは、間違いなく残り2カ月を切った沖縄・名護市長選を意識したものだ。
名護市は移設先の辺野古を抱える。自民は移設推進派の渡具知武豊市議を擁立し、移設反対を掲げる「オール沖縄勢力」の推薦を受ける現職の稲嶺進市長の追い落としを狙っているのだ。
■危険と隣り合わせなのは沖縄だけじゃない
しかも安倍政権は、稲嶺市長のクビをすげ替えるためなら、何でもアリだ。米軍の施設や装備などを受け入れる全国44市町村を対象に、昨年度までに計838億円の「米軍再編交付金」を支給してきたが、名護市は辺野古新基地の建設予定地でありながら、支給を凍結されている。
この“兵糧攻め”が始まったのは、2010年に移設反対派の稲嶺市長が誕生してからだ。第2次安倍政権の発足から5年間、一文たりともカネを払っていないのだから、分かりやすい嫌がらせである。
「来年2月の名護市長選の後、来秋には沖縄県知事選も控えています。移設反対派の翁長雄志知事を蹴散らすためなら、安倍政権はあらゆる手段を講じるのでしょう。それで干上がり、困窮するのは沖縄県民です。辺野古移設は米国へのご機嫌取りのようなもので、米国を喜ばせるためなら、手段を選ばずとはあまりにも非道です」(政治学者・五十嵐仁氏)
本土の大メディアも同罪だ。国民を危険にさらす重大事故の頻発に、普天間飛行場なんて即刻閉鎖させるのが当然なのに、そうハッキリ社説で書いたのは現地の「琉球新報」のみ。大メディアの事故報道から国民の命を脅かす事故への本気の怒りは伝わってこない。前出の五十嵐仁氏はこう指摘する。
「名護市長選や沖縄県知事選への影響を気にする政権サイドに忖度して、仮にメディアが事故の矮小化を図っているのなら、許しがたい。この国の政府もメディアも『抑止力論』にとらわれて、思考停止に陥っていますが、現実に国民の命を危険にさらしているのは、北朝鮮のミサイルよりも米軍基地の存在ではないですか。いい加減、その現実を直視して、国を挙げて植民地的対応から抜け出すべきです」
事故頻発のオンボロヘリ、CH53が飛び回っているのは沖縄だけではない。全国の基地を自由に往来し、いつ東京上空から落ちてきてもおかしくない。全国民にとって、沖縄の事故は決して対岸の火事ではないのだ。
恥辱にまみれたポチ政権が続く限り、国民の命は常に危険と隣り合わせであることを忘れない方がいい。
重大事故でも“飛行自粛要請”のア然…「日米蜜月」の真相|巻頭特集|日刊ゲンダイDIGITAL https://t.co/VSIHQpgOnC pic.twitter.com/Db25PSUh6Y
— ⛵️motty⛵️ (@novtnerico) 2017年12月15日
日刊ゲンダイ
— 但馬問屋 (@wanpakutenshi) 2017年12月15日
【この事故で米軍に「自粛を要請」とはオドロキだ】
『「日米蜜月」恥辱の真相』
「ドナルド、シンゾーの関係とかほざきながら、沖縄県民を殺しかねない米軍ヘリの飛行停止も要求できず、相次ぐ事故にも“遺憾の意”しか言えないポチ政権の正体と『蜜月』という名の日米主従関係」 pic.twitter.com/uKcF57CKKJ
米軍機から落下物があって飛行自粛を要請しても、また飛び始めて落下物があるというイタチごっこが繰り返される。この負の連鎖を断ち切る為には、根本的な原因である米軍基地を返還させなければならない。日本が主権国家であるならば、辺野古移設とトレードオフにせず普天間基地の返還を求めるべき。
— 異邦人 (@Beriozka1917) 2017年12月13日
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