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民進党分党妨害する者はすべて自公側勢力−(植草一秀氏)
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13th Dec 2017 植草一秀氏
主権者国民の視点から言えば、民進党の進む道は一つしかない。
円満な分党である。
名前はどうでもよい。
正当な分党を実行するべきである。
理由は明確だ。
民進党のなかに二つの政党が同居してきたからだ。
政党は基本政策を実現するための存在だ。
そして、その存在は、言うまでもなく主権者国民のためのものである。
主権者国民のために政党が存在するのであって、
政党のために主演者国民が存在するのではない。
政党は主権者国民になり代わり、主権者国民が求める政策を実現するために存在する。
したがって、政党として存在するための最重要の要件は、
政党が明示する政策方針、政策路線が明確であるということだ。
旧民主党、そして、現在の民進党は、この点において、政党の要件を欠いていた。
欠格政党だったのである。
主権者国民にとって最重要の政策問題は、原発、憲法・戦争法制、消費税・格差の
問題である。
この最重要政策テーマに対する基本的な政策路線が、
同じ政党のなかに二つある状態が続いてきた。
これが旧民主党および民進党が、超没落してきた主因なのである。
民進党がこの状態にあるために、野党共闘が機能しなかった。
民進党は野党第一党であるのに、政策の方針が定まらない。
2009年に樹立された鳩山友紀夫政権が、
「シロアリ退治なくして消費税増税なし」
の基本方針を明示して、主権者国民がこれに賛同した。
この根本方針を破壊したのが菅直人政権と野田佳彦政権である。
旧民主党が主権者国民の支持を完全に失った主因がここにあると言ってよい。
そして、菅政権、野田政権は福島事故のあとも原発推進に舵を切った。
TPPを推進してきたのも菅直人政権と野田佳彦政権である。
結局、2009年の鳩山政権の基本方針を根底から破壊し、
民主党に対する主権者の期待と信頼を、全面的に破壊し尽くしてきたのである。
9月1日の民進党代表選の時点で、「水と油の同居状態」が明確に浮かび上がった。
私は、この時点で民進党を完全分離・分割するべきだと主張した。
しかし、前原誠司氏も枝野幸男氏も動かなかった。
それが、民進党から希望の党への、
戦争法制容認、憲法改定推進の条件付き合流が表面化して、
遅ればせながら、民進党の分離・分割が衆院において実現したのであある。
短期日の間に野党共闘が急激に機能し始めた理由は、立憲民主党の創設にある。
民進党内で、反自公の政策路線を明示した勢力が分離・独立した。
反安倍自公政治の政策路線を明示したからこそ、主権者国民に支持を得たのであり、
共産党を含む野党共闘も機能したのである。
ところが、一部議員が「無所属」として中途半端な状態にある。
また、参議院では民進党が残存している。
このような中途半端な状態では、とても次の国政選挙を戦えない。
そこで対応が求められている。
1.解党して新党を創設する。
2.党名を変える。
3.このまま進む
などの案が示されているが、民進党が採るべき道は「分党」である。
自公補完勢力としての政策路線を掲げる勢力と、
自公政治に対峙する政策路線を掲げる勢力が、
一つの政党のなかに同居していることが最大の矛盾である。
この矛盾を解消することをまずは優先するべきだ。
衆議院では自公補完勢力としての「希望の党」に合流する者と
立憲民主党に参画する者とに分離・分割が進んだ。
当然のことながら参院においても、同じ考え方に立つ分離・分割を進めるべき
なのである。
その際、民進党内に残存する70億円程度とみられる政党交付金高を、
二つの勢力で、議員数に応じて分割するべきだ。
政党交付金は主権者が政治活動費として拠出している資金で、
民進党が合理性をもって分離・分割するならば、
その政党交付金も、合理性をもって分離・分割されるべきであるからだ。
これが実現すると、安倍政治対峙勢力が結集して、
政権を奪還する可能性が極めて高くなる。
だから、既得権勢力は、民進党の完全分離・分割を、
死に物狂いで阻止しようとするだろう。
完全分離・分割を阻止するために、誰がどのように発言するのかを、
この機会にしっかりとウォッチしておくべきだ。
既得権勢力の究極の目的は、
自公と第二自公による二大政党体制を構築することである。
排除の論理で、戦争法制容認と憲法改悪とで「踏み絵」を踏ませて
民主党の「隠れ自公勢力」との合流を図ったのは、
これと自公とによる二大勢力体制を構築するためだったと思われる。
しかし、この目論見はもろくも崩れ去った。
理由は明白だ。
主権者の多数が「安倍政治を許さない!」と考えており、
この考えを掬い上げる政党が出現したからである。
それが、にわか作りの立憲民主党だった。
希望は議席を拡大できず、
にわか作りの新党「立憲民主党」の後塵を拝する結果に終わった。
これは既得権勢力にとっての大誤算であったに違いない。
反自公政治の政策路線を明示する強い野党創出を阻止することこそ、
これまで最大の力を注いできたことがらだった。
その純化した反自公野党が誕生し、いま、急拡大する気配を強めつつある。
そのために、
希望と新進を合流させる、
希望と民進を合流させる、
などの方策が検討されている。
立憲民主を野党第一党の地位から引きずり降ろすための工作活動だ。
参院民進党では小川敏夫議員が、民進党分党案を主張している。
これが、最も妥当な対応である。
政策を基軸に民進党が分離・分割され、
しかも、
政党交付金残高も合理的に分離・分割される。
これ以外に、合理性を有する進み方はない。
ところが、「隠れ自公勢力」の議員から強い反論が提示されている。
かれらこそ諸悪の根源、「鵺(ぬえ)」と呼ぶべき存在だ。
2014年12月の総選挙と2017年10月の総選挙・比例代表選で、
自公に投票した主権者は全体の24.6%だった。
小数の数値まで、まったく同一なのである。
主権者国民の4分の1が自公に投票している。
自公勢力は主権者の4分の1の支持を得ているが、
正確に表現すれば主権者の4人に1人の支持しか得ていないということだ。
2014年も2017年も、自公以外の勢力に投票した主権者の方が多い。
そして何より、選挙に行っていない主権者が約半数いるのだ。
2009年8月の総選挙では投票率が70%近くにまで上昇した。
投票率を押し上げた人々の多くが、
鳩山政権与党勢力に清き一票を投じたのだと推察される。
これらの数値を踏まえれば、私たちは、悲観的になる必要性がまったくない。
自公に対峙する勢力が、結集し、連帯して、
各選挙区に擁立する候補者をただ一人に絞り込めばいいのだ。
これを実現すれば、必ず政権を奪還できるはずだ。
そのための、極めて大きな第一歩になるのが、民進党の完全分離・分割の完遂なのだ。
すでに立憲民主党が創設されて第一歩を踏み出したから、
第二歩になると言うべきかもしれない。
ホップ・ステップ・ジャンプの、ステップに位置するものだ。
このステップを確実に踏んで、次の参院選・衆院総選挙で
大きな飛躍=大ジャンプを演じればよい。
さまざまな妨害工作が展開されることが予想されるが、
これらの妨害を跳ね除けて、
必ず、民進党の完全分離・分割を実現しなければならないと考える。
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