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2017/11/17 14:36
<安倍晋三首相は17日午後、衆院本会議で所信表明演説に臨んだ。北朝鮮情勢と少子高齢化を「国難」と位置づけ、「約束した政策を実行に移し結果を出していく」と強調。12月に新しい経済政策パッケージを策定し「生産性革命」や「人づくり革命」を推進する考えを表明する。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」による雇用増などの成果を挙げたうえで「今こそ少子高齢化の克服に向けて力強く踏み出すときだ」と訴える。2020年度までの3年間を「生産性革命・集中投資期間」と位置づけ、企業による設備投資や賃上げを促す。生産性向上のけん引役として人工知能やロボット、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTを挙げ、賃金上昇とデフレ脱却を進める。
人づくり革命では、20年度までに3〜5歳までの幼児教育の無償化と待機児童32万人の受け皿整備を表明。大学改革や介護人材の処遇改善なども進め、社会保障制度の「全世代型」を目指す。消費税の財源は子育て世代への投資と社会保障の安定にバランス良く充当し、財政健全化につなげる考えを示す。
経済連携については「技術やノウハウを世界に展開することで成長チャンスが広がる」と強調。米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国で大筋合意した「TPP11」の早期発効に意欲を示すほか、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉をリードする考えを明らかにする。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)はアベノミクスの「新しいエンジン」と位置づける。
北朝鮮問題に関して「安全保障環境は戦後最も厳しいと言っても過言ではない」と、ミサイル発射や核実験を改めて非難。日中韓首脳会談(サミット)の早期開催などを通じて各国と連携を深めながら、北朝鮮に対する圧力を一段と強める方針だ。
地方創生の「大きな切り札」と位置づける農政改革では、年内に抜本的な林業改革や水産業改革のプランを取りまとめる。災害関連では東日本大震災からの復興支援の継続を確認するとともに、激甚災害の指定について運用を見直す考えを示す。
野党には建設的な議論を呼びかける。憲法改正は「与野党が互いに知恵を出し合う努力の中で議論が前に進む」との姿勢で臨む>(以上「日経新聞」より引用)
突っ込みどころ満載の首相方針演説だ。まず第一に中身の薄いモノほど強い言葉を用いる、という法則に当てはまる。例えば「革命」という言葉だ。安倍氏は四千語足らずの演説の中で「生産性革命」や「人づくり革命」という言葉を使った。
ただし、具体的に「生産性革命」とはいかなる政策を実施するのか、あるいは少子化対策を目指す「人づくり革命」とはいかなる政策を行うのかという説明はない。あるのは勇ましい言葉だけだ。ただ「革命」というのなら従前の制度を根底から覆すものでなければならない。それとも某宗教団体の名誉会長のような「人間革命」と銘打った自己宣伝・誇大妄想狂物語と何ら変わらない。
次に「アベノミクスによる雇用増」などと事実認識すら出来ていない経済政策を基礎として、少子高齢化の克服に向けて力強く踏み出す時だ、として「生産性革命・集中投資期間」と位置付けて設備投資や賃上げを促す、という。しかし具体策に関しての言及は一切ない。
人づくり革命に関してはもっと悲惨だ。20年までに3~5才までの幼児教育無償化と待機児童32万人の受け皿整備を目指す、というものだ。「目指す」というからには実現するのではなく、努力目標を掲げる、ということに他ならない。
そうすると待機児童を抱える家庭には幼児教育無償化の恩恵はゼロだが、運良く保育園に入れた家庭は幼児教育無償化の恩恵に浴すという格差が生じる。この不公平を安倍自公政権と与党議員は待機児童を抱える有権者に対していかに説明するのだろうか。
しかも上記2つの「革命」の財源は10%に増税した消費税の一部を充てるというのだから笑える。消費増税すれば間違いなく総需要不足圧力により経済は失速し、2014年4月の比ではなく、強いデフレ化が国民の日常生活を襲うだろう。多少の幼児教育の無償化をしたところで人づくりで「革命」が起きるとは思えない。
第三に11ヶ国TPPによる経済連携については「技術やノウハウを世界に展開することで成長チャンスが広がる」と強調しているが、日本経済にプラスに資するところは殆どないと断言する。なぜなら11ヶ国の最大の先進型経済大国は日本で、他の国々の工業製品購買力マーケットとしてさらに日本製工業製品をTPP関税撤廃で輸出増となるところはまずないだろう。
その反対に、日本の農産品市場を虎視眈々と狙っている食肉・酪農品などの生産国はオーストラリアやニュージーランドなどがある。それらが関税撤廃により日本へ輸入されれば、国内農産品生産農家は壊滅的な打撃をこうむるだろう。
食糧安保は益々日本にとって危ういものとなり、世界的な飢饉が起きれば日本国民は飢えに苦しむことになりかねない。しかも食糧は生産農家が潰れれば、再び生産することはまず不可能という側面を持つことだ。
食糧安保を破壊する安倍自公政権は日本国民の命を危険にする亡国政権だ。TPPにしろ欧州とのFTAにしろ、私は反対だ。関税撤廃を行うことは日本の主権を放棄することに等しい。
そして北朝鮮に対して「安全保障環境は戦後最も厳しいと言っても過言ではない」と、ミサイル発射や核実験を改めて非難。日中韓首脳会談(サミット)の早期開催などを通じて各国と連携を深めながら、北朝鮮に対する圧力を一段と強める方針だ、という。
核開発は数年も前から行われており、日本を射程に収めるミサイルは1998年に北朝鮮は手に入れている。ここに到って安倍氏が「北朝鮮の脅威が増している」と世界を相手に大騒ぎ、大立ち回りを演じているのはなぜなのか不可解極まりない。確かに米国本土は北のミサイルの危機ラインに入ろうとしているが、日本やアジア諸国にとって今更騒ぎ立てることではない。安倍氏の異常な大騒ぎに米国のジャパンハンドラーたちの不純な意図を感じる。
そして最後に「日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)はアベノミクスの「新しいエンジン」と位置づける」との文言に空虚なものを感じる。EPAはむしろ日本経済にとってマイナスでしかない。ドイツ車が安くなれば舶来崇拝の日本国民が国産車から買い替えるのではないだろうか。
もちろんワインやチーズなどの農産品が安く入れば国内酪農家は壊滅的になる。政府は補助金で支える、と言っているが、それすらもEPA条約違反に問われる可能性がある、ということを付記しておこう。そして「地方創生の「大きな切り札」と位置づける農政改革では、年内に抜本的な林業改革や水産業改革のプランを取りまとめる」として、対策も政策も現在では何もないことを自ら暴露している。アホ丸出しの経済原則を無視した安倍亡国自公政権はいつまで続くのか、暗澹たる思いになる。
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