2017年11月18日(土) 安倍首相所信表明 わずか15分 異常な「ないない尽くし」 安倍晋三首相は17日、衆参両院の本会議で所信表明演説を行いました。特別国会召集から2週間もたっての演説は中身もなく、国民と国会に真剣に向き合う姿勢もない「ないない尽くし」の異常な“表明”となりました。 疑惑説明ない 安倍首相は総選挙での党首討論で、自らの関与が問われている「森友・加計疑惑」について「国会で説明が求められれば丁寧に説明する」と繰り返してきました。 しかし、自らの政治姿勢を示す場である所信演説で一切「森友・加計疑惑」について言及なし。それどころか、民意をゆがめる小選挙区制で得た自公3分の2超議席が「国民の意思だ」と居直りました。 「国難」方策ない 所信演説では、北朝鮮情勢や少子高齢化を挙げて「国難を乗り越える」と強調しました。 本当に「国難打開」というなら、与野党をあげての呼びかけとなるものですが、演説では「自民党および公明党の連立与党の諸君とともに」と与党だけの目線。打開の方策はなく、北朝鮮問題では「あらゆる事態に備え、強固な日米同盟の下、具体的な行動をとっていく」「防衛力を強化(する)」と事態を悪化させる軍事的対応の表明です。「対話」にも触れません。 国民の暮らしをめぐっても、全世代にわたる負担増の狙いを隠して「社会保障制度を、お年寄りも若者も安心できる『全世代型』へ改革する」と述べ、2019年の消費税10%への増税を前提に、「子育て世代への投資と社会保障の安定化」をうたいました。 やる気もない 国会審議から逃げ続けてきた安倍首相の姿勢を象徴する所信演説となりました。所信演説時間はわずか15分。文字にして約3500字です。これは、昨年9月の臨時国会時の約半分、第1次〜4次の安倍政権下で最短。1990年代以降でも小泉純一郎首相当時の05年特別国会に次ぐ短さでした。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-11-18/2017111801_01_1.html 2017年11月18日(土) 中身のない空虚な演説 安倍首相所信表明 志位委員長が会見 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-11-18/2017111801_02_1.jpg (写真)記者会見する志位和夫委員長=17日、国会内 日本共産党の志位和夫委員長は17日、国会内で記者会見し、同日の衆院本会議での安倍晋三首相の所信表明演説に対する受け止めを問われ、「中身がなく、空疎で、『嫌々やっている』ようなものだった。国民に語るべきものがまったくなく、まともに野党と議論する姿勢もない演説だった」と述べました。 志位氏は「この国会では、何よりも森友・加計疑惑など一連の国政私物化疑惑が大きなテーマだが、総理は疑惑について『丁寧に説明する』と言いながら、所信では一言もふれず、『も』の字も『か』の字もなかった」と指摘。さらに、安倍首相が「北朝鮮情勢」や「少子高齢化」を挙げて「国難」を突破すると述べたものの、「どう突破するのかについて、まともな方策は一切語られなかった」と語りました。 安倍首相が「『安定的な政治基盤のもとで政策をひたすら実行せよ』。これが総選挙で示された国民の意思だ」と述べたことについて問われ、志位氏は、「今度の選挙では民意がさまざまな形で示されているのに、安倍首相は選挙で多数をとったのだからあとは問答無用でことを進めるという姿勢だ。国民の不安、批判に耳を傾ける姿勢が感じられない」と批判。「たとえば沖縄では1、2、3区で『オール沖縄』の勢力が勝利し、辺野古新基地反対の審判がはっきり下された。ところが安倍政権は総選挙の2週間後に新たな護岸工事を始めた」と述べ、「国民が全権委任、白紙委任を与えた選挙結果ではない。しのごの言わせずにやるという姿勢では、大きな矛盾、批判が広がっていく」と強調しました。 志位氏は、来週予定されている代表質問で、国政の基本問題について、首相の姿勢をただしていく決意を述べました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-11-18/2017111801_02_1.html 2017年11月18日(土) 主張 安倍首相所信表明 「謙虚に」が聞いてあきれる 安倍晋三首相の特別国会での所信表明演説を聞きました。第4次政権が発足してから初めてで、安倍首相の国会冒頭での演説自体、1月の通常国会の施政方針演説以来です。首相は第4次政権の発足時、「謙虚に」政権を運営すると発言し、通常国会以来解明が求められている「森友」疑惑、「加計」疑惑についても、総選挙前後国民に「丁寧に」説明すると繰り返しました。ところが所信表明演説は選挙中の演説の焼き直しみたいなもので、「森友」のモも「加計」のカもありません。国民への開き直りであり、この政権に政治が任せられないのはいよいよ明らかです。 「森友」も「加計」もない 安倍首相は所信表明演説で、大阪の学校法人「森友学園」のために国有地を破格の安値で払い下げた疑惑についても、首相の「腹心の友」が理事長を務める岡山の学校法人「加計学園」の「国家戦略特区」での獣医学部開設に便宜を図ったのではないかという疑惑についても一言も触れません。文字通り国会審議を空洞化するものというほかありません。 「森友」疑惑も「加計」疑惑も先の通常国会中、国政をゆがめた疑惑として大問題になったのに、安倍首相は説明を尽くさず、国会を閉じてしまいました。日本共産党など野党は、憲法53条にもとづいて臨時国会を開いて疑惑に答えるよう要求したのに、首相がそれを実行せず3カ月間もたなざらしにし、9月末になってようやく開いたと思ったら首相演説も代表質問もなく冒頭で解散するという憲法を踏みにじる暴挙を行ったのです。首相は記者会見やテレビ討論で疑惑については今後も「丁寧に」説明すると発言したのにその後も説明はありませんでした。 「森友」の疑惑も「加計」の疑惑も解明されるどころか一層深まっています。「森友」疑惑は検察の捜査が進んでいるうえ、財務省が「森友学園」と値引きの金額まで話し合っていた音声記録の存在まで指摘されています。「加計」疑惑では開設は「総理のご意向」などと記載した文書が明らかになっているのに経緯の解明は尽くされておらず、文部科学相が今週、来年4月の開設を認可しました。安倍首相自身が疑惑の説明責任を果たすことが何より不可欠であり、所信表明演説で一切触れないのはまさに首相として失格です。 安倍首相が選挙中“国難”とまで言った北朝鮮問題や経済・少子化対策も同じ発言の繰り返しです。北朝鮮問題では「圧力を一層強化する」というだけで、軍事行動を否定しないアメリカを支持し、国際社会が話し合いを模索していることに対しては全く無策です。 経済政策でも破綻が明白な「アベノミクス」を自賛し、「生産性革命」「人づくり革命」などの言葉を内容抜きで繰り返すだけで、再来年に予定している消費税増税の中止など政策の転換については国民の声に応えようとしません。 改憲実行への強い執念 安倍首相は異例に短い演説の結びで改憲問題に触れ、議論を前に進めることを求めました。組閣後の会見では与野党の「建設的な議論」とともに、国民投票も念頭に「国民的な理解が得られるように努力」と執念を示しています。 安倍政治のあらゆる暴走を許さず、とくに改憲を阻止する国民のたたかいがいよいよ重要です。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-11-18/2017111801_05_1.html
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