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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
(c)小田原ドラゴン
室井佑月「お言葉が欲しい」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171115-00000013-sasahi-pol
週刊朝日 2017年11月24日号
作家の室井佑月氏は、安倍内閣の支持率の高さを憂える。
* * *
11月3日付の日本経済新聞朝刊に『内閣支持 上昇54%』という記事が載っていた。
<日本経済新聞社とテレビ東京は第4次安倍内閣の発足を受け、1、2両日に緊急世論調査を実施した。内閣支持率は54%で、9月の前回定例調査から4ポイント上がった。不支持率は38%で4ポイント下がった>
なんで? 理由がもうわからん。
野党が纏まっていないから、これ幸いと解散総選挙をする卑怯な首相なのに? 5カ月近くも国会審議から逃げ回っていた気弱な首相なのに? 議席数に応じて野党の質問時間を削れと、無茶なこといい出す我が侭(わがまま)な首相なのに?
国会とは野党の質問に答える場というより、我々国民に説明する場。どれだけ国民軽視なのだろうか?
これまで「謙虚に」という言葉を何度も使ってきた首相。自分の欠点は、謙虚じゃないところだってわかっている。が、直らないし、直さない。
ま、それでもいいのか、支持する人はこんなにも多いのだし。
最近は、自分が間違っているんじゃないかと思えてきた。間違えているというか、自分だけがわかっていないんじゃないかと。
あたしの知らぬ間に、安倍首相は、この国の象徴のようなものになったのかも。ひょっとして、閣議決定でそう決めたとか?
だから、安倍首相を攻めるような発言をすれば、『売国奴』だの『反日』だのという悪口を浴びせられるし、安倍首相の街頭演説では、大量の日の丸国旗が振られたりする。
つまり、安倍首相がどんな人物であろうが、もう関係ない。どういう首相であっても、我々国民は粛々と受け入れなくてはいけない。安倍首相が卑怯で傲慢で嘘つきであったら、それがこの国の姿なわけで。
……ほんとうか?
天皇陛下は2019年3月末にも退位される、と報道されている。陛下は平和を愛する立派な方だ。国民からも慕われている。
この国が間違った方向に進んでいきそうな今、なにかが大きく変わってしまいそうな今、こういう時にこそ、本物のこの国の象徴である陛下から、この国がどういう国であるべきか、将来どういう国を目指すべきか、あたしたち国民へのわかりやすく力強いメッセージが欲しい。
もちろん、天皇陛下は政治的発言をしてはいけないことも知っているし、その発言を政治的に利用してもいけないことは知っている。
けれど、国民全員が、真剣にこの国について考えるには、もうそれ以外ないと思う。
安倍首相がいちばんやりたいことは改憲で、それが進めば、この国は戦争のできる普通の国になる。陛下が望まれた平和国家ではなくなる。それでほんとにいいんだろうか?
安倍内閣の支持率の高さは、この国が戦争のできる普通の国になることを、国民も望んでいるということなのか? わからない。
安倍首相がいちばんやりたいことは改憲で、それが進めば、この国は戦争のできる普通の国になる。陛下が望まれた平和国家ではなくなる。
— Junji@銀の時計 (@atsu444_k) 2017年11月16日
室井佑月「お言葉が欲しい」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット) https://t.co/B8Tlay016B
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