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https://www.dailyshincho.jp/article/2017/05260801/?all=1
週刊新潮 2017年5月25日号掲載
「週刊新潮」が報じた〈「警視庁刑事部長」が握り潰した「安倍総理」ベッタリ記者の「準強姦逮捕状」〉。売れっ子だった山口敬之・元TBSワシントン支局長(51)の立場から見て、記事を「好事魔多し」などと評するムキもあるようだが、異議申し立てをしておかねばなるまい。当時の中村格(いたる)・警視庁刑事部長が管轄署である高輪署の捜査を邪魔せず逮捕状を握り潰さなければ、山口氏を一躍スターダムに押し上げた『総理』出版(16年6月)も、その後のコメンテーター活動もありはしなかったのだから。
その中村氏ご当人について、さる警察庁関係者によると、
「あれほど自分のことが大きく報道されると思っておらず、結構落ち込んでいたそうです。“有名になると、いろいろ狙われる”とも愚痴っているとか」
といった反応が聞こえてきたし、彼よりも先輩のキャリア連中のなかには、
「“捜査にかかわることはコメントできないと言うべきだったが、マスコミ対応に慣れていると自負している分、自分が決裁したと言って墓穴を掘ったね”などと冷徹な評価を下す人もいます」(同)
■杜撰だったというか…
中村氏が「(逮捕は必要ないと)私が判断した」と本誌(「週刊新潮」)の取材に答えたものだから、新聞・テレビの記者はその真偽のほどを本誌発売後、探りに行っている。そのあらましについて、事情を知る記者に語ってもらうと、
「“記事の件は、あまりまともだと思わない方がいい。なんで2年前の話が今ごろ出てくるのか、不自然でしょ。女も就職の世話をしてほしいという思惑があったから飲みに行ったのであって所詮男女の揉め事。彼女は2軒目にも同行しているんだしさ。その就職の話が結局うまくいかなかったこととか、最近、山口さんがテレビによく出ているからという、そういうことも(告白の)背景にあるんじゃないの”と、中村さんはこんな感じの話しぶりだったそうです」
“物言い”は身内にも及び、
「“高輪署の捜査のまま行ったら誤認逮捕だったかもしれない。自分は逃げも隠れもしないし、判断は的確”とも強調していましたよ」(同)
煎じ詰めると、はしご酒をしたらレイプされても仕方ないとも取れる発言で、法律の問題が男女といういわば文学にすり替わっている。
被害女性はこう話す。
「不起訴という結論が出るまで1年半かかりました。その後、検察審査会の準備を進める中で、週刊新潮さんから取材を受け、こうしてお話しさせていただくことになったのです」
次に、将来の警察庁長官の呼び声高い中村氏を直撃すると、
「(私が彼女に非があると言ったというのは)ありえません、そんなこと! 署の捜査が杜撰だったというか……まあ、あの“個別具体”の事件なんで。明日、ちゃんとお答えしますから」
などとし、後に広報を通じ、被害女性を誹謗中傷したり署の捜査を非難したことは断じてないと回答した。
■“デートレイプドラッグ”疑惑
積み上げてきた高輪署の捜査をちゃぶ台返しした時点で“ザル”扱いをしたに等しいわけだが、実際どうだったのか。まず、2人をホテルまで連れて行くことになったタクシー運転手が、
「(女性から)“近くの駅で降ろしてくれ”って言われたんです。で、降りるのはどの辺にしますかと聞いたら、男の人が“とりあえず駅はあれだからホテル行って。都ホテル”と。(ホテルに着いても)なかなか降りず、結局は抱きかかえて降ろされていた。(後部座席が)汚れているんじゃないかと見たら、後ろのマットに吐瀉物が。消化されない状態でドバッと、お鮨の臭いがして。そんなに未消化で残るのって珍しいなと思ったものです」
と語る中身には真率な響きがあるし、その後の動きについては監視カメラの映像が捕捉している。これを見た、彼女との交際が7〜8年になるという知人は、
「山口がタクシーから降りて、ちょっと時間が経ち、中から彼女を引きずり出すシーンと2人がロビーを通過していく場面です。山口が抱きかかえる感じで、彼女の身体が曲がっているというか
、力が全く入っていないのを引きずって行くように。私はそんな彼女を一度も見たことがありません」
と明言し、こう継ぐ。
「彼女自身は酔ってもそういう風にならないし、かなりの量を飲んでも大丈夫。ほとんど面識のない人(山口氏とは3度目)と仕事の場でのお酒であれほどになってしまうというのは薬以外にないと思う。彼女は“近くの駅で降ろして”と話しているから運転手にとって『意識がない人』という認識はない。けれど彼女にはその部分の記憶がまるでない。もう想像しただけでぞっとします」
■山口氏の弁明
その一方で、事件後に山口氏が被害女性に宛てたメールから概略を引用すると、
〈私は私のスーツケースの中やパソコンに吐きかけられたゲロを袋に片付けて濡れタオルで拭いて、トイレにあなたを見に行くと、あなたは自分がトイレの床に吐いたゲロの上で寝込んでいた。私はあなたをゲロから剥がして、あなたを部屋に移してベッドに寝かした。トイレに戻って吐き散らかされたゲロをシャワーで洗い流して、部屋に戻るとあなたはすでにいびきをかいて寝ていた。私はあなたの髪の毛などについた嘔吐臭が耐えられなかったので別のベッドで寝ました〉
その後、
〈あなたは私の寝ていたベッドに入ってきた。その時はあなたは「飲み過ぎちゃった」などと普通に話をした。だから、意識不明のあなたに私が勝手に行為に及んだというのは全く事実と違います。あなたのような素敵な女性が半裸でベッドに入ってきて、そういうことになってしまった〉
しかしホテルの関係者は、
「客室に2つあったベッドのうち1つしか使われた形跡がなかった。しかも、そのベッドには血痕がついていた」
と証言しているというのだ。果たして、ベッドは2つとも使われたのだろうか。
山口氏にはこの点や避妊具なしの性交について質しているが、それには答えようとせず、
「法に触れる事は一切していない。法に触れる事をしていないので起訴を恐れる必要も意図も全くなく、その通り不起訴という結論が出ている」
という弁明を続けているが、本当に起訴を恐れることはなかったのか。
■同意の上だと言うのなら
というのも、彼の代理人弁護士が示談を求める姿勢を見せていたことがわかっているからだ。そこから窺えるのは山口氏側が起訴を避けたかったという点だ。親告罪である準強姦罪は被害届を取り下げさえすれば訴訟条件を欠くので起訴できなくなる。その撤回のため、カネをチラつかせた時期があったということになる。このあたりの“心模様”について、強姦事件に詳しい三平聡史弁護士に解説してもらうと、
「裁判になって日々多大な時間と労力をかけ、それでも勝てなかった場合は準強姦で有罪判決になり、前科がつきます。勝って無罪になっても、家庭や職を失うこともありますし、成功報酬とそれまでの裁判費用で結構な額がかかります。男性は、強姦だと言われて思い当たる節が少しでもあるのであれば、できるだけ早く・安く問題を解決するために示談の交渉をしたいと思うのが普通でしょう」
そして、こう付け足す。
「準強姦で訴える場合、女性側は心神喪失で抵抗できない状態にあるという前提なので、“拒否したのに無理やりされた”などとはっきり証言はできない。裏返すと、男性側の反論の余地が大きくなるわけです。時間もお金も労力もかけるメリットが女性側には皆無なので、準強姦の訴えがデタラメだというのはほとんどないと思います」
最後に、被害女性の知人の言葉を再び引こう。
「彼女は事件翌日の昼間に予定は何もなかった。なのに、早朝に独りでまるで逃げるようにしてホテルを出て行く映像が確認できます。山口が同意の上だと言うのなら、彼女はなんでそう振る舞わなきゃならなかったんでしょうか」
特集「『準強姦逮捕状』の『安倍総理』ベッタリ記者にアッキーが『いいね!』した“女の敵”」より
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