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小池百合子代表
緊急寄稿 大衆扇動の「小池劇場」に熱狂「B層」が日本を亡ぼす――哲学者 適菜収
https://www.dailyshincho.jp/article/2017/10140600/?all=1
週刊新潮 2017年10月12日神無月増大号
ここは小池さんに改革を任せるしかない。“愚民”である「B層」は言う。まるでそれが最新の流行(はや)りであるかのように。だが彼らはこの25年間、「改革ごっこ」が繰り返されてきたことに思いを馳せようとしない。哲学者の適菜収氏が、B層が跋扈(ばっこ)する世相を斬る。
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小池百合子には環境相時代に提唱した「クールビズ」が成功体験として残っている。でも要するに「薄着」でしょう。どうでもいいような言葉をわざわざ横文字にする。日本語に対する愛がないんです。
安倍晋三による衆院解散は「クエスチョンマーク」で、これまでの議論を「アウフヘーベン」すると小池は言う。こういうものに騙されるのが、三度の飯より「改革」が好きな「B層」です。
日本人の「改革好き」は戦前、戦中、戦後を貫いており、基本的に無知と忘恩に起因する。NHKの大河ドラマでも毎年のように維新だの「新しい国をつくる」だのと「革命モノ」が持て囃されている。B層は正義の味方が悪い奴を倒すという紙芝居が大好きです。
この四半世紀を振り返ってみても、政治家は口を開けば「改革」ばかり。小沢一郎は「守旧派」をでっちあげ、小泉純一郎は「抵抗勢力」に刺客を送り、民主党は官僚を悪玉に仕立て上げた。その結果、日本はどうなったんですか?
政治の劣化の延長線上に安倍政治も「橋下劇場」も存在する。
小池が言っていることも、これまで繰り返されてきたマニフェストだのアジェンダだの船中八策だのとほとんど代わり映えしない。要するに絶望的に古いんです。
B層とは私の造語ではなく、2005年9月のいわゆる郵政選挙の際、小泉・自民党政権下の内閣府が広告会社スリードに作成させた企画書「郵政民営化・合意形成コミュニケーション戦略(案)」による概念です。構造改革に肯定的でIQが低い層、ひいては「近代的諸価値を妄信するバカ」「改革幻想に囚われている人々」ですね。
地道に議論を積み上げて国民に訴えるより、こうしたB層を扇動すれば選挙で勝てるというマーケティングの論理が蔓延(はびこ)ることにより、日本の政治は劣化してきました。
小池がやってきたことも普通に見れば無茶苦茶でしょう。市場移転問題では科学的事実、専門家の検証に難癖をつけ、都民の不安を煽り、「総合的な判断で決める」などと言いながら、移転を先延ばしし、税金をドブにぶち込んだ。徹底した「情報公開」を謳いながら、すべての政策を密室で決める。都民ファーストの都議にはメディアの取材に答えないよう箝口令を敷き、都民には密告を奨励する。気に入らない部下は「粛正」する。だから、都庁内における小池の評価は最低です。
小池は自分はAIだと言いましたが、たしかにそこには人間に備わる良心がない。冷徹で非情で傲慢で卑劣。世の中を混乱に陥れても、反省することはない。
B層はなぜこうしたいかがわしいものに何度も騙されるのか?
概念図
悪質な宗教と同じ
現状に不満があり、将来が不安だからでしょう。かといって、判断の責任を引き受ける気力もない。
そこで彼らは権威や強いリーダーを求めるようになる。何ものにも束縛されたくないと言いながら、束縛されたくてたまらないのだ。
イギリスの政治哲学者マイケル・オークショットは、西欧近代は二つのタイプの人間を生み出したと言います。一つは判断の責任を引き受ける「個人」であり、もう一つは「できそこないの個人」。要するに大衆です。彼らは前近代的な社会的束縛を失い、自由になった反面、不安に支配されるようになった。過去に「理想」を見出そうとしても、前近代的な共同体はすでに消滅している。彼らは自己欺瞞と逃避を続け、自分たちを温かく包み込んでくれる「世界観」、「疑似共同体」、正しい道に導いてくれる「強力なリーダー」を求めるようになった。
ある種の政治家はこのニーズを利用する。理想の未来を提示し、「改革気分」を煽れば、B層はコロッと騙される。
彼らは自分たちが主体的に判断しているつもりだが、選択肢はあらかじめ用意されている。
小池の独裁者まがいのやり方も、B層はリーダーシップと勘違いする。
全体主義は上から下への権力の一方的な行使ではない。強いリーダーに縛られたい大衆の願望とそのニーズを利用する政治があって成立する。彼らが求めているのは「気分」である。大衆はデマに不感症になり、訳知り顔で「政治家なんて嘘をつくもの。青臭いことを言うな」などと言いだしたりもする。
小池は「希望の党」結党の会見で「日本をリセットする」と発言。「大きなところで『改革』ということ、『保守』ということを確認するという意味でのリセットだ」などと説明していたが、ほとんど社会を解体するカルト勢力の発想だ。
漫画『ドラえもん』に、「どくさい(独裁)スイッチ」という話があります。これは未来の独裁者が開発した秘密道具で、気に入らない人間を自由に消すことができる。のび太は、いじめっ子のジャイアンを消し、最後には「誰も彼も消えちまえ!」と叫んでスイッチを押す。すると、本当に誰もいなくなってしまい、のび太は途方に暮れる。
のび太が後悔し、反省していると、ドラえもんが現れ、実はこれは独裁者を懲らしめるための道具なんだと真相を告げる。いい話ですね。
世の中には変えていいものもあれば、いけないものもある。当たり前の話です。そして、先人たちの営みのなかで長い歴史的な時間をかけて生成され、積み上げられてきたもの、常識や習慣や制度には、一見、非合理的に映ったとしても何らかの意味があると考えるのが正常な人間です。
「改革」は便利なキーワードです。失敗したら、それは改革が足りないからだと言い逃れできる。だからもっと改革を進めろと。これは悪質な宗教と同じです。救われないのは信心やお布施が足りないからだ――と。
そろそろ正気を取り戻しましょう。あんなものに熱狂する暇があるなら、『ドラえもん』を熟読したほうがいい。(敬称略)
適菜収(てきな・おさむ)
哲学者。1975年山梨県生まれ。早稲田大学でニーチェを専攻。近大大衆社会の問題点を指摘し続けている。『日本をダメにしたB層の研究』『日本を救うC層の研究』等の著書がある。
特集「小池百合子の希望・横暴・票泥棒」より
緊急寄稿 大衆扇動の「小池劇場」に熱狂「B層」が日本を亡ぼす――哲学者 適菜収https://t.co/FjmQYKdabP
— デイリー新潮 (@dailyshincho) 2017年10月13日
ここは小池さんに改革を任せるしかない。“愚民”である「B層」は言う。まるでそれが最新の流行りであるかのように。だが彼らは……
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