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北のカリアゲに打つ手なし 「異次元緩和」不発の今後
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/213437
2017年9月13日 日刊ゲンダイ 文字お越し
制裁強化決議は全会一致で採択されたが(C)AP
案の定、「異次元の圧力」は仰々しい言葉だけのから騒ぎに終わりそうだ。
12日、国連安全保障理事会が北朝鮮への制裁強化決議を全会一致で採択。これを受けて、安倍首相はテレビカメラの前で「北朝鮮に対する格段に厳しい制裁決議が、迅速に全会一致で採択されたことを高く評価」とコメント。その上で、「北朝鮮に対してこれまでにない高いレベルの圧力をかけ、北朝鮮の政策を変えさせることが大切だ」とお決まりのセリフを口にしていた。
だが、今回の決議では、米国の当初案に盛り込まれていた石油の全面禁輸は見送られ、原油輸出に上限を設けるにとどまった。上限といっても「過去12カ月間の総量」だから、実質的には現状維持だ。「異次元の圧力」とは程遠い内容である。
北朝鮮が核実験を強行したのが3日。それからわずか1週間あまりで制裁決議が採択されたことは、たしかに異例の早さではあるが、それは全会一致のために中国やロシアに配慮し、大幅に譲歩した結果だ。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。
「日本のメディアは、厳しい制裁で北朝鮮が窮地に陥るように報道していますが、実態は違う。米国ではニューヨーク・タイムズが『トランプ政権が数日前に要求していたものよりはるかに低い制裁内容』と報じるなど、後退して骨抜きになった決議の実効性に疑問が投げかけられています。
異次元どころか、北朝鮮に対して強い圧力にはならないとみられている。この制裁で核兵器開発、ミサイル開発を止めることは不可能です。それなのに、制裁決議を『高く評価』などと持ち上げるパフォーマンスには、政権の別の狙いが見え隠れする。ひとつには、支持率アップに利用する思惑があるのでしょう」
■制裁をわめいて北朝鮮の尻を叩く
森友・加計疑惑で瀕死だった安倍政権が、北の核・ミサイル問題で息を吹き返した。各社の世論調査で、軒並み支持率が回復。数カ月ぶりに支持が不支持を上回った。
「北朝鮮に対して制裁を叫び、拳を振り上げていれば支持率が上がるのだから、こんなラクなことはありません。無定見外交が破綻して、この政権には外交成果など何もないのに、勇ましい言葉を発するだけで、まるでマトモに外交をやっているかのように国民を幻惑することができる。危機を煽ればテレビ報道は北朝鮮一色になって、自身のスキャンダルにフタをすることもできます。制裁強化とわめいているのは、そうやって北朝鮮を追い詰めて、またミサイルをブッ放してもらおうと尻を叩いているようにも見える。北朝鮮の危機に対する国防を理由にすれば、今なら防衛費を一気に増やしても、国民の理解が得られると考えているのでしょう。むやみに国民の不安をかき立てて、軍拡に利用する手口は悪辣きわまりありません」(政治評論家・本澤二郎氏)
ロシアのプーチン大統領が「制裁強化はバカげている」と牽制するなど、国際社会が制裁で一致するわけがないことは、ハナから分かりきっていた。それなのに、安倍は「異次元圧力」などと意味不明の言葉まで吐いて、制裁強化で米国と足並みをそろえてきた。内政問題で行き詰まっている日米のトップにとって、それが好機となるからだ。
制裁決議の効果には疑問(写真は国連安全保障理事会)/(C)AP
トランプの「バイ・アメリカン」に貢献する軍拡路線 |
北朝鮮問題を解決する方法は、突き詰めれば2通りしかない。制裁か、対話か。制裁の行き着くところは武力行使、すなわち戦争だ。対話路線なら、北朝鮮の核保有を認めざるを得ない。
ドイツのメルケル首相は「唯一の方法は外交的解決法だ」と言い、「北朝鮮との対立を収束させるのには“イラン方式”が役立つのではないか」と提案している。国連安保理はイランに対しても数回にわたって制裁決議案を採択したが、効果はなかった。13年にイランと主要6カ国間で交渉が始まり、イランの核開発プログラムを制限する代わりに、制裁を解除するという内容の合意が妥結された“成功例”がある。これを北朝鮮にも活用できないかというのだ。
「北朝鮮の核・ミサイル開発が制裁強化で解決しないことは明らかで、メルケル首相の提案は非常に現実的です。しかし、日米は必要以上に北朝鮮を挑発し、意図的に脅威を煽っているように見える。それで日本は軍備を増強できるし、武器を大量に買ってもらえれば米国もうれしいからです。制裁強化の一辺倒は、問題を根本的に解決する気がないとしか思えない。危機が存在することを望む人たちがいるのです」(孫崎享氏=前出)
それを裏付けるかのように、トランプ大統領は今月5日、ツイッターにこう投稿している。
<I am allowing Japan & SouthKorea to buy a substantially increased amount of highly sophisticated military equipment from the United States>
「私は、日本と韓国がアメリカから高性能の武器を大量に購入することを許可するつもりだ」――北朝鮮の脅威に備えるために、どんどん武器を買えと迫っているわけだ。ここまでロコツだと笑うしかないが、トランプが掲げる「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買おう」に従って、役に立つのかも分からないイージス・アショアなど、高額武器の“爆買い”に走る日本政府。ここへきて、「核武装論」が頭をもたげてきたことも剣呑である。自民党の石破元幹事長が、核の国内配備について議論すべきだという考えを示し、3日の産経新聞は「北朝鮮の核開発を断念させるのは不可能だから、日本と韓国の核武装を容認しなければならないという議論が広がっている」とワシントン発で伝えた。朝日新聞の投書欄にまで「『非核三原則』再考の時では」なんて意見が掲載される。
■憲法9条改正論議もスタート
「ひと昔前は、核の持ち込みや核密約は国会が止まるほどの騒ぎになったものです。核兵器の保有が平然と語られるようになったことは隔世の感がある。安倍政権の5年間で、国民の意識もすっかり変わってしまった。それは、諦めに似た境地かもしれません。北朝鮮問題は、制裁で核の脅威を封じ込めることはできず、打つ手がない。かといって、世界の破滅を招く可能性がある戦争に安易に踏み切るわけにもいかない。おそらく、しばらく膠着状態になるでしょう。そういう中で核武装論が台頭し、自民党の憲法改正推進本部が憲法9条の改正に向けた議論を再開させた。着々と米国の戦略に組み込まれていくことに危機感を覚えます」(元外交官の天木直人氏)
米国のライス元国務長官の回顧録には、第1次安倍政権の06年に訪日した際の核をめぐるやりとりが記されている。安倍は「それ(核開発)を希望する声が多いことは事実で、そのような声がますます大きくなっている」と話したという。
「安倍首相には核兵器を持ちたいという野望がある。安倍政権が原発再稼働をゴリ押しするのも、核武装が頭にあるからです。北朝鮮の脅威を利用した極論で、戦争国家へと突き進もうとしている。北朝鮮と戦争状態にあるのは米国であって、普通に考えたら日本にミサイルが飛んでくることはないのに、なんだか怖いという感情論だけで核武装に賛成してしまう国民は、それで自分たちの生活が圧迫されることに気づいているのでしょうか。軍拡競争はイタチごっこでしかなく、どこまで行っても安心は得られない。軍備のために削られるのは国民の社会保障ですから、軍拡や核武装は国民を不幸にするだけです」(本澤二郎氏=前出)
メルケル首相のように、「新しい軍事競争は誰の利益にもつながらない」と諭すリーダーが、なぜ日本にはいないのか。
唯一の被爆国が核武装を言い出す倒錯。北朝鮮の暴発がもたらす結末が日本の核武装では、国際社会は吃驚するに違いない。
北のカリアゲに打つ手なし 「異次元緩和」不発の今後 https://t.co/sOWooCsKz2 #日刊ゲンダイDIGITAL
― Santa (@yumi226suna) 2017年9月13日
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