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前原民進党最大欠陥は政策路線が不明確なこと
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2017年9月12日 植草一秀の『知られざる真実』
野党再編には二つの異なる考え方がある。
一つは「数の論理」を軸としたものだ。
現在の与党である自公勢力に対抗し得る数を有する抵抗勢力を構築する必要が
あるとの考え方である。
自公に対抗し得る勢力を確立し、政権交代が実現する状況を生み出すことが
大事だとする考え方である。
もう一つの考え方は、「政策を基軸にした対抗勢力の確立」という考え方だ。
「政策を基軸に」自公と対抗し得る勢力を確立する。
主権者に異なる政治路線の選択肢を提供すること。
政策的に対峙する政治勢力を確立することを重要視する。
この場合でも、政策的に対峙する勢力が政権を樹立するには、
自公に対抗し得る「数の確保」が必要となるから、
この意味では前者の「数の論理」を否定するものではない。
ただし、前者は「政策の相違」を重視せずに、
「数の論理」で対抗勢力の確立が必要だとするのに対し、
後者の考え方は、あくまでも「政策的な対峙」が重要であるとする点で
大きな相違がある。
安倍政治を廃し、新しい政治を打ち立てる、新しい政権を樹立することを目指す際に、
上記の二つの道筋のどちらを取るのか。
極めて重要な問題である。
前原民進党が主権者の支持を完全に失っているのは、
この政党が政策の基軸を明確に示さないからである。
主権者にとって大事なのは、政策であって政党ではない。
政策路線をあいまいにしたままで、
野党の数を増やすために支持をお願いするという発想自体が間違っている。
この意味で、自公と類似する政策主張を示す勢力が民進党から離党することは
歓迎するべきことだ。
離党者は民進党が共産党との選挙協力を進めることに賛同できないことを
理由の一つに挙げている。
この勢力が民進党から完全に離脱すれば、民進党の政策路線も整理される。
ところが問題は、民進党の代表選では、
前原氏が共産党との選挙協力に否定的な見解を示し、
枝野氏が共産党との選挙協力に前向きのスタンスを示していた。
共産党との選挙協力に否定的な人々が民進党を離党するのに、
残された民進党が共産党との選挙協力に否定的では、
共産党との選挙協力を強固にして次の選挙を戦うべきだと考える主権者が
行き場を失う。
前原氏は基本戦略、基本方針を明確にするべきだ。
もっとも重要な根幹の戦略の部分をあいまいにすること自体がフェアーな姿勢でない。
民進党が現在のあいまい路線、鵺(ぬえ)路線を維持するなら、
主権者は完全にこの政党を見捨てることになるだろう。
すでに、この政党は政権を担うような力を完全に失っている。
民進党がこの体たらくを続ける以上、主権者は民進党に見切りをつけて、
主権者が主導して政権を樹立する道を確立しなければならないことになる。
主権者にとって最も重要な政策テーマは
原発と消費税である。
原発と消費税に対する政策路線に的を絞り、
この政策での一致を見る勢力の「連合体」を構築することが、
次の衆院総選挙戦略として適正であると考える。
安倍政権は原発の全面再開を推進している。
福島の事故がいまなお持続するなかで、
福島での甲状腺がんの発生が急増するなかで、
安倍政権は原発の全面再稼働を推進している。
この政策に対して、日本の主権者はどのような判断を有しているのか。
原発の全面的な稼働停止、原発の廃止を求める主権者が多数存在するなら、
この判断を現実の政治に反映する必要がある。
原発全面廃止を明示する政治勢力を確立する必要がある。
この政策路線が明示されれば、この政治勢力を積極的に支持しようとする主権者は
多数発生すると考えられる。
これに匹敵する最重要の政策テーマが消費税である。
政府は社会保障支出の財源を調達するために消費税増税を避けられないとするが、
この説明は「ウソ」である。
過去25年間の税収推移が、この「ウソ」を明確に立証している。
消費税は社会保障支出を拡充するために実施されたのではなく、
所得税と法人税を減税するために実施されてきたのだ。
所得税減税は、富裕層の税負担を削減するために実施されてきた。
同時に、野田佳彦氏が叫んだ「シロアリ退治」、
「天下り根絶」はまったく実行されていない。
シロアリを温存したまま、法人税と所得税を減税するために
消費税減税が推進されてきた。
消費税率をまずは5%に引き下げる。
そして、その先に消費税廃止を視野に入れる。
原発廃止と消費税廃止。
この政策公約の旗を明示する。
この旗を明示する候補者を各選挙区にただ一人擁立して、
主権者の投票をこの統一候補者に集中させる。
もはや頼りにはならない政党に見切りをつけて、
「政策連合」で総選挙を戦う判断を下す時機が来ている。
民進党が小池国政新党などと連携して大連合を生み出せば、
自公に対抗し得る政治勢力を作り出すことができ、
政権交代も可能になるとの考え方があるが、果たしてそうなのだろうか。
確かに「数の論理」から言えば、
自公に対抗し得る議員数を確保できれば政権交代は可能になるだろう。
しかし、この「自公に対抗し得る政治勢力」が示す政策方針、
政策公約があいまいであったり、
自公が示す政策と類似したものであったりするときに、
主権者はこの新政治勢力を積極的に支持するだろうか。
主権者は、このあいまい政党、第二自公勢力、えせ自公勢力を
積極的に支持することはないのではないか。
自公と同じ政策を主張するなら自公を支持すればよいということになるのではないか。
このとき、自公の政治路線、政策路線に反対の立場の主権者は行き場を失う。
ますます選挙への参加から遠ざかり、投票率が低下することにつながるのではないか。
主権者が自公政治に反対する最大の理由は「政策路線への反対」にある。
安倍政治が推進している
戦争の推進
原発の推進
消費税増税の推進
格差拡大の推進
に反対して、「安倍政治を許さない!」と考えているのだ。
このときに、安倍政治が示す政策路線と変わらない、
類似した政策路線を提示する政治勢力が登場したところで、
この勢力を積極的に支持、支援しようとは考えないであろう。
第二自公勢力が形成されても、主権者がこの新勢力を積極的に支持しようと
考えるとは思えない。
たしかに、東京都議選では、「都民ファースト」という新興勢力が
人気を集めて選挙に大勝した。
しかし、この「都民ファースト」が支持されたのも、
自公と類似した政策を提示してのことではなく、
「都民ファースト」が提示する政策路線が、
自公とははっきりと異なるものに「映った」からであると考えられる。
ところが、小池都知事はその後の行動で、
「都民ファースト」が実態としては、自公類似勢力であることを明らかにしつつある。
都民ファーストが自公類似勢力に過ぎないという実態が
東京都の主権者に理解されるようになるなら、
この新勢力は人気を急速に失うことになるのではないか。
主権者がいま求めていることは、
「対立する政策路線を明示する政治勢力」
なのだ。
政党ではなく政策を基軸に選挙を行う。
「政策選択選挙」
を実現するのだ。
滋賀県、沖縄県、鹿児島県、新潟県などの知事選で、
「政策選択選挙」
が実現した。
原発問題、基地問題を争点に
主権者が政策の方向を定める選挙を実現したのである。
その結果、弱小勢力が擁立した候補者も見事に勝利を収めたのである。
選挙の争点を絞り、明確にする。
主権者にとって切実で、極めて重大な問題を争点に据える。
この意味で、原発を消費税はもっともふさわしい争点になる。
消費税減税、消費税廃止は突飛な提案ではない。
消費税が本当に社会保障の拡充に充当されるなら、
一つの財源調達方法にはなるだろう。
北欧や一部の欧州諸国では付加価値税率が高いが、
一方で充実した社会保障が実現している。
これはあり得る一つの財政構造である。
しかし日本は異なる。
消費税負担が激増しても社会保障は拡充されていない。
消費税増税の一方で、法人税減税、所得税減税が推進されてきたのだ。
これは一種の詐欺であって、主権者はこのような詐欺行為を許すべきでない。
消費税を廃止して社会保障を拡充する方向に、
日本の財政政策を抜本的に改革する必要がある。
原発を廃止しても国民生活に支障は生じない。
原発廃止という、大きな判断を下すべきときが来ている。
原発を廃止するかどうかを決定するべき存在は、主権者国民である。
総選挙の主要争点に原発稼働是非を掲げて、主権者に判断を委ねるべきだ。
原発稼働と消費税減税を明確な争点に定めて、
「政策連合」
を確立する。
そして、すべての小選挙区にこの「政策連合」から
ただ一人の候補者を擁立する。
この候補者に主権者の投票を集中させる運動を全国展開する。
巨大な成果が生まれるはずである。
内紛を続ける民進党を捨て置き、
「政策連合」による「政策選択選挙」で次の衆院総選挙に地滑り勝利を勝ち取る。
決して無謀な幻想ではないなずだ。
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