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2017/05/10 05:35
<現行憲法は26条で義務教育(小中学校)の無償化をうたう。安倍首相は改憲提案で「高等教育も」と無償範囲の拡大をにおわせた。高等教育は大学・短大などを指している。背景には、同趣旨の改憲案を唱える日本維新の会を抱き込む狙いがあるとも言われる。
だが、首相の改憲提案を巡る9日までの国会審議は荒れ、議論は深まらない。首相が民進党の質問に「(自民党総裁としての考えを述べた)読売新聞を熟読したらいい」などと述べ、詳しい言及を避けているためだ。
そもそも自民党は教育について逆の主張を展開してきた。
谷垣禎一総裁らの野党時代、旧民主政権が2010年にスタートさせた公立高校授業料無償化に対して、子ども手当▽高速道路無料化▽(農家への)戸別所得補償−−と合わせて、頭文字を取り「バラマキ4K政策」と批判。「将来の子供たちにツケを回している」「財政破綻国家に転落する」と訴えていた。
自民党の公式HPには、当時の主張が今も掲載されている。政権奪還後の14年には、高校授業料無償化に所得制限を設けて内容を後退させた。
実は安倍首相は今年1月、国会での施政方針演説でも「憲法が普通教育の無償化を定め、義務教育制度がスタートした。高等教育も全ての国民に真に開かれたものでなければならない」と述べた。今回これを改憲テーマの一つに格上げした格好だ。しかし理由についてはビデオメッセージで「(憲法施行から)70年の時を経て、社会も経済も大きく変化した」と語るのみで、党の主張との整合性には何の言及もない。
憲法学者で首都大東京教授の木村草太さんは「教育の無償化を掲げるなら民進党(旧民主党)にわびを入れるべきだ」と言う。その上で「改憲しなくてもできるし、改憲だとかえって時間がかかり、社会状況への柔軟な対応も難しくなる。日本維新の会の教育無償化法案に乗るなど、まずは法律での対応を模索するのが合理的だ」と指摘する。
ちなみに、憲法改正の是非を問う国民投票は、衆院法制局の試算で1回で約850億円かかるとも言われている。木村さんの主張は「不要な改憲で国民投票をするくらいなら、そのお金を教育無償化の財源に回した方がいい」と論旨明快だ。
政治アナリストの伊藤惇夫さんも「野党時代の主張を説明もなく覆すのは、ご都合主義だ」とあきれている。改憲提案の示し方についても「首相は改憲派集会にビデオメッセージを寄せたり、読売新聞のインタビューに応じたりしただけで国民に向けて直接語っていない。整合性も含め、まずきちんと説明すべきだ」と注文をつけた>(以上「毎日新聞」より引用)
かつて自民党は谷垣禎一総裁らの野党時代、旧民主政権が2010年にスタートさせた公立高校授業料無償化に対して、子ども手当▽高速道路無料化▽(農家への)戸別所得補償−−と合わせて、頭文字を取り「バラマキ4K政策」と批判。「将来の子供たちにツケを回している」「財政破綻国家に転落する」と訴えていた。
それに日本中のマスメディアも同調して「バラマキ」批判の大合唱攻撃を連日連夜繰り返して「インフレ化」政策をブッ潰し、民主党政権も併せてブッ潰した。それ以降財務官僚主導のデフレ化政策が主流となり、消費増税もあって国民は貧困化した。
2009マニフェストで民主党が掲げた子ども手当▽高速道路無料化▽(農家への)戸別所得補償などは欧州諸国では常識的な政策だ。それに医療費の無料化もあわせて、欧州諸国では普通に行われている。
それらの財源は消費税で、確かに欧州諸国の消費税は高税率に見えるが、生活に必要な食料費などは非課税かもしくは欧州諸国でも最も高い税率を課しているスウェーデンですら7%でしかない。日本のすべての消費税に一律8%の消費税を課すのは欧州諸国と比較しても重税感の強いものといわざるを得ない。
しかも問題なのは消費税の構造的な屁理屈を並べて、輸出企業へは消費税を還付していることだ。その屁理屈を並べ立てるなら、例えば野菜農家が野菜を出荷する際に使用するトレーや段ボールなどにも消費税が課され、それを輸送するトラック本体やや燃料の軽油やガソリンにも消費税が課されている。
それらの原価に課された消費税を控除することなく、さらに売価に消費税を課すのは消費税の二重三重の重課というべきで、税の構造としては極めて前近代的な杜撰なものだ。
そうした議論を置くとしても、消費税をすべて子ども手当▽高速道路無料化▽(農家への)戸別所得補償の財源として使っていたなら何ら問題はないはずだ。かつて野党だった自公が民主党の子ども手当▽高速道路無料化▽(農家への)戸別所得補償などを「バラマキ」だと批判の大合唱をしていたのも消費税を「バラマキ」各種財源の一部に潜り込ませた結果だ。
杜撰な税構造と税支出が日本の消費税が重課にも拘らず福祉目的を満たしていない原因だ。つまり日本国民は十分に子ども手当▽高速道路無料化▽(農家への)戸別所得補償や高度な福祉を享受すべき消費税を支払っている。その貴重な財源を「バラマキ」勝手に使ってきたのは自公政権の政治家諸氏と財務官僚だ。
自公の政治家は財務官僚に操られて民主党が掲げた先進的な「インカム保障」政策を悉く潰して前近代的な「自己責任」社会の存続に手を貸した。それも「構造改革」で派遣社員を選択するのも「自己責任」という名の社会保障制度の不備を責任転嫁する仕掛けに過ぎなかった。
日本国民はそうした「構造改革」と称するグローバル化と「自己責任」と称する格差拡大の論理をマスメディアにより徹底的に刷り込まれて民主党が掲げた子ども手当▽高速道路無料化▽(農家への)戸別所得補償などの政策を「バラマキ」という低次元の批判に誤魔化されて安倍自公政権樹立に誘導された。
結果としてどうなったか。日本は「戦争」のできる国に変えられ、国民は一層貧困化し、グローバル企業や投資家たちだけが巨富を手にする、という格差拡大が「加速化」された。こうした社会は圧倒的多数の国民にとって不利益をもたらし、少子高齢化をもたらし、食糧安全保障を破壊して日本の農業に対する米国の穀物メジャー支配を容認せざるを得ない状況に追い込まれるだけだ。
そろそろ目覚めるべきだ。外国人観光客を大量に増やすために予算を消費するよりも、日本の国民が無料化された高速道路を使って各地の温泉地や観光地へ家族で安く行く方が何倍も経済効果が大きいし、国民にとっても豊かさを享受できるだろう。
マスメディアの無責任な誘導策に騙されず、自公政治がいかなる結果を現在の日本にもたらしているか、を冷静に検証すべきだ。薄っぺらな政権の幇間のような評論家の言に惑わされず、しっかりとした理念を日本の政治が獲得し、長期戦略を理解して政権選択をすべきだ。かつて2009マニフェストを掲げた民主党を選んだように、小沢一郎氏の許に結集する野党連合に期待するしかないことを肝に銘ずべきだ。
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