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「腐ったリンゴは隣のリンゴを腐らす」民進党ー(植草一秀氏)
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6th May 2017 市村 悦延 · @hellotomhanks
昨年6月の英国国民投票、
11月の米国大統領選、
そして、この5月7日の仏大統領選、
5月9日の韓国大統領選と、
重要な選挙や国民投票が実施されてきた。
フランスの大統領選では中道でEUを肯定するマクロン氏が、
韓国大統領選では米国主導の韓国統治に異を唱える文在寅(ムン・ジェイン)氏が、
最終局面まで優勢を維持している。
1980年代以降、世界を席捲してきた新自由主義の流れ。
グローバリズムの進行に対して、世界の各地で反攻の旋風が巻き起こっている。
「グローバリズム」
とは、
「大資本の利益を極大化するために、国境を超えて、
市場原理のみによって経済社会を動かすことを目指す運動」
のことだ。
同時に大資本は軍産複合体の利益を極大化するために、
「戦争を創作」
し続けている。
その結果として、大量の難民が生み出され、
その難民が欧州を中心に押し流されている。
英国では
グローバリズムにNOの意思が明示され、
米国でも、
グローバリズムにNOの意思が表明された。
しかし、フランスではグローバリズムにNOの意思を表示する勢力が
勝利できない可能性が高まっている。
他方、韓国では米国主導政治にNOの意思が示される可能性が高い。
これらの投票結果の差をもたらしている最大の背景は、
選挙の図式にある。
反グローバリズムの主張は二つの系譜に分散される傾向を有する。
第一は、政府の分配政策の見直し、生存権強化政策を求める主張。
政府がすべての国民に保証するナショナルミニマムの引き上げ、
所得再分配強化を軸とする社会民主主義政策を重視する主張である。
第二は、排外主義的な主張。
外国からの移民の激増によって、国家財政が悪化する、
本来の国民の生活が圧迫されることを重視して、
移民の流入を制限すべきとの主張である。
英国の国民投票では、これらの両者が、ともにEUからの離脱という主張で
合流できた。
その結果として、EU離脱の判断が示された。
米国の場合、民主党のサンダース氏が社会民主主義的な政策を提唱する一方、
共和党のトランプ氏が排外主義的な傾向を有する主張を提示した。
民主党の指名候補がクリントン氏になったため、
サンダース支持者の多くが棄権もしくはトランプ氏支持に回った可能性がある。
その結果として、トランプ氏が勝利した。
クリントン氏は明らかにグローバリズム支持者であると見なされたのである。
フランスの場合、反グローバリズムの支持者が三つに割れた。
ルペン氏支持、メランション氏支持、アモン氏支持の三つだ。
そして、決選投票には、この3名のうち、ルペン氏だけが勝ち残った。
メランション氏の支持者の多くは棄権に回る可能性が高い。
ルペン氏の排外主義が強すぎると考えているからだ。
アモン氏の支持者はマクロン氏支持に回る。
この結果として、中道でEU肯定派のマクロン氏が優勢となっている。
韓国の大統領選では中盤まで支持を伸ばしていた安哲秀(アン・チョルス)氏が
米国主導を基礎に置きながら、テレビ討論であいまいさを露呈したために
支持を失った。
明確な右派路線を提示した自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏に
保守派の支持を奪い返されて、結果として米国主導路線に異を唱える文在寅氏の
リードが生まれている。
安氏と洪氏が候補の一本化を実現させると、選挙結果は逆転する可能性もある。
つまり、選挙・投票結果は、選挙・投票の図式に大きく左右される。
「小異を残して大同につく」ことが選挙に勝利する最重要の事項なのである。
日本でも、この点を的確に踏まえた戦術を採用すれば、
いつでも政治刷新を実現できる。
このことを忘れてはならない。
グローバリズムが進行して何が起きているのか。
それは、庶民の生活が苦しめられている、ということだ。
中間層が下流に押し流される。
大資本は利益を極大化するために労働コストを極限まで圧縮しようとする。
これを効果的に実現するには、低賃金労働力を流入させることが有効である。
戦争を創作して、難民を生み出し、この難民を流入させる。
このことによって、既存の労働力の賃金コストを大幅に引き下げることが可能になる。
日本は移民を受け入れていない国である。
このような国で、さらに賃金コストを引き下げるには、
外国人労働力の導入が有効になる。
だから、安倍政権は外国人労働力の流入を全面推進しているのだ。
このような施策を取ると、下流に押し流される人々の一部は、怒りの矛先を、
流入してきた移民に向けることになる。
そのために、排外主義が燃え盛るようになる。
他方、庶民の生活が苦しめられるようになった原因は、
グローバリズムそのものにあり、
これと同調する新自由主義経済政策が問題だと考える人々は、
反グローバリズムの主張とともに、新自由主義経済政策に異論を唱える。
社会民主主義政策への要請を強めるのである。
排外主義と社会民主主義政策の主張は、発生源を同じくするが、
政治の主張としては対立するものになる。
ここが、逆に、グローバリズムを推進する勢力の目の付け所になる。
グローバリズムを推進する勢力は、意図的に、排外主義の伸長を支援するのである。
一見、矛盾した行動であると見えるが、最大の目標は、
社会民主主義的主張に人々の主張が大同団結することを阻止することにある。
フランスではこれが功を奏してグローバリズムを推進する勢力が延命する可能性が
高い。
社会民主主義的政策を提唱するアモン氏陣営は、
アモン氏の支持が伸び悩んだ段階で、メランション氏に支持を一本化するべきだった。
そうなれば、メランション氏が決選投票に進んだはずである。
マクロン氏とメランション氏との一騎打ちになれば、
メランション氏が勝利した可能性がある。
グローバリズムに反対するルペン氏支持者がメランション氏に
投票する可能性があったからだ。
英国の国民投票と同じような結果がもたらされた可能性がある。
日本では安倍政権のグローバリズム推進が格差拡大を生み出すとともに、
排外主義を拡大させている。
その排外主義を吸収しているのが維新勢力であるとも言える。
格差拡大の是正
貧困問題への積極的な対応
グローバリズムへの抵抗
の勢力が一本化すれば大きな力になる。
それを妨げているのは何か。
それは、民進党のあいまいさである。
憲法、原発、TPP、基地、格差
のすべての主要問題において、民進党の主張はあいまいである。
野党共闘の試みが模索されているが、民進党以外の野党の主張は、
戦争法廃止
原発廃止
TPP阻止
沖縄基地阻止
格差拡大阻止
で足並みを揃えている。
民進党が、この路線で足並みを揃えるなら、本当の意味の野党共闘になり、
大きな力を発揮することは間違いない。
しかし、現実は違う。
民進党の中枢が
戦争法肯定
原発肯定
TPP肯定
沖縄基地肯定
格差拡大肯定
なのだ。
この民進党を中軸とする野党共闘では、
主権者国民の全面的な賛同を得ることはできない。
むしろ、それが敵勢力の狙いであると思われる。
「腐ったリンゴは隣のリンゴを腐らす」
“The rotten apple injures its neighbor.”
のである。
この民進党が野党共闘の中核に位置し続ける限り、政治刷新は難しいだろう。
これに代わる戦略が必要だ。
それは「政策共闘」である。
単純な「野党共闘」ではなく、
「政策共闘」とする。
「市民連合」
も
「政策連合」
に代わる必要がある。
もちろん、野党共闘そのものを否定するものではない。
「共闘」の中核に
「政策」
を置く。
「政策を基軸に」
「党派を超えて」
「主権者が主導して」
「一選挙区一候補者」
の体制を構築する。
これが、
「オールジャパン平和と共生」
の戦略である。
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