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小泉・安倍・小池「三者"怪"談」その全内幕を明かそう 【緊急寄稿】あの夜、料亭で何が?
ttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/51586
2017.04.28 常井 健一 ノンフィクションライター 現代ビジネス
4月18日夜、赤坂の料亭「津やま」の前に、報道陣が集結した。その日の夕方、「小泉純一郎元首相と、小池百合子都知事が会う」という情報が駆け巡ったからだ。さらに偶然にも同じ店で、安倍首相が企業経営者らとの会合を行うというのだから、政治記者たちがざわめくのも仕方ない。
事実、山崎拓・元自民党副総裁、武部勤・元自民党幹事長、そして二階俊博・現幹事長らも交えた会合が行われた。翌日以降の新聞・週刊誌では「都議選を前に、重要な政治談議が行われたのではないか」といった記事が掲載され、読者の関心を呼んだ。
4月26日発売の「週刊文春」や、同日の日経新聞朝刊にも、この時の模様が描写されているが、「密室」ではいったいなにが話し合われたのか。小泉元首相に単独インタビューを行った経験をもつなど、小泉氏に最も肉薄しているノンフィクションライターの常井健一氏が関係者らを取材し、その内情を描く。
「小池さんが来るわけないだろ」
春先、小泉純一郎は武部勤から手紙を受け取った。「久々に会いたい」という主旨が綴られていた。
武部は「偉大なるイエスマン」と自称し、自民党幹事長として郵政選挙を乗り切った小泉の側近中の側近。だが、政界を引退して以来、二人はちゃんと会っていない。
小泉はすぐに武部と連絡を取り、食事をする約束をした。会場として指定したのは、40年以上も贔屓にしている赤坂の日本料理店「津やま」だった。
「せっかくだから……」
小泉はそう言って、「YKKトリオ」として盟友だった山崎拓も誘うように促した。武部は現職時代、山崎派に属した。山崎とは小泉政権の5年5ヵ月の間にともに党幹事長も務めたという共通点もある。
一方、武部からも「ご指名」があった。小泉政権で経済産業相を務めた二階俊博である。息子で後継議員の武部新は現在、二階派に属している。
「現職の幹事長だから来ないだろう。二階さんが『来たい』って言うならいいけど」
小泉は、そう言った。
普段、「津やま」に客人を招く時は2階にある座敷を押さえる。10人ほどがゆったり座れる室内にはトイレもあり、じっくり「密談」するにはもってこいの場所だ。
しかし、その日の小泉は1階にあるカウンターに並んで飲むつもりでいた。小泉はもともと人目を気にしない性格であるし、武部も山崎も政界の第一線から退いている。いまさら、他人に聞かれてマズい話はない。
4月18日夕方、小泉はいつも通り、約束の時間より早く赤坂に到着した。
店の前には記者らしき集団が待ち構えていた。昨夏に総理退任から10年を迎えた小泉には、番記者がいなくなって久しい。怪訝に思いながら暖簾をくぐると、店の人間から「安倍晋三」が来ることを知らされた。そして、小泉はカウンターではなく、その背後に一組だけ座れる小上がりに案内された。
18時過ぎ、武部、山崎、さらに小泉が来ないと思っていた二階がやってきた。メンバーが揃ったところで、山崎が小泉に切り出した。
「実はね、今日、小池に電話しちゃったんだよ」
小泉は面喰った。
4日前に都内で開いた原発ゼロ運動の記者会見でも「小池さんが都知事になってからは一度も会っていない」「応援するつもりはない」と強調したばかりだ。小池百合子は小泉内閣の環境相であり、会食のメンバーになれる資格≠ヘあるが、小泉はそれを事前に知っていたら、出席をキャンセルしていたかもしれない。
無論、山崎も小泉の性格を知り尽くしている。あくまで「小泉政権同窓会」の体を装いつつ、武部を通じて二階と小池の会談≠水面下でセットしたのだろう。山崎は小泉を前にトリックスターを演じきった。
「小池さんが来るわけねえだろ」
「でも、わかんないぞ。どうする」
「どうするって。『来る』と言ったら、断るわけにはいかないだろ」
20時前、緑色のジャケットを羽織り、首からじゃらじゃらとネックレスをぶら下げた女がやってきた。東京都知事の小池だ。
「よく来るなあ。度胸あるなあ」
「こちらでいいの?」
講演会場から駆け付けた小池は、下座の小泉にそう話しかけると隣に座った。「議長席」に山崎、上座に武部と二階。天下分け目の都議選を前に神経戦を繰り広げている二階と小池は、向かい合う形になった。
実は、そこにはもう一人のサプライズゲストが来ていた。
「総理が来るまで、よろしいですか」
声の主は、ニトリホールディングス会長の似鳥昭雄。安倍の会食相手だ。ニトリは安倍の祖父である岸信介が熱海に構えた別荘を買い取り、会社の保養所として所有している。そんな関係もある。
その似鳥は武部とは同郷、二階とは昵懇である。昨夏、北海道であった二階派の研修会に講師に招かれ、二階たちをニトリがスポンサーの花火大会に招待した。
似鳥の登場に最も興奮していたのは、小泉だった。
「1億円、ありがとうございました」
小泉は似鳥の顔を見るなり、立ち上がって声を上げた。
筆者は1年半前、小泉氏に単独インタビューを行った。やはり、指定されたのは「津やま」だった(筆者撮影)
小泉は原発ゼロ運動の傍ら、東日本大震災時に「トモダチ作戦」として救援活動に当たった米兵の中で健康被害に苦しむ人々の支援をしている。その活動に共鳴し、小泉が昨年立ち上げた基金に「1億円」をポンと振り込んだ経済人こそが似鳥なのだ。
20時過ぎ、狭い店内は物々しい雰囲気に包まれた。SPを帯同した総理のお出ましだ。
小泉たちがいる小上がりは玄関から丸見えの造りになっている。安倍は彼らに気づき、軽く挨拶だけして似鳥と2階の座敷で晩酌を始めた。
「これから自民党と対抗しようとしているのに、総裁、幹事長経験者が集まっているところによく来るなあ。度胸あるなあ」
小泉は終始、そんなふうに小池を絶賛。その後も、二人を中心に話は弾んだ。都政、原発、外交……。いつしか背後にあるカウンターは満席になっていたが、小泉は客たちの「熱視線」を気にすることなく、いつもの調子で語り続けた。
持論の「原発ゼロ」でも一席ぶったが、二階の反応は芳しくなかった。小泉が原発推進勢力≠ニ目する経産省に近く、原発再稼働を進める安倍政権を支える立場でもあるから無理もない。
その間、小泉たちのテーブルには季節の肴が次々と運び込まれ、終盤に名物の鯛茶漬けが出てきた。常連の小泉だけは稲庭うどんをオーダーした。それもお決まりのパターンだ。都議選で対峙する小池と二階、そして安倍のニアミスを周囲は固唾を呑んで見守る中、小泉だけがマイペースだった。
「来年の4月18日、同じメンバーでここに集まろう」
上機嫌の小泉はそう切り出した。
来年の予定は?
小泉は黒革の手帳を開いた。が、来年分のスケジュール欄が入っていない。仕方なく年末のところに「2018年4月18日」の予定を書き込んだ。集合写真を撮ろうという話にもなり、参加者のカメラには「同窓会」の様子が収められた。
宴もたけなわになった頃、再び安倍が1階に現れた。その時、安倍と小池がどういう会話が交わしたかは、店の外で待ち構えていた敏腕記者たちの報道を参照されたい。
新聞の「首相動静」によると、21時45分に安倍は「津やま」を後にした。続いて、小池、二階と続き、最後に小泉が山崎、武部が出てきた。
実はその演出を手掛けたのは、小泉だった。
店内の一行は、外に待ち構えているマスコミの数が会合前より膨れ上がっていることに気づいていた。明日の新聞に何を書かれるかわからない。しかし、総理時代にメディア対応のマエストロとして鳴らした小泉は、「役者たち」をスポットライトが照らされた「舞台」に立たせる順序を即座に考えた。
「現職総理より先に出たら失礼だ」
小泉はそう言って、安倍を先に帰した。次いで、小池に帰宅を促した。「ニュースの主役」をテレビカメラの前に送り込むと、巨大与党の幹事長である二階の背中を叩いた。
その後、小泉は残った2人と店内で時間をつぶした。22時過ぎ、外に出るとまだカメラは残っていた。
あとは、テレビや新聞で報道された通りだ。
「もう偶然!ほんっとに、偶然!!」
小泉は報道陣にもみくちゃにされながら、愛車のトヨタ「ミライ」に乗り込んだ。
報道陣に囲まれもみくちゃになる小泉氏(撮影・西原秀)
「事前にわかっていたら、断っていたよ。あれ、憶測は何とでも書けるから。あんなメンバーが集まったら何書かれたって、文句言えねえよ」
後日、小泉は周囲に笑いながらそう語っている。
山崎、武部に安倍も加わったことで、小泉政権時代に3人いた全幹事長が一堂に会することになった。だが、来年開かれる「第2回」のメンバーに安倍は含まれていないという。
その理由を小泉はこう話している。
「その頃、安倍さんはまだ総理しているんだから」
常井健一 とこい・けんいち 1979年茨城県生まれ。旧ライブドア、朝日新聞出版を経て、オーストラリア国立大学客員研究員。2012年末からフリー。17年、第23回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞(作品賞)を受賞。著書に『小泉純一郎独白』『保守の肖像 自民党総裁六十年史』など
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