しかし、今回公開された音声データにおいてもっとも聞き逃せない部分は、籠池理事長が“あの人の名前”を強調するようにたびたび口にしていることだろう。無論、安倍昭恵夫人その人の名だ。
田村室長に対して、籠池理事長はこんな話をしている。
「昭恵夫人のほうからも、たしかここも聞いてもらったこともあると思いますけど」
「棟上げ式に首相夫人が来られて餅をまくことになっているから、だから余計ね、僕はびっくりしてしもたんですよ。これ、棟上げ式ずれるんとちゃうかなっていうやつがあるでしょ。やっぱりね、そんなバカなことようやるなあ」
「今回はやっぱりね、これは、あの方自身が愚弄されてると思ったから、僕、来たんです。これはアカンと、こんなことしてたら大変なことになるなあと思いまして。僕は自分のために来たんじゃない」
籠池理事長の迫り方は、まるで「首相の夫人が名誉校長の小学校が予定通り開校できないようなことがあっていいのか」と言っているようなものだ。ようするに、財務省が国有地を激安に設定した裏では、総理夫人付職員からの問い合わせしかり、籠池理事長の今回の話しかり、つねに昭恵夫人の存在がちらついていたのだ。
安倍首相は国会で「私も妻も理財局長等に(国有地売却について)言っていないのに、名誉校長に安倍昭恵という名前があれば印籠みたいに『恐れ入りました』となるはずがない」と答弁したが、もはやこれはどう考えても、昭恵夫人の名前が印籠になっていたということだ。
北朝鮮の脅威を煽ることで国民の目を完全に森友学園問題からずらそうと必死の安倍首相だが、そうは問屋が卸さない。昨日の国会で共産党の宮本岳志衆議院議員は田村室長の参考人招致を求めたが、早急に実施されるべきだろう。もちろん、安倍昭恵夫人の証人喚問も、だ。
(編集部)