http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/167.html
Tweet |
安倍政権をアシストする大揺れの民進党
ニュースを斬る
相次ぐ離党、蔓延する「あきらめムード」に揺れる蓮舫体制
2017年4月14日(金)
安藤 毅
民進党の蓮舫体制が揺れている。党内保守派の長島昭久元防衛副大臣が共産党との共闘路線を批判して離党を決断。執行部の一員だった細野豪志氏も代表代行の辞表を提出した。苦戦が予想される7月の都議選を前に公認内定者らの「離党ドミノ」も続く。党勢低迷を象徴するような自壊の動きが広がり、結果的に安倍晋三政権をアシストする構図となっている。
民進党内の結束を揺るがす事態が多発し、正念場を迎えている蓮舫代表。(写真:アフロ)
「共産党と共闘する党の方針は受け入れがたい」
今月10日、離党届提出後の記者会見で長島昭久元防衛副大臣は離党を決断した理由についてこう強調した。
「民共路線は受け入れがたい」
長島氏は安全保障政策に詳しい保守派の論客として知られる。共産党との選挙協力に否定的で、以前から離党の可能性がささやかれていた。衆院東京21区で落選して比例代表で復活当選し、民進の都連幹事長を務めていた。2016年3月の民進党結党後、同党所属国会議員の離党表明は初めてとなる。
長島氏がこの時期に離党を決めた背景について、長島氏に近い民進議員は「党にとどまっても先が見えないという閉塞感に加え、7月の都議選をにらんだ動きだ」と解説する。
長島氏の地元では元秘書などが小池百合子都知事が実質的に率いる「都民ファーストの会」との連携へと動き出している。長島氏も会見で「あらゆる可能性を追求していきたい」と語り、小池氏との連携も視野に入れていることを示唆した。
これ以上の所属国会議員の離党を防ぎたい民進執行部は火消しに追われている。11日の常任幹事会で長島氏を除名処分とする方針を決定。野田佳彦幹事長は会見で、野党共闘について「変えるつもりはない」と断言した。
今のところ、長島氏に追随する動きが広がるかは見通せない。だが、民進の中堅議員は「離党を考えている議員はかなりいる」と明かす。水面下では憲法改正の発議をにらみ、改憲勢力の拡大を目指す自民党による切り崩し工作が加速している事情もある。
「自民党と同じ会派で活動をしてもらえればありがたい」。長島氏の離党表明を受けた自民の下村博文幹事長代行のこうした発言はなんとも示唆的だ。
長島氏の離党表明にショックを受けた蓮舫代表だが、13日にはさらに党内の結束を揺るがす事態が起きた。細野豪志氏が代表代行の辞表を提出したのだ。
きっかけとなったのが、10日発売の中央公論で発表した憲法改正私案だ。高校までの教育無償化を柱とする内容で、「教育無償化に憲法改正は不要」とする蓮舫氏の考え方や党の正式な方針とは食い違っている。
蓮舫氏が掲げた「提案路線」の一環というのが細野氏の主張だった。ただ、執行部の一員である細野氏の反執行部色の強い私案に対しては、「党がバラバラとみられるようなことがないようなマネジメントが求められている」(前原誠司元外相)などの声が相次いでいた。
背景には、改憲に前向きな姿勢を打ち出すほど野党の選挙協力に影響が出かねないとの苦しい事情が見え隠れする。細野氏は辞表提出の理由について、「今の執行部は憲法改正に消極的で、私が執行部の一員としてとどまっているのはふさわしくないと判断した」と語った。
都議選候補が「離党ドミノ」
もう1つ蓮舫氏ら民進執行部が頭を痛めているのが都議選への対応だ。台風の目になっている都民ファーストや体制を整えつつある自民、公明の狭間で苦戦が予想され、公認内定者らの「離党ドミノ」が続いているのだ。
支持団体の連合は苦肉の策として、離党して都民ファーストから公認を得た組織内候補を支援することにした。蓮舫氏の周辺では「元民進」の議員が議席を守ることができれば、東京選出の参院議員でもある蓮舫氏の責任問題を回避できるとの思惑も透ける。
だが、民進内では既に都議選後の「蓮舫降ろし」の動きが拡大するのは必至との声が広がっている。民進関係者は「細野氏の代表代行辞任で早くも号砲が鳴った感じだ」と漏らす。
抜群の知名度と女性リーダーへの期待を追い風に2016年9月に代表に就いた蓮舫氏。「選挙の顔」や党勢回復の柱として期待されていたが、支持率は低空飛行が続く。(本コラム 2016年9月22日配信「『蓮舫』民進、船出に漂う不穏な空気」、2016年9月12日配信「民進党に足りない『泥臭さ』 参照)
就任直後、「しっかりと選択してもらえる政党をつくる」と意気込みを語った蓮舫氏。だが、今の民進内には「政権交代なんて無理」「何を言っても有権者に聞いてもらえない」といったあきらめの空気すら漂っている。
党勢低迷の背景は2つに大別できる。安倍政権の巧みな政権運営と、民進側の問題だ。
前者については、民主党時代から「格差是正」を掲げてきた民進のお株を奪うような政策を安倍首相が中心課題に据えてきたことが大きい。
賃金アップへの働きかけ、非正規雇用の処遇改善、長時間労働の是正、子育て支援などに取り組む姿勢をアピールすることで、保守層だけでなく野党支持層や無党派層の取り込みにつなげてきた。
安倍政権が国政選挙で連勝し、高い支持率を維持しているのは、外交・安全保障面での安定感に加え、こうしたテーマ設定や「争点つぶし」が効果的だったことが挙げられる。
一方、民進側の低迷の要因はかねて指摘されてきた点に行き着く。憲法改正や安全保障政策、野党共闘のあり方など主要課題を巡って溝が残り、党内グループも細分化したまま。党の一体感は希薄で、根回しや調整に汗をかこうという存在は少ない。
良くも悪くもこうした状況は蓮舫体制発足以降もほとんど変わっていないのだ。
繰り返す「ホップ、ステップ、肉離れ」
金融緩和と財政支出に軸足を置くアベノミクスを掲げつつ、着々と「レフトサイド」の支持層取り込みに向け、ウイングを広げる安倍政権。
これに対し、本来なら野党第1党として説得力を持つような明確な対抗軸を打ち出すべきなのに、肝心の党内論議は極めて低調だ。
「党がまた揉めているとみられるのが嫌なうえ、どうせ議論しても仕方がないという空気があり、党内の政策を巡る議論は盛り上がらない」。民進のあるベテラン秘書はこう嘆く。
国会戦術も空回り気味だ。今通常国会は特に「森友学園問題」の追求に注力してきたものの、安倍政権のダメージは限定的なものにとどまっている。
「本当は文部科学省の天下り問題をもっと攻められるほうが痛かった」。安倍首相は周辺にこう漏らしている。
しかも、多くの国会審議の場で森友問題に関する質問を浴びせ続ける姿勢については、有権者から共感を得ているとは言い難い。
民進のあるベテラン議員は「予算案、北朝鮮への対応など国内外の重要課題よりスキャンダル追求を優先するのは考えものだ」と漏らす。
NHKが今月10日に発表した月例世論調査では、安倍内閣の支持率は53%と微増。自民の政党支持率が38.1%に対し、民進は6.7%と低迷している。安倍首相に近い自民議員は「数字が全てを物語っている」と指摘する。
「到来したチャンスをものにできない間に、党のマイナスイメージを拡大するような事態が起きてしまう。ホップ、ステップ、ジャンプのはずが、ホップ、ステップ、肉離れになってしまうことが多い」。民進のある中堅議員はこう嘆く。
戦略的な「攻め」の体制を作れず、ここにきて自壊の動きが目に付く民進。これでは、折に触れ、安倍政権のほうが「よりまし」と有権者が判断する材料を提供しているようなものだ。
「民進で政権交代を目指すのは無理だろう。それより、膨らんだ自民をもう一度割らせて、政界再編に期待するほうが現実的ではないか」。かつて民主党政権の誕生を支え、その後の凋落ぶりを目の当たりにしてきた連合関係者はこんな本音を漏らしている。
このままじり貧傾向に歯止めが掛からず「政権交代可能な二大政党」の看板を降ろすことになるのか。足元が大きく揺らいだ蓮舫体制は正念場を迎えている。
このコラムについて
ニュースを斬る
日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/041300664/
「ふるさと納税」批判に熱心な霞が関の狙いとは
磯山友幸の「政策ウラ読み」
なぜ、国が「返礼品」の上限額を決めるのか?
2017年4月14日(金)
磯山 友幸
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/238117/041300046/fb.jpg
(写真:PIXTA)
「ふるさと納税」の返礼品、寄付額の3割以下に
総務省が「ふるさと納税」の返礼品について、寄付額の3割以下に抑えるよう全国の地方自治体に要請する通知を出した。「自治体の間で過熱する返礼品競争に歯止めをかける」のが狙いだという。通知に強制力はないが、改善が見られない自治体には個別に働きかける、という。
昨年あたりから大手メディアを中心に、「高額返礼品」を批判する記事が頻繁に掲載されるようになっていた。学者や文化人の中からも批判の声が挙がった。
「高額の返礼品を目当てにふるさと納税するのは問題だ」
「本来受け取る自治体の税収が減るのはおかしい」
そんな声を伝える特集記事が組まれ、批判が繰り返されている。
霞が関が「ふるさと納税」を批判する理由
こうした批判の多くは、霞が関の記者クラブに所属している記者や、新聞社の論説委員によって書かれているものが多い。学者もよくみると、総務省や財務省など霞が関官僚のOBという例が少なくない。雑誌などへの働きかけも多い。どうも霞が関が「アンチ・ふるさと納税」キャンペーンを仕掛けているようなのだ。
これまでも総務省は、返礼品に「不動産」を提示したり、家電や貴金属など「資産性の高いもの」は返礼品にしないよう求めてきた。最近は家具や時計、カメラといったものまでアウトだとしている。メディアによる世の中の高額返礼品批判を演出したうえで、その声に「応える」形をとって、高市早苗総務相が満を持して、今回、返礼品について「上限3割」を打ち出したのだ。
霞が関が「ふるさと納税」を批判する理由は明白だ。地方自治体には国から「地方交付税交付金」が支給される。国税の形で国が集めた税金を地方に再分配する制度だ。その分配権は総務省が握って来た。自治と言いながら、地方自治体は総務省に首根っこを押さえられ続けてきたのだ。
「ふるさと納税受入額」の急増に危機感
そこに風穴をあけつつあるのが「ふるさと納税」だ。地方自治体の創意工夫によって、納税者が自主的に納税先を決める制度が生まれたわけだ。当初は微々たる金額だったが、その急増ぶりは著しい。
総務省の調査によると、「ふるさと納税受入額」は年々増加。2013年度は145億円だったものが、2014年度には388億円へと倍以上に増えた、それが2015年度には1652億円になった。2016年度の統計はまだ出ていないが、さらに大きく増える見通しだ。この急増によって、アンチ・キャンペーンが始まったのである。
1652億円と聞くと大きな金額のように見えるが、実際はそうではない。地方税収の総額は2016年度予算で38兆7742億円。わずか0.42%である。それに総務省が目くじらを立てるのは、自分たちの権益が侵されることへの恐怖感があるのだろう。
返礼品の調達は自治体にとって無駄ではない
果たして、ふるさと納税に返礼品を出すことは「問題」なのだろうか。
2015年度のふるさと納税受け入れ額が全国トップだった宮崎県都城市は、42億3123万円を集めたが、返礼品としては地元の牛肉や焼酎、乳製品が人気を集めた。返礼品の調達額は受け入れ額の7割相当だという。全国平均は4割強とされるので、「もっともお得」な納税先だということもできる。納税額の7割分が返礼品として戻ってくるからだ。
都城市にとっては、それでも3割の13億円近くが手元に残るから、財政にとってありがたい事このうえない。自由に使える財源を確保するのは地方の自治体にとって至難の業だからだ。
もちろん7割の返礼品調達も市にとっては無駄ではない。ふるさと納税がなくても、地域の農業振興などに予算を割いている。ふるさと納税での税収は、それに置き換わっている格好になる。しかも、他地域の人たちから「選択」されることで、市が独自に決める補助金よりも、合理的に配分されている可能性がある。
「過熱気味でもいいのではないか」
総務省が1742の市町村に聞いた調査で、「寄付者に特産品を送ることをどう考えているか」という問いに対して13%227の市町村が「積極的に実施すべき」と答え、55%に当たる965市町村は「特に問題はない」と回答していた。「問題はあるが、各地方団体の良識に任せるべき問題」とした市町村が395団体(23%)あったが、「問題があるので規制すべき」と回答したのは21団体、わずか1%だった。91%の市町村が現状の制度を支持あるいは問題なしとしているにもかかわらず、総務省は「規制」に動いたわけだ。
そんな総務省の返礼品調達額への上限規制にさっそく反対の声が上がっている。山形県の吉村美栄子知事は4月11日の記者会見で、「(返礼品競争が)過熱気味でもいいのではないか」と述べたと報じられた。毎日新聞によると知事は、「予算の獲得だけでなく、地域のPRという点でも官民一体となって盛り上がっている」「地方が盛り上がり一生懸命に取り組んでいる点を懐深く見守ってほしい」と語ったという。
河北新報の報道によると、山形県の場合、2015年度には、米沢市がノートパソコンや牛肉を返礼品として、全国11位に当たる19億5824万円のふるさと納税を集めた。調達額の比率は6割という。また、寒河江市への納税額は13億7178万円(調達率5割)、東根市は9億6901万円(調達率3割)で、いずれも人気の返礼品は牛肉やコメ、サクランボといった地元の特産品だ。
すべての人が「返礼品目当て」というわけではない
ふるさと納税額の急増のきっかけがこうした魅力的な返礼品にあるのは間違いない。実際に、大都市圏に納められるべき地方税の一部が、地方に回っているのは確かだ。だが、それは総務省が言うように「大きな問題」なのか。
「日本には寄付文化が根付かないと言われてきましたが、ふるさと納税をきっかけに、寄付しよう、応援しようという意識が高まっている」と、ファンドレイジング(寄付金集めや資金の調達)に詳しいファンドレックスのイノウエ ヨシオさんは言う。「無税にできる上限を超えて、ふるさと納税している人がかなりいる」というのだ。
ふるさと納税の中には、1型糖尿病の研究への助成を指定できる佐賀県の例や、犬の殺処分ゼロに取り組むNPOに助成される広島・神石高原町の例など、目的に共感を持った人からの納税を集めているケースも出てきた。こうした寄付での返礼品調達率は当然ながら低い。つまり、ふるさと納税者のすべてが「返礼品目当て」というわけではないのだ。
ふるさと納税の使途を、原発建設差し止め訴訟費用に
北海道函館市は今年度から「ふるさと納税」の使途の一つとして、市が起こしている大間原子力発電所(青森県大間町)の建設差し止め訴訟の裁判費用を追加した。4月3日に受け付けを始めたが、わずか4日で約50件、120万円の寄付があったという。多くの自治体で、ふるさと納税の使途を、いくつかの項目から選んで指定できる仕組みが導入されている。
これまで地方自治体は「自治」と言いながら、地方交付税交付金制度によって財源を総務省に握られ、国や都道府県に言われるがままに事業を実施せざるを得なかった。この長年の慣行が「国頼み」を生み、地方自治体の「自立心」を削いできた。ふるさと納税制度はそうした地方のムードに小さな風穴をあけ、創意工夫が生まれるようになった。
地方自治体によっては、地元から上がる地方税収よりも、ふるさと納税によって得られる金額の方が大きくなったところもある。ふるさと納税を使って保育園を無料化した北海道上士幌町のような自治体も出てきた。そうした「自立」の芽を摘もうとする霞が関のネガティブ・キャンペーンに惑わされてはいけない。
このコラムについて
磯山友幸の「政策ウラ読み」
重要な政策を担う政治家や政策人に登場いただき、政策の焦点やポイントに切り込みます。政局にばかり目が行きがちな政治ニュース、日々の動きに振り回されがちな経済ニュースの真ん中で抜け落ちている「政治経済」の本質に迫ります。(隔週掲載)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/238117/041300046/
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK224掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。