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入院ベッド15.6万床削減 25年全都道府県構想「医療難民」拡大に懸念 日本の医療の問題点を教えてくれるフェルドマン博士
http://www.asyura2.com/17/senkyo224/msg/134.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 4 月 13 日 11:12:57: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

入院ベッド15.6万床削減 25年 全都道府県構想

「医療難民」拡大に懸念

安倍政権の医療抑制策

13年135万床から

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-12/2017041201_01_1b.jpg

 2025年の医療提供体制を示す「地域医療構想」を全47都道府県がまとめ、入院ベッドを13年時点の約135万床から15万6千床(11・6%)も削減する計画になったことが11日までに本紙の集計で分かりました。首都圏などを除く41道府県でベッド数が減り、8県で削減率が3割を超えました。医療関係者から「医療難民が広がる」との声があがっています。

8県が3割以上減

 地域医療構想は、安倍政権が医療費削減を狙って各都道府県に策定させたもの。高齢化のピークとされる25年のベッド数を推計した結果、全国で119万799床となりました。13年時点と比べ、15万6118床が削減されることになります。

 内閣官房の専門調査会が15年に示した約15万〜20万床の削減計画と符合する結果です。どちらも国が示した推計方法で、診療データや人口推計を利用。もともと医療資源が少なくて通院しづらいなど、地方の実態を置き去りにし、人口減少などで現行のベッド数が“過剰”になる結果となっています。

 削減率が3割を超えたのは、鹿児島県の34・9%を筆頭に熊本、富山、宮崎、佐賀、徳島、山口、高知の8県で、2割台は19県。削減数が1万床以上は熊本、鹿児島、北海道の3道県でした。

 国は指針でベッドを機能ごとに区分し、比較的軽症の患者は「在宅医療等で対応する」と提起。各構想では、救急や集中治療を担う「高度急性期」と「急性期」を合わせると全都道府県で減る一方、在宅復帰に向けた「回復期」や在宅医療は全都道府県で増えました。医療費削減へ「施設から在宅へ」と患者を押し流していく狙いに沿ったものです。

 国は、推計結果はあくまで「参考値」と弁明。構想の多くも「削減目標ではない」(熊本県)、「直ちに減らすものではない」(石川県)などと明記していますが、さっそく病院の統廃合に踏み出す事例が生まれています。

命の保証どこに/重症化招く危険


 入院ベッド数を全国の1割にあたる15万6千床も削減する計画となった地域医療構想。

 自治体病院の割合が全国より高い青森県では、構想策定後の昨年10月に、弘前市内の弘前市立病院と国立病院機構弘前病院の統廃合が提案され、この6月にも合意書が市議会に提出される見通しです。現行の4分の1にあたる150床程度も削減する計画です。

 黒石市の黒石病院や大鰐(おおわに)町立大鰐病院などのベッド削減も示しています。

 「住民の、いざという時の命の保証が削られる」と語るのは、青森県民主医療機関連合会の那須稔事務局長。

 「統廃合で病院が遠くなり、通いづらくなる高齢者も生まれます。在宅医療で担えと言っても、深刻な医師の人手不足・高齢化のなかで簡単ではありません。むしろ、統廃合の話がすすむなかで弘前市立病院では医師の退職が相次いでいます。ベッド削減ありきの計画はやめるべきです」

 一方、厚労省は都道府県に対し、調整会議で10〜12月にも病院名をあげて「具体的な決定」をするよう提起。知事が公的医療機関に空床の削減命令ができる法改悪もしており、ベッド削減の狙いを鮮明にしています。

 全国団体からは「ベッドが現状で足りなくなることも考えられる」(全日本病院協会)と懸念が出ています。

 各県の構想では、「医療不足が診療活動、特に大幅な入院制限に影響を与えている」(滋賀県・湖北区域)などと、医師不足で空床にせざるをえない実態が示されています。

 「医師不足で、…日常的な疾病・外傷等に対処する機能が不足している地域がある」(秋田県)との指摘もあり、ベッド削減で医療がさらに遠のき、重症化につながる危険は明白です。医療体制の拡充こそ求められます。

(松田大地)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2017-04-12/2017041201_01_1.html


 

 


【第14回】 2017年4月13日 ちきりん
日本の医療の問題点を教えてくれるフェルドマン博士の個人的な体験

ロバート・アラン・フェルドマン×ちきりん(2)
エコノミストのフェルドマンさんと人気ブロガー・ちきりんさんの対談、今回のテーマは医療制度です。昨年、94歳の母親を亡くされたフェルドマンさん。看取るプロセスで直面した、ごく私的な経験をお話ししてくださいました。そのお話から伺える、日本の医療の問題点とは? (構成/崎谷実穂?写真/疋田千里)


ロバート・アラン・フェルドマン
1970年、AFS交換留学生として初来日。76年、イエール大学で経済学、日本研究の学士号を取得。84年、マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。国際通貨基金(IMF)、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券を経て、98年モルガン・スタンレー証券会社に入社(現・モルガン・スタンレーMUFG証券)。現在、同社のシニアアドバイザー。著作に『フェルドマン博士の 日本経済最新講義』(文藝春秋)などがある。
医療が公共財だというのは、一種のイデオロギー

ちきりん 技術革新によって今後の生産性が大幅に上がりそうな分野として、医療と教育という2つの分野があります。でもこう言うと、「医療と教育は産業ではない」と反論されるんです。社会インフラとして誰でも等しく機会が与えられるべきものだから、生産性という概念を持ち込むのはよくない、という意見があって……。

ロバート・アラン・フェルドマン(以下、フェルドマン) 生産性を持ち込むべきか否かという議論は、その産業が公共財かどうかを考えればよいでしょう。たとえば、国防は議論の対象外でいいですよね。国防は商品ではなく、消費者1人ひとりが「この分だけほしい」と買うことはできない。でも、医療と教育はさまざまな供給者がいて、選択肢があります。

ちきりん 多彩なニーズがあり、マーケットが成立しているということですね。

フェルドマン 医療が公共財だというのは、一種のイデオロギーですね。日本の医療の問題は、ヘルスケアとシックケアが分かれていないことだと私は考えています。そして現状、日本にヘルスケアを提供する医療機関はほぼないですよね。

ちきりん ヘルスをケアする、つまり、健康を維持するための病院がないってことですね。

フェルドマン もちろん、医師は自分の患者を治そうとしていると思いますよ。でも、産業そのものとしては治すことを一番の目的にはしていない。日本の病院は本当にすばらしいです。医療技術も高い。でも、健康を守るよりも「病気ですね」と診断したほうが、病院は得をするんです。医療制度がそうなっているので。国民が元気になったら、医療産業にとっては困る面もあります。

ちきりん 医療関係者の意識がそうだとは思いませんが、病気の人が多いほうが産業規模として大きくなるというのはそのとおりです。

フェルドマン だから小中規模の病院は、基本的にヘルスケアを提供するという役割を担っていくべきだと思うんですよね。そうしたら、国民も健康になり、結果的にシックケアも減ります。

ちきりん 予防医療に注力する医療機関を増やすということですね。病気になってから高額の医療費をかけるより、そのほうが圧倒的に安く済むし、国民もハッピーですよね。あと、医師のなかでも開業医の医師会は政治力が強く、病院の勤務医は激務で疲弊している人も多い。そういったひずみも、医療業界全体で制度改革を進めることの妨げになっていると感じます。

フェルドマン それも制度の問題ですよね。現状では、医療費は診療報酬点数によって決められていて、健康保険に入っている人は3割負担、70歳以上になると一般的には2割になります。2014年までに70歳になっていた人は1割負担です。1、2割しか負担しなくていいなら、ちょっとしたことでも病院に行ったほうがいいと考えますよね。開業医が儲けやすい制度になっている。ビジネスとしてはよくわかりますよ。ですから、そもそもの制度設計をする人がどの方向を向いているのか、という問題なんです。

ちきりん 医療関係者はみんな目の前の仕事に忙しく、医療制度、全体の設計を考えたり変えたりするためのリーダーシップがなかなかとれない。じゃあ厚生労働省がそれをできるかというと、こちらも選挙のためには高齢者が極めて大事だという政治家の意向に振り回される。どの分野も同じですが、最後は選挙制度の問題に行きついてしまう気がします。


医療改革を難しくする倫理の問題

フェルドマン 医療制度には、倫理の問題もつきまといます。これも、医療改革を難しくしている要因の1つですね。昨年の12月、6年ほど前から認知症を患っていた母が94歳で他界しました。この母のケースでも、倫理について考えさせられることがあったんです。亡くなる2ヵ月前に、医師から母のペースメーカーの電池が切れそうなので、手術で取り替えるかどうするか、という相談がありました。取り替えれば電池は10年もつそうです。でももう高齢ですし、手術中に亡くなるリスクもある。

ちきりん それは難しい判断ですね。ペースメーカーの電池が切れれば、当然、命に関わるわけだから、医師としては「取り替えましょう」というのかもしれないけど……。私が94歳の患者本人だったら「もういいです」って言いたくなる。

フェルドマン そうなんです。認知症の状態でこのまま10年生きるというのは、本人の生活の質としてどうなのだろう、とも思いました。しかもその時点で67歳の姉が、これから10年母親の面倒を見続けるのかという問題もありました。そこで、姉弟4人でEメール会議、場合によっては電話会議をして、電池を取り替えるかどうかを議論したんです。結果としては、全員一致で取り替えないということに決めました。私の出身であるテネシー州の法律だと、死を早めない限りはそれでいいということでした。でも、これが日本だったらどうだろう、と考えたんです。法律はともかく、打つ手があるのであれば、打たなければいけないという意見が多数なのではないでしょうか。

ちきりん 日本だと法律的にも取り替えないといけないのかな? ただ、そういう方の手術をするには家族から同意書にサインが必要なので、勝手に手術されることはないですよね?

フェルドマン とされていますけど、応急処置的に胃ろうを入れられたりすることはありますよね。

ちきりん たしかに救急措置だと「命を助けるためにできることはすべてやる」という形になりますね。しかも患者さんに身寄りがなくて、ペースメーカーの電池を取り替えないと死んでしまう、でも、その判断をできる身内は誰もいない、という状態だったら……病院の判断で取り替えることになるのかな? 
 こうした終末期医療に関わる問題は、少子高齢化の進展によって今後さらに大きな問題になると思うんです。フェルドマンさんのお母様は、お子さんが複数いて家族会議で決められましたけど、ひとりっ子であれば自分ひとりで親の生死について決断しなければならない。最近は未婚率も高いため、患者さんに子どもがいなければ、何十年も会っていなかった親戚の子どもに連絡が来るかもしれません。そうなったとき、「もう死んでもいいから電池は取り替えないでください」と言うのは、すごく勇気のいることだと思います。


イギリスやフランスの高齢者医療の考え方

フェルドマン そして、その高齢者を延命するための治療は、誰のお金でおこなわれるのでしょうか。イギリスには、医療従事者向けの診療ガイドラインを策定する国立医療技術評価機構、通称NICEという機関があり、症状に対しておこなうべき治療手法や、それに対して報酬が支払われるか否かが示されています。かなり厳しい基準のようです。
 やはり、国のお金を高齢者の医療にあてすぎると、他にやるべきことができなくなりますからね。そこは個人負担でお願いします、ということなんです。そして国民もそれを受け入れている。人間はそもそも死ぬもので、それは神様が決めたのです。

ちきりん ある程度高齢になれば、治療費が払えず延命治療がおこなえなくても、それがその人の天命であったと考えるんですね。フェルドマンさんの本にも、フランスで2015年に「深眠法」という、死を間近にした患者に延命措置をおこなわないという法律が下院を通過したと載っていました。ヨーロッパ各国では安楽死や尊厳死についても議論が進んでいますが、日本では議論をすることすらはばかられるという雰囲気があります。これはなぜなのでしょう。

フェルドマン よくわかりませんが……自分のことを自分で決める、という自己決定の文化は西洋に強いと思いますね。

ちきりん あー、そこが違うんですね。だとすると……日本人は、自分の人生を誰が決めるべきだと思っているのでしょう。てか、日本人の私がこんなことをフェルドマンさんに聞くのも変なんですけど(笑)。

フェルドマン グループで決める、という考え方は強いと思います。ただ、そのグループが小さくなってきている。共同体が解体し、家族も小さくなってきていますので。

ちきりん グループで決める、か。大事なことは政府や会社、そして、地域や家族で決めていくべきものだと。そういえば昔の結婚なら、村長や親が勝手に相手を決めたりしてましたよね。
 ただ、世の中も変わり、自分の所属するグループに人生の大事なことを相談して決めていく、もしくは決めてもらう、というのも難しくなっています。これからはやっぱり日本人も、「自分の人生は自分で決めていく」という自己決定の世界に少しずつ慣れていかないといけないのでしょう。
http://diamond.jp/articles/-/123922


 

日本の医療を受けたい! 中国人が日本の病院に押し寄せる理由=中国報道
2017-04-12 10:12

 日本医師会と読売新聞社は毎年、「心に残る医療」体験記コンクールを実施している。日本医師会の公式サイトによれば、このコンクールはより良い医療環境を作ることを目的として医療や介護の体験記を募集している。

 公開されている入賞作品を見てみると、医療スタッフたちの思いやりや優しさをはっきり感じ取ることができる。また日本の医療現場には患者への思いやりが存在していることを日本人は自らの体験を通じて知っているが、中国メディアの今日頭条が7日付で掲載した記事も、日本の医療サービスを絶賛している。

 記事はまず、日本を観光で訪れる中国人が増えるなか、買い物ではなく、医療サービスを受けることを目的に訪日する中国人も増加傾向にあると紹介。今後はさらに多くの中国人が日本の医療サービスを求めて訪日するとの見通しもあることを伝え、「中国人は一体、どのような点に魅力を感じ、日本の病院に押し寄せているのか」と疑問を投げかけた。

 続けて、「中国国内の病院と比較すると、日本の病院の最大の特長は患者の気持ちをリラックスさせてくれる点にある」と指摘し、たとえば日本の病院には中国の病院でするような強烈な薬品臭がないことや、また、病院全体が「重苦しくない」設計・デザインとなっており、これらの要素が患者の気持ちをリラックスさせることに貢献していると指摘した。

 さらに日本の病院の内部デザインを紹介する目的でいくつかの写真を掲載し、待合ロビーにしても病室にしても、中国の病院と比べて明るいうえに清潔で、落ち着いた雰囲気だと紹介。また、日本には「優れたサービスを提供する文化」が存在しているとも称賛。そのため日本の医療スタッフたちも患者のニーズを満たすために徹底したサービスを提供していると説明し、これらすべてが「中国人が日本の病院に押し寄せる」要因となっていると論じた。

 中国の病院では廊下に簡易ベッドが置かれ、そこに横たわっている患者を見かけることがある。患者の圧倒的な多さに対して医療スタッフの数が足ないのだろう、病院内であっても時間帯によっては助けが必要な時に医療スタッフと連絡が取れないということもある。こうした環境で医療サービスを受けている中国人であれば、深刻な病気になれば少々高額であっても日本の医療サービスを受けたいと考えるのもごく自然なことだと言えるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)
関連記事

・だから私は日系車を買いました・・・「中国人消費者が語る日系車の魅力」
・恐ろしい! 団結の精神を教える「日本式の教育は恐ろしい」=中国
・これは「いじめ」か? 日本の街中にはなぜ「ゴミ箱がない?」=中国報道
・日本人はなぜ結婚しなくなったのか・・・「お金」の問題か=中国報道
・日本と中国の自動車産業の差は「最大50年分」、この差はなぜついた? =中国報道
http://news.searchina.net/id/1633456?page=1


 

複数医療機関による訪問診療を認めるべきか、患者の状態に応じた在宅医療の報酬をどう考えるか—中医協(1)

 複数の診療科の医師が協働して訪問診療を行う仕組みを構築すべきか、在宅療養支援診療所「以外」を含めたかかりつけ医による在宅医療をどう評価すべきか、患者の状態などに応じた効率的・効果的な在宅医療提供のための報酬をどう考えるか—。

 12日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会では、2018年度診療報酬改定に向けて「在宅医療その2」を議題とし、こういったテーマについて検討を行いました。

4月12日に開催された、「第349回 中央社会保険医療協議会 総会」
4月12日に開催された、「第349回 中央社会保険医療協議会 総会」
ここがポイント! [非表示]
1 在支診以外の診療所による在宅医療、どう評価していくべきか
2 24時間対応のためなどに複数医療機関が連携した場合を、どう評価すべきか
3 循環器疾患等のみの患者に比べ、複数疾患を抱える患者では複雑な在宅医療が必要
在支診以外の診療所による在宅医療、どう評価していくべきか

 在宅医療については1月11日に「その1」として総論的な議論をすでに行っており、今回は、主に「在宅医療提供体制の確保」などが検討テーマとなりました。

 在宅医療に力を入れている医療機関として在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)がありますが、厚生労働省保険局医療課の迫井正深課長は▼在支診でも、訪問診療・往診・在宅看取りなどすべてを担っているわけではない▼在支診以外の診療所が、訪問診療の13.8%、往診の39.6%、在宅看取りの21.5%を担っている—状況を説明。「在支診以外を含めた、かかりつけ医」が、在宅医療において欠かせない存在となっていることが分かります。診療側の中川俊男委員(日本医師会副会長)は、こうした状況から「『在支診以外』の在宅医療の評価を今以上にすることが求められていると言える。前向きに検討すべきである」と提案しました。

在支診だからといって、すべての在宅医療提供を行っているわけではないようだ
在支診だからといって、すべての在宅医療提供を行っているわけではないようだ

在支診以外の診療所も相当程度、在宅医療を提供している
在支診以外の診療所も相当程度、在宅医療を提供している

 
 しかし、「在支診」と「在支診以外」とを比較すると、▼「在支診以外」では重症患者への在宅医療提供が少ない▼「在支診以外」では自院の外来患者への在宅医療提供が多く、他院からの紹介患者は少ない—ことも分かりました。こう考えると、「在支診以外」の診療所による訪問診療などの点数が低く設定されている現在の診療報酬には一定の合理性がありそうです。診療側委員はかねてより「『在支診以外』の診療所における在宅医療の評価充実」を求めていますが、これを実施した場合「在支診の評価」をさらに充実させなければバランスがとれず、どこまで改定財源を確保できるかという点も含めた総合的な検討が必要となりそうです。

在支診に比べて、そうでない診療所は、重症患者への訪問などが少ない
在支診に比べて、そうでない診療所は、重症患者への訪問などが少ない

在支診に比べて、そうでない診療所では「自院の外来患者」に対する在宅医療提供が多い
在支診に比べて、そうでない診療所では「自院の外来患者」に対する在宅医療提供が多い

在宅医療の報酬では、機能強化型在支診など>通常の在支診療など>一般の診療所など、という具合に点数に傾斜がつけられている
在宅医療の報酬では、機能強化型在支診など>通常の在支診療など>一般の診療所など、という具合に点数に傾斜がつけられている

 
24時間対応のためなどに複数医療機関が連携した場合を、どう評価すべきか

 在宅医療提供(かかりつけ医機能の中でも在宅医療提供は重要かつ大きな要素)に向けたハードルとして、もっとも高いものは「24時間対応」と考えられます。厚労省や日本医師会の調査でも、これを支えるデータが出ています。たしかに、1人医師診療所に24時間・365日の対応を求めることは不可能でしょう。そこで診療側の松原謙二委員(日本医師会副会長)らは、「複数の医療機関が連携・共同して訪問診療などを行う」ことを保険診療上認めるべきとかねてから要望しています。

かかりつけ医機能・主治医機能の中で、負担の大きい項目の最大のものは「在宅患者への24時間対応」となっている
かかりつけ医機能・主治医機能の中で、負担の大きい項目の最大のものは「在宅患者への24時間対応」となっている

 
 現在の診療報酬では「1人の患者に対して訪問診療料を算定できるのは1医療機関のみ」の旨があり、松原委員らは「24時間対応を行うためには、複数の診療所の連携が不可欠である。また、専門外の診療科による訪問診療が必要なケースもある」とし、複数医療機関による訪問診療を強く要望しているのです。同じく診療側の万代恭嗣委員(日本病院会常任理事)や猪口雄二委員(全日本病院協会副会長)も、「後方病院も含めて、複数医療機関・医師がチームを組んで在宅医療を提供することが必要である」と同旨の要望を行っています。

 この点、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)も24時間対応への医師の負担を考慮し、「現在の訪問診療料は1医療機関のみが算定可能だが、複数疾患ある患者などでは複数の医療機関が連携した総合的管理が必要となろう。点数を含めて、診療内容に応じた評価は検討する必要がある」と一定の理解を示しましたが、花井十伍委員(日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)や平川則男委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)は、「訪問診療は患者の疾病などを継続的に管理していくもので、かかりつけ医機能と重なる部分がある。複数の医療機関による訪問診療では、個々の医師がバラバラに患者を管理する状況も生じるのではないか。連携の在り方・ルールなどをしっかり見なければいけない」と指摘し、慎重な検討を求める構えです。また同じ支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)も「医師の連携・協働を評価するまえに、かかりつけ医と訪問看護ステーション、薬局、介護支援専門員などの連携・協働を優先的に進めるべき」との見解を示しています。

 これに対し松原委員は「在宅時医学総合管理料を算定している医療機関が中心になって連携する。バラバラな管理はあり得ない」と理解を求めています。ところで訪問看護ステーションにおいても24時間対応が重要な課題問看護、2018年度同時改定でも事業規模拡大などが論点に―中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)となっており、かねてから「大規模化による機能強化」が進められています。診療所においても、同じように「統合などによる大規模化」を進めることで、この問題を解決するもう一つの答えが得られるかもしれません。

 なお迫井医療課長は、この点に関連して「かかりつけ医の夜間・時間外の負担軽減に資する、地域医療機関の連携による救急応需体制」の評価も論点に掲げました。

 

 また実際に24時間対応した実績を深夜加算・夜間加算の算定状況から見ると、「往診全体の8%」となっていますが、万代委員は「万一に備えた体制を整えている。実際の対応が少ないので大したことはないと考えないでほしい」とコメントしています。

循環器疾患等のみの患者に比べ、複数疾患を抱える患者では複雑な在宅医療が必要

 2016年度の前回診療報酬改定では、在宅医療の報酬体系が大きく見直され、例えば▼重症患者(末期がんや人工呼吸器使用など)への訪問を手厚く評価する▼在宅時医学総合管理料などを月1回の訪問でも算定可能とする(ただし点数設定は低く)▼集合住宅に対する在宅医療の評価軸を「1日に複数人訪問したか」から「1か月に何人訪問したか」に変更する—などです(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 迫井医療課長は、さらに「訪問診療時に医師が行った診療内容」を分析。例えば、「循環器疾患・脳血管疾患・認知症・糖尿病・骨折・筋骨格系疾患のみの患者」と「その他の患者」とでは、後者では▼抗がん剤の点滴▼皮下輸液▼中心静脈栄養・ポート管理▼腹水・胸水穿刺―などを行うケースが多いこと、また重症患者(上記)では▼患者・家族などへの病状説明▼訪問看護ステーションへの指示—などの業務が増えていることなどが分かりました。つまり、患者の状態によって訪問診療時の診療内容が変わってくるのです。

循環器疾患等のみの患者に対する訪問診療では、その他の患者に比べて、注射や点滴などの診療行為が少ない
循環器疾患等のみの患者に対する訪問診療では、その他の患者に比べて、注射や点滴などの診療行為が少ない

重症患者と、そうでない患者で、訪問診療における診療行為を比較すると、重症患者では病状説明や訪問看護ステーションへの指示などが多くなる
重症患者と、そうでない患者で、訪問診療における診療行為を比較すると、重症患者では病状説明や訪問看護ステーションへの指示などが多くなる

 
 現在は、重症患者では報酬が高く設定されていますが、「重症以外の患者」では診療内容の違いが報酬に反映されません。このため支払側の幸野委員は「重症以外の患者を、もう少しきめ細かく分類した報酬体系にすべき」と提案しましたが、診療側の中川委員は「診療報酬の簡素化が求められており反対である。『重症患者』と『それ以外』という報酬体系は臨床現場の感覚として分かりやすい」と反論しています。

 なお、サービス付き高齢者向け住宅などの「高齢者向け集合住宅」と「戸建て、マンション、アパートなど」とで、同一日に訪問診療を行う人数を比べると、前者(高齢者向け集合住宅)では圧倒的に複数名診療が多く、また、前者の患者に対する診療時間は、後者よりも若干短いことが分かりました。診療報酬上は、前者を施設入居時等医学総合管理料として、後者の在宅時医学総合管理料よりも低い点数が設定されており、合理的な報酬体系になっていると言えそうです。

戸建てやマンション・アパートなどに比べ、高齢者向けの集合住宅に対する訪問診療では、複数名診療となるケースが圧倒的に多い
戸建てやマンション・アパートなどに比べ、高齢者向けの集合住宅に対する訪問診療では、複数名診療となるケースが圧倒的に多い

在総管の算定患者に比べ、施設総管の算定患者では、若干、診療時間が短い
在総管の算定患者に比べ、施設総管の算定患者では、若干、診療時間が短い

 
 迫井医療課長は、「▽患者の状態▽診療内容▽居住形態—に応じた効果的・効率的なサービス提供」を推進するための評価の在り方も論点に掲げており、2018年度改定でも「重症患者への訪問はより手厚く、一方、軽症患者への訪問はそれに見合った報酬」という方向が見えてきそうです。

  

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【関連記事】
かかりつけ薬剤師指導料、対象患者は高齢者や多剤処方患者に絞るべきか—中医協総会(2)
生活習慣病の重症化予防、かかりつけ医と専門医療機関・保険者と医療機関の連携を評価―中医協総会(1)

訪問看護、2018年度同時改定でも事業規模拡大などが論点に―中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
医療機関での看取り前の、関係者間の情報共有などを報酬で評価できないか―中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)

7対1・10対1入院基本料、看護配置だけでなくパフォーマンスも評価する報酬体系に―中医協総会(1)
主治医機能に加え、日常生活から在宅までを診る「かかりつけ医機能」を評価へ―中医協総会(1)
2018年度診療報酬改定に向け、臨床現場でのICTやAIの活用をどう考えるか―中医協総会(1)
2018年度改定に向け入院医療の議論も始まる、機能分化に資する入院医療の評価を検討―中医協総会(1)
2018年度改定に向けた議論早くも始まる、第1弾は在宅医療の総論―中医協総会

【16年度改定答申・速報2】専従の退院支援職員配置など評価する「退院支援加算1」、一般600点、療養1200点―中医協総会
【2016年度診療報酬改定総点検3】在宅医療の報酬体系を大幅に見直し、課題は是正されるのか?
「同一建物減算」回避するための訪問日調整を無意味化、在宅報酬を見直し―中医協総会
在宅医療、14年度改定前後で大きな変化ないが、「重症度に応じた評価」など求める声も―中医協総会
在宅医療専門クリニック、設置認可も診療報酬などは厳格に設定―中医協総会
在宅医療の報酬体系に「患者の重症度」導入を検討へ―中医協総会
16年度診療報酬改定の議論スタート、在宅専門医療機関に賛否両論−中医協総会
http://www.medwatch.jp/?p=13240
 

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コメント
 
1. 2017年4月13日 16:56:09 : 0CejVRban6 : urcdmA9xc1s[2919]
バンクーバー 医療用大麻自動販売機
https://www.youtube.com/watch?v=mbpiiuVL4uY

ラリラリ、ラリラリ、ラリルレロ…


2. 2017年4月13日 20:08:44 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[-5349]
2017年4月13日
衆議院厚生労働委員会での強行採決を糾弾する(コメント)

社会民主党党首 吉田忠智

 昨日、与党は、衆議院厚生労働委員会において、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案の採決を強行しました。安倍首相にとって都合が悪い森友学園問題を質問したら強行採決、という数の力による疑惑隠しを許すことはできません。国民の代表として国会議員が国民の疑問や不安をただすのは当然のことであり、国会議員の質問権に関わる重大な問題です。与党の強引かつ理不尽な国会運営に対し、断固抗議します。

 そもそも介護保険法改正案自体、一定所得以上の利用者の自己負担の2割から3割への拡大や、新たに創設される介護医療院のあり方、自立支援・介護予防に向けた取り組みに対する認定率の低下の推奨やインセンティブ設定、訪問介護の「生活援助」人員基準の緩和など、論点が山積しており、まだまだ法案の審議は不十分です。介護人材の処遇改善についても、介護職員の月額賃金は他の産業より約10万円も低く、抜本的な改善が求められます。

 社民党は、高齢者の尊厳が守られ、住み慣れた地域で安心して生活できる、利用者本位に基づく持続可能な社会保障制度の確立、そして介護労働者が安心して働き続けられるための仕組み作りを求め、介護保険法改正案の徹底審議に全力をあげる決意です。

以上

http://www5.sdp.or.jp/comment/2017/04/13/%e8%a1%86%e8%ad%b0%e9%99%a2%e5%8e%9a%e7%94%9f%e5%8a%b4%e5%83%8d%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bc%9a%e3%81%a7%e3%81%ae%e5%bc%b7%e8%a1%8c%e6%8e%a1%e6%b1%ba%e3%82%92%e7%b3%be%e5%bc%be%e3%81%99%e3%82%8b%ef%bc%88/


3. 2017年4月13日 21:48:03 : 0CejVRban6 : urcdmA9xc1s[2927]
日本維新の会 の かのあきら が東京22区から衆院選に出馬するらしい。街の風景を汚す超気持ち悪いポスターを貼りまくるの、本当にやめてほしい。
https://twitter.com/89Tweet/status/852492939133468672

救急車有料化!! 凄い国だな。


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