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シリア空爆にはとてつもない代償 盲目的追従の危うさ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/203239
2017年4月10日 日刊ゲンダイ 文字お越し タイトルは紙面による
安倍首相は何を根拠に…(C)AP
オレ様は米国に重宝されているんだゾ、といわんばかりの恍惚とした表情で語る姿には狂気すら漂っていた。
「化学兵器の拡散と使用を抑止するために責任を果たそうとするアメリカの決意を支持する」「世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを高く評価する。引き続き、緊密に連携していきたい」
9日朝に行われた米トランプ大統領との約45分間の電話会談を終えた後の安倍首相。記者団の囲み取材で、米国の巡航ミサイルによるシリア空軍基地への“奇襲攻撃”について、あらためて全面支持を強調していた。2003年から始まったイラク戦争でも、当時の小泉首相は米ブッシュ政権が唱えた「イラクは大量破壊兵器を隠している」という“ウソ”を何ら疑うことなく受け入れ、イの一番にイラク侵攻支持を表明していた。あの時と同じで、例によって「米国が言っているから間違いない」という思考停止した日本政府の盲従外交には甚だ呆れてしまう。
それでも、イラク侵攻の際は、まだ「国連」の現地査察といった国際的な枠組みが機能していた。ところが、今回の巡航ミサイル攻撃は、国連安保理決議の採択も何もナシ。米国が攻撃を受けたから反撃するという個別的自衛権でもなければ、同盟国への攻撃を理由とした集団的自衛権の行使でもない。
子供を含む約80人の住民が亡くなったシリア北部・イドリア県で行われた空爆で、猛毒の神経ガス・サリンが使われた疑いがある──という報告を受けたトランプが「心を乱された」「レッドラインを越えた」と激怒し、たった3日間で、シリア空軍基地に59発の巡航ミサイルを発射する作戦にゴーサインを出した、というのである。
トランプ、安倍の電話会談では、シリア政府軍が化学兵器を使ったという根拠や、攻撃の正当性について何ら説明がなかったというから、外形的に見れば、トランプが正義感を振りかざしてシリアにミサイルをブッ放したわけで、完全な国際法違反だ。
■シリア攻撃に批判的だったトランプ
2013年8月。シリア・ダマスカス郊外で、反体制派の住民1000人以上が、化学兵器が使われた疑いで死亡した。当時もアサド政権の関与が疑われ、国連調査団が現地入りしたのだが、この時、武力行使の可能性を示唆していたオバマ前大統領をトランプはツイッターで猛批判。〈愚かなリーダー(オバマ)へ もう一度言う。シリアを攻撃するな。そんなことをしたら極めて悪いことが次々と起きるだけだ。シリアを攻撃して米国が得るものは何もない〉とまで言っていたのだ。
トランプは「米国第一主義」を掲げ、大統領選期間中、紛争地域からの米軍撤退をほのめかしていたはずだ。それが大統領に就いた途端、国際社会をすっ飛ばしてシリアに単独攻撃を仕掛け、自ら内戦に足を突っ込んでいるのである。シリアの内戦状態は6年が過ぎ、最近はロシアの支援を受けるアサド政権が、ISから国内拠点を次々と奪還することに成功している。国内情勢が徐々に落ち着きを取り戻す中で、米政府も「アサド退陣」を求めていたオバマ前政権の方針を見直し、現状追認へと軸足を移しつつあったはずだ。実際、スパイサー大統領報道官も3月31日の会見で「(アサド政権よりも)ISの打倒が最優先」とキッパリ言い切っていた。
アサド政権だってバカじゃない。使用すれば国際社会の激しい批判にさらされる化学兵器をあえてこのタイミングで使用する必要はないだろう。そんなことは米国も十分承知しているはずなのに、狂犬大統領はなぜ、暴走したのだろうか。元外務省国際情報局長の孫崎享氏はこう言った。
「ホワイトハウスでは今、猛烈な権力闘争が起きていて、軍産複合体をバックにした勢力が猛烈な巻き返しを図っています。軍産複合体は『戦争はカネになる』と考えているため、紛争地域からの軍撤退や縮小は許されないのでしょう。そこで諜報機関などを通じて政権に揺さぶりを掛け、トランプ大統領にシリア攻撃を決断させたのではないか、とみています。一方、支持率が低下しているトランプにとっても、国民に対して『実行力』というオバマ前大統領との違いをアピールする狙いもあったでしょう」
政権内部の権力闘争がミサイル発射に……。戦争国家の本性見たりだ。
黒幕は誰なのか…(C)AP
トランプの狙いは自衛隊を戦闘に引きずり込むこと |
「必要かつ適切なら追加の行動を取る」
トランプは米議会に宛てた書簡で、さらなるシリア攻撃もチラつかせている。だが、イラク戦争やアフガン紛争でもハッキリしたように、ヘタな軍事介入は戦闘状況を複雑化させるだけ。やがて米国は引くに引けなくなるだろう。過去の反省も検証もしないトランプ政権を盲目的に「支持する」と宣言し、「緊密な連携」を誓った安倍ポチ政権もまた運命共同体だ。
トランプはシリア攻撃に踏み切る直前の6日も、安倍と北朝鮮の弾道ミサイル発射について電話会談していた。安全保障上の重大な脅威との認識で一致し、日韓を含む同盟国防衛に「最大の軍事力を活用する」方針を示していた米国が、シリア攻撃直後に再び日本に電話会談を持ちかけ、原子力空母を朝鮮半島に派遣する意味は明らかだろう。シリアや北朝鮮との間で米国が本格的にコトを構える事態になった場合、日本の自衛隊をいよいよドロ沼の戦いに引き込むつもりなのだ。
■「来い」と言われれば「ノー」とは言えない
典型的な「棍棒外交」を仕掛けるトランプに追従する安倍も、今以上に北朝鮮脅威論をエスカレートさせていく。北朝鮮の弾道ミサイルから日本の領土・領海を守る――とかヘリクツをこねて、米国から最新鋭の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」といった高額な武器を買うつもりだ。防衛予算は本年度、すでに5・2兆円と過去最大に膨らんでいるが、この先、一体いくらかかるか分からない。国民にとっては全く冗談じゃないが、皮肉なことに戦争が現実味を帯びて国内情勢が緊迫化するほど国家主義が強まる。つまり、安倍狂乱政権がますます生き延びるという倒錯した世界になだれ込むことになるのだ。
上智大教授の中野晃一氏(政治学)が言う。
「小泉政権下で自衛隊がイラク・サマーワに派遣された時は、集団的自衛権が行使できなかったため、運よく戦闘に巻き込まれることはなかった。しかし、安倍政権がその歯止めを取っ払った今、仮に米国から『シリアと戦うから来い』と言われればノーとは言えません。国際法を無視した米単独主義に日本がムリヤリ付き合わせられる可能性が高まっているのです。最悪なことに、今のトランプ・安倍の日米両首脳の政治手法は共通していて、外敵不安を煽って内政の求心力を高めるというもの。いわば戦争の政治利用であり、とても危うい状況にあると言えます」
シリア攻撃を支持する日本の「代償」は計り知れない。
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