2017年3月18日(土) 主張 陸自の「日報」廃棄 虚偽の上に隠蔽を重ねる異常 「日報」を「廃棄した」という“虚偽”の説明の上に、そのつじつま合わせのため、実際に“隠蔽(いんぺい)”を図った―。南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵されている陸上自衛隊部隊の「日報」をめぐり、深刻な事態が新たに明らかになりました。防衛省・自衛隊が「廃棄した」としていた「日報」のデータが陸自内で保管されていたことが判明し、「廃棄」そのものが虚偽だったというのです。しかも、陸自内に「日報」はないという説明との整合性を取るため、後になって消去した疑いが濃厚になっています。稲田朋美防衛相の資格がいよいよ問われます。 徹底した真相究明必要 「日報」は、昨年7月に南スーダンの首都ジュバで政府軍と反政府軍との間で発生した大規模な武力紛争について、安倍晋三政権の「衝突」などという説明とは全く異なり、「戦闘」と明記し、その実態を生々しく記録したものです。 昨年9月30日に情報公開請求がされ、12月2日に防衛省は、「日報」を作成した陸自派兵部隊も、報告を受けた陸自中央即応集団司令部も、文書もデータも既に「廃棄」したため不存在だとして不開示の決定をしました。その後、陸海空自衛隊をまとめる統合幕僚監部(統幕)内で「日報」のデータが保存されていたとして、一部が今年2月7日に公表されました。 ところが、今回、統幕だけではなく、陸自内にもデータがあったことが明らかになりました。 「日報」のデータが陸自内で保管されていた問題は、日本共産党の笠井亮政策委員長が2月14日の衆院予算委員会で追及していました。陸自には、海外派兵部隊から送られてくる報告資料などを蓄積するデータベースがあり、そこに「日報」も保存されていた可能性を指摘していました。 しかし、稲田防衛相は、「日報」は陸自内では「用済み後廃棄」となっていると繰り返し答弁していました。稲田氏は、虚偽答弁を重ねてきたことになります。しかも、陸自内にデータが保管されていたことを知っていたとなれば、責任は極めて重大です。 加えて大問題なのは、陸自内に「日報」のデータが保管されていたことが今年1月中旬に判明し、それまでの「廃棄した」という説明と矛盾するため、2月になってデータを消去したと報じられていることです。 統幕内で発見された「日報」のデータが公表されたのは今年2月7日です。見つかったのは1カ月以上も前の昨年12月26日とされています。なぜ、公表が遅れたのか、今年1月中旬に陸自内でデータが見つかったことと無関係ではないのではないか、消去の指示は一体誰がしたのか、防衛省・自衛隊の組織ぐるみの隠蔽工作ではないのかなど、事実関係の徹底した解明と責任追及は不可欠です。 防衛相は辞任すべきだ 稲田氏をめぐっては、「日報」をめぐる隠蔽問題だけではなく、学校法人「森友学園」との関係をめぐる国会での虚偽答弁も厳しく追及されています。 稲田氏に閣僚としての資格がないのは明らかであり、辞任すべきです。稲田氏をかばいだてし続ける安倍首相の責任も厳しく問われています。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-18/2017031801_05_1.html 2017年3月18日(土) データ消去は「通達」に違反 南スーダンPKO「日報」 陸幕長の徹底調査を 衆院外務委で笠井氏が追及 南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣部隊が作成した日報をめぐり、「廃棄した」とした後も陸上自衛隊が電子データを保管し、その後消去したとされる問題について、岡部俊哉陸上幕僚長も経過を把握していた疑いが浮上しています。 事実であれば、陸上幕僚長名で作成された通達に反する重大な行為です。 日本共産党の笠井亮議員が17日の衆院外務委員会で、陸上幕僚監部が2010年3月2日付で作成した「教訓業務実施要領」を提示。今回の日報のような自衛隊部隊が作成した教訓の取り扱いについて「体系的に保管するとともに、適切に管理する」「不測事態で失われることがないよう複数の媒体の使用に努める」としており、厳重な管理を求めています。これに関して、「標記について、…実施されたい」との陸幕長名が付記されています。 笠井氏は、「岡部氏は(データ消去の)渦中の人物だ」として、徹底調査を求めました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-18/2017031802_02_1.html 2017年3月18日(土) 戦争法審議時の自衛隊文書 存在認めず裏で破棄 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-18/2017031815_01_1.jpg (写真)会見する大貫さん(左から2人目)と弁護士ら=17日、さいたま市浦和区 戦争法の国会審議(2015年)の際、安倍晋三首相が「確認できなかった」と存在を否定していた自衛隊統合幕僚監部の内部文書が実際には存在し、指摘を受けた直後に、防衛省が組織的に文書を隠ぺいし、告発者捜しをしていたことが17日、わかりました。 新たに発覚した防衛省の隠ぺいは、防衛省情報本部所属の大貫修平さん(42)=3等陸佐=が17日、さいたま地裁に提訴した国への損害賠償訴訟の訴状などでわかりました。大貫さんは、統幕監部の文書を告発した“犯人”扱いされ、警務隊から執拗(しつよう)な取り調べや配転を強いられ、「物理的・精神的苦痛を受けた」と訴えています。 問題の文書は、自衛隊トップの河野克俊統合幕僚長が14年に訪米した際の米軍高官らとの会談記録。日本共産党の仁比聡平参院議員が参院特別委員会で明らかにしたものです。 この追及に安倍首相や中谷元防衛相(当時)は「存在は確認できなかった」と否定していました。 大貫さんと弁護士の会見によると、統幕文書と同じ内容の文書が、省内に存在。「秘密」指定となっておらず、作成から8カ月にわたり、パソコンで職員が制限なく見ることができたといいます。 ところが、仁比氏が追及した15年9月2日以後、この文書は「秘密」指定され、パソコン内にある文書の破棄を指示されたといいます。国会では「確認中」などと説明しながら、裏で隠ぺいをしていたことになります。 その後、大貫さんはいわれのない罪で警務隊から連日の取り調べや家宅捜索など違法な取り調べを受けました。 大貫さんは「警務隊から『行政府の長が怒っている』などといわれた。官邸主導の捜査ではないか」といいます。また、大貫さんが扱った文書に決裁印がなく、告発文書とは別物といいます。 隠蔽体質追及する 小池書記局長、仁比議員コメント http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-18/2017031815_01_1b.jpg (写真)記者会見する小池晃書記局長(右)と仁比聡平参院議員=17日、国会内 現職自衛官による国家賠償請求訴訟について、17日の記者会見で日本共産党の小池晃書記局長は「原告の訴えが事実だとすれば極めて重大だ。いま焦点となっている南スーダンのPKO(国連平和維持活動)部隊の『日報』をめぐる防衛省の組織ぐるみの隠蔽(いんぺい)体質を裏付ける重大な事案ではないか。わが党の仁比聡平参院議員の国会質問(2015年9月2日)が契機となって起きた裁判でもあり、重大な関心を持っている」と表明しました。 小池氏は、今後の国会質疑でもこの問題を追及する考えを示しました。 会見で仁比議員は、「私の指摘に、当時、総理を含め、『同一の文書は存在しない』と答弁する一方で、訴状によれば存在する内部文書を質問の翌日に秘密指定し、しかも削除を指示した。それが統合幕僚監部によって行われたとすれば極めて重大な事態だ」と強調。政府、防衛省の真摯(しんし)な対応を要求しました。 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-03-18/2017031815_01_1.html
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