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森友問題に見る、自浄できない自民党の限界 軍民両用技術「デュアルユース」研究は悪か THAAD、止まらぬ中国のロッテ叩き
http://www.asyura2.com/17/senkyo222/msg/482.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 3 月 17 日 00:39:05: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

森友問題に見る、自浄できない自民党の限界

田原総一朗の政財界「ここだけの話」

2017年3月17日(金)
田原 総一朗

(写真:つのだよしお/アフロ)
 今、学校法人「森友学園」をめぐり、小学校の設置認可、小学校新設のための国有地の取り引きなど、数多くの問題が話題を呼んでいる。

 中でも大きな問題は、森友学園が小学校を開設するにあたって、財務局が鑑定価格9億5600万円の国有地から地下のごみ撤去費として8億1900万円などが差し引かれた約1億3400万円で購入した。民進党によると、国は汚染土除去費用として1億3176万円を支払ったと指摘している。これを考えると、学園の負担はたった200万円ということになる。

 どうしてこんなことになったのか。これにはやはり、政治的関与があったのではないかと思わざるを得ない。国有地の問題も、なぜ売却費がこんなに下がってしまったのか。

 この点に関しては、近畿財務局と学園側との交渉の記録や報告書がすでに破棄されていることが分かった。こんな大事な記録を破棄することなどあるのだろうか。第一、最終報告書は破棄したとしても、それを作成するための計算書は残っているはずだ。それを「破棄した」として提出しないというのは、「表に出すと非常に都合の悪いこと」だと疑われてもおかしくないだろう。

 まだ疑惑がある。森友学園が大阪府豊中市で建設中の小学校について、府私立学校審議会(私学審)に報告した校舎の建築費と、国の補助金を申請する際の建築費も食い違っている。

 国有地の問題だけでなく、国民の疑惑をかき立てるような事柄が次から次へと起きている。その1つが、稲田朋美防衛大臣の言動だ。

 稲田氏は、国会で野党から「かつて弁護士として森友学園のための弁護活動をしたのではないか」と問われて、「同法人理事長の籠池夫妻から法律相談を受けたことはない。裁判を行ったこともない」と答えていた。提示された署名入りの書面についても「初めて見た。同じく弁護士である夫との共同の事務所であるから、連名で資料を出しただけだ」と説明した 。

 ところが翌日、稲田氏はこれまでの発言を覆した。「記憶になかったが、やったことがある。弁護士の夫の代わりに出廷したのではないかと推測している」と訂正して謝罪した。

 こんなおかしなことがあるだろうか。記憶になかったというだけでは済まされない問題だ。国会答弁があまりにも軽々しすぎる。野党は当然、稲田氏の辞任を強く要求している。

 さらには、稲田氏は籠池理事長夫妻から政治献金を受け取ったことまで露呈してしまった。常識的に考えれば、当然、稲田防衛相は辞任すべきだと思う。

 共同通信社が11、12日に行った世論調査によると、森友学園への国有地売却問題について、86.5%が「適切だと思わない」と回答したという。また、籠池氏を国会招致して説明を求めることに「賛成」と回答した割合も74.6%に上った。

 さらには、政府が十分に説明していると思うとの回答は5.2%しかなく、「思わない」は87.6%に達したという。学園との関係をめぐる安倍晋三首相のこれまでの説明を「納得できない」と答えたのは58.3% という結果になった。

 つまり、国民のほとんどが森友問題には疑惑を抱いているということだ。

籠池理事長はなぜ会見をドタキャンしたのか

 森友学園の籠池泰典理事長は3月9日、大阪府私学課による現地視察に立ち会った際、集まったマスコミに対して「悪意ある批判に対しては、園として今後も断固として戦う」と何度も絶叫した。

 ところが翌日の夕方に開かれた記者会見で、籠池氏は一転して「苦渋の決断だが、認可の申請を取り下げる。理事長を退任する」と言った。

 これはどう考えればいいのか。前日まで「断固戦う」と言っていた人物が、なぜ翌日には申請を取り下げて、断腸の思いで理事長を降りると言ったのか。

 これは何らかの政治的圧力がかかったのだと思わざるを得ない。15日も、籠池理事長は日本外国特派員協会の記者会見を行う予定だったが、直前に延期されることとなった。これも背景に何らかの圧力があったのではないかと感じる。

自民党は当初、籠池理事長の参考人招致を拒否

 これほど謎の多い森友学園問題について、野党は籠池理事長を国会への参考人招致を強く要請していた。ところが、安倍首相をはじめ自民党は当初、これを拒否した。

 安倍首相は、「自分も妻も森友学園の問題には全く関与していない」と言っている。だが、本当にそうであるならば、籠池理事長の国会招致を最初から認めるべきだった。招致しないとする姿を見た国民の多くは「招致すると都合が悪いことが隠されているのではないか」と思っただろう。

 そんな中、16日に突然、籠池氏の国会招致で与野党が合意した。しかも、証人喚問で一致したという。なぜ自民党の方針が変わったのか。籠池氏による「爆弾発言」が飛び出したからだ。16日、大阪で参院予算委員会のメンバーによる現地調査が行われた。そこで実施された籠池氏への聞き取り調査で、彼は安部首相サイドから、建設費の寄付金として「100万円をもらった」と述べたという。菅義偉官房長官は即座に安倍首相による寄付を否定したが、もしもこれが事実であれば大問題だ。

 安倍首相は一切の関与を否定していた。もし関係があったとすれば辞任するとまで国会で答弁している。それだけに、今回の「名指し」での関係性をしっかりと否定するために、急遽証人喚問での合意がなされたようだ。

安倍首相に意見できない自民党

 結果的に、証人喚問が実現する見通しだが、自民党の対応は誉められたものではなかったように思う。どうしてここまで後手に回ったのか。それは、自民党内には安倍首相にそのような指摘をする者がいないからだ。これが一番の問題だ。

 かつて自民党内には主流派、反主流派、非主流派があった。僕が若い頃は、自民党の主流派と反主流派との激しい論争があった。反主流派・非主流派が存在していたからこそ、自民党には多様性がある。自由な意見が飛び交っていた。主流派の考えに異を唱え、対案を出して政策のバランスが保たれるというわけだ。実は、自民党の総理総裁は、党内での派閥争いに敗れて代わっていたのだ。当時は野党の追及などより、自民党内部での戦いの方が激しかった。

 ところが1996年の衆議院議員選挙から、中選挙区制に代わり小選挙区制が導入された。小選挙区制とは、1つの選挙区から1人だけが選ばれる制度だ。小選挙区制になると、自民党から立候補するためには、執行部からの推薦がないと公認されない。執行部が承認するということは、反主流派・非主流派であってはならない。こうして、主流派のみが存在する自民党、自由な意見が言えない自民党になってしまったのだった。

 僕は、ある自民党の幹部たちに「元の中選挙区制に戻すべきだ」と提言したことがある。彼らは「田原さんの言う通りだが、戻すのは反対だ」と答えた。

 「なぜか」と再度問うと、「中選挙区制で選挙をすると、どうしても1回の選挙で1億数千万円の費用がかかる。すると、表に出せない金を集めざるを得ない」と言うのだ。中選挙区だと、選挙区内で自民党同士の戦いが生まれる。そうすると、いろいろとお金を使わなければならないらしい。だが、今は多くの議員がそのような選挙資金を持っていない。小選挙区制になったお陰で、そこまでの費用はかからなくなったという。

森友問題は、安倍政権の根幹を揺るがす可能性がある

 今回の問題でも、自民党内から「籠池理事長を国会に招致すべきだ」という意見がもっと早い段階で出ていいはずだ。だが、それはなかった。

 自らの組織の中で、ダメなものはダメと言える「自浄作用」が働く組織でないと、与党として健全に機能しなくなるだろう。このまま国民の疑惑がどんどん深まれば、「自民党ではなく、民進党に票を入れよう」と考える人も増えるかかもしれない。

 今は残念なことに、党内で安倍首相に反対意見を言える人物がいない。中堅の議員たちに頑張って欲しいが、難しいようだ。

 支持率も高く、自民党総裁任期の延長を決めて万全の状態で長期政権を狙っていた安倍首相。だが、今回の問題を軽視しては大やけどを負うことになる。

 国民の声を無視し続ければ、その代償を、安倍政権だけでなく、自民党そのものが支払うことになりかねない。


このコラムについて

田原総一朗の政財界「ここだけの話」
ジャーナリストの田原総一朗が、首相、政府高官、官僚、財界トップから取材した政財界の情報、裏話をお届けする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/031600012


 


軍民両用技術「デュアルユース」研究は悪か

「軍民両用技術」の曲がり角

防衛装備庁からの研究費巡り学会で激論
2017年3月17日(金)
寺井 伸太郎
 防衛用にも民生用にも使える軍民両用技術「デュアルユース」。ロボットやAI(人工知能)、通信などの各分野で防衛用と民生用の境目がますます薄れつつある中、自衛隊向け装備の調達などを担う防衛装備庁はデュアルユース技術を重視。研究委託費の大幅拡充をテコに、有望な研究を抱える大学や民間企業への接近を図る。

 一方、第二次世界大戦への反省から、学会では「軍事研究」への根強い警戒感がくすぶる。研究者の全国団体である日本学術会議は4月にも、防衛装備庁への対応などについての基本方針を公表する。

MRJの尾翼の複合材は戦闘機向けの技術から生まれた(写真:田中正秋/アフロ)
 「今の時代、技術に防衛用も民生用もない。厳密に区別するのは難しい。資金の出所がどの役所でも、研究に役立つのであれば科学の進歩のために活用するのは当たり前だ」。ある有力国立大学の副学長はこう指摘する。

 防衛装備品に関わる研究は従来、防衛省の研究機関や三菱重工業など伝統的な防衛企業を中心に開発が進んできた。対象は戦車や艦艇、航空機などだ。

 だが、ロボットやAI、通信、自動運転、高機能な複合材……。民生分野で激しい競争が繰り広げられる最新技術の数々は、そのまま、防衛装備の高度化にとっても重要なカギとなる。この多方面に広がる技術に、防衛省や防衛産業がすべて自前で対応することは難しい。世界各国の防衛当局もデュアルユース技術への関心を高めつつある。日本周辺の安全保障情勢が緊迫の度を強める中、無関心ではいられない。

防衛装備庁、2015年度から研究費を提供

 こうして防衛装備庁が2015年度に立ち上げたのが「安全保障技術研究推進制度」だ。防衛装備庁が興味を持つテーマを対象に、一般の大学や研究機関、企業などに研究資金を提供する仕組み。これならば使えそうなデュアルユース技術をゼロから開発するよりも効率的に手に入れることができる可能性がある。

「軍事」と「民生」の垣根が薄らいでいる

●防衛装備庁が求める研究テーマの例

光学センサーの高感度化
レーザーシステム用光源の高性能化
再生エネルギー小型発電
高出力電池
音響・可視光以外の水中通信
サイバー攻撃自動対処
遠隔作業を円滑化する触覚・力覚
昆虫、小鳥サイズの小型飛行体
水中移動を高速化する流体抵抗低減
3D造形による軽量で高耐熱性を持つ材料

 2016年度までの2年間で153件の応募があり、うち19件の研究を採択。文部科学省が予算を抑制したため研究資金の確保に苦しむ大学の受け皿となっている面もあり、採択された研究が各地で進んでいる。

 防衛装備庁・技術戦略部の野間俊人部長は「非常に手応えがある。資金を受け取る研究者と相互に利点のある形で進めていきたい」と評価する。2017年度からは2016年度の20倍近い110億円に予算を増額する。「デュアルユース(技術)が日本の新たなイノベーションを促進するきっかけとなる」(三菱総合研究所の河野伸一氏)との見方もある。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/031500046/031600002/g1.png


http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/031500046/031600002/g2.png

(注)2015年度と16年度の合計。防衛装備庁資料から本誌作成

学術会議、50年ぶり「声明」で慎重姿勢表明へ

 防衛装備庁の政策を受けて、科学者の代表機関とされる日本学術会議は2016年6月から「安全保障と学術に関する検討委員会」を設け、デュアルユース技術の研究に関する議論を始めた。第二次世界大戦への反省を踏まえ、同会議は1950年と1967年の2度、「戦争を目的とする科学の研究には今後絶対に従わない」とする声明を出している。しかし防衛用と民生用の垣根が薄れる中で、より時代に合った考えを示すべきとの意見が浮上したためだ。

 だが、防衛装備庁が予算の大幅増額という積極姿勢を打ち出したこともあり、却って慎重な対応を求める声が強まった。3月7日に学術会議の委員会が公表した「声明案」は、安全保障関連の技術研究に従事することは学問の自由への国家介入を招きかねないといった危機感を強くにじませ、関与を慎むよう求める内容となった。

 防衛装備庁は技術部門トップの技監名で、学術会議に「受託者による研究成果の公表を制限することはない」とする文書を送付し、懸念払しょくに努めたものの、効果は上がっていない。

防衛省との協力に否定的な方向

●日本学術会議「安全保障と学術に関する検討委員会」がまとめた声明案の要旨

日本学術会議が1950年(戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない)、1967年(軍事目的のための科学研究を行わない)に出した声明を継承
「軍事的安全保障研究」と学術の健全な発展は緊張関係にある。政府による研究への介入を懸念
防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」は研究の進捗管理などについて、政府による介入が著しく問題が多い
大学などは軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究について、適切性を技術的・倫理的に審査する制度を設けるべき
科学者の自主性・自律性が尊重される民生分野の研究資金充実を求める
 学術会議は4月13〜14日に開催する総会で、この声明案に対する賛否を問う見通し。学術会議による意見表明にはランクがあり、「声明」が最も権威があるとされる。大学などに対して強制力を持つ性質のものではないが、成否いずれにせよ、大学や個々の研究者の行動に一定の影響を与えるのは間違いない。

 すでに反対論を具体化する動きも出始めた。法政大学は1月末、同制度への応募を当面認めないとする方針を発表。関西大学なども同様の考えだ。

大学の関与なくなれば制度が瓦解する可能性

 仮に、現行の声明案が総会の承認を得て採択された場合、安全保障技術研究推進制度への応募を容認する大学は、反対派を説得する説明責任を従来以上に課せられる可能性がある。結果として、大学からの協力が得られにくくなり、大学の役割が大きい同制度が実質的に骨抜きとなる展開もありうる。


このコラムについて

「軍民両用技術」の曲がり角
 防衛用にも民生用にも使える軍民両用技術「デュアルユース」。ロボットやAI(人工知能)などの最先端分野を中心に、軍民の境目は薄まりつつある。防衛装備庁は2017年度、デュアルユースの活用に向け、有望な研究を手掛ける大学や企業などに提供する資金を大幅に拡充。だが「軍事」への警戒感を持つ研究者らが反発し、激しい議論が起こっている。有識者へのインタビューを交えつつ、現状をリポートする。

 

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/031500046/031600002

 
THAAD韓国配備開始、止まらぬ中国のロッテ叩き

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」

中国内の店舗閉鎖、大規模事業中断、ねつ造文書の拡散も
2017年3月17日(金)
北村 豊

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/101059/031500092/p1.jpg

ロッテマート、次々と営業停止に(写真:Imaginechina/アフロ)
 3月6日、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(Terminal High Altitude Area Defense missile、 略称:THAAD)」が韓国の烏山基地に到着した。翌7日、米韓両軍は北朝鮮の弾道ミサイル攻撃に備えてTHAADの韓国配備を開始すると発表したが、当初予定していた年末までの配備を大幅に前倒しし、早ければ5〜6月にも運用を開始するものと思われる。

中国人に人気の「楽天集団」だが

 THAADが配備されるのは韓国南東部の慶尚北道星州郡にあるゴルフ場「ロッテスカイヒル星州カントリークラブ」(以下「星州ゴルフ場」)の敷地である。その名からも分かるように星州ゴルフ場は、韓国第5位の財閥「ロッテグループ」(以下「ロッテG」)が所有していたが、2月28日にロッテGが韓国国防部との間で星州ゴルフ場と京畿道南揚州市にある国有地とを交換する契約に締結したことによりTHAADの配備が本格化することになった。昨年11月16日、両者は星州ゴルフ場と国有地を交換することで合意し、国防部は1月にも正式に契約を締結する積りだったが、THAAD配備に対する中国の反発が強かったためにロッテGの手続きが遅れ、2月末にずれ込んだのだった。

 11月16日にロッテGが国防部と土地交換で合意し、星州ゴルフ場がTHAAD配備地に確定したと報じられると、中国はロッテGを標的とするバッシング(叩き)を開始した。

 ロッテGは中国では“楽天集団”(略称:楽天)と呼ばれ、楽天は多くの中国国民にとって非常に身近な存在なのである。2017年の“春節(旧正月)”休暇(1月27日〜2月2日)には615万人もの中国人観光客が韓国を訪れ、前年比7%増の史上最高を記録したが、彼らの多くが免税品を購入したのは“楽天免税店(ロッテ免税店)”であった。ある分析によれば、ロッテ免税店で中国人観光客が消費する金額は1日当たり6000万元(約9億9000万円)前後に上り、年間では219億元(約3614億円)という計算になる。

 そればかりではない、楽天は中国国内にデパートの“楽天百貨(ロッテデパート)”5店舗とスーパーマーケットの“楽天瑪特(ロッテマート)”113店舗を運営しており、多くの人々が楽天で生活用品を購入しているのである。また、楽天は食品や飲料の製造販売、ファーストフードチェーンの“楽天利(ロッテリア)”などの事業を通じて中国国民に親しまれている。

 韓国が中国と国交を樹立したのは1992年であった。その2年後の1994年に中国に進出を果たしたロッテGは、中国に累計10兆ウオン(約1兆円)の投資を行って事業を拡大してきた。今ではその市場は24の一級行政区(省・自治区・直轄市)に及び、中国における売上高は3.2兆ウオン(約3200億円)に達し、中国国内の従業員数は2万人に上っていると言われる。ロッテG、すなわち楽天が中国国内で展開する主要な事業の詳細は<表1>、<表2>および<表3>の通り。


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ロッテマート、次々と営業停止に

 12月に入るとこれら楽天の中国国内にある店舗や企業に対するバッシングが目に見える形で本格化する。中国政府は楽天の中国本社を含む全事業所に対する税務および消防検査を実施する方向に舵を切った。中央政府の意向をくんだ地方政府は楽天に対する監督を強化し、各地の“消防局”を動員してロッテマートの消防安全検査を実施し、不合格として店舗に対し営業停止を命じた。ロッテマートに対する消防安全検査は徐々にその件数を増し、12月中は数店舗だったものが、1月、2月と月を追うごとに増大した。

 韓国の通信社「聯合ニュース」が3月8日付で報じたところでは、THAADの韓国配備が報じられた3月7日までに営業停止を命じられたロッテマートは39店舗であったが、翌8日には55店舗に増大したという。営業停止を命じられた店舗では正門に「“臨時査封決定書(臨時封鎖決定書)”」が貼られ、扉やシャッターには「〇〇市消防大隊“封条(封印紙)”」と書かれた紙が交差する形で貼られ、店舗は法的に封鎖された。

 一方、3月3日の午前中にインターネットのコミュニティサイト“凱迪網絡”の投稿サイト“猫目看人”に、“藍心閣”というハンドルネームの人物が投稿した『楽天集団会長:中国人は“市儈(利に敏く)”、我々が値段を下げれば、彼らはすぐに買う』と題した文章が掲載された。同投稿サイトには多数の文章が掲載されており、同文章はほとんど読む人もなく放置されていたが、3日の夕方に“微博(マイクロブログ)”のブロガーで自称「作家」の“唐文立”が自身のブログに転載したことにより、次々と転載されて全国へ伝えられた。その全文は以下の通り。

作家 唐文立 03-03-19:29

 韓国紙「環球新聞眼」はロッテG会長の“辛東彬”<注1>をインタビューした。目下中国人が楽天をボイコットしていることについて、ロッテGはどうする積りかと記者が質問すると、辛東彬は笑みを浮かべながら、「心配は要らない。中国人は非常に利に敏く、“無骨気無血性(気骨もなければ気概もない)”、我々が値下げすれば、彼らはすぐに買う。従来の経験から言って、中国人のボイコットは一時的で、突風が吹くようなものだ」と述べた。

<注1> 辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)
 ここまで言うと、辛東彬はカメラに向かって笑いかけ、「《Super Star K5》<注2>の中のパフォーマンスや気取り、激情のほとばしりなどは一時的な興奮に過ぎず、終わってみれば何もない。我々はひたすら値引きすればよく、そうすれば中国人はもうけものだと蜂のように群がってやって来る。数年前に日本の商品やフィリピンの果物のボイコットが行われたが、その結果、突風が吹き抜けた後は、日本商品もフィリピン果物も販売量が急増した。君は中国人を知らない。彼らは非常に功利的だから、我々は何も心配することはない。中国人がより重視するのは自分の利益であり、国家に対する責任感は希薄で、我々韓国人とは異なる。(転載)

<注2>《Super Star K5》は、韓国No.1の新人発掘オーディション番組
ねつ造文書も拡散

 唐立文が転載した文章を読んだ多くのネットユーザーは、辛東彬の中国人を馬鹿にした傲慢な言葉に憤り、「楽天許すまじ」と決意を新たにしたが、一部の冷静なネットユーザーは、韓国に「環球新聞眼」などという新聞は存在しないし、新聞記者のインタビューを受けた際に、ロッテGの会長ともあろう者がこのような不用意な発言をするはずがないなどとして、当該文章の信憑性に疑問を呈した。その後、中国メディアも当該文章は韓国に対する反感を煽るためにねつ造されたものと断定したし、韓国紙「Newsway」も「ロッテG会長はいかなるメディアのインタビューを受けていない」と報じたことで、事態は沈静化した。しかし、文章の内容がねつ造であろうとも、扇動により燃え上がった楽天に対する敵愾心は容易に消えることはない。

 3月4日付の“江蘇網(ネット)”は、3月3日の午後と夜に江蘇省“連雲港市”に6店舗あるロッテマートのうちの3店舗を取材した記事を掲載した。その記事によれば、平日で客は少ないと思っていたら、驚くことに、店内は買い物客で溢れ、レジは行列ができるほどに盛況だったという。楽天に対する反発が強まる中、ロッテマートにこれほどの買い物客が殺到しているのはなぜかと訝(いぶか)しく思っていたら、疑問が解けた。買い物客の9割以上はロッテマートの“購物卡(商品券)”を手にし、「商品券を全て使い果たしたら、ロッテマートには二度と来ない」と口々に言明しながら大量の商品を購入し、中には数万元(約50〜80万円)の買い物をした客もいたという。

「反楽天」のデモ隊も

 3月6日には河南省“鄭州市”の管轄下にある“新鄭市”のショッピングセンター“万佳時代広場(万佳タイムズスクエア)”に組織された「反楽天」を標榜するデモ隊が中国国旗を掲げて押しかけた。2階建ての万佳時代広場の屋上からは5本の垂れ幕が下げられ、1階の壁面には横断幕が掲げられた。そこには次のような標語が書かれていた。

(1)「“楽天”操你祖宗  “楽天”我日恁娘  老子不売了」
 (“楽天”FUCK YOU “楽天”FUCK YOU 俺たちは“楽天”の商品を売らない)
(2)「万佳人憤怒了  下架併銷毀楽天所有商品  楽天滾出中国去!」
 (万佳時代広場の従業員は憤っている。全ての楽天商品を棚から下ろして廃棄しろ。楽天は中国から出て行け!)

 万佳時代広場の前庭には店内から運び出された楽天製の食品や飲料が大量に積み重ねられていたが、工事用のホイールローダーがそれらを粉々に踏みつぶした。それを見ていたデモ隊や万佳時代広場の従業員、そしてそれを取り巻く野次馬たちはどっと歓声を上げたのだった。こうした楽天商品排斥の動きは今後全国で次々と展開される可能性が高い。

 3月8日には中国の動画サイトに「“抵制楽天(楽天ボイコット)”」と題するわずか10秒間の動画が掲載された。その動画には中国の某小学校の講堂に集められた小学生たちが映し出され、彼らが壇上に映し出された「おやつを拒絶して、楽天をボイコットしよう。我が中華を愛するのを我々から始めよう」という標語を大声で唱えると、教師が生徒たちに「私たちは楽天のおやつを買うのを止めねばならない。それを自分の行動で示そう」と呼びかけていた。某小学校がどこにあるのか不明だが、小学生に対して「楽天ボイコット」を強要して洗脳していることは明白で、文化大革命(1966〜1976年)時代の“紅小兵”<注3>を想起させる。こうした動きは中国全土の小・中学校に波及しているものと思われる。

<注3>7〜14歳の小・中学生で構成され、中国共産党の指導下で活動した組織。
 この動画を見たネットユーザーの1人は、「私の子供にこのような教育は不要だ。もしあんたがこのような馬鹿げた教育を自分の子供が受けるのを好きならば、誰も止めはしないけど」とネットの掲示板に書き込んだ。また、別のネットユーザーは、「久しく人を罵(ののし)ったことはないが、昨日この動画を見て我慢ならなかった。これも父親になったためだろうか、そこにあるのは絶望だけだ。あの教師は豚と同様だ」と書き込んだ。

2つの大規模プロジェクトも中断

 しかし、こうした声を上げるのは一部の冷静な人々だけで、大多数の中国国民はお上の意向に沿って楽天ボイコットを叫ぶと同時に、THAADを配備する韓国からの進出企業や韓国製品に対し十把一からげで排斥を行うのである。それは上述したハンドルネーム““藍心閣”が投稿した文章に書かれていたように、「数年前に日本の商品やフィリピンの果物のボイコットが行われた」のと同様に、国民全体を巻き込んだ反楽天、反韓国の動きへと発展して行くのだ。

 楽天が建設を進めていた2つの大規模プロジェクト、遼寧省“瀋陽市”の“瀋陽楽天世界”(投資額:3億ウオン=約3000億円、竣工予定:2018年)と四川省“成都市”の“成都楽天世界”(投資額:10億ドル、竣工予定:2019年)は、すでに工事の中断を余儀なくされた。中国政府“国家旅游局”は国内の旅行業者に3月15日以降は韓国行き団体旅行の取扱いを禁止するよう指示を出したと言われている。それが本当ならば、ロッテ免税店が莫大な損失を被ることは火を見るより明らかである。

 3月15日は“国際消費者権益日(世界消費者権利デー)”だが、当日夜に中国国営テレビ“中央電視台(中央テレビ)”は「消費者の友特別夜会」を放映し、各種商品の問題点を厳しく指摘し、それが当該商品の販売に大きな影響を与える。今年の同番組では楽天商品を含む韓国製品および韓国進出企業の製品がやり玉に上がる可能性は大きいが、原稿締切日の関係で本稿ではその結果について言及することができない。果たして楽天は中国で生き残れるのか。


このコラムについて

世界鑑測 北村豊の「中国・キタムラリポート」
日中両国が本当の意味で交流するには、両国民が相互理解を深めることが先決である。ところが、日本のメディアの中国に関する報道は、「陰陽」の「陽」ばかりが強調され、「陰」がほとんど報道されない。真の中国を理解するために、「褒めるべきは褒め、批判すべきは批判す」という視点に立って、中国国内の実態をリポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/101059/031500092  

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コメント
 
1. 2017年3月17日 00:50:45 : XgmwNTnoFs : PN0at1QpaFQ[4]

軍民両用技術「デュアルユース」研究は三菱天下りの悪。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-03-19/2012031915_01_1.html
2012-2月24日の閣議決定答弁書で、
「西部航空方面隊司令官」「呉地方総監」「陸上幕僚長」「航空集団司令官」「第一師団長」などそうそうたる自衛隊幹部が三菱(軍事・原子力)財閥の「顧問」として天下りしていることが分かった。
若者の生活を根底から破壊する恐るべき税金搾取の腐敗癒着構造である。
ひとりアタマ数百億円の国民の血税(防衛予算)を軍事財閥に持参して天下る、信じられないような腐敗構造なのである。
国民や貧乏若者をコケにした他では有り得ない腐敗の極みの税金泥棒構造なのだ。
http://tamutamu2011.kuronowish.com/yumikotyannjikenn.htm

●極右日本会議の籠池の森友学園による国有地掠め取り事件は、沖縄で国民の美海を軍事財閥・自衛隊が掠め取っている事件と同じ構造である。
安倍利権屋内閣を使ってあらゆる国民資産が極右カルトに掠め取られているのが今の日本である。
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腐敗を極める日米軍事財閥と自衛隊による毎月毎月5000億円のインチキ防衛費の平成税金収奪と全く同じ構造である。
森友学園国有地払い下げ疑獄は、教育勅語体制の復活を目論む極右カルト利権集団が利権屋の安倍内閣を使って国民資産の強奪を図った事件である。
軍事財閥と自衛隊という究極の利権集団が、
掛け替えのない沖縄の美海という国民資産を番犬司法と暴力組織を使って強奪しているあの侵略強盗基地建設強行の泥棒構造と同じものだ。
戦前から今日まで極右という利権集団は「教育」「防衛」「脅威」などの政治的言語を詐欺マスコミを使って国民資産強奪に使って来た。
塚本幼稚園がインチキ風俗店の就業規則のような「教育勅語」という奴隷国民製造の品性の欠片もない駄文を園児にまで朗誦させるのには相応の理由があるのだ。


2. 無段活用[1634] lrOSaYqIl3A 2017年3月17日 06:41:26 : BBhWYcTpFc : Sk3OkVUrOSM[11]

>軍民両用技術「デュアルユース」研究は悪か

本人の良心に従えば良いことだが、それを言い出せばストレッチ体操など出来なくなる。インターネットなど論外。

民生用の研究費を絞って軍事技術の方向に誘導する、という阿漕な手は安倍氏のやりそうなことだが、お金のない大学が大企業から研究費を取るための方便としてその枠組みを使うだけの強かさは欲しい。


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