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事態はここまで悪化した 尖閣周辺で我が物顔の中国
米国の海洋戦略専門家が発する重大な警告
2017.3.14(火) 古森 義久
中国海軍のフリゲート。退役後に海警部隊に移籍され再就役した(出所:Wikipedia)
トランプ政権が尖閣防衛を公約したにもかかわらず、中国の尖閣諸島への攻勢はさらに激しくなり、日本の国家的な危機を引き起こしている――。
こんな重大な警告が、米国の中国海洋戦略専門家から発せられた。
トランプ政権の首脳たちが相次いで「尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲に入る」と明言したことを受け、日本では一種の安心感が広まったようである。だが現実は、中国はますます尖閣諸島周辺で日本の領海や接続水域への侵入を頻繁に行い、日本側の施政権を脅かしつつある。このたび米国大手防衛問題シンクタンク「戦略予算評価センター(CSBA)」の上級研究員、トシ・ヨシハラ氏によって、その実態が明らかにされた。
「戦略予算評価センター(CSBA)」の上級研究員、トシ・ヨシハラ氏(CSBAのホームページより
ヨシハラ氏は中国の海洋戦略研究で全米でも有数の権威とされる学者である。米国海軍大学の教授を長年務め、海軍大学付属の「中国海洋研究所」の研究員も兼務してきた。2017年からはワシントンの超党派の大手研究機関のCSBAに移り、その上級研究員となった。
ヨシハラ氏は父親が日本人、母親が台湾人の日系米国人である。少年時代まで台湾で過ごしたため中国語が堪能で、中国軍関係者との交流も中国語でこなすという。
そのヨシハラ氏に3月7日、インタビューした。一問一答の内容は以下の通りである。
もはや「施政権の共同保有」が宣言できる状態
――日本では、トランプ政権の尖閣防衛の言明により、中国の尖閣諸島への攻勢は一段落したのではないかという受けとめ方が多いようです。現状はどうでしょうか。
トシ・ヨシハラ氏「確かにトランプ政権の尖閣防衛に関する一連の言明は、オバマ政権のそれより強く、曖昧さが少ないと言えます。これは日本にとっても米国にとっても好ましいことでしょう。
しかし中国の東シナ海へのアプロ―チ、特に尖閣への攻勢は変わっていません。むしろ強化されたと言えます。
尖閣海域に入ってくる中国海警の警備艦隊は昨年中ごろまで2隻編成でしたが、4隻に増え、トランプ政権の登場後もそのままです。現在、中国海警の艦艇は尖閣の日本の領海や接続水域に月平均3〜4回侵入してきており、恒常的かつ自由自在に尖閣海域をパトロールできる能力をほぼ獲得したと言えるでしょう。もはや尖閣の施政権の共同保有すら宣言できそうな状態にあります」
――「施政権の共同保有」というのは、日本側の施政権が侵食される、あるいは骨抜きになるということですね。
「はい、中国側からすれば、尖閣のあらゆる海域はいつでも思い通りに自国の艦艇でパトロールできるということです。だから、日本の主張を無視する一方的な言明にせよ、『尖閣の施政権は中国が保有し、少なくとも日本との共有なのだ』と宣言できるというわけです。実際には、その宣言はまだしていませんが、できる状態に近づいたと言えるでしょう。尖閣海域には常に中国の艦艇が存在するという状態を日本や米国側に誇示し、もうそれが正常な状態なのだと思わせようという意図があります」
――そうなると、日本の施政権が侵食され、日米安保条約の適用にも影響を及ぼすおそれがありますね。米国は安保条約に則って「日本の施政権下にある領域」を防衛すると述べているわけですから。
「日本にとっては危機的な状況かもしれません。中国が海警だけで攻勢をかけても、正規の軍事攻撃ではないため、安保条約での米軍の出動の条件にはならないからです。しかし、中国は海警の艦艇に新鋭の大型船を次々に導入しています。しかもじわじわとその性能を高め、日本の海上保安庁の巡視船を疲弊させている。持久戦、消耗戦略です。日本側の現状をみると本当に消耗させられそうですね」
背後にある「世界を多極化へ」という野望
――海警は実際には人民解放軍の指揮下にあります。東シナ海でも正規の中国海軍が動きを活発にさせているようですが。
「尖閣に関する中国側の新しい動きとして注目されるのが、中国海軍の東シナ海での増強です。海軍が艦艇の数を増し、演習も規模と回数を増しています。昨年12月には空母の遼寧を中心とする機動部隊が宮古海峡を通り、台湾の東岸を抜けて、南シナ海へと航行して大規模な演習を実施しました。つい数日前にも別の中国艦隊が同じように宮古海峡を通りました。航空機の活発な動きもそれに合わせて目撃されています。中国軍は東シナ海での活動を強め、勢力圏を拡大して、戦略的特権を確立しようとしているのです」
――東シナ海で「戦略的特権」の確立を目指しているとは、どういうことでしょうか。
「東シナ海における力のバランスを決定的に中国側に有利にして、コントロールできるようにすることです。
その背後には、中国の復興という野望があります。習近平国家主席が『中国の夢』という言葉で表現するのも、この中華帝国の復興という目標です。そのために東シナ海と南シナ海の制圧を目指しているのです。
さらにその背後にあるのが、いまの世界を米国一極から多極へと変えようという野望です。その多極世界では米国、中国、ロシア、EU(欧州連合)、インドなどの数カ国がパワーを保持して、並列的に並ぶことになります。日本は、もちろんそこには含まれません。アジアでは中国が主導権を持つわけです。いまの尖閣問題というのは、このように多様な要因を含む争いの縮図だと言えるでしょう」
日本が自ら尖閣防衛の能力を高めるべき
――中国は、軍事力によって尖閣諸島を奪取しようと意図しているのですか。
「今はまだそこまで考えず、日本の施政権を崩す消耗戦略を続けようとしているのでしょう。しかし、尖閣を奪取するための『短期で過激な戦争』という戦略を以前から準備していることも事実です。その場合、米軍が介入してくると予想すれば、軍事攻撃には踏み切りません。ただし、日本が先に攻撃をする、あるいは挑発をする、という状態で軍事衝突が始まれば、中国側は米軍は介入しないだろうと判断する可能性もあります」
――日本では尖閣諸島になんらかの形で人を配置すべきだという意見もあります。
「日本がそういう行動を取りたくなる心情はよく理解できます。しかし中国側からすると、紛争の新たなエスカレーションあるいは挑発とみて、軍事的な対抗措置に出る機会となります。中国側は、そうした日本側のエスカレーションあるいは挑発から日中間で軍事衝突が起きた場合、米国は介入しないだろうとみる可能性があります。
だから日本としては、米軍の力を借りずに自力で中国軍を撃退できる能力を保っておかなければなりません。日本のその能力を認識することで、中国は攻撃を差し控えます。つまり、抑止の効果が生まれるわけです。
トランプ政権が尖閣防衛を公約したといっても、米軍の出動には必ずいくつかの前提条件が出てきます。日本側はその点をよく認識しておくべきでしょう」
以上のようなヨシハラ氏の見解は、中国の尖閣諸島への攻勢によって日本がどれほど国家的な危機に直面しているかを明確に示していると言ってよい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49410
トランプの奥の院に入り込んだ誇り高き英雄
30年前にベストセラーになった博士論文が示す「戦争責任論」
2017.3.14(火) 高濱 賛
米大統領、新安保補佐官にマクマスター氏 辞任したフリン氏の後任
ドナルド・トランプ米大統領(右)が米フロリダ州パームビーチに所有するリゾート施設「マーアーラゴ」で、国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命したH・R・マクマスター氏と握手するトランプ氏(2017年2月20日撮影)〔AFPBB News〕
四天王と外様大名3人でスタートした「トランプ幕府」だったが・・・
徳川幕府に例えれば、第45代米大統領「ドナルド・トランプ将軍」の政権は、四天王と外様大名トリオでスタートした。
四天王とは、スティーブ・バノン大統領上級顧問兼首席戦略官(63)、ケリーアン・コンウェイ大統領顧問(50)、スティーブ・フリン大統領国家安全保障担当補佐官(59)、娘婿のジャレド・クシュナー大統領上級顧問(36)の4人。大統領選以前からトランプの忠臣として仕えてきた。
外様大名とは、レックス・ティラーソン国務長官(64)、ジェームズ・マティス国防長官(66)、スティーブン・ムニューチン財務長官(54)の主要3閣僚。トランプ氏が大統領に選ばれたのちに「首実検」して選んだ超大物たちだ。
3人とも関ケ原の戦いで「トランプ徳川方」にはせ参じたわけではない。
閣僚で唯一の譜代大名と言えば、ジェフ・セッションズ司法長官(70)。選挙当初からトランプ大統領支持を打ち出していた。
マイク・ペンス副大統領(57)は共和党全国党大会で正式に「ラニングメート(副大統領候補)」に選ばれている。中間選挙では他の候補を支持していた。言ってみれば、譜代大名と外様大名の中間といったところだ。
ところが政権が動き出してひと月も経たないうちに四天王の一角が崩れた。
フリン補佐官がトランプ氏が大統領に正式に就任する数か月の前からセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と連絡を取り、経済制裁解除について協議していたとの疑惑が急浮上。しかもこの件についてペンス副大統領に嘘の報告をしていたことも明らかになった。結局フリン補佐官は2月13日に辞任した。事実上の解任だった。
国家安全保障担当補佐官は、外交国防の要となる国家安全保障会議(NSC)の事務局長を兼務している。
NSC事務局は政策面と地域面とで部門に分かれ、総勢200人程度が専従スタッフを有している。関係各省庁から吸い上げた情報を精査分析し、安全保障に関する重要政策を決定する最高決定機関だ。
腹心バノンをNSCに入れた理由
トランプ大統領は、そのNSCにバノン首席戦略官兼上級顧問を入れただけでなく、正副大統領と国務、国防両長官だけが出席して行われる幹部会議のメンバーにもバノン上級顧問を入れるという前代未聞の決定をしていた。2月初旬のことだった。
バノン上級顧問は、極右メディア「ブライトバート・ニュース」からホワイトハウス入りした「トランプの分身」とも言われる人物。トランプ政治哲学がNSCで100%生かされるように目を光らせる役割を託されたのだ。
バノン氏がNSC入りしたことでワシントンの外交国防関係筋の間では、同じ忠臣とはいえ、フリン補佐官との確執の可能性も噂されていた。その矢先にフリン補佐官がスキャンダルで失脚してしまったのだ。
フリン辞任で急遽登板したドクター・マクマスター
トランプ大統領はその後NSCのトップ捜しに躍起となった。何人かの候補が噂されたが、いずれも帯に短し襷に長し。
結局、トランプ大統領が指名したのは、「21世紀でも傑出した軍人戦略家」(米軍関係者)と高い評価を得てきたヒューバート・レイモンド・マクマスター(通称H・R・マクマスター)米陸軍中将=55)*だった。
*大統領補佐官の就任には議会の承認は不要だが、マクマスター将軍は米軍三ツ星の現役将官のため、上院の承認が必要となる。従って正確には目下、大統領補佐官候補。
マクマスター将軍は大統領の「忠臣」ではない。だが大統領にとっては、国家安全保障担当補佐官ポストをいつまでも空白しておくわけにいかなかった。国防・外交の要を任せられる適任者を選ぶ緊急事態だ。外様であろうとなんであろうと、奥の院に引きずり込まねばならなかった。
マクマスター将軍とはどんな人物なのか。ウエストポイントの陸軍士官学校を卒業後、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の大学院で文学修士号、軍事史で博士号を取得している。
その一方で戦場でも輝かしい軍歴を誇っている。1991年の湾岸戦争では機甲騎兵中隊を指揮、またイラク、アフガニスタンでも米軍駐留司令部の重職を全うしてきた。
今でも語り草になっているのは、1991年の湾岸戦争ではたった9台の戦車からなる部隊を率いてイラク軍の80台以上の戦車を撃破した戦歴だ。もっともイラク軍の戦車は旧式のソ連製「T62」や「T72」。それに対して米軍は最新鋭の「M1エイブラム戦車」。赤子の手を捻るようなものだった。
マクマスター将軍は、戦場での戦歴を引っ提げて2012年以降、将来の米軍を踏まえた長期的戦略と将校育成を目的とする高等起動作戦センターや陸軍能力統合センターの最高責任者として米軍内部では知らぬ人のいない存在だった。文武両道の将軍という意味では、マティス国防長官と相通ずるところがある。
トランプ大統領は最高の軍人2人を三顧の礼で「幕府」に招き入れたことになる。
ベトナム戦争の敗因は「大統領・国防長官・参謀本部議長にあり」
今回紹介する本書は、そのマクマスター将軍が博士号取得のために書いた論文を基に一般書籍向けに筆を加えたものである。30年前に初版が出ているが、当時、爆発的に売れた本だ。
その後、現在に至るまで、国防総省背広組、制服組はもとより、国家安全保障問題の専門家たちの間で読み受け継がれている戦略論の「古典」である。同氏が国家安全保障担当補佐官になったことで今、再び脚光を浴びている。
内容はタイトルが示す通り、ベトナム戦争をめぐるリンドン・ジョンソン第36代大統領、ロバート・マクナマラ国防長官、統合参謀本部の責任を厳しく糾弾したものだ。
責任の所在を軍人戦略家として明らかにすることで戦争とは何か、3軍の最高司令官とその補佐役が戦争を遂行するうえでなにをすべきかを徹底分析している。
Dereliction of Duty:Lyndon Johnson, Robert McNamara, the Joint Chief of Staff, and the lies that led to Vietnam by H.R. McMaster Harper Perennial, 1998
国防総省に保管されている膨大な統合参謀本部の議事録、メモ、報告書を検証したマクマスター将軍は以下のような事実関係を見つけ出す。
一、統合参謀本部は常に米軍がベトナム戦争に勝つには何が必要かを認識していた。
一、統合参謀本部の意見や主張は大統領、国防長官をはじめとする文民高官たちに無視され続けた。
一、統合参謀本部は戦略決定のプロセスですすんで共犯者になり、あるいは反論することなく沈黙を守り続けた。
一、こうした中で最大の悪者は統合参謀本部議長(1962年から64年)を経て駐ベトナム大使になったマックスウエル・テーラー将軍だった。
テーラー将軍は終始、ジョン・F・ケネディ第35代、ジョンソン第36代両大統領に統合参謀本部の意向を故意にまげて報告し、ミスリードした。また、両大統領の意向を統合参謀本部に正確に伝えるのを怠った。
なぜそんなことが起こってしまったのか。マクマスター将軍はこう指摘している。
「米国は戦争状態にあった。ジョンソン大統領はベトナムでは『中庸なコース』を取れという国内のプレッシャーにばかり気を取られていた。そのことがベトナムに派遣された米軍の軍事的目標が何であるかを明確に表現することを妨げる結果となった」
「米軍将兵は戦略も方向づけもないままにベトナム戦争に参戦していたのだった。なぜか。ジョンソン大統領は米議会と米世論を欺き続けた。大統領は自らの政権内部にあるわだかまりに目をつむり、統合参謀本部を悪者にすることで自らの政治的メンツを守ろうとした」
「ベトナム戦争の失態は、非個人的な力がもたらした悲劇ではない。それは関わり合いを持った個々の人間の失敗が生み出したものなのだ。言い換えると、それはジョンソン大統領と国防長官、そして彼らを取り巻く軍人、文民のアドバイザーたちの責任感の欠如にあるのだ」
「責任感の欠如は、どこから来るのか。彼らの傲慢さ、優柔不断さ、さらには私利私欲だ。それらが米国民に対して持たねばならない責任の放棄につながったのである」
トランプにも突きつけられた「戦争責任」論
長いこと国家安全保障問題を取材してきた米主要紙のベテラン記者の1人は筆者にこう述べている。
「マクマスターという男は、軍事戦略的に見て自分が正しいと思ったことは上司が何と言おうとも変えない。現場での戦闘に裏づけされた自信がある。彼がNCSに入ったことでベトナム戦争をめぐりジョンソン大統領らに突き付けられた矛先はトランプ大統領にも向けられている」
「差し当たって、懸念されるのは、トランプ大統領の腹心バノンとの確執だ」
「マクマスターはトランプ大統領の基本政策である米軍の強化、例えば陸軍の規模を増やすことや海軍の戦艦増強、陸軍の近代化などでは一致している。だがロシアのウクライナ侵攻やクリミア半島合併に猛反対している」
マクマスターという「アイコノクラスト=聖像破壊主義者*」(ブルームバーグのマーガレット・タレブ記者)を政権に招き入れたことがトランプ大統領にとって吉と出るか凶と出るか。「神のみぞ知る」といったところだ。
*Iconoclastとは聖像を破壊するもの。そこから既成体制をぶち壊して新しい息吹を入れる改革者といった意味。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-t/49405
森友学園問題に政治家は本当に関与していないのか?
籠池前理事長らの参考人質疑を実施せよ
2017.3.14(火) 筆坂 秀世
記者会見を終え、頭を下げて退室する学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長(中央)。左は長男の籠池佳茂氏(2017年3月10日、写真:日刊スポーツ/アフロ)
3月10日、森友学園の籠池泰典理事長が、理事長を退任し、私立小学校の設置認可申請を取り下げた。これで幕引きを図ろうということなのだろう。だが肝心の疑惑は何ひとつ解明されたわけではない。
財務省、国交省が大慌てで厳しい対応
タダ同然での国有地の払い下げで批判にさらされていた財務省は、早速、学園側と買い戻しに向けての協議に入ったそうである。森友学園と財務省の売買契約では、2017年3月31日までに小学校用地として利用しなければ、国が土地を買い戻すことができるという特約が入っているためである。
国は売却価格の1億3400万円のうち、分割払いの頭金として2787万円を受け取っているだけなので、同額を払えば買い戻すことが可能だという。ただ学校用地に使うという契約内容に反していたことから、学園側には違約金1340万円を支払う義務があるため、実際には差額の約1400万円の支払いで土地を買い戻すことが可能ということである。
旧国有地が返還された場合、国土交通省も支払った補助金約5600万円の返還を求める方向だと報じられている。
財務省は、ほぼ完成している校舎についても、これを解体して、更地にして土地を戻すよう求める方針だという。
それにしても森友学園の小学校認可申請の取り下げには、財務省も、国交省も、ほっとしたことだろう。いまになって国民の批判をかわすために、大慌てで厳しめの対応を取ろうとしているように見えるが、こんなことで両省の無責任な対応が免罪されるわけではない。
約10億円の国有地がなぜタダ同然になったのか
なぜ当該国有地が森友学園に売却されたのか。
国が当該土地を売却しようとしたのは、2013年6月のことだ。近畿財務局が土地の公用・公共用として取得要望を公募し、それに応じたのが森友学園だった。しかし、同学園は「購入するためのまとまった資金が用意できない」と主張したのに対し、近畿財務局はこれをあっさりと容認し、2015年5月に異例の10年間の定期借地契約を締結する。しかもこの契約には、期間内に希望すれば時価で購入できるという特約まで付いていた。
さらにはこの土地は、鉛やヒ素が埋まっていることが確認されていたため、汚染土壌を入れ替える対価として、国から1億3100万円が学園に支払われている。
そして2016年3月、杭打ち工事を開始するのだが、学園側から「新たなゴミが出た」ことが近畿財務局に報告される。これを受けて同年4月、国交省大阪航空局が、ゴミ撤去について、ゴミの量を1万9500トンと見積もり、その撤去費用を8億2200万円と算定した。この1カ月後の5月には、不動産鑑定士により当該土地の価格が9億5600万円と査定されている。この結果、土地の売却価格は、鑑定額からゴミ撤去費用を差し引いた1億3400万円とされたのである。しかも売却価格は、非公開とされていた。後ろ暗い取引だったからであろう。
結果的に土地はタダ同然になったために、森友学園は急きょ借地契約を売買契約に変更したということだ。これでは、資金不足の森友学園でも購入できるように、ゴミ処理費用を算定したと言われても仕方がない。通常は、ゴミの撤去費用などは第三者機関に依頼して算定するものである。事実、大阪航空局には、ゴミ撤去の算定をした経験がまったくなかった。同局が見積もりした深さまで本当にゴミがあったのか否か、それすら確認もしていないというのである。なぜこんなに急いだのか。「開校予定が迫っている」というのが弁解理由である。
要するに、何が何でも森友学園の小学校を開校するということが大前提とされてきたということだ。
国民の財産をこんな無責任なやり方で売り飛ばしていたのである。これに関わった財務省や国交省の担当者の責任は、厳しく追及されなければならない。
政治家の関与がないわけがない
籠池前理事長は、政治家への依頼などしていないと弁明している。この弁明は、まったく通用しない。
そもそも「安倍晋三記念小学校」という名称で寄付金集めまで行っていたのである。安倍首相の昭恵夫人は名誉校長になっていた。ここには、安倍首相と夫人を最大限に利用しようとする卑しい意図が明々白々に表れている。
安倍首相は、今や最強の首相である。自民党は先の党大会で党則を改正し、「2期連続6年」という総裁任期を、「3期連続9年」に延長することにした。二階俊博自民党幹事長が「安倍首相の次は安倍首相だ」と明言するように、3選はほぼ確定しつつある。
安倍首相が何もしなくても、「安倍晋三記念小学校」「内閣総理大臣夫人安倍昭恵名誉校長」ということになれば、そのことを忖度する役人がいたとしても不思議はない。いまや各省の幹部人事は、かつてのように各省ではなく内閣人事局が一手に握っている。各省の幹部は、内閣には逆らえないのである。
政治家の関与なしに、今回のような国民を馬鹿にしたような国有財産の処理が行われていたとするなら、そんな役人は即刻処分すべきであろう。
鴻池参院議員が政治家の介入を証明している
3月1日、参院予算委で共産党の小池晃議員が、ある自民党国会議員の事務所が作成した籠池理事長との面談記録を入手したとして政府を追及した。すでに明らかになっているように、この資料は鴻池祥肇(こうのいけ・よしただ)参院議員事務所のものだった。
民進党の櫻井充参院議員は3月2日にメルマガで、「共産党の小池議員が、森友学園と政治家の関係を暴露しました。(中略)実は、鴻池議員が森友学園の学校法人の認可をおろさせたくないので、共産党に情報を提供したのです」とその真相を暴露している。このメルマガの内容は、鴻池氏自身に確認までとったものだという。森友学園の学校法人の認可を防ぐための共産党と自民党右派の共同作戦だったというわけだ。
その後、鴻池事務所の「陳情整理報告書」を朝日新聞が入手し、報道している。これには2013年9月〜2016年3月にかけて、籠池理事長が頻繁に鴻池事務所に陳情していたことが記されている。
籠池理事長が働きかけた政治家は、はたして鴻池氏だけだったのだろうか。もっと多くの政治家に働きかけていたとしても何の不思議もない。また、いまのところ真偽は不明だが、3月12日には、稲田朋美防衛相がかつて森友学園の顧問弁護士を務めていたことを籠池氏が明らかにしており(菅野完氏によるインタビュー動画)、稲田氏との関係の疑惑も浮上している。
籠池前理事長らを証人喚問すべき
野党が籠池前理事長らの参考人質疑を要求しているのに対して、自民党、公明党の与党は、これを頑強に拒否している。この問題について、菅義偉官房長官は、3月3日の記者会見で、国会で決めることだとしつつ、「違法性のない事案にかかる審査は慎重にやるべき」と語っている。
おかしい理屈である。違法性があれば、検察や警察が捜査をする。違法性が仮にないとしても、国有財産が不当に安く処分されたとすれば、政治の大問題である。また、今後、違法性が出てくる可能性も十分にある。
最近、これほど国民が怒っている問題はない。これをあいまいにして、籠池氏の理事長辞任と小学校の認可申請取り下げだけで済ませてはならない。
政治家の関与はいうまでもなく、近畿財務局、財務相理財局、大阪航空局など、この問題に関わった当時の関係者を含めて、国会に招致し、真相を解明すべきである。その際、籠池氏は参考人招致を拒否すると述べていることを考えれば、議院証言法に基づく証人喚問も検討すべきである。東京都議会では、豊洲移転問題を巡って、百条委員会が開かれているが、国会でも同様に強制力や偽証罪のある証人喚問を検討すべきだと言いたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49412
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