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ある財務省OBは、森友学園との交渉記録が残っていないはずがない、と言います Photo:REUTERS/AFLO
森友学園、財務省の「交渉記録は残っていない」は本当か
http://diamond.jp/articles/-/119787
2017.3.2 山田厚史の「世界かわら版 山田厚史:デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員 ダイヤモンド・オンライン
国有財産は国民の財産だ。火の車の財政を抱える財務省は切り売りして収入を確保しようと必死だ。少しでもいい値段で売る。それが役人の務めだろう。ところが大阪府の森友学園の一件には唖然とさせられた。
評価9億5600万円の土地が1億3400万円で払い下げられた。85%の値引き。
交渉経過を示す文書は「残されていない」(佐川宣寿理財局長)という。ところが、ある財務省OBは一笑に付す。「文書がないなどありえない」と。財務省は重要文書は「私的メモ」として公文書から外して保管している、というのである。一連の経過は、近畿財務局や本省理財局の担当者の手元にあるはず、というのだ。
それにしても今回の事件で財務省の動きは不可解だ。トンデモ売却の実現は、財務官僚の手引きなしにできるものではない。交渉経過が表に出ると困るのは誰なのか。
■ほぼ同じ広さの隣地は14億円
財務省に何が起きたのか
大阪府豊中市。伊丹空港の滑走路近くにある問題の土地8770平米は、騒音被害に悩む住民の家を大阪航空局が買い上げ更地にした。技術の進歩で騒音は減り、土地は売却されることになった。何件かの交渉は不調に終わり、2013年に大阪市内で幼稚園を経営する森友学園が小学校用地として名乗りを上げ、昨年6月近畿財務局と売買契約を交わした。
疑惑の発端は昨年9月、豊中市の木村真市議が起こした情報公開請求だ。近畿財務局は「売却価格は開示できない」と拒否。国有財産をいくらで売ったかは「原則公開」と理財局長通達で決まっているのに、である。
市議は決定取り消しを大阪地裁に提訴。財務局は一転して1億3400万円という売却額を公開し、大騒ぎになった。
かつて7億円で買収を申し出た業者があったが、財務局は「安すぎる」と一蹴した。豊中市が買ったほぼ同じ大きさの隣地は14億円だった。この違いは何だろう?
「値引き」の根拠とされた「地下埋設物の処理」に疑惑の眼は集まった。
財務省は内規で、算定価格は不動産鑑定士など専門家の評価を参考にすることを決めている。9億5600万円は鑑定士によるものだったが、8憶2200万円という「値引き」は、外部の専門家がはじいたものではない。財務局に頼まれ大阪航空局が算出した。地下9.9メートルまで掘り返し、土盛りする経費として8億円余を計上したという理屈だ。
敷地全体のゴミの掘り返しなど森友学園はしていなかったことが後に明らかになる。森友学園の籠池泰典理事長はテレビのインタビューで「校庭の土は入れ替えていない」と語った。処理費8億円のうち少なく4億円は「丸儲け」になったわけだ。
■ないはずがない交渉記録
巧妙に隠す財務省の“手口”
「東西の ここ掘れわんわん 腐敗臭」
朝日新聞に載った読者の川柳である。西の瑞穂の国記念小学校に腐敗臭が立ち上ったのは2015年の7月である。学校用地に鉛などで汚染された土がある、と学校を建設する森友学園が言い出した。「地下3メートルまで汚染土を除去した」とゴミ処理の支払いを請求。財務局は1憶3176万円を森友に支払った。
ゴミが出ればカネになる、と思ったのだろうか。森友側は「地下にもっと大量のゴミがある」と言い出し、併せて土地の購入を申請した。そんな中で2015年9月4日、近畿財務局9階会議室で会議が開かれた。
森友学園、近畿財務局、大阪航空局の三者が建設業者を交えて会合を持った。共産党の宮本岳士議員が内部資料をもとに参加者の実名を示し、予算委員会で質問した。
財務省は佐川理財局長が「売却価格について森友側と交渉したことはない」と答弁していただけに、会議については「確認できていない」と突っぱねた。そして答弁は変わる。
「個別の会議はたくさんあり交渉記録は残っていないと思われます」(同局長)
財務省の行政文書管理規則は保存期間1年未満、保存期間は事案の終了までだという。2016年6月の売買契約締結をもって保存期間は終了した、文書は残っていない、というのだ。
この答弁に、財務省の文書管理に詳しいOBは、私の取材にこう語った。
「交渉記録を残しておかないとあとで問題になった時、困る。行政経験の積み上げという面からも資料を残すことは大事だ」
ただ外部から覗かれるのは困る、というのが財務省の基本的な立場である。決裁文書などは公文書として保管するが、経過や政治家など外部対応などが詳細に書かれた文書は「担当者の私的メモ」とする。情報公開の対象から外すための工作である。
「私的メモ」といっても担当者個人が持っているのではない。関係者が共有できるファイルになっている。取り扱い区分は「私物」なので、捨てたり焼却しても法に触れない、という便利な扱いだ。
佐川局長は「交渉記録はない」「保存期間は終了している」と強調するが、「廃棄した」とは言っていない。
文書はまだ残っているのだろう。本省も財務局も担当者は毎年のように変わる。いま問題が紛糾しているのだから、財務省にとって当時を知る大事な文書のはずだ。
財務省は「私的メモ」を理由に公開を拒否するだろう。その際、国会は国政調査権を発動して文書を押さえることができるが、国政調査権の発動は与党の協力がなければできない。
「ゴミ処理費」と称して8億円も値引きしながら、麻生財務相は「適正な価格によって処分を行った」と言い張り、ゴミは処理されたのか、と聞かれた理財局長は「確認していない。確認する必要もない」と木で鼻をくくった答弁を繰り返す。
国会とは何なのか、と思う。国民の利益を代弁する議員が集まり国民主権を全うする場だというのに、与党はひたすら隠し事をしている。こうした中で、国民の財産が「格安」で得体の知れない学校法人に払い下げられたのである。
ひどい話ではないか。財務省や国土交通省には立派な役人が沢山いる。こんな払い下げはまずいよ、と言う役人はいなかったのか。今になっても「適正に処理された」と言い張っている。
■時代の空気が生んだ森友学園
幼稚園児まで巻き込むアナクロニズム
日本でおかしなことが立て続けに起きている。東芝もそうだったが、多くの人が「おかしい」と思うことを口に出せなくなっているのではないか。空気を読み、忖度し、長いものに巻かれろ、と判断を停止する。
「全体主義」と言ってもピンとこない人が多いだろう。私たちの親や祖父母の時代、若者は「天皇陛下万歳」の歓声で戦地に送られた。戦争はイヤだ、と思っても口に出せない。学校では子どもたちが教育勅語を暗唱し、「鬼畜米英」と叩きこまれた。
そんなのは昔のこと。ほとんどの人はそう思っているだろう。ところがである。
「朕オモフニ我ガ皇祖皇宗國ヲハジムルコト……」。
幼稚園児が集団で教育勅語を暗唱する動画にネットで出合った。70余年前にタイムスリップしたかのようだ。運動会のシーンもある。運動着姿のかわいい子どもたちが、思いっきり声を張り上げている。
「大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が、心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願い致します。安倍首相ガンバレ!安倍首相ガンバレ!安保法制国会通過よかったです!」
森友学園が経営する大阪の塚本幼稚園のひとコマだ。言葉も意味も分からない子どもに「愛国心」を刷り込んだ過去と重なる光景である。
いまさら戦前には戻りませんよ、と多くの人たちは言う。そうであればいいと思う。
トランプ大統領がアメリカに登場した。欧州では大戦の反省から生まれたEU統合が崩れつつある。ネオナチや極右が台頭している。移民や難民を敵視する排外主義は日本も無縁ではない。近隣の中国・韓国を敵視する偏狭な愛国主義を煽る人たちが日本に増えた。
森友学園は、時代の空気と無縁ではない。園児まで巻き込むアナクロニズムが、堂々と次に小学校を狙っている。
奇妙なことがひとつある。「天皇陛下万歳」ではなく、なぜか「安倍首相がんばれ!」なのだ。
森友学園が開校する小学校(瑞穂の国記念小学院)は「安倍晋三記念小学校」という名称で寄付金を集めていた。
名誉校長になって「広告塔」を演じたのが首相夫人安倍昭恵さんだ。2014年4月、12月、15年9月と、三度にわたって塚本幼稚園を訪れ、講演までしている。
「こちらの教育は大変素晴らしいと主人も思っています」と持ち上げていたという。
首相は「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいと聞いている」と答弁しており、昭恵夫人が学園を深くかかわることを夫が了解していたことを伺わせた。
私学が独自の理念に沿って教育することは尊重されても、判断のつかない幼稚園児や小学生に極端な政治教育をすることは問題だろう。2006年に東京新聞が塚本幼稚園の異常さを取り上げた時、文部科学省の担当者は「適当ではない」とコメントした。
それから10年。首相夫人が訪れ「大変すばらしいと主人も思っています」と褒めたたえた。
■東芝で起きたことが
財務省でも起きているのではないか
国有地の異常な払い下げは、この時代の空気と無縁ではないだろう。10年前なら相手にもされなかった教育方針を掲げる小学校が、大阪府の私学審議会で「認可」され、認可されれば、という条件付きで国有地が払い下げられた。
私学審議会では教育方針や運営に疑問が吹き出て一度では決まらなかった。私学審の紛糾を知りながら財務省は、国有財産地方審議会にかけ、契約相当という結論を引き出した。
議事録を読むと、森友学園の財務や賃貸借契約に疑義が出ていた。それを事務局が「私学審が条件付き認可をしたのだから、その条件を満たせば」という苦しい理屈付けで押し切った。
国有地売却は競争入札が原則だが森友は随意契約だった。払い下げは売却が原則だが、賃貸借でという異例のケースだった。
「小学校を設立する、という公益にかない、経営基盤がぜい弱なことに配慮した措置」と財務省は言う。初めから優遇されていたことがうかがわれる。
「ゴミが埋まっている」ということで処理費用や値引きが繰り返され、破格の安値で森友は国有地を手に入れた。定められた規則を潜り抜ける様々な手法は財務省上層部の了解なくしてできることではない、と関係者は言う。疑われているのは近畿財務局長、理財局長という高級官僚の関与だ。
「佐川局長は自分は関与していないから強気の答弁ができる」。財務官僚OBは言う。
関係者が注目するのは前近畿財務局長の武内良樹国際局長と前理財局長の迫田英典国税庁長官という。その上に誰がいるのか。明らかにするのが国会の役割だ。
「安倍晋三記念小学校」の応援団は安倍夫妻だけではない。自民党、立ち上がれ日本、大阪維新などの右翼系議員が支援していた。「ナチスの手法を見習ったらどうか」と言った麻生財務大臣も日本会議と近い関係にある。
官僚の世界で上り詰める条件のひとつが「空気を読む術」である。どう立ち回れば組織で評価されるか。上司やトップが期待することを読んで、行動する。トップが狂うと組織が暴走する。
東芝で起きたことが、財務省でも起きているのではないか。安倍首相や麻生副総理の責任は重い。
(デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員 山田厚史)
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